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沿線に点在する空き家をホテル客室に改修する「沿線まるごとホテル」に取り組む「沿線まるごと株式会社」が「JR東日本ローカルスタートアップ」から資金調達

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2023年8月9日、沿線まるごと株式会社は、JR東日本グループのCVCのJR東日本スタートアップ株式会社が設立したJR東日本ローカルスタートアップ合同会社から出資を受けたことを発表しました。

沿線まるごとは、JR東日本スタートアップとともに、JR青梅線において、沿線自治体・地域住民・事業者を巻き込んで、沿線に点在する空き家をホテル客室に改修し、沿線全体をひとつのホテルに見立てる沿線活性化事業「沿線まるごとホテル」のサービス開発に取り組んでいます。

この事業は、全国で地方創生事業を手がける株式会社さとゆめが、JR東日本スタートアップ株式会社が展開する「JR東日本スタートアッププログラム2020」に応募し、「沿線まるごとホテル」の取り組みが採択されたことでスタートしたものです。

2021年2月~4月に実証実験を行い、この結果が良好であったため、事業化や協業を推進することを目的に、2021年12月に株式会社さとゆめとJR東日本の共同出資会社である沿線まるごと株式会社が設立されました。

今回の出資により、2023年度に開業する沿線まるごとホテル事業を推進すると同時に、地方創生分野におけるさまざまな協業を推進します。


国土交通省の調べによると、全国の無人駅数は、2001年度が4,120駅だったものが、2019年度には4,564駅へと増加しています。

またその無人駅のほとんどが1日あたりの利用者が100人以下の駅となっています。

無人駅は駅務員が終日不在であり、券売機などが設置されていることも少なく、切符の販売などについては車内で行ったり、駅の近隣にある店舗などに販売を委託するといった方法がとられています。

無人駅は安全性や利便性において課題があります。とくに車いすで生活する人は、無人駅では介助を受けることが難しく、移動が困難になってしまうという課題が生じます。

そこで出てきたのが、無人駅を活用するという考えです。

「沿線まるごとホテル」は、無人駅の駅舎などをホテルのフロントやロビーとして活用し、沿線にある空き家をホテルの客室として改修し、地域住民などとともに運営することで、地域活性化を図ることを目指したプロジェクトです。

沿線まるごと株式会社のコメント

このニュースを受けまして、沿線まるごと株式会社よりコメントが届きました。

嶋田俊平
沿線まるごと株式会社 代表取締役
京都大学大学院農学研究科森林科学専攻修了。大学院修了後、環境系シンクタンク・株式会社プレック研究所に入社、新規部署「持続可能環境・社会研究センター」の立上げに参画し、地域資源を活用したコミュニティ・ビジネスの事業計画立案等に従事。
9年間の勤務後、2013年に株式会社さとゆめを設立。
「ふるさとの夢をかたちに」をミッションに、地方創生の戦略策定から商品開発・販路開拓、店舗の立上げ・集客支援、観光事業の運営まで、一気通貫で地域に伴走する事業プロデュース、コンサルティングを実践。
2019年8月には、山梨県小菅村に、「700人の村がひとつのホテルに」をコンセプトとした分散型ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」を開業。
2021年12月、JR東日本との共同出資会社・沿線まるごと株式会社の代表取締役に就任。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

2020年に「JR東日本スタートアッププログラム2020」に採択されて以降、JR青梅線にて、沿線自治体(青梅市、奥多摩町、小菅村、丹波山村)や地域住民・事業者とともに、「沿線まるごとホテル」のコンセプトのPoC(概念実証)に取り組んできた結果、このコンセプトや事業モデルで、沿線地域の活性化や鉄道利用促進を実現できるという確信を得ることができました。

それを受けて、PoCのフェーズを終え、いよいよ、客室やレストラン等の建設を伴う本格事業化フェーズに入ることになり、そのための資金調達として、この度、JR東日本ローカルスタートアップ社からの出資を受けることになりました。

・今後の展望を教えてください。

JR 青梅線沿線にて2024年春に、レストランを開業し、2024年度中に客室を開業する予定です。

その後、JR青梅線沿線で順次改修・開業していき、ゆくゆくは全5~8棟で宿泊事業を稼働する予定です。

将来的には「沿線まるごとホテル」等の地域事業モデルをJR青梅線以外の地域でも検討し、2040年までにJR東日本管轄エリア内で30地域以上での地域特性に応じた地域事業創出を目指していきます。

・読者へのメッセージをお願いします。

沿線まるごとホテルは、ある種の「妄想」とも言えるアイデアから生まれた事業でした。

無人駅をホテルのフロントに見立て、空き家を客室へと改修し、地域の方々がコンシェルジュとなってお客様をお迎えすることで、鉄道沿線がまるごとホテルになったような世界観をつくっていけるんじゃないか、そして、過疎高齢化で衰退の一途をたどる農山村を元気にしていけるんじゃないか。

そんな妄想が、「JR東日本スタートアッププログラム2020」でのPoC(概念実証)を経て、「現実的な計画」になってきた一方で、客室整備の資金確保など、「現実的な課題」にも直面していたところでした。

そうした中で、この度、JR東日本ローカルスタートアップ合同会社からの出資を頂き、「現実的な事業」への道を固めることができました。

あとはやるのみ。沿線活性化の新しい成功モデルをつくります。

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