2022年10月以降の「雇用調整助成金等」「休業支援金等」の特例措置と「産業雇用安定助成金」の拡充について

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2022年8月31日、厚生労働省は「令和4年10月以降の雇用調整助成金の特例措置等」「産業雇用安定助成金の拡充」について発表しました。

新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置は、2022年10月~11月は上限額を引き下げます。

施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要となるため、確定事項ではありません。

雇用調整助成金等(括弧書きの助成率は解雇等を行わない場合)(※1)
2022年7~9月 2022年10~11月
中小企業 原則的な特例措置(※2) 4/5(9/10)
9,000円
4/5(9/10)
8,335円(※3)
地域特例(※4)
業況特例(※5)
4/5(10/10)
15,000円
4/5(10/10)
12,000円
大企業 原則的な特例措置 2/3(3/4)
9,000円
2/3(3/4)
8,355円(※3)
地域特例(※4)
業況特例(※5)
4/5(10/10)
15,000円
4/5(10/10)
12,000円

(※1)原則的な措置、地域・業況特例のいずれについても、令和3年1月8日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断。
(※2)生産指標が、前年同期比(前々年同期、3年前同期又は過去1年のうち任意月との比較でも可)で1か月5%以上減少している事業主。令和4年10月以降は、生産指標が前年同期比(前々年同期、3年前同期又は過去1年のうち任意月との比較でも可)で1か月10%以上減少している事業主。
(※3)雇用保険の基本手当の日額上限(8,355円)との均衡を考慮して設定。
(※4)緊急事態措置を実施すべき区域、まん延防止等重点措置を実施すべき区域(以下「重点措置区域」という)において、知事による、新型インフルエンザ等対策特別措置法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主。
※重点措置区域については、知事が定める区域・業態に係る事業主が対象。
※各区域における緊急事態措置又は重点措置の実施期間の末日の属する月の翌月末まで適用。
(※5)生産指標が、最近3か月の月平均で前年、前々年又は3年前同期比で30%以上減少している事業主。なお、令和4年4月以降は毎月業況を確認している。

休業支援金等
2022年7~9月 2022年10~11月
中小企業 原則的な措置(※3) 8割
8,355円(※7)
8割
8,355円
地域特例(※8) 8割
11,000円
8割
8,800円
大企業(※6) 原則的な措置(※3) 8割
8,355円(※7)
8割
8,355円
地域特例(※8) 8割
11,000円
8割
8,800円

(※6)大企業はシフト制労働者等のみ対象。
(※7)令和4年7月までの上限額は、8,265円。
(※8)休業支援金の地域特例の対象は、雇用調整助成金と同じ(左記※4)。
なお、地域特例については月単位での適用とする。
(例:5月10日から5月24日までまん延防止等重点措置→5月1日から6月30日(解除月の翌月末)までの休業が地域特例の対象)

【産業雇用安定助成金の拡充】

コロナの影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して助成を行うものです。

「出向運営経費」:賃金、教育訓練及び労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部
・中小企業:上限12,000・1人1日あたり・助成率4/5(解雇なし9/10)
・中小企業以外:上限12,000・1人1日あたり・助成率2/3(解雇なし3/4)

「出向初期経費」:就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品の整備など
・出向元事業主・出向先事業主ともに、1人あたり10万円
・生産性指標要件が一定度悪化した企業からの送り出し等による加算額:1人あたり5万円

現行制度では支給対象期間が1年ですが、拡充案では2年間へと延長します。

また、現行制度では支給対象者数は、出向元・出向先ともに1年度あたり500人ですが、拡充案では出向元については上限を撤廃します。

さらに、出向復帰後の訓練(off-JT)に対する助成を新設します。これは、出向元に復帰後に、出向によって得たスキル・経験をブラッシュアップさせる訓練に対して助成するという内容です。

2021年4月に発出された「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」は、2021年9月30日に全都道府県で解除されました。

飲食店などでは、新型コロナウイルス感染症の影響によって遠のいた客足はすぐに戻ってくるわけではないため、「緊急事態宣言」等が解除されたからといって即座に支援等が打ち切られてしまうと厳しいという状況にあります。

そのため、「雇用調整助成金」や「休業支援金」の特例措置は、幾度も延長が決定されています。

今回発表されたのは、2022年10月~11月の具体的な助成内容です。ただしこの内容の施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であるため、現時点での予定となっています。

また今回は、2022年10月以降の「雇用調整助成金」「休業支援金」の特例措置だけでなく、「産業雇用安定助成金」の拡充案についても発表されています。

「産業雇用安定助成金」は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成するものです。

たとえば、コロナ禍によって大きな打撃を受けた航空業界では、社員を他企業へと出向させる取り組みが報道されましたが、こういった取り組みを支援する制度になります。

出向は単なる人件費の削減だけでなく、出向先で新たなスキルを得ることができるといったメリットがあります。今回の拡充案ではこの点も勘案されており、出向を上手く活用することが重要となっています。

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カテゴリ 制度改正
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