注目のスタートアップ

株式会社AFURIKA DOGS 中須俊治|トーゴと京都の職人文化をつなぐテキスタイルの事業展開が注目の企業

トーゴと京都の職人文化をつなぐ服飾の事業展開で注目なのが、中須俊治さんが2018年に創業した株式会社AFURIKA DOGSです。

ケンテクロスという布地をご存じでしょうか?アフリカのガーナ南東部とトーゴ南部に居住するエウェ族の伝統技術が織りなすもので、幅10cmほどの細長い布を何本も縫いあわせて1枚の大きな布に仕立てられています。1670年頃に創設されたアシャンテ王国の宮廷衣装用に発達し、色彩や文様が非常に華やかという特徴があります。
その文様や色の一つ一つにことわざや格言などの意味があり、1枚の布地が出来上がるまでには大勢の職人とそれを取りまとめる親方によって、糸1本1本の色や織り方までこだわり抜かれています。
近年ではアフリカ諸国の経済成長やケンテクロスの需要拡大とともに、大量生産による低品質なケンテが流通するようになり、職人が減少し、伝統的なケンテクロスの製造や技術継承も縮小傾向にあります。

一方、日本国内に目を向けてみると、同じような状況下の業界があります。日本の伝統文化の一つである染色です。
かつては着物や洋服を巧みな染色技術で色付け・デザインする職人によって、芸術的な製品が生み出されていましたが、やはり大量生産の到来とともにその数は減少の一途をたどっています。

各地で古くから培われてきた独自の文化・技術は、地域そのものを表す誇りでありブランドでもあります。そうした誇りが脈々と受け継がれ継承され洗練されていくからこそ、多様性の美しさや可能性が広がり、より豊かな世界を作り上げていく礎になるのではないでしょうか。

今、国を超えて、互いの伝統技術を結び付け、新たな価値を世界に発信しようと挑戦する起業家に注目が集まっています。

株式会社AFURIKA DOGSの事業の特徴は、
トーゴの伝統技術「織り」と日本の伝統技術「染め」を組み合わせて高品質な新しい服飾ブランドを制作することで、商品そのものへの需要を喚起し、それによって互いの国への理解を深め、伝統技術の継承や就業促進、地域の発展を促すことに軸足を置いて活動している点です。

株式会社AFURIKA DOGSの中須俊治さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

その地域の、その職人にしかできない技を軸にプロダクトを作っています。大量生産の時代にあえて非効率と思われるかもしれない手間暇をかけたモノを生み出す中から、自然との融合を感じ、熟練工による手技の紡ぎだす芸術性やメッセージや温もりを感じることが出来、それが製品を身にまとう人たちに心動かされる瞬間を届けることに繋がると考えています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

ふるさとに想いを寄せている方、ローカルでの関係性に関心の高い方、職人さんを応援したいと思う方に手にとっていただければと思います。
また、モノの価値やモノの命、モノが出来上がるまでにどのような過程を経て自分たちのもとにやってくるのか、ということを普段あまり意識する機会がないという方にも、是非一度私たちの製品に触れて頂きたいです。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

職人の高齢化・後継者不足の解消およびアフリカ地域の貧困をなくしていきます。
各国、各地域で守り育てられた文化や技術を今一度多くの方に見つめ直してもらい、未来へ継承していく意識づけにも繋がっていくと考えています。
今はコロナの影響で行っていませんが、「1着の服を旅して作る」という企画も用意しています。支援やボランティアではない形で地域の発展や技術継承に寄与できるプログラムです。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

商品サービスづくりや、アフリカ・トーゴでの現地法人の設立が大変でしたが、まわりの方々のちからを借りて乗り越えました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

地域から応援してもらえるような会社でありたい、関わってくださる人たちがハッピーになっていくような会社でありたいと思っています。

・今の課題はなんですか?

自分たちのペースで、自分らしさをちゃんと伝えることです。

・読者にメッセージをお願いします。

京都へお越しの際は、ぜひ西陣のショップにお立ち寄りください!

会社名 株式会社AFURIKA DOGS
代表者名 中須俊治
創業年 2018 年
従業員数 9名(現地法人のスタッフ含む)
資本金 100万円
事業内容 トーゴ布職人と京都の染色職人の技術をつなぎながら、見落とされてしまうたくさんの価値をつなぐ新たな服づくり
所在地 京都市下京区鶏鉾町480番地オフィスワン四条烏丸13階
代表者プロフィール 1990年、京都生まれ。滋賀大学経済学部卒業。大学在学中に単身アフリカへ渡航し、ラジオ局のジャーナリストとして番組制作に携わる。大卒後、京都信用金庫に入社。嵐山地域で営業を担当した後、2018年に独立・起業。日本とトーゴ共和国を往復し「みんなが笑って過ごせる世界をつくる」ために、体験型のファッション事業やアフリカ進出をめざす人たちの伴走支援をしている。2020年には京都・西陣で初の常設店舗をオープン。アフリカ布や京友禅をつかい、トーゴ出身の仕立て職人と一緒にオーダーメイドの服を仕立てる店舗を運営している。著書に『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』(烽火書房)。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ AFURIKA DOGS アフリカ トーゴ 中須俊治 伝統 工房体験 工芸 職人
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説
一般社団法人設立サムネイル
一般社団法人設立の完全ガイド|設立の流れ・メリット・手続き一覧など徹底解説!
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット
【2025年版】会社設立の流れ・手順・やることリストをわかりやすく解説

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

建設人材マッチングプラットフォームを運営する「助太刀」が17億円調達
2024年10月3日、株式会社助太刀は、総額17億円の資金調達を実施したことを発表しました。 助太刀は、建設マッチングプラットフォーム「助太刀」や、建設人材プラットフォーム「助太刀社員」を展開していま…
アフリカの未電化・未電波地域に電気・通信を届ける「TUMIQUI」を展開する「シュークルキューブジャポン」が資金調達
2022年6月30日、株式会社シュークルキューブジャポンは、資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、関西電力グループのコーポレートベンチャーキャピタル・合同会社K4 Venturesと、シブ…
和食器のサブスクリプションサービス「CRAFTAL」などを展開する「Culture Generation Japan」が資金調達
2024年12月25日、株式会社Culture Generation Japanは、株式会社neighborhoodからの出資を受け入れたことを発表しました。 Culture Generation J…
株式会社FMG 林 亮 | アフリカでの事業展開が注目の企業 
アフリカでの事業展開で注目なのが林亮さんが2020年に創業した株式会社FMGです。 アフリカなど発展途上国におけるベンチャー企業の活躍については、注目を集めています。 株式会社FMGのフリーマネジメン…
アフリカで電動モビリティ(電動二輪車)事業を展開する「Dodai」が300万米ドル(約4.5億円)調達
2024年3月13日、Dodai Group, Inc.は、300万米ドル(約4.5億円)の資金調達を実施したことを発表しました。 Dodaiは、日本人が経営し日本のVCが出資する米国企業です。 アフ…

大久保の視点

日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集