600社以上が導入した「暗闇の企業研修」 体験で“見えた”「目に見えない仕事のヒント」

創業手帳

ダイアログ・イン・ザ・ダークの企業研修体験レポ

(2019/01/16更新)

視覚障がい者の案内のもと、グループで暗闇に入り、様々な体験を楽しみながらコミュニケーションの大切さや人の温かさを思い出すためのソーシャルエンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DID)」。東京都内にあるTokyoDiversityLabでは、このエンターテイメントを企業向けにアレンジした研修プログラムを展開しており、これまで600社以上が導入しました。
完全な暗闇の中で、どんなビジネスに役立つヒントを得られるのか、創業手帳編集部が実際に体験してきました。

照度ゼロの暗闇、「発信」がとにかく大事

今回は※体験会ということで「ビジネスワークショップ・スタンダード」というプログラムのショートバージョンに参加しました。集まった数名で、まずは円になって顔合わせとスタッフによるプログラムの説明から入ります。

※DIDの企業研修導入を検討している企業関係者向けの体験会です。

体験会ということもあり、それぞれ全く異なる業界から来た参加者は、年齢や性別もさまざま。最初は皆さんちょっと緊張ぎみでした。

暗闇の中ではアイコンタクトや表情を読むことはできないので、声でのコミュニケーションがとても大事です。発信をしなければ、自分はいない存在となってしまいますよね。まずはお互いに声を出すウォーミングアップから始めましょう」

スタッフに促されて、参加者と2人1組になって、「コミュニケーションで得意な部分、苦手な部分」について伝え合う時間が設けられました。

記者とパートナーを組んだ参加者とは初対面で、もちろんお互いの情報を何も持っていません。与えられた時間は1分半ほどでしたが、話してみるとこれが意外と長い。お互いぎこちないコミュニケーションに苦笑いでした。言いたいことをその場で整理して、自分から発信することの難しさを感じます。

白状を渡されて、暗闇の中へ(写真はイメージ、以下同)

チェックインが終わってからグループ分けが発表され、暗闇の中で各グループの案内役を務める視覚障がい者のスタッフ紹介がありました。いよいよ暗闇での研修が始まります。参加者は視覚障がい者が使う「白杖」と呼ばれる白い杖を渡され、スタッフから使い方を教わり、いざ暗闇の中へ。

DIDの暗闇は“照度ゼロ”。たとえ1週間その空間に入っていても、一筋の光も見えない完全な暗闇です。事前に説明を受けていましたが、実際に入ってみると本当に何も見えずにビックリします。暗闇のいたるところで、参加者の皆さんがどよめく声が聞こえました。

暗闇の中では、とにかく声を出してください。自分の名前と一緒に、グループのみんなに自分がどこにいるか、何をしているかどんどん伝えてください

スタッフの導きにしたがって、互いに声を出しながら、白杖を駆使して闇の中を進んでいきます。ウォーミングアップであるゲームをしたのですが、しっかり声をだして自分の場所を伝えたり、声が聞こえる方向に意識を傾けると、何も見えない中でもちゃんと相手がどこにいるのか、次第にわかるようになりました。

自然と生まれる活発なコミュニケーション

見えない世界だからこそ、コミュニケーションが大事

暗闇に慣れ、互いの緊張がだいぶ解けたところで、グループワークに入りました
暗闇の中なので、伝達手段は声のみ。どんなワークだったのか、ネタバレになってしまうのでここでは詳しく書きませんが、見えない中で互いの認識をすり合わせていくために、参加者の間で活発に意見が飛び交います。相談後、グループで予想した通りにワークを進めていくと、見事成功!一同大はしゃぎで喜びました。(あとで聞きましたが、このワークはとても難しいそうです)

「では、今回のアクティビティでどんな気付きがあったか、どんなことが大事だと思ったか、3つのポイントをグループで挙げてみましょう」

暗闇を案内する視覚障がい者のスタッフのリードで、メンバーと振り返りを行いながら発見や反省点をまとめ、各グループの代表者が発表しました。うまくいった点、いかなかった点を他のグループとも共有することで、さらなる気づきを得られます。

暗闇の時間が終わるころには、最初に感じていた緊張もすっかり解け、顔合わせの時からは想像もつかないほどメンバーどうしが心を開き、積極的にコミュニケーションを取れるようになっていました。

暗闇の中には、仕事で使える発見がたくさん

暗闇で得たたくさんの気づきとともに、見える世界に戻ります

明るい世界に戻ってからは、暗闇体験の感想を最初と同じように2人1組で伝えあいました。再びグループに戻って、暗闇のグループワークでまとめた3つのポイントを軸に、個々の気づきを並べて「仕事のコミュニケーションで大事な要素」をまとめ、互いの気づきを共有して終了となりました。

今回は体験会ということで、実際のプログラムの半分にも満たない研修でしたが、短い時間の中でもビジネスに応用できる発見・ヒントがたくさんありました。

例えば、仕事では上司部下、取引先など、相手のステータスや人柄によってコミュニケーションのとりやすさが異なることがよくあります。しかし、暗闇の中では普段の関係性がフラットになり、みんな等しく「互いに協力しないと先に進めない状況」に置かれます。目が見えている時は造作もなくできる判断も、暗闇では丁寧にコミュニケーションを取らないとうまく行きません。

暗闇のワークを体験した参加者からは「本来仕事は、暗闇の中でやったように、少しでも分からないことや疑問があったら即対話して、現状を共有しながら進めなきゃいけないけど、今までちゃんとできてなかったことがわかりました」と言う声が多くあがりました。

他にも「暗闇の中では、一つの情報について、違う角度から何度も確認してようやく認識をすり合わせることができました。このすり合わせのプロセスは、実際の仕事でも使えそうです」といった声など、暗闇の中だからこそ見えた助け合い・共同作業のヒントが数多く、DIDが企業研修に効果的であることがよくわかりました。

DIDでは、ビジネスワークショップ・スタンダードのほかに、災害など緊急事態を想定した「エマージェンシー」、対話を通じて仕事仲間との信頼を強める「Relational Edutainment(関係回復)」、遊びながらチームワークを高める「レクリエーション」というプログラムを提供しています。

ひと味違うユニークな暗闇の企業研修、「コミュニケーション向上」「チームビルディング」「イノベーション能力向上」「リーダーシップ養成」「ダイバーシティ推進」など、チームのパフォーマンスを上げるための一つの選択肢として導入してみるのも良いかもしれません。

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(編集:創業手帳編集部)

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