【2025年】事業承継・M&A補助金とは?申請方法やスケジュールをまとめました。

事業承継手帳

事業承継・M&A補助金はスケジュールを把握して計画的に取り組もう


事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)は、M&Aや事業承継を契機とした新規事業展開や経営統合(PMI)を支援する補助金です。2025年は補助上限額の引き上げと新枠の追加で、より活用しやすくなっています。

事業承継やM&Aに際して補助金を受けたい場合には、事業の内容が「事業承継促進枠」「専門家活用」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4つの支援枠から、どれに該当するのか確認してください。

また、事業承継・引継ぎ補助金はスケジュールが決まっています。申請方法も確認して余裕をもって取り組みましょう。
申請に必要な「gBizID(ジービズアイディー)」は登録までに時間がかかるので早めに申請するようにおすすめします。

創業手帳は、自分に適した補助金・助成金を見つけるための「補助金AI(無料)」という配信サービスを提供開始しました。登録すると、個別にマッチした補助金や助成金の情報がメールで直接届くため、ぜひこの機会に登録をお勧めします。

さらに、創業手帳の「補助金ガイド(無料)」では、補助金や助成金に関する基本的な知識や最新の情報を提供しています。補助金獲得のための申請方法や採択情報も含まれているので、お役立てください。


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事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)ってなに?


多くの中堅企業、中小企業が抱えているのが、事業承継の悩みです。オーナーや社長から誰を後継者にして事業を引き継ぐのかを、経営課題としている企業は多いでしょう。
事業承継・M&A補助金は、事業承継をきっかけに新しい取り組みをスタートする中小企業や、事業再編・事業統合に伴って経営資源の引継ぎを進める中小企業を支援する制度です。

具体的には、費用負担の軽減して承継後の積極的な投資を促進するために、中小企業者の事業承継・経営資源引継ぎに要する費用を、一部補助しています。

【2025年】事業承継・M&A補助金の変更点

2025年の事業承継・M&A補助金では、従来の「経営革新枠」が「事業承継促進枠」として再整理され、さらにM&A後の経営統合を支援する「PMI推進枠」が新設されました。
また、専門家活用枠の上限額が拡充され、最大2,000万円まで申請可能となるケースも加わっています。

【2025年】事業承継・M&A補助金の変更点
    ・「事業承継・引継ぎ補助金」から「事業承継・M&A補助金」へ名称変更
    ・M&A後の経営統合費用を補助する「PMI推進枠」が新設さ、M&A成立後のPMI費用(専門家費用・設備投資)が補助対象に
    ・専門家活用枠で補助増減額が最大2,000万円へ増額(100億円企業案件を満たす場合)

【2025年】事業承継・M&A補助金の支援枠4つの概要

2025年は、「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4つの枠が設定されています。

支援枠 補助対象 補助上限額 補助率
事業承継促進枠 5年以内の承継予定者が行う設備投資 800~1,000万円 1/2・2/3
専門家活用枠 M&A時のFA費用・表明保証保険料 買い手支援類型:
600~800万円、
2,000万円
売り手支援類型:
600~800万円
買手支援類型:
1/3・1/2、2/3
売手支援類型:
1/2・2/3
PMI推進枠 M&A後の経営統合費用(専門家・設備) PMI専門家活用類
型:150万円
事業統合投資類型:
800~1,000万円
PMI専門家活用類型:
1/2
事業統合投資類型:
1/2・2/3
廃業・再チャレンジ枠 廃業費用+新事業挑戦費用 150万円 1/2・2/3

それぞれの特徴や対象要件について詳しく解説します。

※出典:中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金専門家活用枠【公募要領(暫定版)】11次公募
※出典:令和6年度補正予算「事業承継・M&A補助金」

1. 事業承継促進枠

目的:
親族内承継や従業員承継を5年以内に予定している中小企業が、設備投資や事業革新を行う際に必要な費用を補助します。これにより、事業承継後の経営基盤を強化し、持続的な賃上げを実現することを目指します。

対象者:
5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している者

補助率:
1/2または2/3(※中小企業者等のうち、小規模事業者に該当する場合:2/3)

補助上限額:
800~1,000万円(一定の賃上げを実施する場合、補助上限は1,000万円)

対象経費:
設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費 等

2. 専門家活用枠

目的:
M&Aにおける専門家(FA、仲介業者など)の活用費用や、表明保証保険料などを補助します。これにより、M&Aプロセスの円滑化と成功率向上を支援します。

対象者:
①買い手支援類型(Ⅰ型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受ける予定の者
②売り手支援類型(Ⅱ型)
事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り渡す予定の者

補助率:
①買い手支援類型(Ⅰ型)
1/3・1/2、2/3(100億円企業要件を満たす場合、1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3)
②売り手支援類型(Ⅱ型)
1/2(赤字、もしくは営業利益率が一定程度低下している場合は2/3)

補助上限額:
①買い手支援類型(Ⅰ型)
600~800万円(800万円を上限にDD費用を申請する場合、200万円を加算)
2,000万円(100億円企業要件を満たす場合)
②売り手支援類型(Ⅱ型)
600~800万円(800万円を上限にDD費用を申請する場合、200万円を加算)

対象経費:
謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業費:廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用

3. PMI推進枠

目的:
M&A後の経営統合(PMI)に必要な費用を補助します。これには、統合プロセス管理ツールや文化統合コンサルティングなどが含まれます。PMI推進枠は、M&A後の経営資源の効果的な活用と生産性向上を目指しています。

対象者:
M&Aに伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等に係るPMIの取り組みを行う者

補助率:
PMI専門家活用類型: 1/2
事業統合投資類型: 1/2・2/3(中小企業者等のうち、小 規模事業者に該当する場 合:2/3 )

補助上限額:
PMI専門家活用類型:150万円
事業統合投資類型:800~1,000万円8一定の賃上げを実施する場合、補助上限1,000万円)

対象経費:
設備費、外注費、委託費等

4. 廃業・再チャレンジ枠

目的:
M&Aによる事業譲渡が難しい場合に、既存事業を廃業し、新たなチャレンジに取り組む際の費用を補助します。これには廃業支援費や在庫廃棄費などが含まれます。

対象:
事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う者

補助率:
1/2・⅔(事業承継促進枠、専門家活用枠、事業統合投資類型と併用申請す
る場合は、各事業における事業費の補助率に従う)

補助上限額:
150万円(事業承継促進枠、専門 家活用枠、事業統合投資 類型と併用申請する場合は、 それぞれの補助上限に加算)

対象経費:
廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用(併用申請の場合のみ)

【2025年】事業承継・M&A補助金の申請期間

事業承継・引継ぎ補助金の申請期間は以下のようになっています。
ただし、11次公募は専門家活用枠(買い手支援類型、売り手支援類型)のみでの実施ですのでご注意ください。11次募集の申請期間については未定です。決まり次第こちらに記載します。

事業のスケジュールについては、公式ホームページで逐次更新されます。利用する予定がある場合には、小まめにチェックしてください。

事業承継・M&A補助金の申請の流れ


事業承継・引継ぎ補助金の特徴のひとつが、補助金の電子申請システム「jGrants(ジェイグランツ)」を利用する点です。
jGrantsは経済産業省が運営するシステムで、利用するには、gBizIDプライムのアカウントが必要です。

まずは、事業承継・引継ぎ補助金を申請する時の流れを紹介します。同じ事業承継・引継ぎ補助金であっても類型によって必要な書類やフォーマットが違います。
詳しい内容は、WEBサイトのそれぞれの申請方法について確認するようにしてください。

補助対象事業の確認

事業承継・引継ぎ補助金を利用する場合は、まず補助対象の事業に該当するかどうかを確認してください。公式のWEBサイトでは公募要領も公開しています。

WEBサイトと公募要領の内容から、補助対象事業及び自身の交付申請類型について理解を深めてから、どのような事業が補助対象になるかを検討します。

gBizIDプライムアカウントの発行

補助申請を決めたらまず、gBizIDプライムのアカウントを取得します。gBizIDプライムの申請と発行には 2~3週間が必要となる場合があるので計画的に行ってください。 

すでにgBizIDプライムを取得している場合、jGrantsを利用して電子申請による交付申請に進みます。
gBizIDプライムもjGrantsも、利用するのに費用はかかりません。補助金を申請するか検討中の段階でも、早めにgBizIDプライムを申請しておくようおすすめします。

経営革新の場合は、認定経営革新等支援機関に相談しておきましょう。認定経営革新等支援機関は検索して探せます。
経営診断ツールなども使って、認定経営革新等支援機関と事業計画の内容について相談、その後に確認書を受領してください。

gBizIDプライムのアカウント登録に必要なのは、以下のものです。

  • 法務局が発行した印鑑証明書または地方公共団体が発行した印鑑登録証明書の原本
  • (発行日より3カ月以内のもの)

  • 法人代表者印または個人事業主の実印を押印した申請書
  • 法人代表者自身または個人事業主自身のメールアドレス
  • 法人代表者自身または個人事業主自身」のSMSが受信できる電話番号

メールアドレスとSMS受信用電話番号は、今後のアカウント認証にも利用するため、間違えないように注意してください。

アカウントを取得するには、「gBizID」のホームページから「gBizIDプライム作成」のボタンをクリック、申請書を作成してダウンロードできます。
申請書と印鑑証明書を「GビズID運用センター」に送付して、申請が承認されるとメールが送られてくるので、リンク先から手続きを行いましょう。

gBizIDから交付申請・交付決定通知

gBizIDを取得したらgGrantsを利用して電子申請によって交付申請に進みます。必要書類を揃えて書類を提出しましょう。

審査の結果は、中小企業庁や事務局のホームページにおいて交付決定者の公表されるほか、交付申請の採否結果の通知が jGrants上で行われます

補助対象事業実施・実績報告

交付決定通知を受けたら、いよいよ補助対象事業を実施します。実施してから所定の手続きで実績報告を行ってください。

交付決定を受けた補助対象事業でも、補助事業期間外に契約・支払いなどをした場合や相見積もりを取らなかった場合には補助対象経費として認められないので注意が必要です。

ただし、事業承継・引継ぎ補助金は申請時に事前着手の届出を申請し、事務局の承認を受けると、事務局が認めた日を補助対象事業の補助事業開始日にできます。
つまり、申請時点でも事前着手できる制度です。うまく活用して、事業承継をスムーズに進めましょう。

補助金交付

実績報告を受けて補助金が交付されます。
補助金の交付については、補助対象事業の完了後、原則として、15日以内に実績報告書等を提出して、実施した事業内容の検査と経費内容などの確認、補助金の額を事務局にて確定した後に、精算払いです。

経営革新の場合は、事業化状況報告と収益状況報告も実施しなければいけません。
事業の進捗状況確認のために、実地検査がある可能性もあるので、適切な経営を心掛けてください。

まとめ・事業承継・M&A補助金の申請方法などを確認して準備しよう!


日本の経営者が高齢化している状況への対応として、事業承継、引継ぎ推進策として事業承継・M&A補助金補助金が提供されています。
経営資源がなくなったり散逸したりすることは、生産性や創業、雇用の推進の観点からも好ましくありません。

事業承継・M&A補助金は事業の引継ぎを考える事業者にとっては心強いサポートです。経営革新と専門家活用の2つがありますが、同時に申請することはできません。

中小企業や小規模事業者をサポートする補助金や支援はいろいろな種類があります。
国が提供しているサポート以外に、地方自治体や金融機関で提供している制度もあるので、調べてみてください。

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さらに、「補助金ガイド(無料)」では、補助金・助成金の基礎知識や最新情報を掲載しています。申請方法や採択情報なども掲載しているので、ぜひお役立てください。詳しくは、以下のバナーから!


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(編集:創業手帳編集部)

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