注目のスタートアップ

便失禁・尿失禁の治療を目的とした細胞治療の研究開発を行う「イノバセル」が「HiJoJo Partners」などから5.5億円調達

company

2022年6月2日、イノバセル株式会社は、総額5億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

引受先は、HiJoJo Partners株式会社によって組成された「Innovacellファンド投資事業有限責任組合」などです。

HiJoJo Partnersは、ユニコーン企業を中心に国内外の非上場スタートアップ企業に投資するファンドを組成・販売・運用する企業です。

今回の出資により、欧州投資銀行から獲得した1,500万ユーロ(約20億円)のベンチャーデット与信枠の融資開始前提条件が満たされました。

イノバセルは、切迫性・漏出性便失禁、腹圧性尿失禁を治療するための細胞治療薬の研究開発を行っています。

開発が進んでいる「ICEF15」は、患者の筋芽細胞を利用し、細胞注入によって筋肉の再生を図ることで切迫性便失禁を根治させるものです。

これまで、欧州において、切迫性便失禁を対象とした「ICEF15」と、腹圧性尿失禁を対象とした「ICES13」の後期第II相試験など複数の臨床試験を完了させています。

2022年6月現在、第III相国際共同治験であるfidelia試験を実施しています。第III相は臨床試験の最終段階にあたります。

イノバセルの前身会社はオーストリアのインスブルック医学大学からスピンアウトした再生医療ベンチャーで、イノバセルはこのオーストリア企業の親会社として2021年に日本で設立されました。

便意を感じるもののトイレまで我慢できずに便を漏らしてしまう症状を「切迫性便失禁」、便意を感じず無意識または自分の意志に反して便が漏れてしまう症状を「漏出性便失禁」と呼びます。

「切迫性便失禁」は、外肛門括約筋の収縮力の低下や腸炎などが原因となっています。括約筋の機能低下の原因は、加齢に伴う筋力低下や出産時の肛門括約筋断裂が多いため、女性によく見られる症状となっています。

「漏出性便失禁」の原因は様々ですが、もっとも多いのは内肛門括約筋の機能低下となっています。内肛門括約筋は外肛門括約筋と違って自分の意志で動かすことのできない不随意筋でできています。

尿失禁のうちもっとも多い症状が「腹圧性尿失禁」です。「腹圧性尿失禁」は、階段を上ったり、咳やくしゃみをするといった腹圧が高まる行動の際に自分の意志と関係なく排尿してしまうという症状です。こちらは尿道括約筋や骨盤底筋群の機能低下が主な原因となっています。

このように便失禁・尿失禁は筋機能の低下が原因であることが多いため、イノバセルは対象の筋機能を取り戻すことを目的とした再生治療の実現により、便失禁・尿失禁の根治を目指しています。

研究開発型のビジネスでは資金調達が非常に重要です。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

カテゴリ 有望企業
関連タグ 再生医療 株式会社 治療 治療薬 研究開発 細胞 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選
【2025年最新版】合同会社と株式会社の違いを徹底比較!メリット・デメリットや選び方をわかりやすく解説
NPO法人設立サムネイル
【2025年最新】NPO法人の設立ガイド|費用・条件・手順を徹底解説
一人会社と個人事業主の違いとは。一人でも法人にするメリット・デメリット
法人成りとは?個人事業主が法人化するメリット・デメリットや手続きを徹底解説!
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

エッジAI向けファブレス半導体開発・設計を手がける「EdgeCortix」が2,000万ドル(約30億円)調達
2023年10月4日、EdgeCortix株式会社は、総額2,000万ドル(約30億円)の資金調達を実施したことを発表しました。 EdgeCortixは、エッジAI向けファブレス半導体開発・設計を手が…
【東京都】「新製品・新技術開発助成事業」【最大2500万円支援】
「新製品・新技術開発助成事業」のご案内です。 公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成事業です。 対象となる研究開発 製品・サービスを生み出すために、試作品の設計、製作、試験評価を行うことを「…
ブライダル業界特化のクラウド型婚礼宴会システム「Oiwaii」などを展開する「TAIAN」が6億円調達
2024年11月26日、株式会社TAIANは、総額6億円の資金調達を実施したことを発表しました。 TAIANは、クラウド型婚礼宴会システム「Oiwaii(オイワイー)」や、Web招待状・席次表「Con…
汎コロナウイルスワクチンなど開発の「エピトマップ」が3億円調達
2021年12月16日、エピトマップ株式会社は、総額3億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、日本全薬工業株式会社と、動物アレルギー検査株式会社です。 エピトマップは、理化学研究所人工…
保育業界向けのタレントマネジメントツール「KatagrMa」提供の「カタグルマ」が資金調達
2021年9月24日、株式会社カタグルマは、資金調達を実施したことを発表しました。 保育業界向けのタレントマネジメントツール「KatagrMa(カタグルマ)」を提供しています。 保育施設の施設・人材マ…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集