起業のメリット・デメリットとは?個人事業主か会社設立かによって違いがある!

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起業のメリット・デメリットを比較して後悔のない選択をしよう


起業することで得られる良さや大変さなどは様々ですが、起業方法によっても異なります。
起業におけるメリット・デメリットだけでなく起業形態ごとの特徴を理解しておくと、後悔することなく円滑な経営につながるでしょう。

今回は、起業するメリット・デメリットを踏まえ、個人事業主と会社設立それぞれの特徴をご紹介します。
比較しながらメリット・デメリットをまとめているので、起業方法について検討中の方はぜひ参考にしてください。

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普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!

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起業するメリット


会社員と起業家では、働き方や収入の仕組みなどが異なります。まずは、起業によって得られるメリットについてご紹介します。

自分の自由にやりたいことができる

起業すると、自らが選択した事業に専念できます。
サラリーマンであってもある程度選択の自由度はありますが、起業すると就労時間や休日など細かい部分も自由に設定することが可能です。
好きな時に休みを取ることができ、働く場所まで自由に決められます。

また、人間関係の煩わしさからも解放されます。会社に所属していると、他者との関わり方に悩んだり苦手な相手とチームを組まされたりするかもしれません。
しかし、起業すれば相性の悪い上司や部下などに振り回されず、信頼できる仲間と働けます。

会社員より高い収入を得られる可能性がある

起業が成功すれば、会社員として働いていた時よりも高い収入を得らえる可能性があります。
どんなに頑張って働いていても昇給しない、給料が上がらないと悩む会社員は多いですが、起業すれば利益を出した分だけ自分の収入がアップします。

起業家の収入に上限はありません。会社員の給与は基本給がベースとなっているため、会社自体の業績が伸びても従業員の収入はそこまで上がらないこともあります。
しかし、起業となれば利益の伸び次第では何倍、何十倍もの収入にもなり得ます。

税金の優遇や節税ができる可能性がある

税金優遇が受けられる点も起業のメリットになります。例えば、青色申告がそれに該当します。
確定申告前に青色申告の承認申請書を提供すると、当期赤字分を翌期に繰り越しが可能です。

また、青色申告特別控除も受けられます。控除とは所得から差し引ける金額のことを言い、控除により課税対象の所得額を減らせるため節税効果が期待できます。
単式簿記による記帳の場合は10万円、複式簿記だと最大で65万円を差し引くことが可能になります。

定年がなく働き続けられる

起業家には定年がありません。会社員の場合は、就業規定で就労可能な年齢が定められており、基本的にはその年齢で定年となります。
少子高齢化が進む現代において定年の年齢は伸びていますが生涯現役とは言えず、嘱託として雇用されるケースだと収入は以前よりも下がってしまいます。

一方、起業すればそのような制度は適用されなくなり、好きなだけ働けます。
また、退職金や年功序列制度もないため早期リタイアもしやすく、働く期間を自由に決めたい方にとって大きなメリットだと言えるでしょう。

起業するデメリット


起業には魅力的なメリットが多いですが、その一方で会社員にはないデメリットも存在します。自分にとってメリット・デメリットのどちらが大きいかを検討してみてください。

すべて自己責任になる

会社経営における責任はすべて起業した本人が負うことになります。自由に決断できる自由さはありますが、時には重大な決断を迫られることもあり、その決断が事業の存続に大きく関わってくる場合もあります。

責任を負う必要がある点に大きなストレスや負担を感じる方は多く、実際に起業家の中には心理的疾患を抱えてしまう方も少なくありません。
また、同じ目線に立って相談できる相手がおらず、時には孤独を感じることもあるようです。

収入が得られるとは限らない

起業によって高収入を得られる可能性はありますが、利益が出なければ収入は会社員以下もしくはゼロになることもあります。
起業するには、会社員時代の安定した給与や労働環境をすべて手放さなくてはなりません。
起業後すぐにビジネスが軌道に乗るケースもありますが、多くの場合は経営が安定するまで相当な努力が必要になります。
順調に行くまで収入が激減する可能性は高く、その間生活していくための貯蓄を準備しておく必要があります。

税金関連の手続きを自分で行う必要がある

税金対策や手続きを自分で行う必要がある点もデメリットのひとつです。
会社に所属していると人事部や総務部に税金関連の手続きを任せられますが、起業するとなるとそれらの作業を自分でしなければなりません。

また、医療保険制度や年金制度などの社会保険の手続きも自身で行います。
企業形態や従業員の有無などによって手続き方法は異なるため、慣れるまでは書類に不備が発生したり時間を要したりするなど、大きな負担になります。

社会的信用力を築く必要がある

起業後は自分で一から社会的信用を築き上げる必要があります。
会社員の場合は、企業の知名度や過去の実績、上司の人脈などを活用できますが、新たに設立した会社や個人事業主にはそのような強みはありません。
自らの力で信頼を勝ち取り、事業を成功へと導いていく必要があります。

また、会社員に比べてクレジットカードやローンなどの審査が通りにくくなる点もデメリットです。求められる提出書類が増えるケースや申請が通らないこともあります。

個人か?法人か?起業する形態方法によりメリット・デメリットに違いがある


起業には「会社設立」と「個人事業の設立」の2つがあります。会社設立とは法務局で設立登記を行う方法で、株式会社もしくは合同会社として起業するケースが多いです。
個人事業の設立とは税務署に開業届を出して個人事業主となる方法のことで、それぞれでメリット・デメリットが異なります。

個人事業主として起業するメリット

まずは個人事業主として起業するとどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

開業手続きが比較的簡単にできる

法人の設立に比べて、個人事業主になるための開業手続きは比較的簡単です。
提出書類が少ないため、起業が初めての方でもインターネットで調べながら記入することも可能です。
その一方で、法人設立には多くの書類を提出する必要があり、無事に受理されるまでには約1カ月かかるケースもあります。

また、個人事業主なら法的な費用もかからず、国税電子申告・納税システムのe-Taxを使えば自宅での手続きもできます。
手軽に起業したい、まずは試しで事業をはじめたい方におすすめの開業方法です。

税金の申告も比較的簡単にできる

税金申告が簡単な点も、個人事業主として起業するメリットです。
起業後には税金に関する申告書の提出が必要ですが、法人設立の場合は計算方法が複雑のため税理士へ依頼するケースがほとんどです。

個人事業主の場合は計算方法が比較的単純であるため、経理や確定申告の知識がない方でも専用ソフトを使用して自身で作成・提出ができます
個人事業主であっても税金申告を税理士へ依頼するケースはありますが、その場合でも依頼費用を安く済ませられます。

働く場所を自分で決められる

個人事業主での起業なら働く場所を自由に決められます。
個人事業主であっても、店舗や作業場などを構える必要があれば仕事の際にはその場所へ出勤しなければなりませんが、場所は自由に選べます。

また、インターネットで仕事を受注するWebライターやWebデザイナー、エンジニアなどはパソコンとインターネット環境があればどこでも働けます。
旅行しながらも仕事ができるので、働く場所を制限されたくない方におすすめです。

収入によっては税負担が少ない

個人事業主が納める所得税は、所得額に応じて税率が定められている「累進課税」のため、収入が少ない期間は税負担が軽くなります。
所得税は年間所得が195万円未満だと税率5%、330万円未満は税率10%になります。

その一方で法人税は収入額によって税率が変化せず、一律で23.3%です。
収入が少ない間は個人事業主のほうが税負担は少ないため、軌道に乗るまで法人化を待ち、利益が増えたタイミングで変更を検討する方も多くなっています。

個人事業主として起業するデメリット

個人事業主としての起業にはデメリットも存在します。法人設立のほうが有利に働く要素もあるため、どちらが向いているかを検討してみてください。

社会的信用力が低い

起業するデメリットとして社会的信用力が低い点をご紹介しましたが、法人設立よりも個人事業主のほうがより信用度が低くなる傾向にあります。
なぜなら、法人とは違って登記しておらず、開業や運営が簡単なためです。

会社によっては個人との契約を見合わせる場合もあり、個人事業主というだけで不利になるケースもあります。
後ろ盾してくれる味方や法人という強みがないため、新規契約がなかなか取れずに事業がうまくいかない可能性も考えられます。

収入が多くなると税負担も多くなる

累進課税の所得税は、所得が多いほど税額は高くなります。収入次第では法人税よりも負担が大きく、同じ収入であっても個人事業主の税金のほうが高いケースもあります。
目安として収入が700万円以上になると個人事業主のほうが税負担は大きくなるため、そのタイミングで法人化を検討する方も多いです。

また、業種によっては個人事業税の支払いも必要です。自身の業種が該当するのか、税率はどの程度なのかわからない場合には、所轄の税務署に問い合わせてみてください。

資金調達の手段に限りがある

個人事業主は、資金調達が難しくなる傾向にあります。
資金調達の方法として日本政策金融公庫・銀行などの融資や国の補助金・助成金などがありますが、運転資金の審査は厳しいために通過しにくいと言われています。

その理由のひとつが、事業資金と個人資金が曖昧になりやすいことです。
金融機関の審査を通過するためには事業用と個人用の預金口座をそれぞれ開設し、金額を明確にすることが重要です。

人材採用で不利になりやすい

個人事業の人材採用は、法人に比べると不利になりやすいです。
個人事業は組織規模が小さいイメージを持たれやすいため、大企業の安定感やブランド力を求める求職者から人気はありません。

そのため、求人募集をしてもなかなか人員募集ができず、慢性的に人手不足に悩まされるケースが多くなっています。
個人事業で人材を集めるためには働きやすさや安定感などをアピールし、福利厚生を充実させるなどの対策が必要があります。

会社を設立するメリット

会社の設立には個人事業主とは違うメリットがあります。ここからは、どのようなメリットが得られるのか解説します。

社会的信用力が増す

個人事業主よりも法人のほうが信用度は高いです。
法人を設立するためには代表者名や所在地、資本金額などをまとめた各種書類を法務局へと提出して登記する必要があるため、高い信用度を得られます。

また、会社の中には取引先を法人のみに限定しているケースも多く、新規取引先の確保がしやすくなる点もメリットです。
名刺やホームページなどに株式会社と記載があるだけで印象がアップし、取引先や売上の増加につながりやすくなります。

収入によっては節税効果が期待できる

会社の設立による起業の場合は、収入が多ければ節税も可能です。
個人事業主が支払う所得税は収入が多いほど税率は上がりますが、会社が負担する法人税は基本的に一定です。
収入が800万円以下、もしくはそれ以上かで税率は変わりますが、最も高くても23%ほどになります。

その一方で、所得税率は課税所得が900万円以上になると33%、最高で45%にもなります。
同じ金額を稼いでも税率が少ないため、個人事業主よりも負担を抑えやすいでしょう。

資金調達の手段に幅ができる

金融機関などからの融資を受けやすく、様々な資金調達の手段を活用できるメリットもあります。
資金管理が徹底されている会社が多いため、金融機関からしてもどれほどの資金を保有しているかがわかりやすく、融資の可否判断も容易です。
個人事業主がまったく融資を受けられないわけではありませんが、資金管理がきちんとされている会社のほうが有利に働きやすいと言えます。

また、株式会社の場合は出資という形で融資以外の方法をとることもできます。

人材確保がしやすくなる

会社として起業するメリットとして、人材確保が容易になることもあります。
少子化により人材確保に悩む会社は多く、以前とは違って求職者が会社を決める時代だと言われています。

どのような会社でもよいから働きたいと考える若者は少なく、安定した給与や労働環境、充実した待遇を求める方は多いです。
そのため、会社として法人化すると求職者からよい印象を受けやすく、特に安定感を求める層からの人気は高い傾向にあります。

家族への事業承継がスムーズにできる

会社の場合、家族への事業継承をスムーズに行うことが可能です。役員を交代するだけで継承できるので、事業を長期的に続けたい際に強いメリットとなります。

個人事業主の場合は事業主の死亡による相続が発生した際、個人名義の口座であれば相続手続きが完了するまで凍結されてしまい、事業継承がスムーズに行えないこともあります。
しかし、法人であれば凍結されず、代表者を変更するだけでこれまでどおりの事業を進めることが可能なほか、相続税もかかりません。

会社を設立するデメリット

続いては、会社の設立により発生するデメリットをご紹介します。個人事業主と比較して、どのようなマイナス点があるのかを見ていきましょう。

開業手続きが複雑になる

会社を設立するためには、複雑な開業手続きを済ませなければなりません。
個人事業主であれば基本的に開業届のみで起業できますが、法人の場合は法人登記や定款の作成などが必要になるため最短でも2週間前後は時間を要します。

また、登記代や定款認証料などの支払いが必要な点もデメリットです。
株式会社だと約24万円、合同会社だと約10万円の費用がかかりますが、個人事業主はそのような費用は一切かかりません。

事務手続きの負担が大きい

会社の運営には必要な手続きが多く、確定申告も複雑です。
貸借対照表や損益計算書などの決算書類や役員の改選などやるべきことが多く、その手続きのためには一定の費用や時間が必要になります。

また、厳密な会計ルールに沿った会計処理も求められます。特に法人税などの税金申告は複雑になるため、税理士への依頼が一般的です。
このように個人事業主と比べると事務負担が大きく、担当者を採用したり、経営者本人が専門知識を身に付けたりしなければなりません。

社会保険に加入する義務がある

会社は従業員数にかかわらず、社会保険に加入させる必要があります。
会社が加入する健康保険・厚生年金の保険料は、個人事業主が支払う国民健康保険・国民年金よりも高額です。
また、保険料については会社と従業員が折半して支払うため、従業員数が多いほど会社側の負担も大きくなります。

しかし、従業員が少なくても負担額が多いケースもあり、特に従業員数が4人以下の会社だと、個人事業主として経営するよりも人件費が大きくなりやすい点には要注意です。

まとめ

起業は自由度が高く、場合によっては会社員ではもらえないような高収入を獲得できる可能性もあり、生涯現役で活躍することも可能です。
起業形態によってもメリット・デメリットは異なるため、どちらが自分に合った起業方法なのかをきちんと検討した上で、手続きを行ってください。

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(編集:創業手帳編集部)

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