フリーランスも請求書は準備しておこう!作り方や注意点も紹介

創業手帳

フリーランスになるなら請求書をどうやって準備するか決めておこう


フリーランスの請求書作成は、取引先との認識の共有やトラブルを予防するために重要な役割を果たします。
フリーランスになる段階でどうやって発行するのか決めていない人もいるかもしれません。

請求書を発行する方法から、インボイス制度がスタートしてからの対応までまとめました。これからフリーランスになる人も、ぜひ参考にしてください。

インボイス制度がスタートすると、請求書に書く内容に変化が生じます。創業手帳の「インボイス登録ガイド」では、請求書に書かなければいけない必要項目や、職業別にインボイスによる影響などをまとめています。無料でご利用いただけますので、是非ご活用ください。


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フリーランスが請求書を作成するメリット


会社員からフリーランスになると、今までは他の部署や担当者がしてくれていた仕事も自分でしなければいけません。
営業から経費精算、書類仕事のように慣れていない仕事には時間がかかってしまいます。

フリーランスになって初めての仕事でどうやって請求書を送ればいいのかと悩む人も少なくありません。
ここでは、フリーランスがなぜ請求書を作成したほうがいいのか、請求書を作成するメリットから説明します。

金銭トラブルの防止

フリーランスで働く上で、請求書は決して必要なものではありません。
作成は必須ではないものの、多くのフリーランスは請求書を使っています。これは、請求書を渡すことで金銭トラブルを防止するためです。
請求書には、受注した業務や成果物と対価である金額、支払期限と振込先を記載します。
請求書を渡しておくことで、フリーランスと取引先の双方に取引きがあったこと、支払いについての認識を共有することが可能です。
トラブル発生の時に請求書が重要な書類となり、入金までの処理がスムーズになります。

確定申告に使える

本業のフリーランスとして年間の所得が48万円を超える場合には、確定申告をしなければいけません。
確定申告で所得を申告する時には、請求書も重要な証憑として使われます。請求書があることで確定申告時の計算を効率良く進められます。

フリーランスの請求書を作ってみよう


請求書を作ることは決して難しいことではありません。請求書を作るには、請求書のフォーマットと印鑑を用意します。
フリーランスが請求書を作る方法について説明します。

請求書の記載項目

請求書は、受け取る取引先にとっては経費処理にも使う書類であり、請求書には必要な項目が定められています。
請求書にはどのような項目を記載するのか、それぞれを紹介します。

請求書の宛先

請求書には必ず宛名、宛先を記載します。一般的には請求書の左上に記載します。

宛名や宛先の書き方は、他の書類と変わりません。会社や部署宛ての場合には、会社名、部署名の後に御中をつけます。
担当者名まで記載する時には、個人名の後に様をつけてください。
社会人の基本的なルールですが、混乱することもあるので不安な場合には書き方を確認してください。

請求内容

請求内容は、取引きのことがわかる大切な情報です。フリーランスが取引先に提供した商品名やサービス名、数量と詳細、価格をそれぞれの品目に分けて記載します。
請求書に記載する請求内容について、法律などで書き方がはっきり定められているわけではありません。

フリーランスと取引先の双方がわかりやすい書き方か、取引先から指定があれば指定通りに記載します。
例えば、取引先が販促費として処理するために販促用と記載するように指示があるケースなどです。
請求内容は後から見直してわかるように細かく記載しておくようおすすめします。

請求金額

フリーランスと取引先が契約金額について合意したことがわかるように請求金額も記載します。金額は前に「¥」をつける方法と最後に円とつけるやり方の2種類です。
改ざんを防ぐために金額は3桁ごとにコンマを打つようにします。

消費税の表示

売上げた商品やサービスにかかる消費税額を記載します。
フリーランスは売上高が1,000万円未満か開業から2年間は、消費税の納税が免除される決まりです。
自分が免税事業者と課税事業者のどちらに当たるか確認しておいてください。

発行日

請求書の発行日も重要な項目です。経費処理の都合もあるため、基本的には取引先が指定する日付を記載します。
いつを発行日とするのか、あらかじめ取引先に尋ねるようにしてください。

支払期日

支払期日は取引先が請求代金を支払う期日です。取引先も確認する部分なので見やすいようにフォントや大きさを工夫しておくようおすすめします。

発行者

発行者の欄には請求者の氏名を記載します。つまり、請求書を発行するフリーランスの名前です。

仕事の屋号があり、届け出ている場合には屋号も一緒に記載します。一般的には、住所や電話番号とともに右側に発行者の氏名を記載します。

請求書に押印する法的義務はありません。しかし、押印することで偽造を防いで丁寧な印象を与える効果もあります。
押印する時には、屋号や名前に被せるようにします。

振込先

請求書には、フリーランスの振込先情報も記載してください。銀行名と支店名、口座名義、口座番号が必要な情報です。

源泉徴収税額

講演者やライターといった特定の業種では、取引先が報酬額からあらかじめ所得税を徴収して納税します。
つまり、フリーランスにとっては報酬額から源泉徴収額を差し引かれた金額を受け取る形です。
源泉徴収が必要な報酬については国税庁のホームページに掲載されているので確認してください。

特記事項

請求書について特別に記載することがあれば、特記事項の欄に記載します。具体的には、取引内容の補足や手数料の負担をどちらにするかといった情報です。

請求書番号

請求書は管理しやすくするために請求書番号を記載します。取引先ではなくフリーランス自身が使うものなので、どのようにナンバリングしても自由です。
一般的には「〇(取引先ごとの英数字)ー〇(通し番号)」のような形が使われます。
また、「2023-08-01」のように請求年と請求月に通し番号をつける形もあります。

請求書の作り方

フリーランスは請求書の発行から交付、入金の確認まで自分で行います。請求書もできるだけスピーディーに効率良く発行できるよう準備してください。

Excelで作る

請求書は前述した項目を満たしていればどのようなフォーマットでも問題ありません。自分が使いやすい請求書をExcelで作ることも可能です。
取引先や金額といった必要な部分だけ変更すれば、同じ請求書を使い続けられます。

テンプレートを活用する

自分で請求書を作ることに不安がある人はテンプレートを使ってみてください。
請求書のテンプレートは、インターネットで多数公開されています。無料でダウンロードできるものもあるので、探してみてください。

請求書発行サービスを使う

請求書のフォーマットを用意したとしても、請求書の作成はどうしても手間がかかります。
できるだけ作成の手間を省くのであれば、請求書発行サービスを使ってください。

必要事項を入力するだけで請求書を発行できるほか、郵送代行やメール送信までしてくれるサービスがあります。
必要な部分は便利なサービスを活用すれば、その分事業に集中できます。

請求書を発行するタイミング

請求書を発行する業務は決して難しくはないものの、忙しい時には負担に感じる人もいるでしょう。
また、フリーランスになりたての時には、どのタイミングで請求書を発行するか決めていないかもしれません。

請求書を発行するタイミングで多いのが、取引きの都度発行するケースです。
その都度発行する場合、サービスの提供ごとに請求書を作成しなければならないため、手間はかかります。
負担が大きい場合には、月に一度まとめて請求書の発行作業をする方法も検討してください。締め日までの取引きをまとめて請求書を発行する方法です。
締め日を月末にして支払日を翌月末といったパターンがよく使われます。どういったやり方が自分に合っているか試してみてください。

フリーランスが請求書を発行する際の注意点


請求書を普段見慣れていたとしても、自分で作る時には見落としがちなポイントはいくつもあります。
これから請求書を作成する人は、参考にしてください。

振込手数料の負担はどちらか

振込で支払いを受ける時には、振込手数料がかかります。
振込手数料の負担を明確にしておかないと、請求金額と実際に振込まれた金額に差異が出てしまうこともあります。
振込手数料をどちらが負担するかは事前に決めておいてください

源泉徴収税額に注意する

フォトグラファーやデザイナーといった一定の職種では報酬の支払いが源泉徴収された金額になります。
源泉徴収される額は、支払金額の10.21%です。請求書にも源泉徴収の金額を記載することになります。

例えば、請求金額が税抜き10万円の請求書を作成する場合を考えます。
10万円について、所得税は100.000×10.21%=10,210円。
消費税は100,000円×10%で10,000円です。
報酬である金額100,000円から所得税10,210円を差し引き、消費税10,000円をプラスして請求額は99,790円となります。

消費税が内税か外税かによって計算方法、源泉徴収額も違います。事前に内税が外税かを確認しておくようにしてください。

請求書を受け取った時には保存しなければいけない

受け取った請求書は支払った後も一定期間保存が必要です。請求書を取引先相手に発行した時には、渡した側も保存しておかなければいけません。

請求書の保存期間は原則として5年間です。請求書を発行した日からではなく、事業年度が終わって確定申告期限の翌日から5年間ですので注意してください。
保存期間は、青色申告でも白色申告でも変わりません。個人事業主であっても、消費税課税事業者の場合は保存期間が7年です。法人の場合には、7年間の保存期間です。

また、2023年10月スタートのインボイス制度に対応した適格請求書は個人、法人関係なく7年間保存しなければいけなくなります。
請求書は保存期間も長いので、保存スペースの確保も大変です。どのようにファイリングするのかあらかじめ考えておくようにしてください。
書類整理を効率良く行うのであれば、電子保存もスペースを取らず検索しやすいため便利です。

請求書は押印しなくても問題ない

請求書と聞いて押印してあるイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、請求書の押印は義務ではなく必ずしも押印する必要はありません。
商品やサービスのやり取りは押印しなくても双方の合意で成立します。
データ添付で書類をやり取りするような場合では押印自体が難しいケースも珍しくありません。

ただし、押印することによって偽造や改ざんを防ぐ効果もあります。トラブルを未然に防ぐ目的で押印する事業者もいます。
印鑑をデータ化した電子印鑑や電子署名であれば、電子データでのやり取りでも対応可能です。

消費税の書き方を決めておく

請求書の最終的な請求金額は、税込の金額を記載するように定められています。ただし、消費税の表示方法については指定されていません。

取引金額の表示方法は、内税表示と外税表示があります。内税表示は、表示金額に消費税を含めるやり方です。
本体価格10,000円であれば消費税1,000円を含めて11,000円(税込)と記載します。

外税表示は、表示金額に消費税を含まない方法です。本体価格10,000円であれば10,000円(税抜き)と記載します。

お店での値札では内税表示が義務付けられていますが、請求書では定められていません。どのように消費税を記載するかはフリーランスが自身で決めることになります。

2023年10月からはインボイス制度に対応が必要なフリーランスも


2023年10月からはインボイス制度がスタートします。仕入控除を受けるために、適格請求書(インボイス)を必要とすることを定めた制度です。
法人は仕入控除を受けるために、インボイスを発行できる適格請求書発行事業者との取引きが活発になると予想されます。

フリーランスは、インボイスを発行するために課税事業者となるかどうかの選択しなければいけません
そして、インボイスを発行するには適格請求書発行事業者として登録し、消費税を納める必要があります。

今まで、課税売上高が1,000万円未満で消費税の免税事業者だったフリーランスにとっては、課税事業者になることによる金銭的な負担も手間も大きいため慎重に判断してください。
インボイス制度によって、請求書自体も求められる項目が変わります。記載しなければならない項目が増えているので、確認しておきましょう。

以下では、インボイス制度についてより詳しく説明しています。
→https://sogyotecho.jp/invoice-freelance/

まとめ

普段何気なく目にしている請求書ですが、記載する項目が多いため、自分で作成するとなると大変です。
フリーランスになる場合には、どのように請求書を発行するのか事前に考えておくようにします。
会計ソフトを使う時には、インボイス制度への対応もチェックしてください。


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(編集:創業手帳編集部)

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