経営者のための銀行融資で個人保証を外す方法まとめ 弁護士がわかりやすく解説

資金調達手帳

経営者保証ガイドラインを知っていますか?社長の個人保証なしで融資が受けられることがあります

(2020/03/27更新)

事業の拡大に金融機関の融資は欠かせません。とくに最近は新型コロナウイルス感染拡大など環境変動が激しく、経営者は手元の資金を多くしておきたい心理が働くのではないでしょうか。また、資金繰りに厳しくなっている会社も増えてきています。

融資を受ける時に経営者に決断を迫られるのが、個人保証をつけるかどうかです。個人保証をつけると融資が受けやすくなる一方で、倒産の場合はすべての債務を社長個人が負うことになります。そんな経営者保証ですが、保証をつけない融資を銀行に交渉する方法があります。その1つが経営者保証ガイドラインです。経営者保証ガイドラインについて、業界別事業再生辞典など著書も多い人気若手弁護士の大西雄太氏が解説します。

「冊子版 資金調達手帳」には資金調達や税金に関する情報を満載しています。創業間もない企業や資金繰りのヒントが欲しい経営者の方に読まれています。併せてご覧ください。

大西雄太(おおにし ゆうた)大西綜合法律事務所弁護士
慶應義塾大学法学部法律学科(2004年3月卒)
慶應義塾大学法科大学院(2006年3月卒)
2008年1月~2011年12月西村あさひ法律事務所
2011年4月~東京弁護士会法曹養成センター副委員長
2012年4月~慶應義塾大学法科大学院助教
2014年度日本弁護士連合会代議員・東京弁護士会常議員
2014年4月~品川区法律相談員
2016年4月~慶應義塾大学法科大学院 非常勤講師
2019年4月~東京弁護士会法曹養成センター委員長代行
2019年6月~日弁連中小企業法律支援センター委員(事業再生PT副座長)

個人版私的整理ガイドライン運営委員会 幹事・嘱託弁護士
中小企業基盤整備機構関東本部 事業承継コーディネーター
ヒューリックプライベートリート投資法人 監督役員
一般民事、事業承継、倒産・事業再生を主な取扱分野とし、近時では、経営者保証ガイドラインを活用した企業支援に力を入れている。東京弁護士会所属。

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経営者保証と経営者保証ガイドラインについて

―新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営が厳しい会社が出ていますね。

大西:そうですね。特にギリギリの経営をされていた経営者にとって、今回のコロナウイルスの影響は追い打ちになってしまったと思います。融資を検討する企業も多いでしょう。

―経営者保証、経営者保証ガイドラインとはなんですか。

大西:会社が金融機関から融資を受ける時に、代表者が個人として連帯保証人になることが多く、これがいわゆる経営者保証です。

経営者保証ガイドラインというのは、正式には「経営者保証に関するガイドライン」といいます。平成26年2月から施行されているもので、まだまだ新しい制度です。

ガイドラインの要件を満たした場合には、経営者保証なしの融資を受けたり、経営者保証を解除したり、減額したりすることができます。経営者保証が外れることによって、中小企業経営者による思い切った事業展開を後押ししています。中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則として、遵守が求められています。

― 一般的に経営者保証つけると経営にどのような影響がありますか。

大西:メリットとしては、経営者保証をつけた方が融資を受けやすいという点かと思います。経営者保証により信用力が増す(返済能力が増える)からですね。ただ、経営者保証ガイドラインが出来たので、経営者保証がなくても融資を受けやすくなりました。

経営者保証をつけるデメリットとしては、個人保証を気にする余り思い切った事業展開ができないことが挙げられます。例えば、事業が失敗したら個人破産しなければならない。そうすると思い切った事業展開はやめておこう、と思ってしまうということです。

―本当に経営者保証なしで融資を受けられるのですか?銀行は保証をつけるように求めてきますよね。

大西:もちろん個別の事情にはよりますが、経営者保証なしで融資を受けることは可能です。経営者保証ガイドラインができる前も経営者保証のない融資はありましたが、このガイドラインができたことにより、「どのような場合に経営者保証なしの融資が受けられるのか」が明確になりましたし、金融機関もガイドラインを遵守することが求められています。

経営者保証なしで融資を受けるポイント

―経営者保証なしで融資をうけるコツについて教えてください。

大西:経営者保証ガイドラインでは3つのポイントを充たせば、経営者保証なしでの融資を希望できると定められています。以下の3点です。

  • 法人と経営者との関係の明確な区分・分離
  • 財務基盤の強化
  • 財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

①の「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」は、例えて言うと、「法人と社長のお財布が別になっているか?」ということです。

②の「財務基盤の強化」は「会社だけで返済可能な経営状態か?」ということです。

③の「財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保 」は「金融機関とコミュニケーションできているか?」ということです。

以上の3点をみたしているかを確認することが、経営者保証なしで融資を受けるコツと言えます。

経営者保証を外して思い切った事業展開を!

―経営者の保証を外すとどんなメリットがありますか。保証なしで受けるタイミングはどんなときですか。

大西:個人保証を気にしないで、大胆な事業展開ができるというメリットがあると思います。また、代替わりの際にも、後継者に保証債務を引き継がせないで済みますので、事業承継も円滑になります。

保証なしを選ぶタイミングは、先ほどの3つのポイントを意識して、会社と経営者の間の貸借関係が解消された時や会社の業績が上向きになった時などがあります。

―経営者の保証を外してうまくいった事例を教えてください。

大西:例えば、町工場を経営している経営者において、経営者保証が外れることを機に、新たな機械を購入してより生産性を高めて売り上げをアップした事例。また、経営者保証を外すことによって事業承継のハードルを下げたうえで、後継者に事業承継を行った会社の例もあります。

金融庁のウェブサイトに事例集が公開されており、様々な事例を確認できます。

―経営者の保証を外すのはおすすめですか。

大西:はい、私はおすすめだと思います。また、経営者保証ガイドラインは、知っておいて損はない、知っておくだけで得だと考えています。

―手続きはどのように進めたらいいですか。

大西:経営者保証ガイドラインを踏まえ、先ほどの「3つのポイント」を意識しつつ、金融機関と協議を行ってください。もし、金融機関との協議が不安ということであれば、弁護士が金融機関との協議をサポートすることも可能です。

―創業手帳を読む経営者に対してメッセージをください!

大西:経営者保証ガイドラインを活用し、失敗を恐れず、思い切った事業展開をして頂きたいと思います。

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(監修: 大西綜合法律事務所/大西 雄太 弁護士
(編集: 創業手帳編集部)

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