月商とは?月収・月給との違いやECサイト・飲食店で月商を上げる方法

飲食開業手帳

月商とはどのような意味かを知って安定したビジネスを実現しよう


ビジネスを行う中で、「月商」という言葉を使う機会があります。
月商は個人や企業の事業活動を示す指標のひとつであり、安定したビジネスを行う上でも重要な要素になります。
似ている言葉が多いので、正確な意味を理解して使うことも大切です。

そこで今回は、月商の意味や類似する言葉との違いについて解説します。また、ECサイトや飲食店で月商を上げるためのポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

月商とは?


月商とは、個人事業主や企業が1カ月間で獲得した売上げの総額を意味する用語です。
基本的に月商は人件費や仕入れ代などの経費を差し引いていない状態の金額であるため、事業活動の全体像をおおまかに捉える際に役立ちます。

1年間で獲得した売上げは、「年商」と呼ばれています。
季節性のある業種は月ごとの売上げの変動を考慮する必要がありますが、一般的に平均の月商は「年商÷12カ月」で計算することが可能です。
例えば、年商5,000万円の企業であれば、平均月商は約417万円という計算になります。

個人や企業の収入を示す指標には、「売上高」という言葉があります。売上高は、本業の活動で一定期間中に獲得した売上げの合計金額のことです。
月商よりも具体的な金額を示すので、事業活動の成果をより詳細に分析できる点に違いがあります。

月商と似ている月収・月給との違い


月商と類似する言葉に、月収と月給があります。どちらもビジネスではなじみ深い言葉なので、月商との違いをご紹介します。

月収は1カ月で獲得した収入の総額

月収は、個人事業主や企業に勤める従業員などが1カ月間で獲得した収入の総額を意味するものです。
月収には、基本給に住宅手当・役職手当などの固定手当、時間外手当・通勤手当といった変動手当が含まれています。

先で述べたとおり、月商は個人事業主や企業が事業活動で得た1カ月の売上げの総額です。
自営業者や従業員などの個人が受け取る給与に対して使われる言葉である点が、月商との違いになります。

月給は1カ月単位で支払われる固定給

月給は、従業員などが1カ月単位で獲得する固定給を指します。月給30万円となっていれば、最低でも毎月30万円を給料として受け取ることが可能です。
月給も月収と同じく、個人が受け取る給与に対して使われる言葉になります。

ただし、月収とは含まれる収入に違いがあります。月給の含まれる収入は基本給と固定手当で、月や人によって変わる変動手当は含みません。
なお、月収は年収(変動手当や賞与を含めた1年間の収入の合計)を12カ月で割って求めるので、同じ月給でも人によって差が生じる可能性があります。

月商に関する注意点


月商が高いと、ビジネスが順調にいっている状態と思いがちです。月商には大きな落とし穴があるので、この指標ばかりに注目するのは避けなければなりません。
ここで月商に関する注意点をご紹介します。

月商が高い=利益が高いわけではない

月商が高いことは、必ずしも利益が高いという意味ではないので注意してください。
本来、個人事業主や企業の利益は、売上げから仕入れ代や人件費などの事業活動で生じる経費を差し引いた金額を指します。
月商は経費を考慮していない1カ月の売上げであるため、経費の大きさ次第では、実際に得られた利益は少ないかもしれません。

つまり、月商からは正確な売上げ金額を把握できないので、数値だけでビジネスが順調か判断するのは危険といえます。
それでも月商という表現を使う理由には、そもそも月商の意味を理解できていない状態で使っているケースが多いです。
また、中には自慢できるほどの利益が出ていないので月商で大きく見せているというケースもあります。

実際の利益は営業利益から把握する

実際に個人事業主や企業がどのくらい儲けているのか把握するには、損益計算書上に記される営業利益という指標を使います。
営業利益とは、売上高から売上原価や販売費、一般管理費を差し引いた金額のことです。個人事業主であれば、所得金額が該当します。
本業の活動で生じた経費が考慮されているので、正確な売上げ金額を把握することが可能です。そのため、事業が成功しているかどうかの判断にも役立ちます。

月商は事業規模の目安になる

月商が役立つ場面は、事業規模を把握する時です。経費は考慮されていませんが、月商の金額から商品やサービスがどのくらいの規模で売れているのか、おおまかに把握できます。
取引きをするかどうか悩んだ時、取引き先の事業規模や信頼性をある程度理解し、検討することが可能です。

ただし、月商や年商からわかるものは、あくまでも売上げ規模です。
例えば、取引き先の資金繰りが悪くて代金の支払い期日になっても振り込まれないという事態になれば、こちらも連鎖的に資金繰りが悪化する可能性があります。
月商・年商ばかりに注目せず、ローリスクで取引きができる信頼性があるか、財務分析をすることが大切です。

ECサイトや飲食店で月商をアップする方法


月商は物販ビジネスや飲食店で使われることが多くみられます。そのため、今回はECサイトと飲食店に業種を絞り込んで、月商をアップさせる方法をご紹介します。

ECサイトの場合

サイト上で仕入れた商品やオリジナル商品を販売するEC事業は、市場規模が拡大しており、競合が多い業種です。
自分のECサイトが生き残るためにも、以下のポイントを押さえて月商アップを目指してみてください。

認知度を高めて顧客を増やす

月商を上げるためには、ECサイトの知名度を上げて多くの顧客に使ってもらうことが重要です。
認知度を高めながら集客する方法は、SNSやブログで商品の魅力を発信し、集客するオンライン集客が定番となっています。
モニター企画やWeb・SNS広告の出稿、YouTubeでの情報発信といった手段もあります。

また、手間はかかりますが、オフライン施策で知名度を上げることも大切です。イベントへの出展やセミナーの開催により、対面でPRすることができます。
宣伝広告費に余裕があれば、ポスターや雑誌広告、CMなどで宣伝するのもおすすめです。

ひとりあたりの購入額を増やす

顧客ひとりが購入する金額が増えれば、月商アップにつながります。そのため、顧客がたくさん買ってくれるような施策を講じる必要があります。
客単価(ひとりあたりの平均購入額)をアップするには、レコメンド機能を活用がおすすめです。

レコメンド機能では、顧客の購入情報や閲覧している商品ページをもとに、関連商品やおすすめ商品を提案することができます。
見ている商品よりも高い商品や、同時購入でお得になることを提案することも可能です顧客の興味を引くことができ、購入につながる可能性があります。

このほかにも、単品よりもお得に購入できるセット販売、送料無料など特典・キャンペーンの実施、購入後のアフターフォローも客単価を増やす手段のひとつです。

見やすく使いやすいサイトにする

ECサイトは、誰もが見やすくて使いやすいサイトにすることが重要です。
商品紹介ページがごちゃごちゃしていたり、カードなどのボタンがわかりづらかったりすると、使いづらさを感じて途中で離脱される恐れがあります。

商品情報はお客様目線で細かく説明する

商品紹介ページに記載する説明文は、お客様目線で書くようにします。
商品のサイズや素材などの基本情報はもちろん、ターゲットが購入したいと思ってもらえるような説明文が必要です。

商品の購入を想定するターゲットでペルソナを考えて、商品の魅力をアピールしていくのがポイントです。
ペルソナを設定することで、商品を通じてターゲットの悩み・課題を解消できることを伝えられるようになります。
商品のジャンルにもよりますが、600~1000文字程度を目安に詳しく商品を紹介してみてください。
特徴や機能だけではなく、実際の使用例を掲載するのも商品のイメージを明確にでき、購買意欲の向上につながるのでおすすめです。

綺麗で魅力的に見える商品画像を使う

商品紹介ページは、掲載する画像も重要です。
顧客がまず目にするものは商品画像なので、思わずページをクリックしたくなる綺麗で魅力的な商品画像を使う必要があります。
実物にできるだけ近い色味で、高画質の画像を使ってください。また、顧客が商品をイメージしやすいように、全体がわかる画像と様々な角度で写した画像が必要です。
ショッピングモールやカートシステムによって指定される画像サイズが異なるので、その点も確認して商品画像を用意してください。

市場調査を行い売れる商品を販売する

ECサイトで販売する商品を仕入れる前に、市場調査を行います。市場的に需要がなければ、商品がなかなか売れず、利益が出にくい状態になってしまいます。
そのため、市場の需要を調査して、売れる見込みがある商品を選定して仕入れることが重要です。

トレンド商品は利益が出やすい商品なので、月商も上げやすいとされています。しかし、ブームが過ぎると売れなくなってしまうので、タイミングには注意が必要です。
特にファッションといったトレンドの早いジャンルでは、過剰在庫にならないように注意してください。

また、日本では母の日・父の日、お中元など季節ごとに様々なイベントが発生します。イベントに合わせてイチオシ商品・売れている商品を変えていくのも仕入れのポイントとなります。

類似商品や関連商品を充実させる

ECサイトで月商を上げるには、商品のラインナップを充実させることも大切です。そのために、類似商品や関連商品を充実させるのがおすすめです。
人によって好みや求める機能などが異なるため、類似商品を多数用意すれば、顧客一人ひとりに合った商品を選ぶことができます。
また、購入した商品と関連性が高い商品も取り扱うことで、ひとつのサイトで買い物を済ませることができます。そこに利便性を感じてリピートしてくれる可能性が高いです。

商品数が多いとECサイトのコンテンツが増えていくので、検索結果からの流入率もアップする可能性があります。
そのため、商品数を増やしつつ、各ページのSEO対策をして検索から集客を増やすようにしてください。

飲食店の場合

飲食店では、坪月商という言葉が使われます。坪月商とは、一坪あたり1カ月にどれだけの売上げが出ているのかを示す言葉です。
店舗の広さに対して効率良く売上げを出せているか把握することができます。

坪月商は、「月の売上げ÷坪数」で求めることができます。飲食店が繁盛しているかどうか判断する目安は、最低でも坪月商10~20万円以上です。
そのため、坪月商10万円以上の売上げを出せるように、押えておくべきポイントをご紹介します。

ターゲットをはっきりさせる

どのような人をターゲットにした飲食店なのか、明確にすることが大切です。明確にする理由は、ターゲットによって求められるサービスが異なるためです。
例えば、居酒屋であればお酒を飲みたい人がターゲットとなるため、酒類を充実させる、酒に合った料理を提供することが求められます。
飲み会でもよく使われるので、お酒が苦手な人や控えたい人のためにソフトドリンクを用意するのも大切な配慮です。

このようにターゲットが明確になれば、サービスの方向性がはっきりします。その結果、ターゲットにとって満足度の高いお店になり、人気やリピートを得られるでしょう。

SNSや口コミなどを活用して集客する

飲食店は、お店に足を運んでもらわないと利益につながりません。そのため、集客は特に力を入れる必要があります。

最近はSNSをきっかけにお店に来店するケースが増えているので、SNSで情報発信をして集客につなげるのがおすすめです。
SNSであれば、フォロワーが拡散し、フォローしていない人にもお店を知ってもらえる可能性があります。

ほかにも口コミを活用するのもおすすめです。顧客の口コミも来店を決める重要な情報となっています。
良い口コミを増やすために、店舗の強みや売りの強化、口コミに対して丁寧な返信を行うなど心がけてみてください。

客席を増やして回転率を上げる

客席が増えると、来店できる人数が増えるので坪月商のアップにつながります。ある程度、集客力のある飲食店であれば、可能な範囲で席数を増やすのがおすすめです。
客席を増やす場合は、店舗の面積や形態から検討することが大切です。厨房が対応しきれないほどのお客さんが入店してしまうと、逆に回転効率が下がります。

また、回転率を高めるために調理の工程や注文・会計などを効率化することも重要です。

競合の店舗と差別化を図る

飲食店は競合が多いため、顧客を呼び寄せるためには周辺の店舗との差別化を図ることも重要です。
例えば、お店のテーマを決めて、それに合わせた外観や内装、雰囲気作りをするだけでもほかの店舗との差別化が可能となります。

イタリアン専門や鶏肉料理専門など特定のジャンルに特化して、飲食店を経営する方法もあります。
周辺の競合店を調査し、顧客のニーズを取り入れながら自社の強み・独自性を引き出せるお店を考えてみてください。

顧客や店員にストレスを与えない環境を作る

顧客や働く店員にストレスがかかりにくい環境を作るようにしてください。店舗の環境が悪く居心地が悪いと、長い時間滞在してもらえません。
その結果、注文数が減り、利益が増えない可能性があります。

また、効率良く働けない環境は店員にとってストレスとなり、離職率を高めます。急に店員が減れば、お店の回転率にも影響が出る可能性が高いです。
ストレスのない環境を作るためには、ホールや厨房などの動線が重要です。
ホールであれば、お客様目線では、入り口から客席、客席からトイレまでスムーズに移動できる動線が求められます。
店員目線では、配膳のしやすい通路幅が必要です。厨房も移動のしやすさを考えて、設備の配置が求められます。

まとめ・月商とは何かを理解して売上げの全体像をイメージしよう

月商は、経費を考慮していない1カ月あたりの売上げ総額を意味する言葉であり、事業活動の全体像を把握できる指標になります。
そのため、「月商の高さ=利益の高さ」という意味ではないことを理解して、ビジネスで正しく使ってください。
ビジネスで成功するためには、売上げのアップさせる施策に取り組むことはもちろん、利益を圧迫する経費の削減に努めることも大切です。

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(編集:創業手帳編集部)

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