越境ECとは?ネットショップの海外展開における展望とリスクをチェック
海外市場の開拓のビジネスチャンスにもつながる越境ECの注意点から成功のポイントを紹介!
国内市場の成長が期待できない中で注目されているのが「越境EC」。
インバウンド需要をこえる市場規模ともいわれており、新たなビジネスチャンスの発掘や、海外進出のテストマーケティングなどの場として活用が期待されています。
今回は注目を浴びている越境ECとはなにか、始める前に注意しておくべき理由などをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
越境ECとは?
越境ECとは、経済産業省で「消費者と当該消費者が居住している国以外に国籍をもつ事業者との電子商取引(購買)」と定義されています。
つまり、国境を超えてプロダクトの販売などを行えるECサイトの取引のことです。
従来、ECサイトは国内での取引が前提でした。しかし、越境ECなら中国やアメリカなど海外の顧客とのやりとりも可能になるため、新たなビジネスチャンスにも繋がることから大きな注目を集めています。
越境ECが注目されている3つの理由
なぜ、いま越境ECがここまで注目を浴びているのでしょうか。その理由を3つご紹介します。
スマートフォンなどインフラの整備が進んだ
1点目は、インフラが整備されてきたことです。スマートフォンが世界中で普及したことによって、誰でもインターネットに接続することができるようになりました。
そのため、物理的な店舗がなくても誰でも海外のECサイトを比較しながら、より高品質でより低価格な商品を探せるようになってきました。
つまり、スマートフォンなどのインフラが整備されたことで、ECサイトを利用する層が増えて越境EC拡大につながったのです。
国内市場だけにとらわれない展開が可能となった
2点目は国内市場だけにとらわれず、海外市場への展開も可能となったことです。
国内では高齢化による人口減少やモノが溢れかえっていることなどから、今後国内市場の競争は激化する可能性があります。
そのため、国内市場が厳しくなってきている中で、企業や個人にとって中国や東南アジアなどの市場が伸びている海外市場に新たなビジネスチャンスが期待されています。
このことから、日本にいても海外進出できる越境ECが注目されているのです。
コストが抑えられるようになった
3点目はコストが抑えられるようになってきている点です。
上記でもふれたように、海外市場に期待していても実店舗への進出や人員を確保するには大きなコストがかかります。
しかし、海外で様々なECモールが普及してきたことによって、数万円から数十万円という低コストで海外市場に進出できるようなってきました。
こういった理由から、越境ECは大きな注目を集めてきているのです。
越境ECの仕組みとは?
越境ECを実際に行うためにも、3つの仕組みについて知っておきましょう。
自社サイトの構築
対象となる国や言語を設定して自社の越境ECサイトを構築し、自社プロダクトを販売する仕組みです。自社でサーバーをレンタルして構築する方法もあります。
また、近年ではShopifyなどのサービスもよく使われています。こういったサービスでは、サイトデザインのテンプレートをはじめ、越境ECに必要な機能がそろっており、簡単に自社サイトを作成・管理することができます。
ECモールに展開
越境ECが許可されている海外ECモールや国内モールで、海外展開をしているモールに出店・販売できるものもあります。
越境ECが許可されているモールの例としては、欧米のEbayやAmazon、中国では天猫国際、東南アジアではLazada、国内で海外での展開をサポートしているものとしては楽天などですね。
このようなモールに出店するのも1つの方法です。
保税区
保税区とは、中国を中心に導入されている制度です。指定されている保税区にある倉庫にあらかじめプロダクトを納品しておき、商品が購入された際はその倉庫から発送します。
倉庫内の保管費用はかかりますが、現地からの発送となるため税関の通過が安定的になったり、配送時間や配送料を抑えることができます。
中国以外にもAmazonのFDA(※)などで導入されています。
※FDA・・・アメリカ食品医薬品局のこと。米国への輸入・販売に際して、許認可が必要な商品の許認可登録をしてくれます
越境ECの注意点も知っておこう
越境ECの注目度は高まっていますが、ビジネスチャンスだけをみて挑戦するのではなく、注意点も理解しておくことが重要です。越境ECの注意点には大きく3つあります。
配送料・手数料などが国内ECよりも高い
1点目は、配送料・手数料が国内ECよりも高いということです。
国内ECの場合は、郵便などの配送料や手数料などを抑えることができます。しかし、越境ECの場合は輸出や倉庫保管料など配送料だけでも追加の出費がかかります。
そのため、商品が安価であること以外にも付加価値などの検討が必要です。
各国の関税や法規制などへの注意が必要
2点目は、各国の関税や法規制への対処を行う必要があることです。
例えば、中国ではウェブサイトを運営するために「ICP」と呼ばれるライセンスを取得する必要があります。
また、アメリカでは輸入量×輸入価格を計算して自身で納付をします。この際、自分で計算しなければいけないため不足していた場合は追徴になる可能性もあります。
このように、進出する国の関税や法規制を確認し、問題のないEC運営を行いましょう。
代金未回収や紛失リスクがある
3点目は代金未回収や紛失リスクがあることです。
海外の場合は、クレジットカードの不正利用や為替変動によって赤字が発生する可能性もあります。また、配送を行う商品の紛失リスクもゼロでもありません。
このようなリスクへの対策をしっかり行うことが求められます。
越境ECを成功させる重要な3つのポイント
最後に、越境ECで成功するためのポイントを3つご紹介します。
1.海外市場への需要を意識する
海外市場と国内市場では生活環境や求めているものが異なります。
そのため、日本で人気のないものが海外では需要があるという商品も多々あります。
例えば、海外で人気なものとして、アパレルや小物、映像やデジタルゲーム、おもちゃ、電化製品などがあります。そのほかにも、自動車やバイクのパーツなどが人気です。
このように、国内市場の商品をそのまま海外に展開するのではなく、進出する国それぞれのニーズや市場環境を調査しましょう。
Terapeak
海外の需要や市場価格を調査するツールの1つとして「Terapeak」があります。Terapeakでは、ebayで人気のある商品や平均落札価格、タイトルなどを把握することができます。
2.多言語対応
顧客は日本語が読めない場合がほとんど。日本語以外での多言語対応が求められます。
英語だけではなく、進出する国においてもっとも使われている言語での商品説明などを準備しておきましょう。
また、商品説明や使用方法、説明書など細かいところまで他言語対応しておくことで、顧客の満足度をより高められます。
3.集客施策の検討
越境ECへ出店するだけでは売上には繋がりません。海外のECモールに進出するなら、ある程度の集客が必要です。
自社サイトを立ち上げる場合などは、集客活動を行う必要があります。集客施策として、国内と同じような施策をしていても集客には繋がりません。
たとえば、中国ではGoogleが進出していないため、検索エンジンからの流入は百度(Baidu)を活用する必要があります。また、SNSもTwitterは規制されているため、Weiboを活用する必要があります。
このほかにも、日本ではInstagramの活用が注目されていますが、米国や東南アジアではFacebookの利用率が高いため、アフィリエイトやリスティング広告、ターゲティング広告などを活用する必要があります。
また、TikTokやYouTubeで各国のインフルエンサーを活用する方法もよいでしょう。
このように、集客も言語や文化が異なることによって大きく異なってきます。各国のコミュニケーション手段を理解し、適切な集客施策を検討しましょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の影響で実店舗のビジネスが難しくなってきているなか、ECビジネスが大きなビジネスチャンスとなりつつあります。
そこで注目されているのが国内ECだけではなく、海外の市場にも進出できる「越境EC」です。
越境ECを成功させるためには法規制や越境ECならではの注意点があります。まずは、実際にモールなどを検索してみるなど、市場調査をしてみてはいかがでしょうか。
コスト、手軽さ、リスク。色々な条件を組み合わせて越境ECの始めましょう。
(編集:創業手帳編集部)