Srush 樋口 海|「今日本でスタンダードになっている営業を変えていく」

創業手帳

これからの営業スタイルに新しい風を吹かせるSrushの話を聞きました

みなさんは「セールスエンゲージメントツール」をご存じでしょうか?近年ではCRMやSFAなど様々な営業に役立つツールが登場していますが、「セールスエンゲージメントツール」とは、顧客管理を目的とするツールのことです。

営業は数多くの競合他社に勝たないといけませんが、Srushを利用することで競合他社を意識しなくて良い、かけがえのない人間関係の構築ができます。

株式会社Srush代表の樋口海氏は、自分自身の営業経験と営業の在り方について探究を行い、二度目の起業にてセールスエンゲージメントツール「Srush」を生み出しています。

二度の起業や元営業経験者である樋口海氏は、どのような経験を経て起業をしたのか。

今後の活動と合わせて、創業手帳代表の大久保が起業エピソードを聞きました。

樋口海
株式会社Srush 代表取締役
早稲田大学教育学部卒。一橋大学大学院商学研究科を修了(MBA)。
NTTの法人営業部門にて大手自動車のグローバルインフラ事業に携わり全社表彰や最高評価を受賞。その後、シンガポールの日系製造業にて営業戦略を担当し、帰国後に製造業向け会計ソフトウェアを提供する会社を立上げる。10年の法人営業経験から「営業の在り方」や「営業の課題」を解決するため、人間関係の構築を大切にする株式会社Srushを2019年11月に創業。「一番に相談される信頼関係づくり」ができるセールスエンゲージメントツールを提供している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計150万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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営業担当者と顧客の関係性を数値化するセールスエンゲージメントツール「Srush」

Srushホームページより

大久保:まずエンゲージメントツール「Srush」について教えて頂いてもよろしいでしょうか。

樋口:まず、セールスエンゲージメントツールというのは「顧客管理」が目的のサービスです。

似たツールで、セールスフォースを代表とする有名なSFA/CRMなどがありますが、セールスフォースは「案件管理」を目的としたツールで、Srushは「顧客との信頼関係」の構築を目指しているので、そもそもの目的が違います。

日本ではまだ普及していませんが、海外ではセールスフォースとセールスエンゲージメントツールをセットで使っている会社が多いです。

「Srush」では、営業が顧客との信頼関係を構築し、いつでも受注ができる良好な関係をつくる、ということを目標としたツールとなっています。

具体的には、アポイントの日程調整を自動化して無駄を省いたり、ZOOM会議を自動で設定したりと、細かな作業を代わりに行ってくれます

今の営業の方は、こうしたひと手間かかる雑務が多すぎて、営業本来の仕事をする時間がないというケースも多いんです。

こうしたかゆいところに手が届くような機能があると、余った時間で顧客に提案する内容をより深めたり、実施した施策の効果検証をしたりなど、行える業務が広がります。

また、顧客の温度感をグラフなどで可視化することができる「エンゲージメントスコア」という機能がついていて、「今回はこの顧客に連絡を取ろう」「今はこの顧客には提案しても難しいな」ということがわかります。

提案の無駄をなくすことができ、必要なところに必要な時間を割くことが可能になるんです。

大久保:なぜ日本ではセールスエンゲージメントが普及していないと思いますか?

樋口:海外でセールスエンゲージメントツールが普及している理由は、日本と比べて物理的に距離が離れているところにあると思います。

例えば、アメリカではワシントンやニューヨークなど、離れた場所での取引や連絡を行っているので、いかに効率的に顧客との関係を可視化し、築いていくかが重要となっています。

一方、日本は海外とは違って、企業は東京などの都市部に密集しています。

取引先にすぐに直接出向くことができるため、ツールでの「顧客管理」を行う文化がありませんでした。

しかし今回日本でも、新型コロナウイルスの影響で顧客の顔が見られなくなったことで、顧客関係の可視化ができるセールスエンゲージメントツールが注目を集めています。

新ビジネスを開拓していくチャレンジ起業としてのモチベーション

Srushホームページより

大久保:日本ではまだ普及していない事業の開拓ということで、最初は不安だったと思いますが、なぜ新しいビジネスを開拓していこうと思ったんですか?

樋口セールスエンゲージメントツールこそ、日本人の肌感に合っていると思ったところが、チャレンジをしようと思った大きな理由です。

日本人の顧客の傾向として、「最初から最後まで同じ営業マンに対応してほしい」というものがあります。

そのため日本では現状、営業マンが顧客とのかかわりの中で感じた「個人的な肌感」で顧客との関係性を築いている状態です。

昔ながらのこの方法だと、担当していた社員が退職したりしてしまった際、別の社員では受注がとれなくなったりするという弊害がありました。

セールスエンゲージメントツールでは「顧客の温度感」を可視化してくれるため、顧客に対しどのような対応を取ればいいのかが、第三者でもわかりやすいようになっています。

そうすることで、属人化せずに、いつでも営業をかけることができるようになります。

大久保:日本では昔からの付き合いということで継続して取引をしている会社も多いですよね。そうした会社にも、Srushを導入することで科学的に営業ができるようになると聞きました。

樋口:そうですね。日本人は昔から人と人との関係性を大切にする営業を行ってきていると思います。

ベテラン営業マンは営業力もあるとは思いますが、顧客との温度差を上手につかみ、良好な関係を築くことで受注・成約率を高めていることが多かったかと思います。

そうした、今まで感覚でしか測れなかったものを科学的に分析することができるのが、Srushの強みです。

しっかりとした人間関係を構築できると、こちらから営業をしなくても、信頼感を持って相手から自然と案件を振ってきてくれます。

まだ自社でも改善の余地がたくさんありますが、より顧客に喜んでもらい、良好な人間関係が築けるようにサービスの開発などを行っていきます。

将来的には、顧客の情報をメールなどから自動的に読み込んだり、顧客が出したプレスリリースやIR情報を自動で、Srushの中に「ホットトピック」として表示させられるようなシステム開発を行い、顧客のことをしっかり把握している営業マンになれるツール、を目指していきたいと思っています。

大久保:セールスエンゲージメントツールはどのような企業の利用がおすすめですか?

樋口:そうですね。新規の営業をするというよりは、既存の顧客との関係性を高めていくのに向いているツールなので、ルート営業に特におすすめです。

セールスエンゲージメントツールには、即効性はありませんが、データを回数を重ねて蓄積することでより精度の高いシステムになり、より顧客のことを理解したアプローチができるツールになります。

これは営業の醍醐味だと思うのですが、営業の最後のアプローチは、結局人間同士の関係性がモノをいうと考えています。

Srushは、人間関係の可視化を行い、顧客との良好な関係を築くサポートをしてくれます。そして、「最後のアプローチまでの歩き方」を提案してくれるツールだと考えていただくとわかりやすいです。

顧客との関係性を意識して行動をすることで、自然と案件がやってくるようなシステム作りを目指していますので、どの企業にもおすすめです。

大久保:他の企業のSFA/CRM等のシステム・ツールとの違いはどこにありますか?

樋口:やはり顧客の温度感の可視化や人間関係のスコアリングが出来る点です。

ただ、一点だけ気を付けていただきたいのは、このツールを「売上げを目標に使ってほしくない」という点です。

エンゲージメントスコアを見ることにより、売上げにもつながる行動がとれますが、顧客からするとこちらの会社の利益は、正直関係ありません。

エンゲージメントを重視することによって、顧客とのWin-Winな関係づくりをすることができると考えているので、売上という狭義な目的に収まらない活用ができると考えています。

また、「顧客に合わせた対応を行う」というベテラン営業マンが肌感で行っていたテクニックを、Srushのエンゲージメントツールを通してデータを蓄積することで可視化でき、まだ働いて間もない営業マンでも顧客・温度差に合わせた行動が可能になるというのも、強みかなと思います。

「顧客との関係性」が売上げに直結するという実感から、2度目の起業を決意

大久保:これからの時代にも合っているすごく良い観点での起業だと思います。樋口様は二度目の起業とうかがっているのですが、一度目の起業をした後に辞めたのはなぜですか?

樋口:一度目は製造業向けのソフトウェアを作る会社をCOOとして共同で立ち上げたのですが、営業としての在り方に疑問を感じたため事業から離れました。

私自身、もともとNTTコミュニケーションズという大手企業にいて、その後シンガポールに渡り、営業経験を積み上げてから、一度目の起業をしました。

製造業に携わっていた経験からも、一度目の起業は自身に合うと思っていたのですが、実際にやってみると、以前勤めていた会社と同じ、売上を目標とする営業スタイルで営業を行っていることに気づき、営業の在り方について考える時間が増えました

このときに、「今日本でスタンダードになっている営業を変えていく」ことに価値があるのではないか、社会貢献が出来るのではないかという強い気持ちが湧いたので、二度目の資金調達が終わった段階で私は辞めました。

自分が今まで営業をしてきた中で、一番売上げが良かったのが「お客さんとの信頼関係が最大値に到達した段階」で、自分から営業をかけなくても自然と顧客から相談があって受注につながるという流れでした。

そこで、「売上げを取ること」が営業の仕事ではなく、「顧客との関係性を気づき、いつでも受注してもらえるような状態にすること」こそが営業のやるべきことなんだと気づき、二度目の起業に至りました。

「顧客との信頼関係」に営業の楽しさ、そして重要性があると強く実感したのも、二度目の起業を決意したきっかけです。

大久保:そうなんですね。二度目の起業に対する背中を後押したポイントはどこだったのですか?

樋口:自分が追い求める関係、そしてシステムを作りたかった気持ちですね。

色々調べてみたところ、セールスフォースでもまだやっていないような内容でした。試行錯誤の繰り返しで開発できたのが、今のセールスエンゲージメントツール「Srush」です。

また、私は本来営業とはとても楽しいものだと考えています。世の中の営業のイメージって、炎天下に汗だくのスーツで取引先に行く、だったり、毎月のノルマが厳しくて大変、というような古いイメージがありますが、本当はもっと楽しくて、スマートなものなんです。

そういうところも、Srushで認知を変えていけたらな、と思っています。

大久保:二度目の起業は一度目の起業と比べてどのように違いますか?

樋口二度目の起業の方がやはり楽ですね。

一度目と比べて苦労するタイミングや場所がわかっているので、地雷を踏む可能性が低いです。

さらに補助金の活用の仕方や融資でつまずくポイント、人事の大切さなどを知っているのでそこで苦労することはなかったですね。

一度目と二度目の成功率は正直変わらないと思います。成功するかどうかはタイミングもありますので。

ただ、成功率は関係なかったとしても二度目の起業では一度目の経験があるので失敗率は大きく減らせると思います。

一度目の起業で失敗の経験がある人でも、二度目の起業では成功するというケースも多いので、一度事業を失敗した経験があってもあまり気にしなくて良いのではないでしょうか。

大久保:起業を考えている人にメッセージをお願いします。

樋口:二度の起業をしたからこそわかることなのですが、起業を考えている場合はしっかりと周りの起業家の話を聞くというのがおすすめです。

起業した人の話を聞くことによって失敗率を下げることはできます。

できれば起業をする相談相手には、直近2~3年の間で資金調達をして成功をしている起業家がおすすめです。

やはり資金調達環境は年々変わっており、直近で成功している人だと資金調達のポイントなどを現状と照らし合わせながら聞くことができます。

どうしても周りの人で聞く人がいないという場合は私でも良いので、ぜひ聞いてください。

大久保:具体的で、大変ためになるアドバイスをありがとうございます。まだまだ日本では発達段階の「セールスエンゲージメント市場」ですが、これからの「Srush」が日本の営業をどう変えていくのか、期待しています!

創業手帳の冊子版では、起業家向けに役立つ最新のノウハウを提供しています。無料で配布しておりますので、Web版と併せてご活用ください。
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(取材協力: 株式会社Srush 代表取締役 樋口海
(編集: 創業手帳編集部)

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