【2026年】事業承継・M&A補助金とは?申請方法やスケジュールをまとめました。
事業承継・M&A補助金はスケジュールを把握して計画的に取り組もう

後継者不足の解消やM&Aによる成長を支援する「事業承継・M&A補助金」。
本補助金を有効活用するには、自社の取り組みが4つの支援枠(事業承継促進・専門家活用・PMI推進・廃業再チャレンジ)のどれに該当し、どの特例(賃上げや100億円企業特例など)が適用できるかを正確に把握することが重要です。
ただし、公募期間は限られており、「交付決定前の契約・発注は原則対象外」となるなど厳格なスケジュール管理が求められます。
特に、申請に必須となる「GビズIDプライムアカウント」は、発行までに通常1〜2週間(混雑時は3週間以上)かかります。公募の締め切りを待たず、今すぐ取得手続きを進めましょう。
本記事では、制度の最新概要から失敗しない申請の流れまで分かりやすく解説します。
この記事の目次
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)ってなに?

多くの中堅企業、中小企業が抱えているのが、事業承継の悩みです。オーナーや社長から誰を後継者にして事業を引き継ぐのかを、経営課題としている企業は多いでしょう。
事業承継・M&A補助金は、事業承継をきっかけに新しい取り組みをスタートする中小企業や、事業再編・事業統合に伴って経営資源の引継ぎを進める中小企業を支援する制度です。
具体的には、費用負担の軽減して承継後の積極的な投資を促進するために、中小企業者の事業承継・経営資源引継ぎに要する費用を、一部補助しています。
【2026年】事業承継・M&A補助金の主な変更点(第15次公募)
2026年5月22日に公表された第15次公募の要領に基づき、前回の公募から新しく変更された点や追加された枠について解説します。
1. 「専門家活用枠 小規模売り手支援類型」の新設
今回から新たに、小規模な売り手企業向けの支援類型が拡充されました。
- 対象:会社や事業を第三者に引き継ぎたい小規模事業者等(製造業などは従業員20名以下、商業・サービス業などは5名以下など)。
- 補助内容:M&Aの専門家(FA・仲介等)に依頼する委託費やプラットフォーム登録費用などに対し、最大450万円(補助率2/3以内、補助下限額なし)が補助されます。
- 注意点:補助事業期間内にM&Aが成立しなかった場合の補助上限額は50万円となります。
2. 「廃業・再チャレンジ枠」の補助上限額引き上げ
廃業・再チャレンジ枠の補助上限額が、従来の150万円から300万円に引き上げられました。また、対象経費に「土壌汚染調査費」などが追加されています。
3. 「事業承継促進枠」の対象の整理
事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継等(事業再生を伴うものを含む)を予定・実施する者の設備投資等を支援する枠として整理されました。M&Aを伴う場合は、本枠ではなく専門家活用枠やPMI推進枠を利用することになります。
4. 「専門家活用枠」の補助率の整理
専門家活用枠における補助率が公募要領にて整理されました。
- 買い手支援類型:2/3以内。
- 売り手支援類型:原則 1/2以内。ただし、物価高等の影響による営業利益率の低下や、直近決算期の営業利益または経常利益が赤字などの要件を満たす場合は 2/3以内となります。
5. 賃上げ要件の明確な基準設定(3%以上)
補助上限額を引き上げるための「賃上げ要件」として、より明確な数値目標が設定されました。
- 内容:補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)と比較して、翌年度の「従業員1人当たりの給与支給総額」の上昇率が3%以上となる賃上げを実施し、従業員に表明すること。
- 未達時のペナルティ:賃上げ要件を達成できなかった場合、補助上限額の引き上げ額(最大200万円)の返還が求められます。
【2026年】事業承継・M&A補助金の支援枠4つの概要
2026年(令和7年度)の15次公募では、「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4つの枠が設定されています。
| 支援枠 | 補助対象 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 事業承継後の設備投資・販路開拓等 | 800万〜1,000万円 | 1/2・2/3 |
| 専門家活用枠 | M&A時のFA・仲介費用、DD費用等 | 600万〜2,000万円 | 1/2・2/3 |
| PMI推進枠 | M&A後の経営統合(IT統合・制度構築等) | 150万〜1,000万円 | 1/2・2/3 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 事業承継・M&Aに伴う廃業費用 | 300万円 | 1/2・2/3 |
それぞれの特徴や対象要件について詳しく解説します。
※出典:事業承継・M&A補助金 事務局ホームページ(15次公募要領)
1. 事業承継促進枠
親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)を予定、または実施した中小企業が、引き継いだ経営資源を活用して設備投資や事業革新を行う費用を補助します。承継後の新たな取り組みによる生産性向上と、持続的な賃上げを後押しします。
対象者:親族内承継や従業員承継等の事業承継によって事業を引き継ぐ者。
補助率:1/2または2/3(小規模事業者等の場合は2/3)
補助上限額:800万円〜1,000万円(※一定の賃上げ要件を満たす場合、上限を1,000万円に引き上げ。廃業・再チャレンジ枠併用時は+300万円)
対象経費:設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費
2. 専門家活用枠
M&Aを検討する際の専門家(仲介業者・FA)への委託費用や、デューデリジェンス(DD)費用を補助し、円滑な事業承継・事業再編を支援します。
対象者:①買い手支援類型(Ⅰ型):M&Aにより経営資源を譲り受ける予定の者 ②売り手支援類型(Ⅱ型):M&Aにより経営資源を譲り渡す予定の者
補助率:買い手は2/3以内、売り手は1/2または2/3以内(赤字や営業利益率低下の場合2/3)
補助上限額:600万円〜800万円(DD費用等を含む場合は上限800万円。廃業・再チャレンジ枠併用時は+300万円)。 ※買い手の「100億円企業特例」適用時は最大2,000万円。
対象経費:謝金、旅費、外注費、委託費(仲介・FA手数料、DD費用等)、システム利用料、保険料(表明保証保険等)
3. PMI推進枠
M&A成立後の「経営統合(PMI)」を支援します。異なる組織のシステム統合や人事制度の構築、企業文化の融合にかかる専門家への依頼費用や設備投資費用を補助し、M&Aによるシナジー最大化を目指します。
対象者:M&Aにより経営資源を譲り受けた後、PMIに取り組む中小企業等。
補助率:1/2または2/3(類型により異なる)
補助上限額:・PMI専門家活用類型:150万円 ・事業統合投資類型:800万円〜1,000万円(賃上げ実施時1,000万円)。 ※各類型で廃業・再チャレンジ枠併用時は+300万円
対象経費:謝金、旅費、委託費、設備費、外注費 等
4. 廃業・再チャレンジ枠
事業承継やM&Aに伴い、既存事業の一部または全部を廃業し、新たな事業へ再チャレンジする際の費用を補助します。
対象:M&Aで事業を譲り渡せなかったことによる廃業及び再チャレンジ、または事業承継やM&Aの実施に伴って廃業を行う者。
補助率:2/3以内(単独申請時。他の枠と併用する場合はその枠の補助率に準ずる)
補助上限額:300万円(他の枠と併用申請する場合は、各枠の上限に加算)
対象経費:廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、土壌汚染調査費、移転・移設費(併用時のみ)
【2026年】事業承継・M&A補助金の申請期間スケジュール
これから公募予定の15次公募は、事業承継促進、専門家活用、廃業・再チャレンジ、PMI推進での実施です。スケジュールは以下です。
【申請受付前】
▼15次公募 ※事業承継促進、専門家活用、廃業・再チャレンジ、PMI推進
公募申請期間:2026年6月中旬 ~ 2026年7月下旬(予定)
採択発表:2026年9月中旬(予定)
交付決定:2026年9月上旬(予定)
事業実施期間:交付決定日 ~ 2027年11月下旬(予定)
実績報告期間:2027年2月中旬~2027年12月上旬 (予定)
補助金交付手続き:2027年5月中旬以降(予定)
今後のスケジュールについては、公式ホームページで逐次更新されます。利用する予定がある場合には、小まめにチェックしてください。
事業承継・M&A補助金の申請の流れ

事業承継・M&A補助金の申請は、補助金の電子申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」を利用して行います。 jGrantsを利用するには、あらかじめ「gBizIDプライム」のアカウントを取得しておく必要があります。
以下に、申請から補助金受領までの主な流れをまとめました。支援枠や類型によって必要書類やフォーマットが異なるため、詳細は必ず事務局の最新の公募要領を確認してください。
補助対象事業の確認
まずは自社の事業承継・M&Aの計画が、補助対象の要件(支援枠)に該当するかを確認します。 公式サイトで公開されている最新の公募要領を読み込み、どの類型で申請するのが最適かを検討しましょう。
gBizIDプライムアカウントの発行
電子申請を行うための必須準備です。gBizIDプライムの発行には通常1~2週間、混雑時には3週間程度が必要となるため、公募締め切り間際に申請すると間に合わない恐れがあります。 補助金の申請を検討し始めた段階で、先行してアカウントを取得しておくことを強くおすすめします。
また、「事業承継促進枠」や「廃業・再チャレンジ枠」などでは、申請にあたって「認定経営革新等支援機関」による確認書の発行が必須となります。早期に専門家と連携し、事業計画のブラッシュアップを行いましょう。
アカウント登録に必要なもの:
- 法務局発行の印鑑証明書(法人の場合)または地方公共団体発行の印鑑登録証明書(個人事業主の場合)の原本(発行日より3カ月以内)
- 登録申請書(サイト上で作成・印刷し、実印を押印したもの)
- 代表者ご本人(個人事業主ご本人)のメールアドレスおよびSMS受信用電話番号
「gBizID」公式サイトから「gBizIDプライム作成」を行い、必要書類を郵送して申請します。
jGrantsによる公募申請・審査・交付申請
gBizIDを取得後、jGrants上で必要事項を入力し、書類をアップロードして「公募申請」を行います。 審査の結果は、事務局のホームページで採択者が公表されるほか、jGrants上でも採否の通知が行われます。採択を受けた後、「交付申請」を実施し、交付決定通知書を受理します。
補助事業の実施
交付決定の通知を受けた後、いよいよ事業を開始(契約・発注等)します。 【重要】原則として、交付決定通知を受ける前に契約・支払いを行った経費は補助対象になりません。 15次公募でも、交付決定日以降かつ補助事業期間の間に契約・発注を行い、支払いまで完了した経費のみが対象となりますので、スケジュール管理には十分な注意が必要です。
また、補助事業期間中に発生した領収書、請求書、契約書などは、実績報告時にすべて必要となるため、厳重に保管しておきましょう。
実績報告・確定検査・補助金交付
補助事業完了後、事業完了日から起算して30日を経過した日、または交付決定通知書記載の補助事業完了期限日より10日を経過した日のいずれか早い日までに実績報告書を提出します。 提出後、事務局による書類検査や必要に応じた実地検査が行われ、補助金の額が確定したのち、精算払い(後払い)として補助金が交付されます。
事業終了後も、枠によっては一定期間(廃業・再チャレンジ枠は1年間、PMI専門家活用類型は3年間、事業承継促進枠は5年間など)にわたり「事業化状況報告」が必要になります。適切な経営と報告義務の履行を継続しましょう。
事業承継・M&A補助金のよくある質問(FAQ)
事業承継・M&A補助金の申請にあたって、よくある質問をまとめました。
Q1. 親族内での承継(事業引き継ぎ)でも補助金の対象になりますか?
A1. はい、対象になります。「事業承継促進枠」では、親族内承継や従業員承継など、M&Aに限らず従来型の事業承継をきっかけとした設備投資や新たな取り組み(第二創業など)も広くサポートしています。
Q2. 補助金はいつ頃、どのように振り込まれますか?
A2. 補助金は「後払い(精算払い)」となります。採択・交付決定のあとに事業を実施し、その期間が終了した後に実績報告書や経費の領収書などを提出します。事務局による検査(確定検査)を経てからの振込となるため、公募回によりますが、申請から実際の入金までは1年前後かかるケースが一般的です。事業実施期間中の経費は、一度自社で立て替える(資金を準備しておく)必要があります。
Q3. M&Aの交渉が途中で破談(ブレイク)になってしまった場合、専門家費用は補助されますか?
A3. 「専門家活用枠(売り手支援類型・買い手支援類型)」では、M&Aが最終的に成約しなかった(破談になった)場合でも、委託契約に基づいて事業実施期間内に発生した仲介手数料やデューデリジェンス費用などは補助対象となります。ただし、着手金や中間報酬など、期間内に支払いが確定し発生した経費に限られます。
Q4. 「事業承継促進枠」と「専門家活用枠」を同時に申請することはできますか?
A4. 原則として、同じ公募回において「事業承継促進枠」と「専門家活用枠」を重複して申請することはできません。自社が今もっとも費用を必要としているフェーズ(M&Aの交渉・成立フェーズか、承継後の設備投資フェーズか)を見極めて、どちらか一方を選択して申請する必要があります。※なお「廃業・再チャレンジ枠」については、他の枠と併用して申請することが可能です。
Q5. 交付決定が出る前に支払った着手金や外注費は対象になりますか?
A5. 原則として対象外となります。本補助金では「交付決定日」の後に契約・発注・支払いを行った経費のみが補助対象です。交付決定前に独自に進めてしまった契約や事前支払いは、たとえ事業に必要な経費であっても補助されませんので、スケジュールには十分ご注意ください。
まとめ・事業承継・M&A補助金の申請方法などを確認して準備しよう!

日本の経営者が高齢化している状況への対応として、事業承継、引継ぎ推進策として事業承継・M&A補助金補助金が提供されています。
経営資源がなくなったり散逸したりすることは、生産性や創業、雇用の推進の観点からも好ましくありません。
事業承継・M&A補助金は事業の引継ぎを考える事業者にとっては心強いサポートです。経営革新と専門家活用の2つがありますが、同時に申請することはできません。
中小企業や小規模事業者をサポートする補助金や支援はいろいろな種類があります。
国が提供しているサポート以外に、地方自治体や金融機関で提供している制度もあるので、調べてみてください。
(編集:創業手帳編集部)
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