LABOT 鶴田 浩之|日本初の“出世払い”を採用したプログラミングスクール

創業手帳人気インタビュー

誰もが平等にプログラミングを学べる機会を提供。社会的課題であるIT人材不足への解決へ


家庭環境や学歴、年収によらず、だれもが平等にプログラミングに挑戦できるサービスを提供するのがLABOTです。

日本初の出世払いを採用したプログラミングスクールの概要、エンジニアの現状、経営者に求められるスタンスまで、LABOT代表の鶴田氏に話を聞きました。

鶴田 浩之(つるた ひろゆき)
株式会社LABOT 代表取締役CEO
慶應義塾大学在学中に20歳で創業し、大学生向けアプリ「すごい時間割」を開発、2014年に事業売却。その後、ゲームエイトを設立し月間1億PVに成長させる。渋谷・道玄坂での書店プロデュースや、IPO前のメルカリに参画しグループ会社執行役員に就任してCtoCサービスを企画、開発、PMとしてプロデュースするなど、その活躍は多岐にわたる。10年後・20年後を見据えた教育事業を手掛けるため、LABOTを設立。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

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教育を舞台にインパクトのある事業を

大久保:起業の経緯とその理由を教えてください。

鶴田:思春期のころ、体が弱く不登校の時期がありました。その時に初めてプログラミングに出会ったのが、モノを作る人になるきっかけです。趣味のWebサイトを作ったり、Webサービスを作ったりするなかで、インターネットで事業ができると知りました。どちらかというと、最初からお金やビジネスという考えはなかったですね。「こういうものが世の中にあったらいいな」と、ユーザーの視点からサービスのアイデアを作り、結果的に事業になった形です。

2011年に、初めて大学の仲間と起業し、「株式会社Labit」を創業しました。当時作った「すごい時間割」という大学生向けのスケジュール管理サービスは、今でもリクルートキャリアで運営されています。

さらに2014年、「株式会社ゲームエイト」も設立しました。15ヵ月ほどで1億PVのメディアまで育てたあと、「Gunosy」に譲渡しています。その後「メルカリ」にも参画し、新規事業を担う子会社の役員として、2,000人規模のメガベンチャーでのIPO経験もできました。

今回のプログラミング教育事業の「株式会社LABOT」を設立した理由として、幼少期の教師への夢があります。また、思春期にプログラミングで人生が変わったのも1つですね。

これまでもいろいろ挑戦はしてきましたが、世の中の仕組みを変えられるほどインパクトのある事業は作れていなかったので、夢だった”教育”という大きなカテゴリーに、影響を与える挑戦がしたいと考えました。

プログラミングスクール「CODEGYM」では新たなビジネスモデルを採用

大久保:LABOTの事業内容である、プログラミングスクールについても教えて下さい。

鶴田:メルカリを退任したあと、旅をしながら、これからのことを考えました。そこで、ISAと呼ばれる、学費を将来の給料から支払う、教育のビジネスモデルがニュースで目に付いたのです。

私は、平等に学習機会がある社会を目指したいと考えていましたし、経済的な理由で何かを諦めるのは、非常に残念だと思っていました。出世払いになるISAは、まさに自分が共感する世界観に近いモデルだと思ったのです。

また、「たくさん人を輩出して、とにかく就職させればいい」というプログラミングスクールの在り方に疑問を感じていた部分もあり、ハイエンドのスクールを作りたいとも考えていました。そこで、ISAを採用したプログラミングスクール「CODEGYM」を設立しました。

ISAなら、学生とスクールがフェアな関係でいられます。スクールが本気をださなければ学生を良い会社に就職させる教育は提供できませんし、学生もエンジニアに転職するために、懸命に学びます。お互いが頑張る仕組みです。

大久保:どのような目標がありますか。

鶴田:これから500人、1000人と育てていきたいですね。私達がISAを採用したのは、経済的な事情を抱えていても、プログラミングに挑戦できるようにするためでした。しかし、受講生の半数以上は、経済的な理由でISAを選択したというより、ISAを採用しているCODEGYMのカルチャーやコンセプトに共感して入校くださっています。そこは意外なところでした。

大久保:就職先は人材紹介で主に決まるのですか。

鶴田:2022年春までのほぼすべてのケースでは、人材紹介は行っておらず、受講生の実力で複数企業からオファーがあり、採用されています。内定企業としては、上場企業であったり、年収が450~500万円相当の企業であったり。なのでCODEGYMは自身の実力で就職できるレベルの人を輩出できていることになりますね。

大久保:そう聞くと、企業目線ではなく、受講生と本気で向き合うスクールのイメージを抱きます。

鶴田:何より離職させないことが一番大切ですから。私達が無理矢理、ミスマッチをした会社を勧めるわけにはいきません。受講生に選択権がある状態が大事です。

大久保:受講生のなかには、プログラミング未経験の方もいらっしゃるのですか?

鶴田:未経験だった方がほとんどです。未経験でも、ただ機械的にコンピュータを動かせるようにするだけではありません。知識をしっかり教えたうえで、自分で考えて課題に取り組んでもらいます。本質的なコンピュータサイエンス(プログラミングに関する学問)に向き合っているスクールですね。

入校にあたって、論理的思考を見たり、適性検査を行ったりと、選考も行っています。私達は、受講生のキャリアチェンジの意気込みに投資するわけですから、選考のなかでは志望動機も非常によく見ています。

新卒学生向けのコースで大学生も支援


大久保:リモートで学ぶのですか。リモートなら、地域の活性化にも役立ちそうですね。

鶴田:リモートです。これまで、多くの都道府県から参加があります。地方のお客様が特に多いのは、「CODEGYM Academy」という新卒学生の部門ですね。転職と違い、新卒での就職では、スキルよりポテンシャルを見る傾向にあるので、カリキュラムも異なるように作っています。

新卒学生の部門では、昨年、スポンサー企業とクラウドファンディングを活用して、およそ3,000万円の予算でスクールを運営しました。「無料ではあるけれど、難しいカリキュラムや厳しい出席管理を行う」というコンセプトで募集したのです。1,000人がエントリーし600人程度が入校。卒業した人はおよそ180人ですね。毎週長時間学ばなければいけないのはかなり大変ですし、3回以上休んだ場合には退校していただくルールなので、厳しさはあります。

厳しい管理のなかで、最後まで残る学生の特徴は、やり抜く力を持っていることですね。また、オンラインでチーム開発もやりますので、コミュニケーション能力があることや、知識がしっかり身に付いていることも特徴です。

新卒学生部門の就職実績ですが、新卒なので、より難易度が高い企業や、外資系の企業に内定が出ています。文系のため、本来なら難しいはずの会社に、実力で就職できたケースもありますし、大学の偏差値で判断されがちな書類選考も、実力で戦えます。大学生のダブルスクールとして私達のスクールを選んでいただくことが最近増えていますね。

エンジニアの現状と課題

大久保:日本では、これからエンジニアが足りなくなりますからね。

鶴田およそ80万人足りなくなると言われています。80万人足りないわけですから、10年後の目標として、私達のスクールから毎年1万人ずつ輩出できる試みをしていきたいと思っています。

大久保:エンジニアの最初の年収は安いと感じます。スクールとしては、これから平均年収をあげていきたいところがあると思うのですが。

鶴田:日本では、ジュニアのエンジニアにたいするオファーが安すぎると思います。通常のプログラミングスクールを卒業した場合の平均年収は、280〜300万円です。手取りで、25万円あれば良い方と言われています。しかし、私達はその金額を最低水準と考え、高い年収を目指しています。

人手が足りないと言いつつ、年収が低くなってしまう理由は、エース級の人材が不足していることでしょうか。エンジニアになる人は足りているものの、優秀なエンジニアが足りない状況ですね。

プログラミングスクールの出身者は、どうしても就職先の選択肢が、企業で経験のある人に比べて少ない傾向にあります。業界全体として、プログラミングスクールでも優秀な人がいると啓蒙していきたいと思っています。

もちろん、採用する企業の気持ちもわからなくありません。3ヵ月程度勉強しただけでは、不安もあるでしょう。私達は、そのイメージを変えていけるチェンジメーカーになりたいと思っています。大学や専門学校に替わる、新たなエンジニアの輩出機関として、認知を広げていくのが目標です。

優秀な人の輩出を愚直に続けていけば、ブランドとして愛されるスクールになると思っています。そういう戦い方をしていかなければ疲弊してしまいますから。

最終的にはユーザー側に向くことで、企業の採用担当者や経営者に、CODEGYMの出身者を採用して良かったと思ってもらうことが、これからのBtoBの契約に繋がっていくと考えています。

プログラミングのスキルは経営者にも求められる

大久保:IT企業の経営者のなかには、エンジニアでない方もいらっしゃいます。その場合に、経営者としてのスタンスなど、何かアドバイスがあれば教えてください。

鶴田ITを武器に仕事をする場合、「100時間はプログラミングを学んだだろうか」と自分に問いましょうというところです。100時間程度勉強すれば、必要な判断材料を揃えたり、決断するための経営判断のスキルがつきます。エンジニアとコミュニケーションを取るためにも、プログラミングの素養をもつことは必要ですね。自身の最近の例でいうと、仕事には直接使わなくても、大きなトレンドであるブロックチェーンの技術について理解したいと思って勉強していました。

大久保:少しでも知識を身に付けておく必要があるということですね。

鶴田:そうですね。少し学べば、知的財産としての創作活動ができるまで、どの程度時間が必要かもわかります。

大久保:問題解決したいと考える人が、エンジニアには多い印象があります。会社に1人エンジニアがいれば、その思考が非常に力になりますね。

鶴田:実際にエンジニア出身の経営者は、業績を伸ばしていけると思いますし、これからの大きなトレンドにもなると思っています。エースのエンジニアが1人いれば、3人のエンジニアで行うより生産性が高いとも言われていますから、エンジニアが社内で育つ環境に投資することも、経営者として大事ではないでしょうか。

受講生のキャリアチェンジをリアルで見られるのがやりがい

大久保:仕事の楽しさは、プログラミングスクールに通うことで、家庭環境や地域に関わらず、受講生が高い収入を得られることでしょうか。

鶴田:これまで、アプリ開発を通じて画面の向こう側のユーザーは見てきましたが、リアルにお客様と対面し、そのお客様がキャリアチェンジしていく姿を見られるのがいいですね。1人の人生に関わる仕事をしてみて、画面の向こうの数千万のユーザーを見ていた世界とはまた違ったやりがいを感じています。

また、収入で言うと、生涯年収で良く考えていますが、正規雇用でしっかり出世すれば、フリーターの生涯年収に比べると1億〜1億5,000万円ほど、エンジニアの方が高くなります。1人に対して1億円変わるわけですから、仮に私達が1,000人エンジニアを輩出したら、トータルで1,000億円の生涯年収に替えられるわけです。継続して雇用環境や日本経済に与えていける影響を考えると、強いモチベーションになっていますね。

大久保:地方にいながら、高収入を得られる未来もあり得ますね。

鶴田:その人次第です。ただし、何も選択肢を持っていなかった人でも、「日本に住みながら、5年後にアメリカの企業で1,500万円の年収」も実現は可能だと思います。1年や2年は無理でも、5年後なら、具体的なキャリアとしてあり得るのではないでしょうか。

ISAでは、卒業後の年収から計算してお支払いいただくので、年収が上がれば、私達がいただく金額も高くなります。つまり考えなければならないのは、ただスクールを卒業させるのではなく、卒業後も伸びていく人材に育てることですね。

考える力がある人や、自分で問題解決できる人が、出世していくエンジニアです。また、技術的な挑戦が好きで、技術が好きだからこそ、解決するまで悔しくて頑張る人も出世すると考えています。そういった人が、私達のスクールで増えていると感じていますね。

大久保:最後に、これから起業する人にメッセージをお願いします。

鶴田経営者の方や起業家の方は、プログラミングを学ぶといいと思います。起業をする場合、必ずITツールを使うと思いますが、学べば便利なツールとして使えますから。

プログラミングは、敷居が低い学びだと思います。無料で良質な教材も転がっている世界なので、独学でも学べます。「プログラミングは難しそうだから…」とメンタルブロックせずに、積極的に学ばれるといいと思います。

プログラミングを学ぶことで、人に発注する必要も無くなり、ビジネスのコストも変わってきます。また、簡単なシステムを作って会社を回していくことも可能です。なのでプログラミングを学ぶといったことに挑戦していただけると良いのかなと感じています。

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(編集:創業手帳編集部)

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(取材協力: 株式会社LABOT 代表取締役CEO 鶴田 浩之
(編集: 創業手帳編集部)

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