なぜ「飲食店」は廃業しやすいのか?
廃業しやすい3つの理由と売上アップに必須の公式
(執筆:販路企画 田口勝)
(2016/02/02更新)
昨今、飲食店は廃業しやすい業種ということで有名になってきています。『あそこの飲食店はオープンしたと思ったら、もう店が変わっていたよ』そういう経験をされている方も多いのではないでしょうか。
私は、仕事柄飲食店の開業支援や多店舗展開支援、フランチャイズ本部展開支援を行っておりますが、現在までに支援を行った店舗で1店舗も撤退した店舗はありません。
それは、飲食店の失敗事例や成功事例を徹底的に研究した成果でもあります。今後のコラムでは、その研究した結果をお話しします。
この記事の目次
飲食店が廃業しやすいと言われる理由:3つの問題
なぜ、飲食店は廃業しやすいと言われるのでしょうか?その理由から検証をしていきたと思います。まず、大きく分けると3つになります。
①マーケティングの問題
- 参入希望者も多く、競争が激しい。
- 飲食は、お客様の嗜好に左右される傾向があり、飽きも発生する。
- 店舗の認知と口コミが広がらなければ売上が増えない。
- 席数が決まっており、回転数で売上が決まる。
- 立地要素が高く、立地で売上が大きく左右される。
②投資・固定費の問題
- 初期投資が店舗型ということもあり、初期投資コストが高い。
- 家賃が継続的に発生し、損益分岐点を超える売上を維持しなければならない。
- 自己資金が少なく、開業する起業家が多いため、運転資金が回らない。
③人の問題
- 従業員を必要とするビジネスモデルが多く、人手不足の現代の確保が難しい。
- 年々、給与ベースが上がってきており、人件費が増大している。
- 採用してもキツイということで退職者も多い。人が育ちにくい環境。
つまり、『売上を上げる仕組みの問題』と『経費管理の問題』『人の問題』が不可欠なのが飲食店です。
しかし、それ以上に問題なのは、実際に飲食店で開業する起業家様の開店に対する認識です。
実際に面談を行っていると最初の段階はほとんど、次のような考え方の方が多いようです。これは我々情報を発信する側の問題でもあると思います。
- お店を開けていたら、この料理の技術ならかならずお客様は来てくれるはず。
- 店舗と広告をある程度出せば、ある程度売上上がるのではないかな。
- ここは通りも人が多いし、不動産屋もいい場所だと言うから大丈夫だろう。
- 駅前だからお客様が来てくれるのではないかな。
そういう考えで開店された方もいらっしゃると思います。しかし、競争が激しいということは、競争に打ち勝たなければ、生き残れないのです。
実際に同じ飲食店でも多店舗展開を行っているチェーン店は、この料理が、誰に、どんなニーズで、どんなシーンの時に来店され、購入して頂けるのか?そして来店頻度はどれくらいで、客単価を上げるためにこういった取り組みをし、その内容を知らせるにはこういった方法で、どんな媒体に掲載し、こんな仕掛けをする。
そして自店の勝てる商圏エリアはこういったエリアでこういった立地だからそこに集中的に出店するといった等の明確なマーケティング戦略が決まっています。
立地についても、徹底的に商圏調査や導線調査を行い、立地を判断した上で、出店をしているのです。
この内容をお話した上で、『失敗したな・・・』と思われた方は是非、今後のコラムをご確認ください。
今の状況でもまだ間に合いますし、そういった開店が多いということは、逆に少し工夫をすれば差別化でき、売上はまだまだ伸ばす余地があるのも飲食店業界の特徴です。
実は、『売上を上げる仕組み』である『マーケティング』の問題が解決できれば、経費の問題は当然解決できますし、人の採用の問題である人件費の問題もクリアできます。
企業において、『売上を上げる仕組み』を作る『マーケティング』よりも優先的になることはないと私は思います。
店舗の売上を上げる時に欠かせない公式
まず店舗の売上の構造を知りましょう。
当たり前のことですが、非常に重要であり、私もコンサルティングの基本としていることです。
店舗の売上改善はまず次の式を見てください。これは従来の考え方と今とでは大きく変わってきています。
①従来の店舗の売上構造
店舗の売上=店舗数×(商品力+立地+サービス+販売促進)
②今の店舗の売上構造
店舗の売上=店舗数×(商品力×立地×サービス×販売促進)
式内の項目は、飲食店で売上を上げる会社として売上を上げる際の効果が高い順番に上げています。
つまり、即効性が高いのは、店舗を増やすことであり、その次に商品を改善すること。立地を改善すること。
サービスを改善すること。販売促進を改善すること。になります。
上記の式を見て頂くとわかると思いますが、従来は足し算の時代でした。
つまり、何かが0であっても他でカバーすれば売上が上がる時代。
しかし、現在は、競争の激化により、全てが掛け算の時代となっています。
つまり、何かが0であっては、売上は上がらない時代となっているのです。総合的な改善が売上に不可欠です。
店舗数は別として、次に売上影響度が高い、商品力を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?ここで重要になってくるのが、『エリアマーケティング戦略』となります。
なぜエリアマーケティング戦略が必要なのか?
店舗型は、店舗という形式上どうしても『商圏』というものが存在します。
「うちは、県外からのお客様も多いから」と言っても、『商圏』は必ずあります。
飲食店では一元様をメインのお客様にしていては、売上は絶対に上がりません。
常連となるお客様をメインにしないといけないのです。では常連のお客様はどこから来店されるのか?ここまで考えると『商圏』のお客様ということの意味がわかると思います。
その『商圏』のお客様の特性やニーズを知り、『マーケティング(売る仕組み)』をつくることを『エリアマーケティング』と呼びます。
昔は、大手小売業中心に実施してきた『エリアマーケティング』ですが、直近では多数のチェーン店にも取り入れられて、飲食業界でも実施しているチェーンは多数ある状況です。
では、前に戻り、商品力を上げるにはどうすれば良いのか?
当然、『商圏』があるわけですので、商圏のお客様の特性を知り、ニーズを知ることが商品力の改善に繋がります。
その売り方も『商圏』のお客様にあった売り方となるのです。
まとめ
今後のコラムでは、飲食店の売上を上げる仕組みの作り方ということで『マーケティング』に焦点を当てて具体的な事例を交えながら、お話をしていきたいと思います。
繰り返しますが、飲食業界では、正直他の業界と比較して『マーケティング』という発想は低いと感じます。
開店されたばかりの飲食店にとっては、それは非常に商機です。
徹底的にマーケティングを追求すれば、飲食店は廃業しにくい業界に変わると私は、信じています。是非、ご一緒に取り組まれることを期待しております。
(監修:販路企画 田口勝(たぐちまさる) )
(編集:創業手帳編集部)