【日本商工会議所】「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」

tips

日本商工会議所と東京商工会議所は、「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」の結果について公表しました。

この調査は、2023年10月にインボイス制度、2024年1月に電子取引のデータ保存義務化(改正電子帳簿保存法)が始まったことを受け、それぞれの制度開始後における事業者の対応状況等と、あわせて経理事務や税務申告方法等のバックオフィス業務の状況等について調査したものです。

インボイス制度

・インボイス制度導入を機に、免税事業者(BtoB中心)の73.3%がインボイス登録を実施
・インボイス登録しなかった免税事業者(BtoB中心)のうち、64.0%が今後の登録を検討
・インボイス制度導入を機に、免税事業者からインボイス登録(課税転換)した事業者のうち54.9%が減収した。また、価格交渉を行った事業者は14.4%で、そのうち値上げを実現した事業者は約6割(60.9%)
・インボイス登録した元免税事業者の85.5%が「2割特例」を適用、そのうち85.2%が初めての申告をスムーズに実施
・インボイス制度導入後も免税事業者からの仕入を継続している事業者は74.0%であったが、今後も継続予定の事業者は47.1%にとどまる
・制度導入により約5割(48.8%)の事業者がコスト増を、約8割(82.2%)の事業者が事務負担の増を感じている
・税負担・事務負担を訴える声が寄せられる一方、特例措置や商工会議所の支援により事業を継続できているとの声も

電子帳簿保存法

・2024年1月から義務化された「電子取引におけるデータ保存」への対応状況は、規模が小さくなるほど「制度をよく理解できず未対応」の割合が高い

バックオフィス業務

・「売上高1千万円以下の事業者」の約3割(31.1%)が、経理事務について税理士等外部専門家の関与なくすべて社内で対応
・「売上高1千万円以下の事業者」の約9割(92.0%)が1人で経理事務を行っている。また、売上規模が小さくなるほど、専任の経理事務担当従業員がおらず、「売上高1千万円以下の事業者」の約8割(78.1%)が、代表者や営業担当者等が経理事務を兼務
・「売上高1千万円以下の事業者」の25.8%は電子申告(e-Tax)に対応しておらず、そのうち56.1%が「メリットが感じられない」と回答


2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されました。

インボイス制度は売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額を伝えることを目的としています。2019年10月から消費税が複数税率になったことで経理が煩雑となり、インボイス制度はこれに伴うミス・不正を防止するために導入されました。

適格請求書は消費税の申告が不要である免税事業者は発行できません。そのため取引先が適格請求書の発行を求める場合は、免税事業者は適格請求書発行事業者として登録し、課税事業者となる必要があります。

また、経理業務もこれまでより大幅に複雑になり、業務負担の増加も懸念され、経済界では批判のある制度でした。

今回の実態調査により、インボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務について実態が明らかとなりました。

インボイス制度については、免税事業者(BtoB中心)の7割以上がインボイス登録を行っており、登録していない事業者でも6割以上が今後の登録を検討しているという結果となっています。

また、今後の取引について、現在は取引を行っているものの、今後は免税事業者とは取引を行わない可能性があると回答した事業者が5割を超えています。したがって、当初の批判どおり、免税事業者に対しインボイス登録の圧力があることがわかります。

また、約5割の事業者がコスト増、約8割の事業者が事務負担の増加を感じており、インボイス制度は多くの事業者の負担となっていることも明らかとなっています。

インボイス制度の導入により会計処理が複雑になりました。そのためインボイス制度に対応した会計ソフトを導入し、効率化を図ることが重要です。シリーズ累計発行部数250万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」では、おすすめの会計ソフトや、導入方法について詳しく解説しています。

また、システム整備などデジタル化を進めたり、効率的なバックオフィス体制を整備したりするには資金調達も必要となるかもしれません。「資金調達手帳」では、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ トレンド
関連タグ インボイス インボイス制度 バックオフィス 実態調査 日本商工会議所 東京商工会議所 電子帳簿保存法
詳細はこちら

「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」結果について

創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

トレンドの創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

令和5年度「飲食サービス業の競争環境整備に向けた商慣行実態調査」調査結果が発表
経済産業省関東経済産業局は、令和5年度「飲食サービス業の競争環境整備に向けた商慣行実態調査」の調査結果概要版を発表しました。 この調査は、長年にわたる取引形態・慣行等による労働生産性向上に課題をもつ飲…
「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」エネルギー価格上昇に約9割が「影響あり」と回答
日本商工会議所と東京商工会議所は、「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」を実施、集計結果を公表した。 この調査は、全国200商工会議所の会員企業を対象に行ったものです。 大企業のみならず中小企業…
「IT導入補助金2024」「インボイス枠(インボイス対応類型):2次締切」の補助事業者が採択
2024年5月8日、中小企業庁は、「IT導入補助金2024」における「インボイス枠(インボイス対応類型):2次締切」の補助事業者を採択したことを発表しました。 採択結果 公募期間:2024年3月29日…
「IT導入補助金2024」
「IT導入補助金2024」のご案内です。 さまざまな経営課題を解決するためのITツール導入を支援するための補助金です。 下記5つの枠の中で、目的に合致するものに申請が可能です。 通常枠 自社の課題にあ…
【2024年2月16日締切】「ビジネスコミュニティ型補助金」(第7回)
「ビジネスコミュニティ型補助金」(第7回)のご案内です。 小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)や、近年頻発する自然…

大久保の視点

スタートアップワールドカップ九州大会:優勝は医薬品開発のStapleBio!熊本で開催
世界最大級のビジネスコンテスト「スタートアップワールドカップ」の九州予選である「KYUSYU REGIONAL 2024」が、2024年8月27日(火)に開…
(2024/8/27)
「スタートアップビジネスMBA講座」明治大学MBAの執筆陣と出身起業家が解説
創業手帳代表も執筆陣に参加。注目のスタートアップ本 起業家教育が近年注目を浴びています。しかし、スタートアップはまだ新しい領域であり、不確実性も高く、学問に…
(2024/7/29)
世界最大級のビジネスコンテスト・スタートアップワールドカップ東京大会優勝はDigital Entertainment Asset山田耕三さん
世界最大級のビジネスコンテスト「スタートアップワールドカップ」の東京予選である「TOKYO REGIONAL 2024」が、2024年7月19日(金)に開催…
(2024/7/19)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集
今すぐ
申し込む
【無料】