独立・起業するには? 失敗しない独立・起業のために必要な6つの準備

創業手帳

後悔しない独立に向け、在職中にやるべきこと

社会人としてキャリアを重ねていくうちに、「ゆくゆくは独立して、自分が培ってきた人脈・スキルをフルに使って起業したい」という気持ちを持つ方は少なくないはずです。独立や起業をすることは、大きな責任も伴いますが、会社員生活では得られないお金や経験を得ることができます。

しかし、独立や起業には大きなリスクがつきもの。例えば、家族の反対にあって独立を諦めてしまう人もいるでしょう。周囲の理解が得られても、充分に準備をせず勢いだけで独立や起業をしてしまって、すぐに撤退しなくてはならない…という状況は避けなくてはなりません。

そこで今回は、これから独立・起業を考えているすべての方に向けて、独立起業前にやっておきたい事前準備をまとめてご紹介します。在職中にできる内容ですから、仕事を辞める前に、独立起業準備の一環として取り組んでみてください。

こうした準備をするかどうかで、独立のスムーズさも変わってくるはずです!

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この記事の目次

独立・起業のために準備するべきこととは?

会社を辞めて独立・起業したい!と思ったら、当然ながら準備が必要です。しっかりとした準備をせずに見切り発車で独立や起業をしてしまうと、気づいたら資金が足りなくなっていた…などということになりかねません。

では、失敗しないためにはどのようなことを準備しておけば良いのでしょうか?もちろん様々な手続きや書類の準備などが最終的には必要になりますが、その前にまず行うべき起業準備は次のようなことです。

  • 「なぜ独立したいのか?」を考え、自己分析をする
  • 独立後のことを考えて、しっかりとした事業計画を立てる
  • 収入と支出の考え方を身につける
  • 家族からの理解と協力を得る
  • 独立後も前に勤めていた企業と良好な関係を続ける
  • 独立する前にお金を生み出す仕組みを作る

これらは会社などへの在職中にしっかり考えておくべきもの。一つずつご説明していきます。

起業する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!

独立の準備①「なぜ独立・起業したいのか?」を考え、自己分析をする


最初に行うべき準備は、独立・起業の目的の明確化と自己分析です。まずは、「なぜ独立・起業したいのか」を明らかにしましょう。

就職活動の際に、自己分析をした経験がある人も多いと思いますが、職業には得手不得手があるものです。同様に、独立や起業にも得手不得手があります。本当に独立・起業をしたいのか、独立や起業をして何を成し遂げたいのかを改めて分析することで、その後の方向性がハッキリします。

自分の強みの見つけ方

分析と言っても、就職活動の際にやったような性格分析をする必要はありません。

・これまでの会社員生活でどんなスキルを学んだのか
・自分の得意なことはなにか
・楽しんで続けられることはなにか
・興味が湧くことはなにか

など、紙にどんどん書き出していきましょう。アウトプットの良い練習になります。

そして、ある程度情報が整理できたら、家族や友人といった「第三者」に話し、フィードバックを受けてみてください。
自分のことは、意外と自分が一番分かっていないものです。外からの視点を入れることで、自分では気づいていなかった強みや弱みが浮き彫りとなりますし、相手に話すことで情報がさらに整理されていきます。

これを繰り返すことで、自分の強みを活かした起業ネタが見つかっていくはずです。

独立・起業に向けた事業の選び方

自己分析を行うと、ぼんやりとでも「自分の強みはこれなので、起業してこんなビジネスができそう」ということが思い浮かんでいるのではないかと思います。

イチから独立起業を考える上で、とても大切なのが事業の選び方。会社員としてスキルを磨いたのに、全く違う分野の仕事をするのは経験がもったいないですし、かといって、興味が持てない分野を事業に選んでも、続けることは難しいでしょう。

せっかく独立・起業するのですから、自分の強みを活かせて、稼げて、楽しんで続けられる事業を選びたいもの。事業選択の際には、以下のポイントをおさえて考えてみてください。

独立起業のネタ選びのポイント①「なぜその事業を選んだか」がハッキリしている仕事

ただ「なんとなく」選んだ仕事では、長続きしません。どうしてそのビジネスを選んだのか、理由がスラスラと述べられるものを見つけましょう。

特に、準備期間や独立起業初期など一人で仕事をする期間がある場合は、たった一人でもモチベーションを維持しつづけなければなりません。理由や熱意をもって取り組める事業を選びましょう。

独立起業のネタ選びのポイント②自分らしさをプラスできる仕事

ビジネスを成功させるには、顧客に「選んでもらうこと」が必要です。既存のビジネスの場合でも、自分らしさをプラスできる要素があるかどうかで、成功の確率は大きく変わります。

独立起業のネタ選びのポイント③自分が楽しめる仕事

「できる仕事」を選ぶのは大切ですが、それだけではモチベーション維持が難しくなります。できる仕事でありながら、自分がワクワクできる仕事を選びましょう。

独立の準備②独立・起業後のことを考えて、しっかりとした事業計画を立てる


ビジネスの方向性が決まったら、独立・起業前にしっかり事業計画を準備します。この事前準備の完成度で、独立・起業の成功が左右されると言っても過言ではありません。

事業計画と言っても、融資や助成金の申請に使うわけではないので、書式にこだわる必要はありません。以下に、目安として考えておきたいポイントをまとめましたので、それぞれの項目について考えてみてください。事業計画の実現に具体的イメージが持てるくらいに準備を進めてから独立や起業をすると、心に余裕が持てるはずです。

独立起業前の事業計画のポイント①サービスの内容

思い描いている事業について、言葉で示してみましょう。端的な言葉でまとめることによって、事業の本質について改めて考えるきっかけになります。事業名、顧客ターゲットなどをしっかり定義してください。

独立起業前の事業計画のポイント②競合調査

独立・起業して始めようとしているビジネスについて、「市場状況はどうなのか?」「競合にはどんなサービスがあるのか?」「それに対して自分の強みは何か?」など、マーケットにおける立ち位置を明らかにしておきましょう。

他社分析をすることで、強みを活かしたポジショニングを見つけることができます。

独立起業前の事業計画のポイント③マーケティング

独立起業後、一番難しいのが「どうやってお客さんを見つけるか」という点です。ただ事務所を開いただけ、HPを開設しただけでは見つけてもらえません。どのように顧客にアピールするか、やるべき方法をまとめたものを準備しておきましょう。

例えば、地元の店舗を開拓する、インターネット広告を活用する、以前の仕事先に営業をかける、などといった方法が考えられると思います。
営業が苦手であっても、放棄していては仕事は来ません。外部委託という選択肢もあるので、どういうマーケティング戦略を取るかを準備・計画しておきましょう。

独立起業前の事業計画のポイント④明確な数値目標

独立後の数値目標を立てましょう。「できる限りたくさん」という曖昧な目標や、「年収1億円!」という無謀すぎる目標では意味がありません。事業を続けていく上での最低ライン(年間の生活費など)を算出し、必ず超えなくてはいけないラインを洗い出しておきましょう。

例えば「1年目の利益目標300万円」「1年目は黒字でなくても50件受注する」など、具体的で明確な数値にしておくことが重要です。

冊子版の創業手帳では、項目を埋めていくことで事業計画書が作成できるサービスを紹介しています。もうすこし具体的な事業計画書を書きたい、けれど手間はかけたなくない、という方にぴったりでしょう。ぜひチェックしてみてください。

独立の準備③独立・起業前から収入と支出の考え方を身につける


サラリーマン時代と独立起業後とでは、お金の使い方に対する考え方が大きく変わります。そのことを理解し、経営者としての金銭感覚を身につけておくことが、スムーズな独立起業の準備のカギでもあります。

例えば、サラリーマン時代は限られた給料の中でやりくりすることが多いかと思います。ですが経営者の場合は、少しでも節約しようと設備のレベルを落としたら、仕事の効率が下がってしまう可能性があります。

経営者としてビジネスをしていくためには、「投資」という考え方を持つ必要があります。ある程度の我慢が求められる場面もありますが、仕事環境への「設備投資」や、勉強会や交流会など「自分や人脈への投資」も必要です。

独立して事業主となったら、こういった投資は経費として差し引けますから、決して無駄なお金ではありません。将来の事業にもつながるお金なので、上手に活用していきたいですね。

また、どうやって収入を得るかという考え方も、会社員時代と起業後とでは大きく違います。
固定給の中で仕事をしていたサラリーマン時代とは違い、独立起業後は報酬を自分で決めることができるようになります。このとき、「安いほうがたくさんお客さんが捕まりそうだから」と自社の商品・サービスを安売りしすぎるのも考えものです。
「忙しいばかりで収入につながらない…」という状態になってしまうからです。自分のスキルを考えて適正な値段でやり取りできるように、考え方を改めておくことも大切な準備の一つです。

さらに、独立起業したばかりのときは、自分で経理作業を行うことも多いと思います。経理作業は依頼できたとしても、経営者は会社のお金の動きを把握しておかなければいけません。会計知識がない方は、独立前の時間を活用して、ある程度の勉強をしておくことをオススメします。

将来的に会計事務所や税理士に依頼する際に、知識がある方がやり取りをスムーズに進められます。

冊子版の創業手帳では、会計ソフトの導入について詳しく解説しています。会計ソフトは、ただ会計業務を簡単にするだけでなく、経営者としてのお金の管理や考え方について学ぶツールとしても使えます。ソフトの選び方も説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

独立の準備④家族からの理解と協力を得る


独立や起業にあたって、家族から反対を受けて諦める…というケースも少なくありません。自分の意志だけで自由にチャレンジできる独身時代と違い、結婚し、家族を持つと特にその傾向が強くなります。

会社員時代は、固定のお給料、社会保険や福利厚生など、会社員だからこそ受けられる恩恵がたくさんありました。しかし、独立や起業をすると、「目に見えない費用」がたくさんかかります。

例えば、事務所の家賃、人件費、国民健康保険、年金、失業保険といったものです。それを考えると、「会社員の給料くらい、独立してもすぐに稼げる」という考えでは甘いですよね。

安心して生活していくためにも、独立・起業後はどのくらい稼げて、どのくらいの生活水準になるかということをしっかり家族に話し、安心して応援してもらえる環境を作るというのも大切な準備です。

その際に、前述した「事業計画」が役に立つはずです。将来の見通しを明らかにし、独立や起業を通してどんなことを成し遂げたいのか、あなたの想いを伝えることで、家族も独立の夢に向かって一緒に頑張ってくれるでしょう。

独立の準備⑤独立・起業後も前に勤めていた企業と良好な関係を続ける


独立や起業をするということは、それまで勤めていた会社を退職するということです。独立・起業後の事業にもよりますが、退職したからといって会社との縁をすぐに切ってしまうのはもったいないです。

例えば、編集者やシステム関係、デザインの仕事であれば、「あなた個人」へ引き続き依頼したいという人も多いかもしれません。退職前に顧客との関係を作っておくことで、独立・起業後もそこから仕事がもらえる可能性も高いのです。

勤めていた会社だからこそ、あなた自身の強みを一番分かってくれている存在です。良好な関係を保つことで、独立・起業後の仕事ルートとしても大きな役割を果たしてくれるでしょう。

独立の準備⑥独立・起業する前にお金を生み出す仕組みを作る


独立や起業を考えるにあたって、「本当にお金が稼げるか」というのは大きな心配事です。だからこそ、独立起業前にお金を稼ぐルートについて考えておくことは非常に重要な準備です。このとき、収入源を1つに絞らず、複数考えておくと安心できます。

例えば、「毎月5万円は投資信託で運用する」と決めておけば、いざというときの資金が少し増えるので、心強さが増します。また、自分のHPや人づての集客だけでなく、クラウドソーシングの仕組みを活用して「自分で仕事を獲得する」方法を考えておくと、依頼待ちで手空きの時間を作らずに済みます。

独立の準備⑦資金の調達方法を検討・選定する


具体的な事業内容が決まると、必要な資金額もわかってきます。
その資金は自己資金だけで足りるのか、足りなければ必要な時期までに用意できるか、もし難しい場合はどこから調達するかを検討してください。

独立する場合は日本政策金融公庫の「新創業融資制度」も活用できることがあります。その他各地方自治体の補助金や助成金の対象になる場合もあります。
必要書類を入手して作成し、審査を受けましょう。

銀行などからの融資が難しい場合は、クラウドファンディングや他企業からの融資、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資などがあります。事業内容に応じた方法にチャレンジしてください。

融資については、創業手帳別冊版「融資ガイド」もあわせてご参考ください。審査から返済までの流れや、融資活用や審査ポイントなど、融資についての情報が詰まった1冊になっています。無料で差し上げていますのでお気軽にお申し込みください。



非常事態でも独立や起業に失敗しないための準備


2020年から続くコロナ禍は、世の中の様々な常識を覆してしまいました。今まで当然稼げるとされていたビジネスモデルが通用しなくなったり、まったく新しい形態の事業が登場したりする様子は、我々を日々驚かせました。

ここまで独立や起業前に行いたい6つの準備について詳しくご説明してきましたが、コロナ禍のような非常事態の世の中にあっても独立や起業で大きく失敗しないためにしておくべき準備について、最後に簡単にご紹介したいと思います。

①場所や時間を選ばないビジネスを検討する

ご存知の通り、コロナ禍においては、人が動いたり集まったりすることによりお金を稼ぐモデルのビジネスが、外出自粛の影響を受けて軒並み苦境に立たされました。

そんな中、コロナの悪影響をあまり受けなかった・もしくはむしろコロナを追い風にして大きく伸びたビジネスや職業もあります。それらの特徴の一つは、場所や時間を選ばないために外出自粛の影響を受けなかったということでしょう。

もちろんコロナだけが非常事態というわけではありませんが、今回のように場所や時間に左右されずにできる仕事やビジネスモデルは、様々な状況に対応できる可能性があるといえます。非常事態への対応準備として、「まずはパソコン1台でどこでもできる仕事を選ぶ」「オンラインで完結するビジネスモデルを考える」といったことを検討してみてはいかがでしょうか。

②補助金や助成金を調べておく

独立や起業をする方向けに、様々な機関が補助金や助成金を用意しています。平時にももちろん多くの補助金等がありますが、コロナ禍においては特別な補助金や助成金を準備した団体もありました。

こうした補助金や助成金を上手に活用しながら独立や起業をすることも大切です。ぜひ在職中から補助金等の情報には高いアンテナを張っておきましょう。

③「やりたい仕事」と「稼ぐための仕事」を分ける

独立・起業する上では、一つのビジネスに定めて注力することももちろん価値のあることですが、場合によっては「やりたい仕事」と「稼ぐための仕事」を分けて考えるということも必要です。たとえば「最もやりたいのはそば屋の実店舗運営だけれど、特に非常事態下では大きな収入源にするのは難しいので、稼ぐための仕事としてWebのコンサル業を兼業する」など。そして最もやりたいそば屋の仕事で稼げるようになったら、「稼ぐための仕事」を終了する、ということも可能です。

非常事態にも対応するための準備として、こうしたことについて考えておくと良いでしょう。

独立・起業に失敗しないためのポイント・注意点


「今の会社を早く辞めたい」「好きな仕事が見つかって今すぐやりたい」など、勢いだけで独立・起業すると失敗する可能性があります。
独立に成功して長く経営し続けるためにも、注意点を知っておきましょう。

独立するタイミングを見極める

独立するタイミングは、事業で確実に売上げが見込めるとわかった段階です。
資金が集まったときと考えがちですが、開業できても収入がないかもしれません。

独立はいつでもできますが、事業を継続するには売上げを確保し続けることが必要です。

小規模の事業から始める

事業を始めたばかりの頃は売上げが少ないため、小規模の事業からスタートして失敗のリスクを抑えましょう。
もし失敗したとしても、マイナスが小さければ再チャレンジまでの期間が縮まります。

会社設立は費用がかかるので、個人事業主から始める方法もあります。

クレジットカードは独立前に契約する

クレジットカードは独立して個人事業を始める、または会社設立する前に契約しましょう。
会社員より個人事業主や起業して間もない社長は、クレジットカード発行の審査が通りにくくなるためです。

住宅ローンの審査も同様なため、住まいを購入する予定がある場合は在職中をおすすめします。

資金管理を徹底する

独立後は、事業資金とプライベートのお金の管理を徹底しなくてはなりません。
一定の売上げを出していても、管理がずさんであれば知らないうちに赤字になり、廃業の可能性があります。

資金管理について勉強する、または苦手な人は資金管理システムを導入して正確に管理しましょう。

独立におすすめの業種とは?

起業する業種に迷うときは、こちらの記事が参考になります。
重視したいポイントごとにランキング形式で業種を紹介しているので、参考にしてください。

起業するならどの業種?独立・開業におすすめの業種ランキング14!

まとめ

独立が成功するかどうかは、事前準備の出来が大きく左右します。今回ご紹介した内容を、いずれも「当たり前」と思われた方も多いかもしれません。しかし、その当たり前にしっかり取り組み、準備した上で独立に向かう人はあまり多くありません。

独立してから準備したのでは、収入がない状態での準備となり、気持ちも焦ってしまいます。ですが、会社員として固定収入があるうちに独立準備をすることで、金銭的にも精神的にもゆとりを持って起業に臨むことができます。

大きな成功を果たすために、小さな事前準備を積み重ね、自分だけのビジネスを生み出してください。

冊子版の創業手帳では、起業に必要なノウハウを詳しく解説しています。会社員時代に準備しておけるものや、創業期から知っておいたほうがいい知識などを把握できるので、ぜひ参考にし、独立への第一歩を踏みだしてください。




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(執筆:創業手帳編集部)

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