注目のスタートアップ

垂直軸型マグナス式風力発電機を開発する「チャレナジー」が「前澤ファンド」から12億円調達

company

2022年9月22日、株式会社チャレナジーは、総額約12億円の資金調達を実施したことを発表しました。

引受先は、株式会社前澤ファンドです。

チャレナジーは、垂直軸型マグナス式風力発電機(マグナス風車)を開発しています。

プロペラによる揚力ではなく、円筒の回転で発生するマグナス力を利用しています。

風向・風速の変化に強いため、強風・台風などでも発電できることや、風向きに関係なく発電できることがメリットとなっています。

2018年8月に沖縄県石垣島で10kW機の実証実験を開始しています。

さらに、2020年度には10kW機を量産化し、2021年8月からフィリピンで10kW機を稼働させています。

今回の資金は、マグナス風車のさらなる大型化の開発、採用・組織体制の強化などに充当する予定です。

風力発電は、太陽光発電と違って夜間でも発電可能であることや、環境負荷の低さが注目されており、欧州では主流な再生可能エネルギーのひとつです。

国内においても風力発電の導入に向けた取り組みが進められていますが、国内の土地は欧州よりも風が弱く安定的ではないことから、風力発電の効率が悪いということが課題となっています。

さらに、国内は毎年台風が上陸することから、強風に耐えうる強度の風車が必要となることも課題となっています。

実際に2004年にあった台風では、宮古島(沖縄県)に設置されていた風車6基のうち3基が倒壊し、残る3基も被害を受けています。

チャレナジーはこれら風車の課題を、垂直軸型マグナス式風力発電機(マグナス風車)によって解決することを目指しています。

マグナス風車は、マグナス効果(マグナス力)という力学を利用した風車です。

マグナス効果とは、回転する物体に風・液体などの流体が当たった場合、流体がその回転に引きずられ、揚力が働くという現象です。野球におけるカーブやスライダーが回転させた方向に曲がることを想像してください。

チャレナジーのマグナス風車は、回転する円筒を2つ縦に設置した垂直型の風車です。マグナス効果では物体の回転数が高くなればなるほど力が大きくなるため、台風などの強い風が吹く場合には円筒の回転数を抑えることで風車の回転を抑えることが可能です。

円筒の回転ではモーターを回すための電力が必要となるものの、円筒を回転させるというシンプルな構造であるためそれほど大きな電力を必要とせず、マグナス風車自体が発電する電力で賄うことが可能です。

さらにマグナス風車は、既存の風車が抱える、騒音やバードストライク(鳥の衝突事故)の課題も解決できるという特徴があります。

チャレナジーは、フィリピンの国営電力公社と協業し、2021年8月からフィリピンでマグナス風車の初号機を稼働させています。

フィリピンではディーゼル発電が主流な発電方法であるため、再生可能エネルギーのニーズが高いのですが、日本と同じく台風が頻繁に来るという課題があります。

マグナス風車は日本だけでなくフィリピンなど台風の多い島国においても設置が可能であるため、風力発電の新たな選択肢としてどのように展開していくのか注目が必要です。

プロダクトの開発には多くの資金が必要となります。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、融資だけではなく、VCから出資を受ける方法や、クラウドファンディングを成功させる方法など、資金調達に関するノウハウを紹介しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ エネルギー チャレナジー マグナス力 マグナス風車 再生可能エネルギー 前澤ファンド 垂直軸型マグナス式風力発電機 株式会社 資本業務提携 風力発電
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選
【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説
一般社団法人設立サムネイル
「一般社団法人」設立ガイド|手続きの流れ・必要書類・メリット・費用など

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

AI翻訳機を展開する「ポケトーク」が7億円調達
2022年12月22日、ポケトーク株式会社は、総額7億円の資金調達を実施したことを発表しました。 直近では、2022年11月14日に総額16億円の資金調達を発表しています。 ポケトークは、AI通訳機「…
オンラインゲームの経済圏を拡大させることでメタバースの実現を目指す「Meta Earth」が1億円調達
2022年3月29日、株式会社Meta Earthは、総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 Meta Earthは、オンラインゲームの経済圏を拡大させることで本物のメタバースを実現するこ…
「第1回 電子化・オンライン化 支援 EXPO」「第1回 テレワーク・在宅勤務 支援 EXPO」「第1回 ニューノーマル オフィス EXPO」 横浜・大阪・オンラインの3会場で開催
2021年6月2日、株式会社イノベントは、「第1回 電子化・オンライン化 支援 EXPO」、「第1回 テレワーク・在宅勤務 支援 EXPO」、「第1回 ニューノーマル オフィス EXPO」を開催するこ…
制作コラボレーションツール「MiLKBOX」を提供する「rayout」が1億円調達
2024年5月27日、rayout株式会社は、総額1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 rayoutは、制作コラボレーションツール「MiLKBOX」を開発・提供しています。 動画・Web・グ…
クリエイターコラボプラットフォーム「FEAT」を運営する「KUROGO」が資金調達
2025年7月18日、KUROGO株式会社は、資金調達を発表しました。 今回の資金調達により、累計調達額は約1億円となりました。 KUROGOは、クリエイターコラボプラットフォーム「FEAT(フィート…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集