注目のスタートアップ

ヘリカル型核融合炉の開発を目指す「Helical Fusion」が6,500万円調達

company

2022年5月10日、株式会社Helical Fusionは、総額6,500万円の資金調達を実施したことを発表しました。

Helical Fusionは、ヘリカル型核融合炉の開発を目指しています。

ヘリカル型とは、二重らせん構造の超伝導ヘリカルコイルを用い、高温のプラズマを安定して閉じ込めるという方式です。

このヘリカル型にさらに独自の最先端技術を取り入れた、定常核融合炉の開発を目指しています。

今回の資金は、核融合炉の社会実装に必要な最新鋭の技術開発の推進に充当します。

原子力発電は莫大なエネルギーを生み出すことができますが、メルトダウンの危険性があることから、細心の注意を払って運用する必要があります。

また、原子力発電は核分裂によって高レベルの放射性廃棄物を排出してしまうのですが、この放射性廃棄物の放射能が天然ウラン並のレベルに減衰するまでに約8000年かかります。

現状の技術では物質の放射能をなくすことはできないため、人間が近づかない場所に保管するしかありません。国際的には地下深くの安定した岩盤に閉じ込める、地層処分が安全であるという考え方が主流になっています。

このように原子力発電にはメルトダウンの危険性と放射性廃棄物の処分・管理の課題があります。そこで、核融合を利用した、メルトダウンの危険性がなく、高レベル放射性廃棄物を出さない発電方法である核融合炉の開発が進められているのです。

一方で、核融合では、核融合炉内でプラズマ温度摂氏1億度以上という高温と非常に高い密度を必要とするため技術的難度が高く、実現には長い時間がかかるとみられていました。しかし国際プロジェクトであるITER計画では、2035年には実際の核融合発電と同様の運転の実験が行われ、2050年頃には発電実証を行うことが想定されています。ようやく実現が見えてきたのです。

Helical Fusionが実現を目指しているヘリカル型は、ITER計画で採用されているトカマク型よりもプラズマの安定性に優れていることや、プラズマに電流を流す必要がないというメリットがあります。一方で複雑な形状のコイルを必要とするため製作の難度が高いといった課題があります。

研究開発をベースとする企業は、多くの資金を必要とします。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を提供しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ Helical Fusion エネルギー ヘリカル型 株式会社 核融合 核融合炉 発電 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

企業と人事に特化した信用調査会社「テイタン」と与信管理ASPクラウドサービスを提供の「リスクモンスター」が業務提携
2020年10月19日、株式会社テイタンは、リスクモンスター株式会社と業務提携契約を締結したことを発表しました。 テイタンは、信用調査や企業調査を行う総合探偵・調査会社です。 リスクモンスターは、イン…
2人の対話にリアルタイムで生成AIが伴走する1on1支援ツール「emochan」を提供する「KOU」が5,000万円調達
2023年9月4日、株式会社KOUは、総額5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 KOUは、1on1支援ツール「emochan」を提供しています。 2人(管理職・部下)の対話にリアルタ…
サイバーセキュリティ関連の実戦的な専門人材とトレーニングを提供する「サイバーコマンド」が資金調達
2023年10月2日、サイバーコマンド株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 出資者は、合同会社PKSHA Technology Capital Inc.と株式会社松尾研究所の子会社である…
レンタルモール「カウリル」やレンタル専用在庫管理ツール「ZAIKA」を運営する「TENT」が1.7億円調達
2023年5月19日、株式会社TENTは、総額約1億7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 TENTは、レンタルモール「カウリル」や、レンタル専用在庫管理ツール「ZAIKA」を運営して…
AIを活用したソフトウェアテスト自動化ツール「Autify」を提供する「オーティファイ」が20億円調達
2024年6月18日、オーティファイ株式会社は、総額約20億円(1,300万米ドル)の資金調達を実施したことを発表しました。 オーティファイは、AIを活用したソフトウェアテスト自動化ツール「Autif…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集