ネットオン 木嶋諭 | 「採用係長」誕生までの道のりと採用応募を増やすコツ

創業手帳人気インタビュー

今すぐできる、採用のミスマッチを防ぐ方法を2つ伝授


2016年の経済センサス活動調査によると、日本において中小企業は企業数全体の99.7%、従業員数で68.8%を占めるとされています。日本の経済は、中小企業が支えていると言っても過言ではありません。そんな中小企業が抱える課題に「人材不足」があります。

中小企業庁の調査によると、2009年をピークに2013年末以降、すべての業種において人手不足が深刻化しています。

さらに2021年の調査では、前年と比べて人材不足を経営上の不安要素に挙げる中小企業が増えています。これには、新型コロナウイルスの感染拡大も影響しているようです。

採用支援ツールの運営や採用Webマーケティング事業を行っているネットオン代表取締役の木嶋氏に、中小企業にとっては死活問題となる「採用」について、創業手帳代表の大久保が聞きました。

木嶋 諭(きしま さとし)
株式会社ネットオン 代表取締役
1980年兵庫県神戸市に生まれ。株式会社ネットオン 代表取締役。同志社大学工学部電子工学科に入学。卒業後、特許事務所に入所し、IT分野やビジネスモデル特許に関わる。その後、大手通信会社系のコンサルティング会社を経て2004年に株式会社ネットオンを起業。クラウド型採用支援ツール「採用係長」の運営や採用Webマーケティング事業を行う。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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採用支援ツール「採用係長」を運営


大久保:御社の事業内容について教えてください。

木嶋「採用係長」という採用支援ツールの開発・運用が主な事業です。
このツールを使えば、採用ページを作れて、求人情報を発信できます。
Indeedや求人ボックスなどの求人検索エンジンと連携しているので、集客もしやすいです。応募者管理もできるので、採用業務の効率化が図れます。
その他に採用Webマーケティング事業もおこなっています。

大久保:現在の社員数は何人くらいでしょうか?

木嶋:現在45名(役員・アルバイト含む)です。本社は大阪なので、ほとんどの社員が大阪にいます。

大阪で起業

大久保:木嶋さんが起業した経緯を教えてください。

木嶋:理系の大学を卒業した後に就職したのですが、就職して2年目の夏に起業しました。
もともと父が貿易会社を経営していたので、初めは海外のおしゃれな照明器具をネットで売ろうと考えたんです。就職した会社ではシステムエンジニアのような仕事をしていたので、システムについては分かっていましたが、デザインについては全然分かりませんでした。
いろいろ調べていると、ウェブサイトのデザインテンプレートサービスが海外にあったんです。これを日本で売ったらいいのでは?と思い、海外の販売元に「日本とアジアで売らせてほしい」とメールをしました。
そうしたら「いいよ」と返信があり、照明器具の販売からデザインテンプレートサービスの販売に切り替えたんです。これが起業までの経緯ですね。

大久保:大阪で起業するメリットはありましたか?

木嶋:大阪で起業する人が少ないので、金融機関やベンチャーキャピタルなど支援してくれる方々の目に留まりやすいですね。
東京に比べると競争率が低いのはメリットです。以前は大阪に住んでいたり、大阪に戻りたい優秀層を採用できるメリットもありました。
いまはリモートワークが増え、東京の会社が大阪の人材を採用しているので、採用面でのメリットはなくなってきています。

グロービスとの不思議な縁

大久保:いまの社名は「ネットオン」ですが、以前は「グロービズ」ですね。ビジネススクールのグロービスとは関係ないですか?

木嶋:関係ないんです。名前が似ていたので、起業して2年目くらいにグロービスさんから「社名を変えてください」という内容証明が届いて、社名をネットオンに変えたんです。
すぐにグロービス学長の堀さんに謝りに行きましたね。そのときに堀さんから「グロービス経営大学院に入学しないか」とお誘いいただいたのですが、度胸がなくてやめました(笑)。
でも、30歳を超えてから必要性を感じて、2018年にグロービス経営大学院 大阪校に通い始め、今年3月に卒業しました。2019年には、グロービスさんから出資もしてもらいました。

大久保:グロービスさんとは、不思議なご縁がありますね。

事業は分散ではなく集中が大事

大久保:御社の社歴は約18年と長いです。事業を進める中で波はあると思うのですが、これまでに良かった点と大変だった点を教えてください。

木嶋:会社を設立したのが2004年で、創業から2-3年目くらいまでは順調に伸びて、売上も億を超えていました。
だけど、そこからいろいろなことを始めて中途半端になってしまったんです。
2008年にリーマンショックが起きて、2013年くらいまでは低空飛行が続きましたね。2014年から、事業を採用マーケティングに絞ったことで、徐々に良くなりました。
20代のころは思いつきでスタートすることが多かったのですが、それを仕組み化して拡大するところで壁に当たっていましたね。
創業して10年くらいはそんな感じでした。

大久保:最初うまくいっていたけど、いろいろなことに手を出してしまい、リソースが分散してしまったということですね。

木嶋:まさにその通りです。集中することは大事だと思います。

大久保:御社の場合、他社と差別化できない事業から、差別化できる新規事業の芽を育てていき、少しずつ軸足をずらしていったイメージですかね。

木嶋:そうです。Webマーケティング事業を受託でやっていましたが、採用マーケティング支援に絞って、そこからプロダクトが生まれました

中小企業を中心に48,000以上の事業所が利用


大久保:採用係長を利用している企業数はどのくらいでしょうか?

木嶋:現在、トライアルで利用している企業も含むと48,000事業所を超えています。
日本における中小企業さんの数はとても多いので、もっと利用社数を増やしていかないといけないと考えています。これからが勝負ですね。

大久保:採用係長の費用はいくらくらいでしょうか?

木嶋:無料で使えるトライアルプランの他に、ライトプランからエンタープライズプランまで、5つのプランがあります。
ライトプランであれば、3か月契約で1か月25,800円からご利用いただけます。1年契約だと1か月19,800円です。その他にオプションとして求人票作成や動画制作サービスも用意しています。

大久保:採用に関して、応募を増やしたいニーズと手間を減らしたいニーズでは、どちらが多いですか?

木嶋:応募を増やしたいニーズです。
私たちの主な顧客は中小企業さんです。大手企業さんだと新卒採用や中途採用で何百・何千と応募が来ますが、中小企業さんの場合はそうはいきません。

採用応募を増やすコツ

大久保:特に中小企業の場合は、なかなか採用応募を増やすのは難しいと思うのですが、増やすためのコツはありますか?

木嶋:まずは、求人票をしっかりと充実させることです。
会社のことをできるだけ具体的に書いたり、イメージしやすいように動画を作ったりすることもいいと思います。
求人票を作る過程で他社さんの求人票と比較して、自社の変えたほうがいい部分に気づいてもらいたいです。そうして働く環境や働き方などを変えられれば、採用課題の解決にもつながります。
求人内容を良く見せるというより、企業そのものを変えていくことが、本来の採用支援なのかなと思っています。

大久保:中小企業だと、求人票でしかその会社のことが分からないケースもありますからね。求人に応募があってから気をつけたほうがいいことを教えてください。

木嶋応募してくれた方への対応は、迅速にしてください。
対応が遅いと、その間に他の企業さんに決まってしまいます。大手企業さんはその辺りの対応が早いですよね。
あとは、面接方法や採用基準が担当者によってバラバラだったりするので、あらかじめ決めておいたほうがいいです。
この辺りは採用業務のオペレーションの話なので、採用係長の機能を充実させて問題解決につなげたいと考えています。

採用のミスマッチを防ぐ方法

大久保:中小企業の場合、社長自身が面接するケースもありますよね。これについてはどう思われますか?

木嶋:ミスマッチを防ぐためにも、社長が早いタイミングで面接することは大事だと思います。

大久保:入社が決まってもすぐに辞めてしまうケースもあると思うので、ミスマッチを防ぐのは大事ですね。他にミスマッチの防ぎ方はありますか?

木嶋:会社のことをできるだけ発信してほしいです。採用のことだけではなく、どのような想いで事業をしているのかなどを発信して、会社を理解してもらうようにしてください。
今はSNSやホームページがあるので、そういったものをうまく使ってほしいです。
あとは、求人票を書く時に弱い部分も出したほうがいいです。残業時間のリアルな状況や仕事内容を正直に書いてください。
たとえば、「クリエイティブな仕事ですけど、単純作業も一部あります」とかですね。ミスマッチになってすぐに辞めてしまうのは、お互いにとって良くありません。

「採用係長」が誕生するまで

大久保:採用係長のプロダクトは、スムーズに開発できたのでしょうか?

木嶋:2017年にクラウド版をローンチしたのですが、2016年時点ではお金がなくて、LPだけ作ったんです。
いまは採用係長を使って自動で採用サイトを作れますが、当時は問い合わせが入ったら手作業で作っていました。
受注が増えてきたので、補助金や信用金庫さんからの融資を活用してクラウドサービスの開発に着手しました。

大久保:補助金も活用したのですね。御社は、今年の5月に総額3億6,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。Chatwork株式会社や株式会社ビューティガレージといった事業会社も引受先に入っていますね。資金調達の狙いについて教えてください。
※弊社掲載記事:採用サイト作成ツール「採用係長」提供の「ネットオン」が3.6億円調達

木嶋:狙いは応援団集めですね。
もちろん、開発や営業人員の強化もしなければならないので、そこに資金は必要になります。中小企業さんのユーザーが多い企業さんに応援団になっていただくという狙いもありました。

今後の事業展開について

大久保:今後の事業展開について教えてください。

木嶋:先ほどもお話した通り、見せ方を良くするだけではなく、会社の中身を変えていくのが本来の採用支援だと思っています。そのためには、企業さんに中身を変える必要があると気づいてもらう必要があります。
気づいてもらうためには、サポートやコンサルティングの人員が必要です。
中小企業さんが「採用どうしよう」と考えた時に、必ず採用係長を検討してもらえるようにしたいです。
さらに採用係長を利用してもらって、会社の雇用環境も良くなり働く人にとっても良くなるようにしていきます。

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(取材協力: 株式会社ネットオン 代表取締役 木嶋 諭
(編集: 創業手帳編集部)

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