LiLi 廣岡絵美|女性に特化した「キャリア教育」を通じて凛々しく生きる女性を増やす

創業手帳woman
※このインタビュー内容は2022年04月に行われた取材時点のものです。

強く、たくましく、しなやかで賢い女性を育成し、女性が自分らしく社会で活躍できる環境を創る

女性に特化したキャリア教育を通じて、次世代の女性たちのNew Standardな生き方を応援していくLiLiの廣岡絵美さん。

特に、出産や育児などのライフイベントを迎える前の、学生や入社1〜3年の若手社員の女性に向けたキャリア設計のサポートを行っています。

女性ならではのキャリアの進め方や、女性が早い段階でキャリア設計を行う必要性について、創業手帳代表の大久保が聞きました。

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廣岡 絵美(ひろおか えみ)
LiLi株式会社 代表取締役
大手航空会社勤務後、大学新卒の女子学生のキャリア支援事業を行う。2014年に、LiLi株式会社を設立し、キャリア志向女性向け教育サービス「LiLi」を提供。「全国の女性が社会で活躍できる環境を創り出していく」ことを目標に事業を展開している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

キャリア教育で女性の可能性を最大限に引き上げるサポートを行う

大久保:LiLiのサービス/事業について教えてください。

廣岡女性の教育をアップデートするキャリア志向女性向け教育サービス「LiLi」を提供しているのが「LiLi株式会社」です。
自分らしく生きる凛々しい女性たちを教育するという意味を込めて「LiLi」と名付けました。
『強く、たくましく、しなやかに、賢い』、つまり自分の足でしっかりと立てる自立心とあらゆることを柔軟に乗り越えるしなやかさを持ち、先を考えて生きていけるような芯の強い、凛々しい女性を育成し、そんな女性たちとともに日本のこれからをつくっていきたいと考えています。

弊社は現在9期目の会社で、元々は新卒女子学生のキャリア支援事業を行っていましたが、コロナ禍をきっかけに教育事業に切り替え、現在は女性教育のアップデートを目指しています。
女性は専業主婦をするのが当たり前だった昭和から、大学に行き出産後も時短で働く女性が増えた平成を経て、令和の今、さらに活躍できる女性を増やすことを目指しています。
一般職思考(結婚したら仕事をやめるという考え)を持つ女性を、キャリア志向に教育していくことが、LiLiの一番の強みだと考えています。
大手企業への就職だけが正解ではなく、起業も含めて、女性たちの可能性を最大限に引き上げていくのが私たちの考え方です。

女性を取り巻く社会の変化として、「ライフイベント×働き方」に正解が見えない女性が増えています。例えば、「不妊治療×働き方」や「育児×働き方」など、専業主婦の方の場合には抱えていない新たな悩みが生まれて、その正解がわからない女性が増えているのです。

実際に、30〜60代の女性の平均年収は「300〜400万円未満」が一番多く、その次に多いのは「300万円未満」です。
今後は年収500万円以上の女性を増やすことが私たちの役割だと考えています。
具体的に行っているサービスとしましては、年収500万円以上を目指すキャリア志向女性向け教育サービス「LiLiキャリアアップスクール」の開発・提供を行っています。

このサービスには、大きく分けて3つの特徴があります。

①:経験シェアコミュニティー
女性でキャリアアップを目指す人たちはまだまだ少ないからこそ、お互いの経験を語り合い、共に応援し合える場となる、経験シェアコミュニティーを作っています。

②:キャリアアップ学習プログラム
既存のビジネススクールは男性向けに作られたサービスが多いため、女性に特化した内容でのコースを準備しています。
LiLiでは、社会で働いていく上で、確実に活きる経営などのビジネススタンスを教育しています。

③:専属メンターマッチング
1人でやると途中で挫折してしまう方もいるので、専属のメンターが伴走して、キャリア相談も定期的に行っています。

若手女性社員にキャリア教育が必要な理由

大久保:「LiLiキャリアアップスクール」のサービスのメインターゲット層はどの年代ですか?

廣岡:「LiLi」が設定しているペルソナとしては、20〜25歳の女性、つまり大学生または新卒入社3年目までの女性です。
20代後半ごろの出産などを転機に女性と男性の年収格差が生まれてしまっている現状があるため、女性は25歳くらいまでにキャリアを設計をする必要があると考えています。

そのため、法人顧客にも、女性の若手社員の意識改革の面でサポートさせて頂くことが多いです。
意識改革を起こした女性社員の多くが管理職を目指すようになるので、カリキュラムを受けている女性社員だけでなく、法人としてもメリットを感じて頂いています。

大久保:女性の意識改革とは、具体的にどのような考えの変化が見られますか?

廣岡:一般的に多くの女性は、自分の将来について考える際に、約5年先までの未来をイメージして生活している傾向が強いです。逆に10年目以降の未来について考えるのは、男性の方が得意な傾向があります。

そのため、「LiLi」では、同じ女性かつキャリアでも先を行く先輩が専属のメンターとなり、様々なライフイベントを考慮した上で、長期的なキャリア設計をする訓練をしています。 
キャリア設計をする際にも、「戦略」や「経営」などの男性的なイメージのある言葉ではなく、「PR」 や「広報」という女性にも親しみのある言葉を選んでいます。

「PRや広報」も「戦略や経営視点」がないとできないことですので、切り口を変えて、多くの女性が苦手意識を持たずに学べる工夫を織り交ぜています。

「時代の変化」と「女性の働き方の変化」

大久保:男性は本能的に家族を「養わなければならない」という意識があり、それがキャリアにおける向上心にも繋がっていると言われていますが、女性にもこのような考え方が必要になりますか?

廣岡:少し前の時代では、女性が「家族を養う」という意識を持つのは難しかったと思います。
しかし、シングルマザーが増えた現代においては、母親が子どもを養わなければならない状況も増えているため、女性も「家族を養うという意識」や「キャリアにおける向上心」を持つべきだと考えています。

大久保:年収1,000万円以上を目指す女性を増やすというよりも、年収400万円以下で働く女性を減らすというイメージでしょうか?

廣岡:どんな働き方をするかは個人の判断ですが、ただ年収400万円以下の働き方を続けるのはリスクだと気づける女性を増やしたいと思っています。
実際にコロナ禍の影響で解雇された人数は、男性が約36万人で、女性が約74万人という数値が出ており、解雇されたのは派遣社員や一般職などの年収400万円以下の職種が多く見られます。

女性のライフイベントとキャリアプランの両立のために

大久保:女性が社内で自分のポジションを確立するためには、どのような工夫をすべきでしょうか?

廣岡:実力で示すしかないと思っています。そのため、女性こそ若い時が勝負であり、出産などのライフイベントの前に実力をつけ、社内に自分の能力を認めさせることが必要だと考えています。

実際に私が見ている社会で活躍している女性たちの多くは、若い時に男性にも負けないくらいの実力をつけて、ライフイベント後にも活躍している傾向が強いです。

大久保:女性が組織の中で順調にキャリアを進めるには、どのような工夫が必要ですか?

廣岡:成果を上げることはもちろんですが、応援したいと思ってもらえる人間性が必要だと思います。
社内の多くの人から応援したいと思ってもらえる人であれば、産休育休の後でもスムーズに受け入れられます。
この人間性の部分についても、自分自身を振り返って考える必要性を伝えています。

女性のライフイベントの前にキャリア設計を行うことが重要

大久保:経営者は若手の女性社員にどのようなサポートをすべきでしょうか?

廣岡:現状、若手の社員教育としては、新入社員研修やビジネスマナー研修が中心に行われていることが多いですが、もっと「女性のためのキャリア教育」をして欲しいと思っています。
入社1年目の時点でキャリア教育をしないと、多くの女性が自分自身のキャリアプランよりも、ライフイベントを重視してしまい、2年目、3年目以降にキャリアプランとライフイベントの両立が困難になる可能性があります。
そのため、経営者の方々には、若手の女性社員へのキャリア教育の実施をおすすめしています。

大久保:キャリア設計に苦手意識を持っている女性が多い印象がありますが、実際に女性にキャリア教育を実施して、どのような変化がありましたか?

廣岡:一般的に女性は細かいことをコツコツと実行することが得意な方が多いため、自身のキャリア設計についても、決めてしまえばその通りに実行しようと努力できる方が多い傾向にあります。
だからこそ、キャリア設計を早い段階で考えることが大切なのです。
LiLiの受講を通して、早期のキャリア設計の大切さに気づき、自身のキャリアにポジティブに向き合えるようになった、挑戦してみたくなった、という声をいただいております。

女性に特化したキャリア教育を提供する「LiLiキャリアアップスクール」

大久保:「LiLi」のビジネスモデルについて教えて頂けますか?

廣岡:「LiLi」は、「キャリアスクール」と名付けていますが、実際には受講生とメンターのマッチングを行うサービスです。
女性としてのキャリア教育を受けたい学生や若手社員のスクール受講生と、今後管理職としてマネジメントスキルを身につけたいメンターをマッチングして、お互いに高め合う教育プログラムとなっています。

メンター側として参加している女性の多くは、企業のマネジメント研修の一環として参加しており、将来マネージャーとして活躍するために必要なスキルと経験を養える教育プログラムを、弊社から提供させて頂いています。
受講生側としても、色々な企業で現役で活躍している女性がメンターとなり、キャリア設計をサポートしてくれるので、よりリアルな相談もしやすい関係性が築ける仕組みとなっています。
今後は更にここにAIも導入しながら、より充実した教育プログラムにしていきたいと考えております。

大久保:多くの企業が女性の教育に苦戦しているのは何故だと思いますか?

廣岡:シンプルに男性を教育してきた経験が長く、女性を教育した経験が少ないからだと思います。
多くの企業で女性を教育することが難しいようで、実際に企業からの依頼が増えています。

大久保:LiLi株式会社も女性社員が多いと思いますが、大変なことなどあれば教えてください。

廣岡:弊社は社員数の9割が女性です。女性同士で働く環境ならではかもしれませんが、競争意識よりも調和を大切にする傾向があるので、自分が上の役職に上がろうという意識が生まれにくくなってしまいます。
そこで、弊社社内の女性社員にも、キャリア教育をしっかりと行うようにしています。
さらに、チームの雰囲気を重視していますので、人員配置には細心の注意を払っています。

女性のキャリア教育分野で起業した背景

大久保:起業した経緯を教えて頂けますか?

廣岡:元々いた航空会社の後は、専業主婦を2年間しまして、その後、個人事業主として女性の就活塾を約7年やっていました。

大久保:個人でやっていた就活塾からサービス規模を拡大した理由を教えて頂けますか?

廣岡:個人でできることに限界を感じたことが1番の理由です。
私が一人一人の女性に気づきを与える以上に、女性全体の変革を起こす必要があると感じ始めました。大きなムーブメントを起こすためには、資金を調達したり、IPOの領域に行くことが必要だと思い、大きく舵を切る決断をしました。

大久保:起業家に向けてのメッセージなどがあれば教えてください。

廣岡:私は最初から起業したいという思いがあったわけではなく、私自身がシングルマザーになって、女性の働き方に課題を感じて、起業したという背景です。
このような背景で起業をしたので、色々な場面で困ったり苦労しました。
困った時に助けてもらえる人や場所との繋がりを持っておくことが、起業家としての成長スピードを加速させると実感しているので、今後起業する方々には意識して頂きたい点です。

 冊子版創業手帳では、女性起業家のインタビュー記事を多数掲載しています。無料で配布していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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(取材協力: LiLi株式会社 代表取締役 廣岡 絵美
(編集: 創業手帳編集部)



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