市場の「スキマ」を探し、売れる商品を見つけ出せ【西村氏連載その1】

ネット通販・超入門!通販コンサルタントの西村公児氏直伝

(2020/10/09更新)

コロナ禍による経済不安が続く中、売上げの低下に悩まされている中小企業は多くあります。そんな会社の経営者の方の中には、これからECサイトを使った通販事業に踏み出そうと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

自らも20年に渡り通販会社で経験を積み、「通販コンサルタント&プロデューサー」として多くの企業の売上げを押し上げてきた西村公児氏に、創業手帳代表・大久保がインタビュー。全6回にわたって、中小企業が通販事業で成功するための道筋についてご紹介します。

西村公児(にしむら こうじ)
株式会社ルーチェ代表取締役

年商600億円の大手通信販売会社で販売企画から債権管理までを16年経験。その後、化粧品メーカーの中核メンバーとして5年間マーケティング業務に従事し、顧客企業の販促支援でレスポンス率を2倍にアップするなど成果を上げる。
株式会社ルーチェを設立し、「デジタルコマース実践道場」を主宰。テレビ番組、経済情報コンテンツなどメディア出演多数。
平成28年に「一般社団法人インターネット通販協会」を設立し、理事長に就任。「伝説の通販バイブル」(日本経済新聞出版社)、「小さな会社ネット通販 億超えのルール」(すばる舎)など著書多数。現在、多摩大学経営情報学部の非常勤講師として「ビッグデータの活用法」について学生に教える。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計150万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

「10億の売上」は中小企業が目指すひとつの目安

大久保:西村さんは「デジタルコマース実践道場(旧・10億通販塾)」を主宰されていますが、どういった経緯でこの塾を開かれたんですか?

西村:まず私の経歴をお話ししますと、大学を出てスクロールというカタログ通販会社に入社し、アンファーに転職しました。新入社員時代から約20年間、通販会社を経験して分かったことがあるんです。

まず、ある商品を売り出そうということになると、会社が抱える顧客リストの中でテストをしてから世の中にリリースしていきます。それをテストマーケティングと呼びますが、それは10億円以上の売上げが出る物がベースになっているんですね。商品の企画をする時も、その商品の設定が30億とか50億とかのレンジで売上げの計画を立てるんです。

つまり、大手企業にとっては10億円という数字はテストの範囲であって、10億円から上、30億から50億が自分たちのビジネスの領域になるんですね。

小さい会社にとっては10億というのは途方もない数字になりますが、その大手が入ってこない領域を目指して、サポートした中小企業が「気がついたら売上が10億を超えていた」という状態を作りたくて、その数値に線を引きました。

大久保:確かに、大手にとっては10億って小さすぎる感がありますね。リクルートは100億以下はやらないと聞いたことがあります。人的リソースや管理コストがかかると考えると、大企業にとっては売上げが小さいと話にならないけれど、ベンチャーや中小企業であれば1億円でも大きな成果ですよね。

西村:そうなんです。そんなことを考えていたサラリーマン時代に、「通販を始めたい、通販のことを教えてくれ」と頼まれたことがきっかけで、需要があるならと始めたのが10億通販塾なんです。

ネット通販に限らず、通販事業自体って、少子高齢化の日本で右肩上がりに伸びている数少ない業種の1つなんですよ。

高齢化や女性の社会進出などにより、リアル店舗での買い物から、通販での購入へと消費行動が変わってきています。地方では実店舗がどんどん閉店していっていますし、ネットやカタログでの買い物が、ますます日本人にとって身近になっていくでしょう。

大久保:コロナで自粛生活をせざるを得なかった期間も、ネットで買い物ができるということが多くの人を助けたんじゃないでしょうか。

西村:そうですね。急激な情報技術の進歩が通販業界の拡大をもたらし、そこにネットを使ったマーケティングが洗練されてきたことでさらに急成長しています。それを踏まえると、むしろ10億円の売り上げというのは、つつましいゴールなのです。

拡大する業種と縮小する業種のどちらでビジネスをするのがいいか、言うまでもないですよね。通販ビジネスで成功するためには、10年に一度の波に乗りながら、自社のビジネスを拡大させられるスキマを見つければいいだけなのです。

ネット通販で商品を作る上で大切なのは、「右肩上がりのトレンド」を見つけること

大久保:ネット通販の商品を作る上で、大切にするべきことは何ですか?

西村:まず、その商品が「右肩上がりのトレンド」に乗れそうかということが、非常に重要ですね。

今だと巣篭もり需要があって、テレビや色々な媒体で「睡眠」というワードが頻繁に出ています。「枕を変える」「パジャマにAIセンサーをつける」など、いろんな形で睡眠に関する話題があります。その背景として、コロナがあり、みんな不安を持っていて、先が見えない。そういうところで人々の価値観が変容しています。

このように右肩上がりの分野にテクノロジーを組み合わせ、「数字が取れるかどうか」ということを意識すると、成功の確度が一気に高くなるんですね。「テクノロジー」とは、いわゆる「〇〇テック」という言葉に表現される言葉となります。

睡眠の話だと「ヘルステック」の分野は伸びていく見込みがありますので、最近の需要が増している分野に掛け算をして、あたりをつけていくのが一番大事です。

大久保:まずは市場のニーズを読むことが大事なのですね。

西村:はい。なぜ大事かというと、広告をたくさん打つ必要がなくなるからです。下りのエスカレーターで上がって行こうとするのは大変ですよね。一方で、登りのエスカレーターだと、いろんなメディアがそのワードを使ってくれているので、無駄な労力や出費を使う必要がありません。後は自社の違いを出せばいいんです。

リサーチに頭は使いますが、正しい商品のセレクトができれば、その後の伸びは早いですよ。

商品は開発前に「脳内SEO」で調査をする

大久保:マーケットが伸びているか、大きさがちょうどいいかに加えて、市場の利益率もありそうですね。家電のような、誰が売っても同じ物は粗利が低いですし。

西村:そうですね。物だけじゃなく、状況を加味してビジネスができるかも大事ですね。例えば、物販でカメラを販売するときに、商品だけではなくて「カメラでどうやって撮るか」をレクチャーする講座とセットにすると、その後も伸びたりします。

「有形(この場合はカメラ)」と「無形(この場合は撮影講座)」を組み合わせることができて、粗利が稼げて、サブスクリプションにできるといい流れができます。

「右肩上がりの分野」「テクノロジーを活かすことができる」は常に意識することをおすすめします。
 
新しい商品を開発する際には、リリース前にちょっとした謝礼を用意して、既存のお客様に商品を試してもらいます。企画段階の商品の説明をして、実際にネット通販にその商品が合ったら買うかどうかを判断していただきます。

事前調査の目的はイメージ形成がスムーズにできるコンセプトを探すことなので、お客様にはコンセプトと価格のみを伝えて、実際の画像などは見せてはいけません。あくまで、説明だけでお客様が商品をイメージ出来るかが重要です。僕はこれを「脳内SEO(※)」と呼んでいます。

※SEO:Serch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略。検索エンジンの検索結果上で、サイトがより上位表示されるようにするための、種々の施作のこと。

大久保:ネットってどうしても比較されてしまうので、情報の付加価値があった方が利益が高くなるということですね。ではどうやってその付加価値を見つければいいのか、さらにお話をうかがっていきたいと思います。(次回へ続きます)

この記事を書いた「創業手帳」では、起業に役立つ情報が詰まった「創業手帳 冊子版」も配布しています。無料でお取り寄せ可能ですので、ぜひお問い合わせください。

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(取材協力: 株式会社ルーチェ代表取締役 西村公児
(編集: 創業手帳編集部)

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