「成功を前提としない事業立ち上げ」で独立! 加藤夏裕氏インタビュー(前編)

創業手帳

創業手帳大久保が、朝♪クラ~Asa-Kura~の代表・加藤夏裕氏の起業エピソードを聞きました

(2019/04/25更新)

KATO MUSIC & CREATIVE ENTERTAINMENT 株式会社の代表取締役・加藤夏裕氏は、出版社や広告代理店など、日本を代表する会社でのキャリアを経て、クラシック音楽を軸にしたコミュニティプラットフォーム「朝♪クラ~Asa-Kura~(以下、朝♪クラ)」やインフルエンサーPRサービス「nanka(なんか)」などのサービスを立ち上げました。

副業やフリーランスといった協力者の力や、大企業やスポンサーの力を借りて数々の事業を展開してきた加藤氏。創業手帳代表の大久保が、スポンサーや他社の協力を得るサービスづくりのポイントや、会社員から独立する上で考えるべき点について話を聞きました。

加藤 夏裕(かとう なつひろ)
KATO MUSIC & CREATIVE ENTERTAINMENT代表取締役。大学卒業後、リクルートや大手広告会社などの企業での勤務を通じてマーケティング・広告・広報・SPなど幅広い業務を経験。前職在籍時には、社内で新規事業を立ち上げ、責任者としてサービスを運営。昨年12月に独立し、「KATO MUSIC & CREATIVE ENTERTAINMENT 株式会社」を設立。現在、エンタメ系の4つのサービスラインを運営しながら事業を展開している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

クラッシックを通じて、日本を豊かな社会にしていきたい

加藤氏のキャリア
年齢 内容 エピソード
24 大手出版社 社内表彰を2度受賞
27 同上 領域リーダーを担当・新規プロジェクトの立案~運営を経験
30 大手広告代理店 大手通信会社をクライアントにAE(法人営業)を担当
32 大手小売代理店 社内表彰を2度受賞(2年連続)
33 同上 週末や休日を中心に副業を開始
35 同上 社内の新規事業としてインフルエンサーPRサービス「nanka」を立ち上げる
37 起業 会社員一筋の人生から一念発起して、起業
大久保:朝♪クラ 面白いですね。個人的にこういうサービスがあったら良いなと思っていました。サービスを立ち上げた想いを教えてください

加藤朝♪クラは、私がこれまで複数手がけてきたブランドの中で一番最初に立ち上げたサービスで、とても思い入れがあります。

自分はクラシック音楽を好きなんですが、日本では、ヨーロッパみたいにクラッシックが生活に根付いていません。だから、クラッシックそのものを楽しむだけでなく、ライフスタイルとしてより身近にし、その優雅でスケールの大きな世界観ごと伝えたいと思いました。朝♪クラを通じて、クラッシックで日本を豊かな社会にしていきたいという強い思いがあります。

音楽プラットフォームとして、2014年から運用をスタートした朝♪クラの公式YouTubeアカウントでは、これまでに約1,000曲分の映像を公開し、総再生回数180万回を記録するなど、着実にユーザーが集まりつつあります。

大久保:どのようなビジョンで運営しているのでしょうか

加藤:朝♪クラが、演奏家やメーカーや音楽事務所や音楽教室をはじめとして、クラシック音楽に関わるさまざまな音楽を愛する、支援する方の集うプラットフォームになれば良いなと思います

例えば、音楽家が演奏会などのイベントを行うにあたって、主催者には大変な人的負担がかかります。イベントを成功させるには、演奏会の企画・運営だけでなく、イベントや音楽家の撮影・映像制作、その映像を今度はWEBで公開するなど、制作の仕事も必要です。
そして、実際に演奏会を実現したりWEBにコンテンツをアップしたとしても、メディアに知ってもらえるかどうかで、世間的な認知度は変わってきますよね。PRのことも考えなければいけません。

朝♪クラでは、演奏会の企画・運営、メディアに対する広報支援も行っています。つまりこの事業は、音楽と音楽を支える人たちに必要なサービスを提供しているのです。音楽家や音楽を愛する方にとっての、手が届かない部分に対する支援、と言えるかもしれませんね

ビジネスとしては、多くの大手企業に多く協力、スポンサーについて頂きました。

スポンサー探しに必要な3つの要素は…

大久保:大手企業との取引やスポンサーも多いんですね。特に、大手に事業の協力をしてもらうコツはなんでしょう?

加藤:大企業と仕事をするにあたって、私は以下の3つの要素が大事だと考えています。

大企業と仕事をするコツ
1位 自社のサービスに「大義名分」があること
2位 全方向良し、のWinWinなコミュニケーション
3位 プレゼンにおける本気度と熱意

加藤:スポンサーを探す方法としては営業が思い浮かびますが、その前に、まずブランドコンセプトをしっかりと構築することが大事です。サービスを運営していく上での大義名分ですね。そして、ブランドコンセプトを上手に発信することも重要になってきます。

例えば朝♪クラでは、“クラシック音楽を日本に文化として浸透・定着させる”というコンセプトを掲げました。ブランドを立ち上げる上で、企業との関係作りによる「ブランドリフト」、つまりブランドの価値をいかに引き上げるか、を意識してPRしました。

結果として同じ想いを持っていたたくさんの大手企業に共感していただき、うまく巻き込んでいくことができました。
私がブランドリフトにフォーカスしているのは、立ち上げてまだ日の浅いスタートアップ企業などではなかなか固めることが難しい一方で、非常に重要な「企業の信用力の向上」に直結する要素だと考えるからです。

ポイント

事業に大企業をも動かす「大義名分」はあるか?

サービス作りの最初は、スモールスタートから

大久保:サービスの立ち上げはパワーもかかるし、大変ですよね。ご自身では、立ち上げにあたっていちばん大切なことはなんだと思いますか?

加藤:「成功を前提に考えないこと」だと思います。

成功を考えない、というと不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

でも、これから立ち上げるサービスに100%のパワーをかけると、万が一失敗したときには資金が尽きて、不本意ながら事業をたたまざるを得なくなる。これが起業であれば、失敗したら会社員に逆戻り、ということにもなりかねません。

最初はスモールスタートを心掛けましょう。トライアンドエラーをある程度繰り返してみる。これが大事です。

事業が軌道に乗らなければ、サービスの継続を断念するといった決断もしなければならないでしょう。新規サービスの立ち上げは、まず攻めが第一であることには間違いありませんが、一方で上手くいかない、経営リスクも背負うわけです。そのため素早い変化が必要です。

ポイント

上手くいくことを前提に考えない。
トライアンドエラーが大事。

大久保:加藤さんは大企業での業務を経てからの起業しましたよね。サラリーマンと経営者、やってみないと分からなかった違いもあると思います。今実感していることは何でしょう?

加藤:企業に所属しているとなかなか気付くことができないのが、総務や経理などさまざまな業務的サポートはもちろん、保険料や税金の納付などに至るまで肩代わりしてやってもらっていたということですね。

起業後は、本業に着手しながらこれらのことをすべて一人でこなさなきゃならない。やはり大変なことだ、と思ったのが実感です。

同時に、たくさんのやるべきことが降りかかってくる中で、これまでよりはるかに意識が高まったのが自分自身の健康管理ですね。

会社員時代は、体調が悪くなれば有給を使って治療や休養をすればその間は他の社員が自分の業務を肩代わりしてくれ、業務が滞ることもなく給与も保証されて復帰できます。スタートアップではそうもいきません。創業当初に体調を崩すようなことがあれば、経営に大きな影響を及ぼし、業績低迷や廃業のリスクを高めてしまいます。起業後はまず健康第一、ですね。

ポイント

バックヤードが意外に大事!
起業家は健康第一

大久保:確かに起業は健康第一ですね。他に読者の起業家のために、起業する前後にやっておいた方が良いと思うこと、伝えたいことは何でしょう?

加藤:そうですね、まずは信用を獲得する、ということが圧倒的に大事です。
信用がなければ顧客はつかめません。そのためには相手のニーズを捕まえてそれを満たす、という考え方が必要です。そして今所属している会社で作れるネットワークも大事です。あとは決断力を磨くことですね。

加藤氏のすすめる、起業前後にやったほうが良いこと
1位 「信用の獲得」(対顧客)
顧客からの信用を獲得するために、事前に相手のニーズを捉えておき、それを一つ一つ叶える(個人やブランドに対しての信用はお金に直結する)
2位 「人脈の獲得」(対社内)
自社の事業運営に必要な人的ネットワークを構築する
(自分一人でできることは、ごくごく限られている)
3位 「決断力を磨く」(対自身)
起業前から副業などで実際に決断するための練習をする
(起業とは決断の連続であるという経験則から)
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(編集:創業手帳編集部)

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