起業時の創業融資に通るために必要な4つの審査基準

創業手帳

創業融資の審査で重視される項目を知っていますか?

創業融資で重要な4つの審査基準
ほとんどの起業家にとって起業は初めての経験。創業融資の審査を受けるのもはじめてという人が大半でしょう。

重要なのは、何をもとに審査されるかの基準を知っておくことです。今回は、創業融資で重視される4つの審査基準について解説していきます。

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起業時の融資で一番借りやすい創業融資とは?

起業時は融資が受けやすいといわれています。実績がない状態のため融資が受けにくいと思われがちですが、起業後に損失が出ている企業に比べると、融資が受けやすい現状があるためです。

創業時は今後どうなるかわからない状態であり、創業融資はとりあえず借りておくのがいいでしょう。また、創業専門の融資もあるため、融資対象のうちに融資を検討しておいてください

そして、融資を受ける際に問題となるのが、借りやすさでしょう。起業時に利用できる創業融資の中でも、次の順番が借りやすいといわれています。
1・日本政策金融公庫の創業融資
2・地方自治体の創業融資
3・民間金融機関の創業融資

日本政策金融公庫には、「新創業融資制度」があります。無担保・無保証人での借入が可能です。融資対象は、新たに事業を始める方や事業開始後税務申告2期を終えていない方です。ただし、新たに事業を始める方や事業開始後税務申告1期を終えていない方は、10分の1以上の自己資金が必要となります。融資限度額は3,000万円まで、運転資金は1,500万円までです。

また、日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」も金利の低さでおすすめです。日本政策金融公庫は借入金額が大きく審査は数週間程度と早いため、創業時の融資に向いています。融資限度額は7,200万円まで、運転資金は4,800万円までです。

地方自治体の創業融資は、各地域により異なります。ただし、審査に2ヶ月程度かかるため、急ぎの際には向いていません。融資限度額や条件などは、各自治体でご確認ください。

民間金融機関は、信用金庫や信用組合の利用が一般的です。地方銀行でも知名度が低いところで、創業融資を積極的に行うところがあります。創業融資を扱う銀行の数は少ないため、選択肢は多くありません。日本政策金融公庫の融資を受けておくと、民間金融機関の融資で、信用面で有利になります。

どの創業融資を利用する場合であっても、申し込みの前に確認したいことが幾つかあります。まずは審査基準を満たしているのか確認するようにしましょう。

創業融資で審査基準となる4つのポイント


創業融資で起業家が必ず覚えて置かなければならない「審査の基準となる4つのポイント」があります。すなわち、①自己資金、②経験・能力、③返済可能性、④資金使途です。

創業融資審査基準となるつのポイント

  1. 自己資金
  2. 経験・能力
  3. 返済可能性
  4. 資金使途

自己資金

創業融資の審査基準1:自己資金

自己資金割合を満たしていますか?

自己資金とは、起業家が借入以外に自分達で用意した資金です。創業資金(事業全体でかかるお金の総額)のうち、自己資金をどれだけ用意したかという自己資金割合を満たしているかどうかが重要な審査基準の1つ目です。

実は、この自己資金割合を満たせるかというのが創業融資の審査ではかなり重要な位置づけとなります。通常の企業経営における融資と創業融資との最大の違いがここにあると言っても過言ではありません。

自己資金の割合は、通常融資では売上げの3分の1程度と言われています。創業融資を受けたい場合は、借りたい額の半分から3分の1は自己資金で持っておいたほうが良いとされています。

預金通帳がチェックされる

起業家は自己資金でつまずくケースが非常に多いです。かなりのクセモノだということを知っておくべきでしょう。

具体的にいうと、過去1年分の社長個人の預金通帳の提出を求められます。そこで、自己資金として申告した金額が、正しいルートで蓄積されてきたものかをチェックされます。

正しいルートとは、例えば、給料が毎月入ってきて、それを貯金してきたという形跡が残っているかどうか。そうではなく、誰かからポーンと一括で振り込まれていた場合、それが借りたものかどうかが問われることになります。借りたものであった場合、それは「自己資金」ではないからです。

経験・能力

創業融資の審査基準2:経験・能力
通常の経営における融資では、過去の決算書から業績などに基づいて審査が行われます。ところが創業融資では、過去の実績というものが存在しません。そこで代わりに会社員時代など過去の経験や行動に基づいて判断していきます。

起業家の経験

具体的にみていきましょう。まずは経験から。

起業して営んでいく予定のビジネスに関連する経験を、会社員時代に何年間経験してきたかということがチェックされます。逆に言うと、会社員時代と全然関係ないビジネスで起業しようとすると、著しく不利になるということです。

通常融資では過去の決算書などで判断できますが、創業時は過去の実績がないので、経験を見るしかありません。通常融資より創業融資が難しい点はここにもあるようです。

起業家の信用能力

次は能力。人の能力は、そう簡単に計れるものではありません。ただ、金融機関としては、最低でもお金にだらしない人かどうかだけはチェックしておきたいところです。その意味で、経営者個人の個人信用情報などが必ずチェックされるのです。

また、過去1年分の社長個人の預金通帳をチェックする際、税金、水道光熱費、携帯電話代などを延滞することなくキチンと支払っているかどうかもチェックされます。

資金調達に関する情報をまとめた資金調達手帳(無料)では、CIC(指定信用情報機関)に登録されている信用情報をチェックする方法を解説しています。簡単に確認できるので、自身の信用情報に不安がある場合、資金調達手帳を参考に信用情報を開示してみてください。(創業手帳編集部)

返済可能性

創業融資の審査基準3:返済可能性

ざっくりわかる融資返済の可能性

金融機関は、起業家がこれから手掛けようとしているビジネスが、きちんと返済できるだけの利益を上げられるものかどうかを、厳しく審査をします。

起業家がどれだけ情熱をもっていても、そのビジネスがどれだけ社会に有益なビジネスだとしても、融資が返済できるだけの利益が上がるビジネスでないと貸せません。そういった視点で冷徹な審査がなされます。

返済の可能性があるかないかは、事業計画書上の利益の推移とその妥当性を審査していきます。ざっくりと捉えると

税金を引いたあとの月の利益 > 月々の返済額

になっているかどうか、そして、そのことに説得力があるかどうかです。

赤字続きの事業計画書作成はご法度

よくある失敗例としては、このことを全く無視して、何年も赤字続きの事業計画書を作成してしまうケースです。金融機関としては、融資したくても貸せないということになってしまいます。

創業融資の財源は、元を辿っていけば、それは税金です。金融機関にとっては、大事な税金を起業家に貸すのと同じことであり、社会的にも確実に回収する責任があります。よって、金融機関にとっても、融資したいという想いだけでは融資はできません。

資金使途

日本円

お金の使いみちは根拠を示す

創業融資を借りる際には、「資金使途 = お金の使いみち」を全て証明する必要があります。

例えば、創業資金(事業全体でかかるお金)が1500万円だという事業計画書をもとに、自己資金500万円、借入希望額1000万円の申込みをするとします。事業全体でかかるというその1500万円の内訳を資金使途として示し、それぞれ、見積書などで根拠を示す必要があります。

具体的には、これから契約する予定の賃貸物件にかかる経費などは、物件のチラシなどを示します。

また、融資がおりた後に、使用用途が申請と合っているかを確認されます。申請した通りに融資金を使わないと、融資が打ち切られたり今後融資を受けられなくなったりすることもあります。

資金がかからないビジネスの注意点

コンサルタント業など、多額の資金がかからないビジネスで起業する場合、自己資金が500万円あれば、最大1000万円の借入枠が期待できるケースであっても総額1500万円の資金使途、見積書は示せないはずです。

よって、このような業態で起業する場合、資金使途が明確になっているお金以外は融資を受けられない場合があるので、注意が必要です。

まとめ

「敵を知り己を知らば百戦危うからず」。

経営は情報戦。創業融資に関してはいえば、重視される審査基準を知ることが、融資の勝敗を分けるといってもいいでしょう。失敗の許されない一発勝負の審査に臨むときには万全の体制で準備をしておくことが望ましいです。

今回紹介した、創業融資で重要となる4つの審査基準をクリアするためには、事前から準備や習慣を改める必要な場合もあるでしょう。いざ融資を受ける際にどうにもならない状況を避けるためにも、しっかり対策を練っておきましょう。

資金調達手帳では、創業4カ月の会社が1,000万円の融資を受けられた事例など、融資を受ける際の参考になる記事を掲載しています。対策に役立ててください。(創業手帳編集部)

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(監修:起業コンサルタント(R)・税理士・社労士・行政書士 中野裕哲
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(編集:創業手帳編集部)

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