【税理士監修】会社設立の費用はいくら?株式会社と合同会社を比較
会社設立にかかる費用を計算してみましょう

会社の設立費用はこれから会社を設立しようと考えている人にとって、重要な関心事のひとつではないでしょうか?
会社設立にどれぐらいの費用がかかるか知ることで、用意すべきお金がわかり、設立までのプランも立てやすくなります。
本記事では、会社設立にかかる費用について解説します。
大手監査法人、大学発スタートアップを経て、独立系VCでファンドの運営管理・投資実行などVC業務全般に関与。2021年に税理士事務所を開業して、ベンチャー企業を中心に支援している。
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。
この記事の目次
会社設立費用とは?

会社設立費用とは、会社設立登記に必要となる費用のことです。登記の際には最低限の費用として、定款作成にかかる費用と、法務局で支払う費用の2種類が必要です。
| 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|
| 紙の定款 | 233,000円〜 | 112,000円〜 |
| 電子定款 | 196,000円〜 | 75,000円〜 |
| 設立スピード | 1〜2週間 | 最短1日 |
株式会社と合同会社の会社設立費用を一覧で比較すると、以下のとおりです。定款の認証手数料や登録免許税の違いにより、合同会社のほうが設立費用は安くなります。
| 株式会社 | 合同会社 | |||
|---|---|---|---|---|
| 紙の定款 | 電子定款 | 紙の定款 | 電子定款 | |
| 認証手数料 | 30,000(条件付きで15,000)~50,000円 | なし | ||
| 印紙代 | 40,000円 | なし | 40,000円 | なし |
| 定款の謄本 | 2,000円程度 | なし | ||
| 登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 | ||
| 電子定款システム費用 | なし | 3,000円程度 | なし | 3,000円程度 |
| 会社の印鑑 | 10,000円~20,000円 | |||
| 印鑑証明書代 | 1,000~2,000円程度 | なし | ||
| 合計 | 233,000~264,000円程度 | 196,000~227,000円程度 | 112,000~122,000円程度 | 75,000~85,000円程度 |
※金額は最低金額を想定した目安です。資本金の金額などにより表示金額より高くなります。このほかに資本金の用意が必要です。
表のとおり、費用を抑えたいなら合同会社、信用力や資金調達を重視するなら株式会社が向いています。設立スピードにも差があるため、起業後の動き方も踏まえて選びましょう。
株式会社と合同会社では、法定費用や運営の仕組みに違いがあります。次の項目で、両者の会社形態の違いから見ていきましょう。
会社設立には2つの方法がある
皆さんは会社の設立というと、どのようなものを想像されるでしょうか?株主が出資し、株を取得するという「株式会社」を想像される方が多いのではないでしょうか?
じつは、日本の会社には株式会社以外の形態の会社も多くあります。その代表的なものが「合同会社」です。
ここでは、「株式会社」と「合同会社」の会社の設立方法とその費用を見ていきます。
株式会社とは
株式会社とは、出資者が株式を取得し株主となることで設立される法人です。 重要なポイントとして、出資者と経営者が異なることです。株主は直接経営を行わず、株主に選ばれた取締役が経営をおこないます。
- 株主・・・株主総会により、定款の変更などの重要な事項の決議をおこなう
- 取締役・・・取締役会により、経営上の意思決定や業務執行の監督をおこなう
株式会社設立のおおまかな流れは、会社の名前や目的などの決まり事を定めた「定款」を作成・認証し、その定款を持って法務局で会社設立の「登記」をします。少し細かくみると、次のとおりです。
- ①事前準備(印鑑の用意と定款記載事項の決定)
- ②定款の作成と認証
- ③出資金の払い込み
- ④会社設立登記
合同会社とは
合同会社は、平成18年の会社法の施行による有限会社の廃止に伴い、新しく設けられた会社形態の1つです。合同会社は社員が出資金の払い込みをします。重要なポイントとして、出資者と経営者が同じということです。出資者と経営者が同じのため、株式会社のように株主総会や取締役会がありません。
- 重要な事項の決定・・・社員全員の同意が必要
- 経営上の意思決定・・・(業務執行)社員の過半数の同意が必要
合同会社設立のおおまかな流れは、会社の名前や目的などの決まり事を定めた「定款」を作成し、その定款を持って法務局で会社設立の「登記」をします。
少し細かくみると、次のとおりです。
- ①事前準備…印鑑の用意と定款記載事項の決定
- ②定款の作成
- ③出資金の払い込み
- ④会社設立登記
株式会社とほぼ同じのように見えますが、合同会社には「定款の認証」がありません。「定款の認証」とは、公証人が定款について問題ないと認めることです。
少し話はそれますが、法人税法上は株式会社も合同会社も同じ「普通法人」です。そのため法人税などについてはどちらも同じです。
さて、会社設立の登記をしたら、所轄税務署や都道府県の県税事務所、市区町村役場に「設立届」を提出する必要があります。この「設立届」の用紙も株式会社、合同会社とも同じ用紙になります。
安く会社設立するなら合同会社
株式会社と合同会社で会社設立費用が安いのは合同会社です。理由は、定款の認証がないことや後述する登録免許税が安いことなどがあります。
しかし、株式会社と合同会社は、会社設立費用だけでなくその後の会社運営においてあらゆる違いがあります。
双方を比較し、どちらが自分の起こしたい事業に合うか確かめてから起業しましょう。
株式会社のメリットもチェックしよう:公認会計士・税理士 林 俊之’sポイント
会社設立にかかる費用は3つある

会社設立にかかる費用は性質上、次の3つに分けられます。これは株式会社も合同会社も同じです。
1.法定費用
会社設立の手続きには法的に決められた費用、つまり必ず発生する費用があります。これを「法定費用」といいます。
法定費用は、定款に関する費用と登記に関する費用の2つからなります。
定款に関する費用は「定款認証手数料」「印紙代」「定款の謄本費用」があります。登記に関する費用は「登録免許税」です。登録免許税とは、簡単に言うと登記や登録に対して課税される税金です。
2.その他の費用
その他の費用とは、法定費用以外の費用です。
例えば、
- 印鑑作成費用
- 印鑑証明の発行手数料
- 登記簿謄本の発行手数料
- 司法書士や行政書士といった専門家へ支払う報酬
などがあります。
書類は発行枚数により金額は上がり、代行業者に依頼するとその分の手数料が加わります。
ここであげたその他の費用に関して、合同会社と株式会社でかかる費用に大きな差はありません。
3.資本金
「資本金」とは、会社が事業を始めるにあたって会社で持っている運転資金のことです。会社法の施行により資本金1円から会社設立できるようになりました。これは、株式会社も合同会社も同じです。
しかし、設立当初は資本金を運転資金に充てるため、少なすぎると会社運営に支障が出ます。実務上は100万円〜300万円程度に設定するケースが多く、決め方のポイントは次の4つです。
- 消費税:
資本金1,000万円未満なら、設立後最大2年間は消費税の 納税が免除される
- 登録免許税:
資本金が一定額(株式会社は約2,143万円、合同会社は約857万円)を超えると最低額から増加する
- 許認可業種の最低資本金:
建設業500万円、労働者派遣2,000万円など業種により最低額が定められている
- 法人口座・創業融資の審査:
資本金1円では法人口座開設を断られたり、 日本政策金融公庫の創業融資で不利になったりする可能性がある
運転資金等が不足する場合は「創業融資」の利用も検討しましょう。創業融資とは新しく事業を始める人を応援するため各地方自治体や日本政策金融公庫などが行っている融資制度です。
無担保・無保証、連帯保証人不要というところが多く、利用するメリットはあるでしょう。
株式会社と合同会社それぞれの法定費用を比較!

ここからは株式会社、合同会社それぞれで会社設立にかかる費用を見ていきます。
株式会社を設立する際の法定費用
株式会社を設立する際の法定費用は、定款にかかる費用と登記にかかる費用の2つがあります。それぞれを見ていきます。
①定款にかかる費用
定款には「紙の定款」と「電子定款」の2つがあります。「電子定款」とは、定款をPDFで作っておくことです。紙で作ったものをPDF化し、代表者が作った旨の証明(電子証明)をおこない、役所等にPDFファイルとして提出します。紙の定款と電子定款でそれぞれ法定費用が異なります。
また、株式会社は、会社で作成した定款を公証人役場で認証を受ける必要があります。
| 株式会社 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
|
印紙代 |
40,000円 |
なし |
|
認証手数料 |
30,000~50,000円 |
30,000~50,000円 |
|
定款の謄本 |
2,000円程度 |
2,000円程度 |
定款の認証手数料は設立する会社の資本金などの額によって変わり、
- 100万円未満の場合は3万円
- 100万円以上300万円未満の場合は4万円
- その他の場合は5万円
と、公証人手数料令35 条で定められています。
また、定款の謄本発行手数料は1ページにつき250円かかるため、ページが多いほど費用はふくらみます。平均的な定款の場合は8ページなので、2,000円程度です。
②設立登記にかかる費用
設立登記にかかる費用は登録免許税です。登録免許税は「資本金の金額×0.7%」です。株式会社の場合「資本金の金額×0.7%」が150,000円に満たない場合は最低150,000円です。
株式会社の法定費用を合計すると、紙の定款の場合は22~24万円程度、電子定款の場合は18~22万円程度の設立費用がかかります。※登録免許税を最低必要な15万円で計算。
合同会社を設立する際の法定費用
合同会社を設立する際の法定費用も、定款にかかる費用と登記にかかる費用の2つがあります。それぞれを見ていきます。
①定款にかかる費用
合同会社は定款への認証が不要です。そのため認証手数料はかかりません。合同会社の場合も定款は「紙の定款」と「電子定款」の2つがあります。
| 合同会社 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
|
印紙代 |
40,000円 |
なし |
|
認証手数料 |
なし |
なし |
|
定款の謄本 |
なし |
なし |
②登記にかかる費用
登記にかかる費用は登録免許税です。登録免許税は「資本金の金額×0.7%」です。合同会社は「資本金の金額×0.7%」が60,000円に満たない場合は最低60,000円です。
合同会社の法定費用を合計すると、紙の定款の場合は10~11万円程度、電子定款の場合は6~7万円程度の設立費用がかかります。※登録免許税を最低必要な6万円で計算。
その他の費用

会社設立には法定費用以外にも費用がかかります。ここでは、その他の費用を見ていきます。
電子定款作成に必要なシステム費用
定款を電子定款にすると印紙代が不要になります。しかし、電子定款を作成するためにいくつか用意しないといけないものがあります。
| 必要なもの | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| ①Adobe Acrobat | ・月額2,000円程度 ・パッケージ版は約30,000円 |
無料体験版(2週間)も可能 |
| ②申請用総合ソフト、 PDF署名プラグイン |
無料 | 登記・供託オンライン申請システムより定款に電子署名をするシステムをダウンロード |
| ③利用者クライアントソフト | 無料 | 公的個人認証サービスのページから無料でダウンロード |
| ④マイナンバーカード | 無料 | 電子署名に必須 |
| ⑤ICカードリーダー/ 対応スマホ |
2,000~3,000円 | どちらかが1つ |
最近は電子定款を選ぶ方が増えています。費用も紙よりややお手頃ですし、自分のペースで手続きを進めることができますので、紙にこだわりが無ければ一度検討してみてはいかがでしょうか。
会社の実印作成費用
会社で一般的に必要な印鑑は3種類あります。
| 種類 | 用途 | 相場 |
|---|---|---|
| ①実印 | 設立登記、業務上の契約など、会社で最も重要な印鑑 | 3本セットで1万円以内 |
| ②銀行印 | 預金口座の作成、手形・小切手の振り出しなど | |
| ③角印 | 注文書や源泉徴収票など、主に社内で使用 |
通常は3本セットで販売されており、ネットで1万円以内で購入できます。実印は印鑑登録をして初めて「実印」と呼ばれる点に注意しましょう。
印鑑証明書(株式会社の場合のみ)
株式会社の場合、設立の際に発起人、取締役全員の個人の印鑑証明書が必要になります。
印鑑証明書の手数料は
- 書面請求:450円
- オンライン請求送付:410円
- オンライン請求窓口交付:390円
です。
印鑑登録がまだの場合は、先に市区町村役場で印鑑登録をすませてから印鑑証明を発行します。
※設立登記で個人の印鑑証明書が必要なのは株式会社のみですが、会社の実印を登録する際は、合同会社であっても代表社員の印鑑証明書は必要です。
自分で設立する場合と専門家に依頼する場合の費用比較
会社設立は自分で行うこともできますし、専門家に依頼することもできます。それぞれの費用相場は以下のとおりです。
| 依頼先 | 報酬相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自分で行う | 0円 | ・法定費用のみ ・手間と時間がかかる |
| 司法書士 | 5~10万円 | ・登記の専門家 ・書類作成を一任 |
| 税理士 | 0~5万円 | ・顧問契約とセットで割安・無料プランも多い |
| 行政書士 | 3~7万円 | ・定款作成のサポートが中心 |
| 会社設立サービス | 0~3万円 | ・弥生・freee等 ・会計ソフトとセットが多い |
自分で設立すれば費用は法定費用のみで済みます。ただし、一般的には定款作成や登記書類の準備に2〜3週間かかります。
一方、税理士の0円プランや会計ソフト会社のサービスを利用すれば、顧問契約や有料プラン加入を条件に、設立サポート費用が無料になるケースもあります。設立後の会計・税務もまとめて任せたい人は、専門家への依頼を検討しましょう。
会社設立費用を抑える方法

会社設立費用を抑える主な方法は「電子定款の導入」と「資本金の調整」の2つです。
電子定款を導入すれば、紙の定款で必要な収入印紙代4万円が不要になります。Adobe AcrobatやICカードリーダーの初期投資は必要ですが、設立後の業務にも活用できるため、長期的に見れば大きな節約につながります。
資本金の調整では、株式会社は1,000万円未満、合同会社は857万円未満に設定するのがポイントです。消費税の免税期間の確保や、登録免許税の最低額適用につながり、法人住民税の均等割も抑えられます。
株式会社で決算公告を電子公告にすると、官報と比べて年間60,000円の節約になります。
設立後にランニングコストがかかる
会社設立で注意したいのは、初期費用だけでは終わらない点です。設立後も毎年発生するランニングコストがあり、資金計画を立てるうえで見落とせません。主なコストは次のとおりです。
- 法人住民税の均等割:年7万円〜(赤字でも必ず発生)
- 社会保険料:役員1名でも加入義務あり。(報酬月額に応じて発生)
- 税理士顧問料:月1〜3万円が相場
設立前にランニングコストも織り込んで、資金計画を立てておきましょう。
会社設立費用に関するQ&A

ここからは、会社設立費用でよくある質問をまとめてみました。
約6万円で会社が設立できるとは?
合同会社に限り可能です。合同会社は登録免許税が6万円だからです。定款を電子データにすれば、印紙代4万円はかかりません。ただし、登録免許税は、資本金の0.7%と比べて高いほうという決まりがあります。つまり約857万円以上の資本金なら、設立費用は6万円より高くなります。
合同会社はなぜ定款認証が不要なの?
合同会社は出資者(社員)と経営者が同じ「持分会社」で、社員全員の合意で定款を作成します。不特定多数の利害関係者を保護する必要がないため、第三者による認証が不要です。
資本金1円でも本当に会社は設立できる?
法律上は資本金1円でも会社設立は可能です。ただし実務上は、法人口座の開設審査や創業融資の審査で不利になりやすく、取引先からの信用も得にくい傾向にあります。最低でも100万円程度を準備するのが現実的です。
税理士による0円設立プランとは?:公認会計士・税理士 林 俊之’sポイント

0円プランとは、税理士によるサポート費用が無料という意味です。登録免許税が無料になるという意味ではありません。多くの場合、顧問契約を条件に、定款作成費用を0円にしています。
最近は、会計ソフトの会社が同様のサービス(弥生会計の「弥生のかんたん会社設立」など)を提供していて、ウェブサイトで案内に従って必要な手続きが完了するようになっています。
まとめ
株式会社より合同会社のほうが、また紙の定款より電子定款のほうが設立費用は安く抑えられます。ただし、株式会社を選択することによる信用面などのメリットもあるため、よく考えてから決断するようにしましょう。
会社設立費用に関するQ&A

ここからは、会社設立費用でよくある質問をまとめてみました。
約6万円で会社が設立できるとは?
合同会社に限り可能です。合同会社は登録免許税が6万円だからです。定款を電子データにすれば、印紙代4万円はかかりません。ただし、登録免許税は、資本金の0.7%と比べて高いほうという決まりがあります。つまり約857万円以上の資本金なら、設立費用は6万円より高くなります。
合同会社はなぜ定款認証が不要なの?
合同会社は出資者(社員)と経営者が同じ「持分会社」で、社員全員の合意で定款を作成します。不特定多数の利害関係者を保護する必要がないため、第三者による認証が不要です。
資本金1円でも本当に会社は設立できる?
法律上は資本金1円でも会社設立は可能です。ただし実務上は、法人口座の開設審査や創業融資の審査で不利になりやすく、取引先からの信用も得にくい傾向にあります。最低でも100万円程度を準備するのが現実的です。

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合同会社は設立費用が安くて運営の事務負担が少ないので、つい合同会社を選んでしまうケースも散見されますが、株式会社は合同会社と比べると、信用力を得られやすかったり、節税の選択肢が増えるなどのメリットがあります。そのため、中長期的な視点も考慮して慎重に検討しましょう。