HIROTSUバイオサイエンス 広津崇亮│膵臓がんの早期発見も!自宅で尿を採取するだけで全身の「がんリスク」を調べられる新時代

創業手帳

嗅覚に優れた線虫が「がん」を匂いで見分ける。高精度でリーズナブルな「N-NOSE」

日本人の死因第1位は長年「がん」ですが、日本人のがん検診受診率は約40%です。それは、検査が高額で所要時間が長く、身体的苦痛を伴うことが要因だと考えられています。

HIROTSUバイオサイエンス代表取締役の広津さんは、それらの理由を打破するがん検査「N-NOSE(エヌノーズ)」を開発。リーズナブルな価格かつ高精度ながん検査を実用化しました。

今回は、優れた嗅覚を持つ線虫(せんちゅう)を活用することで、発見が難しい早期がんのリスクも判定できる検査を発明した広津さんに、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

広津崇亮(ひろつ たかあき)
株式会社HIROTSUバイオサイエンス 代表取締役
東京大学大学院博士課程より、線虫の嗅覚についての研究を開始。線虫の匂いに対する嗜好性を解析した論文が2000年3月、英科学誌「Nature」に掲載される。その後も線虫の嗜好性が匂いの濃度によって変化する事実を明らかにするなど、研究実績が各方面より注目を集める。2012年7月に、線虫において単一のタンパク質の活性化を可視化することに世界で初めて成功。
2013年5月より、線虫ががん特有の匂いを嗅ぎ分けられるかについての研究を始め、2016年には簡便・高精度・安価に早期がんを発見する検査「N-NOSE」の実用化を目指して起業。2020年1月、N-NOSEを実用化し、これまでにないがんの一次スクリーニング検査として普及させ、社会に貢献するべく邁進している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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起業の失敗。教科書通りのやり方はNG


大久保:起業までの流れを教えていただけますか?

広津:私は、大学時代から線虫の嗅覚の基礎研究を約20年続けてきたのですが、九州大学の助教をしている時に線虫の嗅覚ががんの検知に有効であることを発見しました
線虫という生き物を使えば安くて精度が高い検査ができるので「実用化したらすごくいいものになる!」と思ったのですが、大学では研究費が集まらず、どうすべきか迷っていました。
私の論文を読んだ様々な企業から「一緒にやりましょう」と提案も受けましたが、「どこかの企業に任せてしまうと高額で売り出してしまうかもしれない。それでは、安くて精度が高いがん検査という最大のメリットが活かせない」と考え、「私自身が先頭に立つしかない!」とベンチャーを作りました。でも実は、1社目は失敗してしまったんです。

大久保:では、HIROTSUバイオサイエンスは2社目なのですね。

広津:はい。1社目は、大学教員と兼業しようと福岡で創業したのですが、会社を立ち上げる際、様々なアドバイザーから「大学の先生は社長にだけはなっちゃいかん」と言われたんです。
ですので、CEOは別の方に依頼し、私は技術担当を担っていたのですが、そのやり方では全く上手くいかず。結局1年で会社を潰し、東京で新しい会社を作り直しました。

大久保:それがHIROTSUバイオサイエンスなのですね。やはり、アイディアを持つ方がトップに立たないと難しいのでしょうか。

広津:いくつか理由はあると思うのですが、我々は研究開発型企業なので、事業内容を説明する時は技術の素晴らしさを相手に伝えなくてはいけないのですが、1社目の時はそれが上手くできませんでした。
社長は技術の詳しいことを説明できず、私自身は技術担当なので会社のことを説明できないという状況で。やはり、発明者と社長が分かれているより、一人で全部説明できた方が話も早く、説得力や信用度が増すと実感しました。

また、ビジネスモデル構築の仕方も要因の一つだと思います。その時の社長は、教科書通りに会社の強みや弱みの分析を行い、事業計画を立てていたので、「がん検査は他にもライバルがいて、その中で強みは~」と一生懸命考えてくれていました。
ですが、そもそも日本人はがん検査に行かない人が多いので、市場が小さいんですね。それにもかかわらず、「ライバルがいて」と言ってしまうと、いかにもつまらない技術に見えてしまうと思ったので、2社目となるHIROTSUバイオサイエンスでは、「がんの一次スクリーニング検査」という言葉を作り、「全身15種類のがんのリスクを早期発見できる入口の検査です」という説明の仕方をしたんです。
すると、話を聞いてくださった方の反応がガラっと変わりました。

大久保:やはり、テンプレートや過去の例はあくまで参考に留め、自社に沿った事業計画を策定していくことが大切ですね。

広津:そう思います。1社目の社長はアントレプレナーシップを学ばれた方だったので、余計に教科書通りのやり方にハマってしまったのかもしれないですね。
一方、私は全くそういった勉強をしてこなかったので自己流なのですが、ビジネスも研究と同じで「自分の頭で考えて新しいことをやったほうがいい」という思いでやっていたら上手くいきました。せっかく技術が画期的なのに、一般的な説明の仕方をすると途端に面白くなさそうに見えるので、「新しいビジネスを作るんだ!」という思いで説明したのがよかったのだと思います。

退路を断ち「ベンチャーキャピタルから資金調達しない」という選択


大久保:助教という立場を捨て、起業することに対して、不安はありませんでしたか?

広津兼業してすぐに「これは両立できない」と分かりましたし、やはりリスクは負わなければいけないと思いました。
ノーリスクに成功はないと思っているので、自分だけが大学教員という保険を持っているのはフェアではないですし、それでは上手くいかないだろうと思い、会社に専念することにしました。

大久保:大学教員からベンチャーの社長へ立場が変わって、いかがでしたか?

広津:案外似ているなと思うこともあります。
元々、新しいものを発明したり、新しいことにチャレンジするのが好きでしたし、教員時代も論文を書いたりプレゼンを通して多くの人に周知するという作業を行ってきました。
ベンチャーで新規事業を生み出し、広く周知するという意味では、共通点の方が多いなというのが実感です。

大久保:ベンチャーは、「いろんな手を試してみて良い手を残す」という実験のような要素がありますからね。ちなみに、日本の大学は研究費の捻出が難しいのが問題だと聞いたことがあります。

広津:そうなんです。科研費をもらうために一生懸命頑張っても、助教ではいくら頑張っても年間数百万円程度です。それでは研究者を雇うこともできないので、実用化を目指すことなんてできるわけないですよね。
よく「ベンチャーを作ると、自分の好きな研究ができなくなるんじゃないか?」と言われるんですけど、そうではなくて、ベンチャーを作って世の中に訴えかけることによって、研究費が何億、何十億円と集まる可能性がありますし、株主に上手く説明できれば、自分がやりたかった研究ができるかもしれないんです。
このまま日本の大学にいて、国からもらえる研究費に縋っていても先が見えないと思い、解決策の一つとしてベンチャーを作りたいとは常々考えていました。

大久保:日本の未来のためにも国からの研究費がもう少し増えればと思いますが、なかなか変わらないでしょうから、大学の外に出るのも一つの手ですよね。ちなみに、会社を設立した際、どこから資金調達されましたか?

広津一般的に、多くのバイオベンチャーが資金面で苦しむ理由は、承認を得るまでの期間が長いことなんです。例えば、薬を扱う場合は、薬を作って承認を得るまでに10年ほどの期間がかかってしまうんですね。
弊社の場合は検査なので承認は必要ないものの、臨床研究をしなくてはいけないので、実用化までには莫大な資金と時間がかかりました。売上を立てるまでは資金を集めてくるしかないので、ベンチャーキャピタルから資金調達するのか否かを最初の頃はよく悩んでいました。結局は、ベンチャーキャピタルから資金調達せず、銀行からの融資で食い繋いでいたので、最初の頃は結構苦しかったです。
一般的にも、会社が小さい時のリスクマネーをベンチャーキャピタル以外から得られることはあまりないので、技術開発が進んだ段階で事業会社から大きな金額が入るまでは苦しかったです。

大久保:ベンチャーキャピタルから資金調達しなかったのは、シェアを多く持っていかれるのを防ぐためですか?

広津:そうですね。銀行にはシェアをそれほど取られず、企業価値を高めた後に事業会社が入ってきたので、今でも弊社がかなりのシェアを持っています。
そういう意味では上手くやったのかもしれないんですけど、二度とやりたくないですね(苦笑)。「来月お金が足りない」という状況を何度か経験したので。

大久保:大学教員ではすることのない経験ですね。

広津:そうですね。そういった危険な橋を渡りたい大学教員はなかなかいないので、教員仲間からは「よく勇気があったね」と言われました。
ベンチャーキャピタルと話していると、どうしても上場の話ばかりになるので、そうではなく「研究開発をやりたい」という思いを分かってくれるところを選んでいくと、ベンチャーキャピタル以外からの資金調達という選択になりました。

大久保:現在は、どのようなところから資金調達されていますか?

広津:新たにヘルスケア事業に参入したい企業や保険会社のほか、メディア系も多いですね。

急遽B to C事業に舵を切り、インフラも整備


大久保:従来は、全身のがん検査をしようとすると10万円程度の費用が必要でしたが、「N-NOSE」は税込13,800円(※1回のみの場合は税込14,800円)で受けられるのですよね。これまで、どのくらいの方が受けられたのでしょうか?

広津20万人に近づいてきています。「N-NOSE」の技術価値を踏まえると、5万円の価格設定が妥当だと考えていたのですが、日本は保険が行き届いているので、「医療費は安いのは当たり前」と思われている方が多く、より多くの方に受けていただくために1万円台に設定しました。
ただ、大勢の方々に検査を受けていただいて初めて黒字化できるプランなので、最初はかなり苦しかったですね。
当初、経営者の先輩方からは「こんな安くするもんじゃない!」とすごく怒られました。

大久保:アメリカは医療費が高いので、仮にアメリカで展開していたら価値に見合った価格設定になっていたかもしれませんね。

広津:コロナ禍で中断したのですが、実は先にアメリカで事業をスタートさせる計画もありました。
現地では、日本円にして約5万円の価格で説明したのですが「そのくらいの価格だよね」と好意的に受け入れてもらえましたし、熱狂的な反応もいただきました。日本よりも感触はよかったですね。

大久保:事業拠点の変更以外にも、何か障害を突破されたタイミングはありましたか?

広津:いくつかありますね。例えば、元々は線虫の解析を人間が手作業で行っていたのですが、全自動で解析を行うオリジナルの装置を作りました。現在、毎月数万人もの方に「N-NOSE」を受けていただいていますが、この機械を作れていなければ実用化は難しかったですね。

また、コロナ禍で医療機関でのがん検診受診率が激減したのも大きかったです。「N-NOSE」は尿を採取するだけなので医療機関に行く必要はないのですが、事業開始当初からいきなりB to Cで行うのは難しいと思い、最初は医療機関に卸すことをメインに考えていました。しかし、実用化したタイミングがコロナ禍と被ったため、思い切ってB to Cに舵を切るという決断をしました

大久保:従来のがん検査は、血液を採取したり、バリウムを飲んだり、PET-CT検査を受けたりするなど医療機関に行かなければ受けられない印象でしたが、「N-NOSE」は自宅で尿を採取するだけで結果が分かるのですよね。

広津:はい。がん検査のキットをネットで購入し、家で尿を採取して、集荷サービスを頼めば家から一歩も出ずに結果が分かるという仕組みは、これまでになかったと思います。
また、尿検体の匂いが揮発しないよう冷凍で輸送しているのですが、サービスを始めようとした際、どの配送会社からも「通常のクール便では輸送できない」と断られてしまったことから、配送会社と共同で、独自に尿検体を冷凍で運ぶ仕組みを47都道府県で構築しました

大久保:検体を運ぶのは管理や保全の難易度が高いですから、独自の仕組みであれば安心して冷凍配送ができますね。

線虫が「がん」の匂いを高精度かつ安価にかぎ分ける


大久保:「N-NOSE」は、線虫でがんのリスクを判定するのですよね。どのようにして線虫ががん検査に活用できることを見出されたのでしょうか。

広津線虫は体長1mmほどの小さな生き物で、生物界では「モデル生物」とよばれ、様々な研究に使われています。これまで6人もの人が線虫を使った研究でノーベル賞を受賞しているのですが、私も学生時代からこの線虫という生き物を使って研究をしてきました。

線虫は、嗅覚が優れている点が特徴で、小さな生き物なのにもかかわらず、犬に匹敵する嗅覚を持つといわれています。また、がんには匂いがあり、がん探知犬という犬がいることも知っていました。ただ、がん探知犬を使うと、飼育や訓練にお金がかかるため、検査費が10万円ほどになってしまいます。
そこで、犬と同等の嗅覚を持つ線虫であれば、リーズナブルな価格を実現できるのではないかと考え、線虫を活用したがん検査の開発を始めました。

大久保:なるほど。線虫は、どのようにして匂いをかぎ分けるのですか?

広津線虫は、好きな匂いに寄っていき、嫌いな匂いから逃げるという性質があります。そこで、シャーレの端に尿、真ん中に線虫を置くと、健康な方の尿は線虫が逃げ、がん患者の尿には寄っていくことが分かりました。
健康な方の尿は嫌いで、がんの匂いは好きと、好き嫌いがはっきり分かれたんです。

また、機械を使って精度を高めようとすると、優れた機械を作らなくてはいけないので値段は高くなっていく一方です。でも、この検査は線虫さえいればできますし、線虫は飼育コストがほぼ0円の生き物なので、安くて機械以上の高精度の検査ができるがん検査を作り出すことができました。
この「高精度かつ安価」というのは、機械では到底真似できないですね。

大久保:以前、医療従事者から「がんは匂いがする」と聞いたことがあります。

広津:がんに特有の匂いがあることは、何十年も前に論文が出ており、「飼い犬がやたら吠えるなと思っていたら、がんが見つかった」といったことから、がんに匂いがあるという研究が世界各地でスタートしたようです。この線虫のがん検査も、私が最初に発明したのですが、昨年辺りから世界各国で後追い論文が山ほど出始めて、ライバルが多数出てきているので、頑張らないといけないですね。

大久保:線虫はコストが限りなく0円に近いというのは、無限に増えていく生き物なのでしょうか?

広津:はい。研究室で培養しているのですが、C.エレガンスは、雄・雌の区別がない雌雄同体なので、1匹で受精卵が作れるんです。
しかも、1匹あたり約100~300個の卵を産むので、シャーレにポンと1匹置いておくだけで、大量に受精卵を産んでくれます。また、その卵が大人になるまでの期間は4日なので、物凄いスピードで増やすことができるんです。

大久保:尽きることがないんですね。ちなみに、線虫に優秀さの違いなど個体差はあるのでしょうか。

広津:線虫に個体差はありません。それも検査に使うのに良いところですね。がん探知犬は個体差が激しいといわれていますが、線虫は生物の良さを持ちつつ、デジタルのようなところも持ち合わせています。

大久保:頻繁にX線検査をするのも気が引けますし、人間ドックも1日がかりで値段も高いことがネックだったのですが、「N-NOSE」は医師のリソースも必要としないところが良いですよね。

広津:おっしゃる通りで、本来スクリーニング検査は効率的に行うべきなんです。最初から精密検査を受けるのは非効率的で、値段も高いし、しんどいです。
また、これまでは全身にがんがないことを証明したい場合、何十万円もかけて1泊2日で検査をする必要がありましたが、がんの早期発見は非常に難しく、それほどの時間と費用をかけて検査をしても見逃してしまう世界でした。そのため、今後は「N-NOSE」を受けてがんのリスクを把握した上で、精密検査を受けて医師が診断するという流れが一般的になればと考えています。

尿だけでがんの種類が特定できる時代に!


大久保:今後の展望をお聞かせいただけますか?

広津:3点ありまして、まずは海外展開ですね。先ほど話したように、コロナ禍で中断したという経緯がありますので、今年中にアメリカとオーストラリアに展開したいと考えています。
現在、中国や東南アジア、ヨーロッパなど諸外国からの問い合わせも増えているので、先進国だけでなく全世界に展開していくことが今後のメインになっていくと思います。

次に、がんの種類の特定という新しい領域に踏み込みたいと考えています。
「N-NOSE」は、尿を採取すれば全身網羅的にがんのリスクを調べられる検査なのですが、それにプラスして、がんの種類を特定する検査も作ろうとしています。これまで、膵臓がんの早期発見はほぼ不可能とされてきましたが、我々は大阪大学との共同研究により、膵臓がんの早期発見ができることを証明したため、今年中に実用化したいペットのがん検査の実用化です。近年、犬や猫の寿命が延びてきたことにより、犬猫の死因上位はがんになっています。
現状、ペット用のがん検査はありませんが、我々の新しい研究ではペットにも適用できるというデータが出てきているので、できれば今年中にペット版「N-NOSE」の実用化を目指したいと考えています。

大久保:膵臓がんの早期発見やペット用のがん検査など、実用化されればこれまでの常識が覆りますね。ちなみに、線虫が匂いを見分ける検査方法は、他の病気にも応用が効く可能性もあるのでしょうか。

広津:鋭いですね。他の病気にも応用できると思います。医学書には、どんな病気にも匂いがあると書かれていますから、認知症など画像診断などでは見えない病気を線虫が見分けられる可能性は十分あります。
実は、そういった研究を「共同でしませんか?」という依頼も結構多いのですが、今のところはがんの種類の特定などに力を注ぐ予定です。

大久保:日本人の死亡原因の第1位はがんですが、一方で早期発見すると治せる病気ともいわれていますよね。

広津:おっしゃる通りです。発見が早期なのか末期なのかなど、ステージによって生存率が全然違ってきます。がんは、早期発見できると9割以上が治る病気ともいわれていますし、早期の場合は内視鏡で簡単に腫瘍を取り除くこともできます。
がんが進行している場合は、抗がん剤を使ったり、大掛かりな手術をする必要があるので、費用だけでなく心身ともに負担がかかります。なので、早期発見できるかどうかが大事です。これまでは、がん検査をしても早期発見できなかったものも、我々の技術が広がっていくことで早期発見できるようになり、がんに対する見方が変わっていけばいいなと思っています。

大久保:起業家は、本来一番がんになるとまずい立場なのですが、忙しさや費用の観点から自分の健康を後回しにしてしまう人も多いですから、ぜひ一度受けてもらいたいですね。

広津:そうですね。サラリーマンの時は毎年検診がありますが、起業すると時間とお金がかかってくるので後回しにしがちです。
ベンチャーで創業者が亡くなってしまうと大変なので、責任が重い立場だからこそ、毎年がん検査を受けてもらいたいですね。

大久保:広津さんの成功は、若い研究者の方にとって、希望のロールモデルの一つになったと思います。

広津:私は約20年大学の教員をやってきたので、日本の大学がいかに疲弊しているのか分かっているのですが、日本の研究者は大学にしがみついている感じがあります。
おそらく、今すぐに日本の科研費が急増することはないと思うので、ベンチャーを作り、そこで資金調達をして、研究するという新しい道があることを若い人にぜひ知ってもらいたいですね。そうすることによって、本当にやりたい研究を突き詰めていける可能性もあるので、私のやり方が正解だというつもりはないですが、「こんなやり方もあるんだな」ということをぜひ知ってもらいたいと思います。

大久保:それでは最後に、この記事を読まれている起業家に向けてメッセージをお願いします。

広津:私は研究者からのスタートなので、同じようなルートを辿る人向けになってしまうかもしれませんが、教科書通りの事業計画では人々の心に刺さらないので、何をするにしても勉強したことだけじゃなく、自分なりの独自性を必ず一つは付け加えないと、ビジネスは上手くいかないんじゃないかと思います
もちろん勉強は大事ですが、教科書通りのものは他の方もよく知っているので、「だよね」「まぁそう考えるのが普通だよね」という話になってしまいます。ですから、自分なりのオリジナリティを付け加えて「へえ、そういう考えもあるんだ」と思わせて、聞く人の興味を引きつけてもらいたいですね。

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