急成長を遂げている日本酒バル「利き酒GRILL Mr.Happy」オーナー中田 匠さんインタビュー

飲食開業手帳

「理念」と「徹底的な調査」が成長に繋がる

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(2018/03/15更新)

東京都千代田区神保町エリア。世界最大級の書店街として有名なエリアですが、カレー屋や居酒屋なども多く、飲食店「激戦区」としての一面も持っています。

2017年2月、この地に飲食店「利き酒GURILL Mr.Happy」をオープンしたのが、エイチビューの中田 匠さん。お客様目線で考えた独特なサービスを武器に売り上げを伸ばしており、今年の2月には2店舗目をオープンさせるという急成長を遂げています。

今回は飲食店オーナーとして勢いに乗っている中田さんに、創業初期の思いや困難の乗り越え方、そして「創業手帳」のコンサルティング活用法などをお伺いしました。店舗開業をお考えの方、必読です。

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中田匠
1987年10月6日生まれ  出身:山梨県
2006年 國學院大学 入学
2006年 居酒屋 風雅勤務 アルバイトリーダーとして予約管理・人材管理を学ぶ。
2008年 居酒屋 蒼の砦にて副店長として新店舗立ち上げに参加。内装(スケルトン物件)、キャパシティ設定やメニュー構成を学ぶ。原価管理や売上管理等店舗管理業務にも注力する。
2008年 國學院大学 中退
2009年 居酒屋 蒼の砦にて店長に昇格。Web媒体による店舗戦略で年商2億5千万円を達成。同時期にぐるなびアクセスランキング全国1位を7ヶ月連続で獲得。
2010年 新店舗 魔法の国の迷宮 シーフードグリル渚 の責任者として立ち上げを統括。
店舗コンセプトからWebの広告方針、内装、席構成、料理内容の設定と貢献する。年商3億円を達成。
2012年 株式会社クリエイティブプレイスを友人2名と創設。代表取締役副社長 就任
2012年 同社1店舗目となる美食かほりやの立ち上げを統括。初月から黒字の700万の月商、年商8千万円を達成
2013年 同社2店舗目となるととのえ新橋店の立ち上げを統括。年商1億を達成
2014年 同クリエイティブプレイスの取締役を辞任。エリアマネージャーとして日本酒専門店の立上げ統括や、大衆酒場の業態開発、人事、数値管理に注力する。
2017年 エイチビュー創業。代表取締役に就任。

その他:アルペンスキー歴15年。2006年度全日本高校生ランキング2位、インターハイ10位入賞、ジュニアオリンピック出場、現在は地元スキークラブに用具支援を行う。

ビッグカンパニーではなくグッドカンパニーを目指した起業

ーまず、「利き酒GRILL Mr.Happy」のコンセプトや、お店を作る際に意識した点を教えてください。

中田:もともと日本酒が好きで、「日本人の日本酒を飲む時間を増やしたい」っていう想いを持っていました。日本酒をあまり飲んだことがない方々に、このお店で日本酒の玄人になる人生をスタートさせ、日本酒の需要を増やしたい、というのがコンセプトです。

お店は1F・2Fの2フロアで、席は80席あります。ターゲットは、口コミでの拡散が一番見込める20代後半のOLにしました。営業時間に関しては、平日は17時〜24時、土曜日は16時〜24時、日曜日は15時〜23時30分までです。ランチ営業はやっていません。お仕事が終わってから来られる層が多く、月平均で7~800万円ほどの売り上げです。

ー中田さんは、料理人としての経歴よりも、PRとか販促担当の経歴が長い、ということを伺いました。飲食店を始めようと思ったきっかけはどういうものでしたか?

中田:おっしゃる通り、前職は企業でPRや販促の担当をしていました。その企業は、「日本一の外食産業」を目指していたのですが、勤めていくうちに「この企業は、僕と目指しているところが違うのでは?」と感じていました。

僕は「従業員のみんなが楽しく働けるような会社を作りたい」と考えていました。『ビッグカンパニー』じゃなくていいので『グッドカンパニー』を目指したいと思って、独立開業を決意しました。
飲食店を選んだ理由は、前職で飲食店のPRを手がけていたということと、ビジネスモデルとして成功率が一番高いんじゃないかと感じたからです。

ーちなみに、記念すべき第一号店出店の地に、神保町を選んだのはなぜですか?

中田:実は、神保町に縁があったわけでも土地勘があったわけでもありませんでした。それでも神保町を選んだのは、徹底的に調べた結果、費用対効果が高い土地だったからです。

具体的に言うと、「いくらの予算で何人の認知度を上げることができるか?」と考えたときに、30万円の予算で2万アクセスを見込めるところを、都内全域から横浜付近まで調べ上げた結果、神保町に決めました。

ーお店の物件はどのように探して、決められたのですか?居抜き(※)で出店されていますが、元々はなんのお店だったのですか?
※居抜き:設備や什器備品、家具などがついたままで売買または賃貸借されること。 主に飲食店などで、営業用設備や内装が付帯した状態での売買や賃貸をいう。

中田:業者さんからの紹介で、市場に出回る一歩手前の物件を譲ってもらいました。前職が外食産業でしたので、つながりのある各業者さんに、紹介してもらえないかと手当たり次第聞いていたのです。

元はイタリアンレストランみたいな業態で、家具などもそのまま引き継いで買い取りました。
関係者の方々は「これだったら普通200〜300万円だね」って言っていましたが、どうしても獲得したかったので、思い切って500万円で買い取りました。

全体でかかった金額は、保証金、礼金、仲介手数料などを合わせて、900万円ちょっとですね。

ー中田さんが起業されるときに、「創業コンサルティング」をご利用くださったんですよね。どのような経緯で受けてくださったのですか?

中田:資金調達について調べているときに、創業手帳のことを知りました。最初は「創業手帳」や「飲食開業手帳」などの冊子が欲しいと思って申し込んだのですが、しばらくすると創業コンサルティングの連絡が来たので、アドバイザーの方にお会いしたんです。

創業手帳さんのご紹介をもとに、融資先や税理士さんを探しました。スピーディーにものごとを進めなければいけない時期でしたので、本当に助かりました。

会う人すべてに「理念」を伝えた人材集め

ー起業する際に、一番大変だったことは何でしたか?また、それをどういう風に乗り越えていきましたか?

中田:2017年の2月にオープンしたのですが、初期投資費用がかかり過ぎてしまって、3月くらいに預金残高が5万円くらいになったときがありました。2月にかけた費用が3月下旬くらいに請求が来るじゃないですか。「うわー!こんなにかかっちゃったんだ!」って思いましたね。計画が練れ切れていなかったことが原因です。

幸いなことに、初期投資費用がかかり過ぎていただけで、売り上げは好調を維持していました。なので、「初めの1〜2ヶ月を乗り越えることができたら何とかなる」と思って、ひたすらチラシ配りをして、地道にお客様を獲得していきました。

初期投資の部分を含め、どれだけ緻密に計画を練れるかは大事ですね。自分も含め、勢いで始める人も飲食業は特に多いですが、廃業率も高いですから。

ー飲食店に必要な人材は、どのように集められたのでしょうか?

中田:先ほども少しお話ししましたが、僕は「従業員のみんなが楽しく働けるような会社を作りたい」と考えていました。理念ありきの創業だったので、人材集めの時には会う人すべてにその「理念」や「目標」を伝えて回っていました。それを1年くらい続けていたら、徐々に協力してくれる人が増えてきまして、今では社員数が9名になりました。

ちなみに、創業時の理念を忘れないために、「理念カード」を作成して、従業員に配っています。僕にとって、創業時の理念は本当に重要なものだと思います。

大きな一発より、小さなジャブを多く打つ経営

ー飲食業にとって、お客様を増やしていく、リピーターを増やしていく、ということが重要になると思いますが、そのために実践していることはありますか?

中田日々の営業で思いついたことを毎月5個から10個くらい実行して、良かったものを続けていくようにしています。ボクシングに例えると、当たれば大きな一発になる右ストレートを打つのではなく、少しずつ効くジャブを多く打つ、という感じです。
さりげない気遣いや、ちょっとしたサービスを思いついたらやってみて、最終的にお店のファンになってもらうことを目標としています。

具体的には、お帰りの際に懐かしの駄菓子をお土産で差し上げたり、試験管みたいな小さいグラスでお酒を無料で振る舞ってみたり、閉店時間になった時にいたお客様全員にお酒を渡して、閉店の乾杯をして一体感を作ってみる、といったことをしています。

あとは会員システムですね。お店のファンクラブを作りまして、ファンクラブの会員さんには特典がつくようにしています。
500円でシールを1枚購入していただいて、グループ名や会社名、個人名を記入して、店内の壁に貼っていただくんです。それで来店時に、「ファンクラブに入ってるよ!」と口頭で伝えていただけると、1杯目の飲み物が通常よりもかなり大きなグラスで飲める、というサービスをやっています。
もちろん、価格は通常と変わりません。近隣の企業の方が結構上手に使ってくださいますね。

ー価格が変わらずに大きなグラスで飲めるんですか!結構大胆なサービスのように感じます。

中田:そんなことないですよ。確かに、原価で考えると大変かもしれませんが、ファンクラブに入会しているお客様は2、3人で来てくれることが多いです。集客の要素から考えると、コストパフォーマンスはいいと思います。

僕たちは、新規で来られたお客様を2回目・3回目の来店に繋げることが目的です。一番お金をかけるべきは集客の部分なので、どれだけのお客様にお店をご贔屓にしてもらえるか、に注力したいですね。

本質だけを「シンプル」に考え、どうせやるならおもろくやる

ー今後の展開を教えてください。

中田:今年の2月15日に、2店舗目となる「KATSUO」を立川(東京都立川市)に出店しました。出店先を立川に決めたのも、神保町と同じように、徹底的に調べた結果です。この調子で、2022年までに20店出店を目標にしたいと思います。

また、人材がそろえば店舗ビジネス以外のビジネスモデルも模索していきたいです。例えば、飲食店の不動産関係や、営業が強い人材に代理店ビジネスを任せてみる、といったことをやってみたいですね。

もちろん、それぞれの市場にも競合がいるかと思いますが、創業時の「理念」のもと、一人二人の人を幸せにすることを目指していきたいです。

ー最後に、これから飲食店を始められる方にメッセージをください。

中田:まずは「頑張ってください」です。そして、物事の本質を見ることができる思考回路を身につけることが一番近道なんじゃないかって思います。

あとは、何度もお話しさせていただきましたが、起業する上での「理念」が大切です。それをもとに、利益の出る楽しい仕事を目指していきましょう。

(取材協力:利き酒GRILL Mr.Happy/中田 匠
(編集:創業手帳編集部)

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