ビズパ 石井 俊之|オフライン広告の透明化に挑む!プラットフォーム成功のコツ

創業手帳
※このインタビュー内容は2020年05月に行われた取材時点のものです。

デジタルからアナログに挑むその理由と成功のコツを聞きました

ビズパ・石井氏

(2020/05/17更新)

看板やフリーペーパーなどのオフライン広告は、一見地味な業界に思えるかもしれませんが、いまだに大きな市場があります。

しかし、オフライン広告では古い取引慣行なども多く、透明性においてまだまだ多くの課題があります。

そんなオフライン広告の透明化に挑むのが株式会社ビズパ代表取締役の石井俊之氏です。石井氏は、大和ハウスから社員第1号としてECマーケットプレイスのラクーンにジョイン。成功を収めたのち、デジタルからオフラインへと目を向け、オフライン広告の透明化に挑戦しています。

なぜデジタル領域からオフラインへと目を向けたのか、その理由を石井氏に創業手帳代表の大久保が聞きました。

石井 俊之(いしい としゆき)株式会社ビズパ 代表取締役CEO
大学卒業後、住宅メーカーの大和ハウス工業(株)に営業職として入社。2000年(株)ラクーン(現:ラクーンHD)に創業メンバーとして入社。2003年取締役、2010年取締役副社長として、執行部門を統括。B2Bマーケットプレイス事業、B2B決済事業、子会社社長等を歴任し、同社をマザーズ上場(2006年)、東証一部上場(2016年)まで導く。2018年12月株式会社ビズパ設立。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

創業手帳冊子版では、様々なバックグラウンドをもつ起業家のインタビューを数多く掲載しています。創業後の事業活動に役立つ内容となっていますので、ぜひ活用してみてください。

これまでとは畑違いのアナログ広告に挑戦した理由とは

ビズパ・石井氏対談

大久保:デジタルからアナログのオフライン広告に挑戦したのはなぜですか?

石井:私は「オフライン広告」という、これまでの経歴とは畑違いの業界に挑戦していますが、前職のラクーン時代にオフライン広告の出稿がとても困難だった、というのが大きな理由です。

前職のラクーンでは、アパレルや雑貨の仕入れ調達のマーケットプレイス「スーパーデリバリー」、企業間向け決済プラットフォーム「Paid」を運営していました。

私は、副社長兼事業責任者として、サービス拡大のために様々なマーケティング施策を行ってきました。

当時は、インターネット広告を中心にサービスを展開していましたが、ターゲットが事業者となるため、広告でのリーチに限界がありました。このことがきっかけで、新聞や看板を含めたオフライン広告を積極的に取り組もうと考えました。

大久保:具体的にオフライン広告にはどのような課題があったのでしょうか?

石井:インターネット広告は、管理画面上から簡単に広告出稿することができ、数万円単位で簡単に実施することが可能です。

しかし、オフライン広告は情報が集約されているサイトがあまりなく、自社に合った広告を探すことがそもそも困難で単価も高いため、スモールスタートすることが難しいという現状がありました。

実際に調べてみると、お店への集客やインターネット以外の新しい集客を行うために、看板やフリーペーパー、サイネージなどのオフライン広告を有効活用したい企業やお店は非常に多いのですが、やはり同じような課題をもっていることが分かりました。

私の持っているBtoBプラットフォーム構築のノウハウを活用することで、スモールビジネスを行なう方も、インターネット広告のように簡単にオフライン広告を実施できるのではと考え、「Bizpa」を立ち上げました。

大久保:既存の業界を変えていくことに対して、なにかプレッシャーはありましたか?

石井:私たちのビジネス領域は、これまで広告代理店の方が担ってきました。

しかし、私たちは広告代理店の方のビジネスを否定するつもりはありません。むしろ、一回の出稿金額が多い大企業や高額の広告商品に対しては、コンサルティングをしっかりするべきだと思っています。

私たちは、広告代理店がカバーしずらい中小企業の方へ向けて、小ロット低単価の商品を中心に提供しています。

当社には数多くの商品が掲載されているので、広告代理店からも当社のサービスを使いたいという問い合わせを数多くいただいています。

今後、広告業界の方と一緒になって、新しい広告ビジネスの世界をアップデートしていきたいと思っています。

資金の調達方法とビズパの今後の展望

BIZPAサービスのイメージ

大久保:起業する前の経歴を聞かせてもらえますか。

石井:新卒で住宅メーカーの大和ハウスに入社しました。住宅の営業をしていたのですが、インターネットベンチャーで会社の看板に頼らず、自分の力を試したいと思い、25歳で転職しました。

大企業は経験したので、どうせ転職するなら会社もできたばかりの小さなところで会社のすべてをみたいという思いが強く、社員第一号としてECのマーケットプレイス事業を行う「ラクーン」に入社しました。

そこから起業して現在に至ります。

大久保:資金はどのように調達しましたか?また、資金はどういったことに使っていく予定ですか?

石井:2020年4月にシードVC(ベンチャーキャピタル)のCoral Capitalと前職ラクーンホールディングス代表の小方氏より資金調達しました。調達した資金は、ベータ版でいただいた声やニーズをもとに正式版の開発に使っていきます。

具体的には、より自社の集客ニーズに合った広告枠を探せるような検索機能の強化やユーザーインターフェースの改善で、ほかにも今後の拡大に備えたデータ基盤の構造の整理も行います。

単なる情報のマッチングサイトではなく、業界や現場の暗黙知を標準化することによって、取引の効率化も提供していきます。たとえば、スモールビジネスにとってボトルネックになる広告クリエイティブの部分を考慮し、制作などの機能も追加していく予定です。

Bizpaだけで、オフラインの広告戦略の立案から掲載までワンストップでできる環境を実現していきたいと思っています。

プラットフォームビジネスの成功の鍵とは?

身振りで説明するビズパ・石井氏

大久保:プラットフォームビジネスにおいて、なにが成功の鍵となるでしょうか?

石井:プラットフォームビジネスは、最初は低空飛行ですが、あるタイミングでブレイクポイントを迎え、二次曲線で売上があがっていきます。なので、商品と企業とをバランスよく集めていくことが重要ですね。ある程度マーケットを確立するまでは、タフさが必要だと思っています。

プラットフォームビジネスの場合、立ち上がりが遅いというのは仕方がないと思っています。提供する商品が少なければ、広告を出稿したい企業が集まりづらいのは当然です。

サイトに来ても、自分に合った商品がなければ、登録も注文もしません。私も前職で経験してきたことですし、UberやAirbnbの事例を見てもそうだと思います。

王道ではありますが、広告にもたくさんの種類がありますので、それをわかりやすく標準化していき、顧客の声を一つずつサービスへ地道に反映していくのが一番の近道ですね

大久保:成功するためのコツを教えてもらえますか?

石井:まだ、それほど成功しているとはいえませんが、「成功するまでやりきることができるか」というのは非常に重要だと思っています。

過去にいくつもの事業の運営や新規事業の立ち上げを行ってきました。どれも収益がでるまで数年かかるようなものですが、事業としてスケールさせることができた一番の理由は「諦めるまでやめなかったこと」です。

諦めず事業に取り組む姿勢から、周りに「タフだよね」とか「粘り強いよね」と言われることは多いですが、自分では全くそう思っていません。いつもいろいろな不安が付きまとっていますし、大きな失敗をすればめちゃめちゃヘコみます。

ただ、失敗というのは、単に行動の結果であって、成果が出なかったりマイナスに働いただけであって、事業にとっては失敗ではありません。

思いっきりヘコんだ後は、「失敗したことを修正できれば事業として強くなる」と切り替えるようにしています。

最初から事業がうまくいくケースなんて、ほとんどありません。そのようなビジネスなら、とっくに誰かがやっています。

一発合格を狙って行動が鈍くなるくらいなら、短期的には遠回りでも、スピードを上げて行動し、一つ一つの事象に一喜一憂せず、修正を繰り返していくほうが長期的にみると近道だと思います。

これから起業に挑戦する読者へのメッセージ

大久保:最後に、読者へのメッセージをお願いします。

石井:2000年からベンチャー業界にいますが、以前に比べると格段に起業しやすい環境になっていますし、今後は、より一層起業しやすい環境に変化していくと思います。

私は43歳で起業しました。20代や30代だと、まだ守るものが少ないことが武器になりますし、40代以降は豊富な経験が武器になります。

起業するには、リスクを受け入れる勇気が必要と思われがちですが、いざ起業してみるとリスクは思った以上に少ないことに気づきます。

同じ志を持った仲間と挑戦し、世の中を進化させるサービスを提供していくことは、非常にやりがいがあります。成功も失敗もすべて成長の糧にして楽しみましょう!

大久保:ありがとうございました!

創業手帳の冊子版でも、資金調達の方法や事業活動に活用できるサービスをご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

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(編集:創業手帳編集部)

(取材協力: 株式会社ビズパ/代表取締役CEO 石井俊之
(編集: 創業手帳編集部)



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