これを知らずに飲食店を開業してはダメ!お金に関するオモテには絶対出てこない真実(前編)

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誰も教えてくれない自己資金のいろは

これを知らずに飲食店を開業してはいけない!!お金に関するオモテには絶対出てこない真実(前編)(執筆:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)

(2015/09/07更新)

今回の連載では、飲食店を開業する前に、これだけは知っておかないと失敗するというお金に関する考え方をお教えします。これは、私のところに相談にいらっしゃる飲食店を開業しようとする人の大半が口にされる不安でもあります。

今まで、お金に関する不安に対する解決策として日本政策金融公庫の開業融資を紹介し、申請に必要な「創業計画書」の書き方について説明をしてきました。

「融資が通る!飲食店創業計画書の書き方のポイント」シリーズは以下
創業動機編
事業経験編
取扱い商品・サービスの内容 セールスポイント編
取引先・取引関係等、お借入の状況など

この連載で、自己資金については、簡単に総投資額の3割が必要ということを説明してきました。今回は、その詳細について説明をします。

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自己資金0円で開業ができるという言葉の罠

「自己資金100万円からの飲食店」
「0円で飲食店を開業できる」
そんな本のタイトルを見たことはないでしょうか?

これは、かなり特殊な状況で、実際にはこのような自己資金で飲食店を開業し、軌道に乗せることは、私の経験上、ほとんどできないです。

私が、いままでコンサルで入った飲食店開業の事例を見ると、最小の自己資金は180万円です。それも東京の中でもかなりの郊外で、いざ開業しても初めはかなり苦しそうでした。

このような経験から、東京都内で開業を希望されているなら、最低でも自己資金は300万円以上ないと厳しいです。安全に開業するためには初期投資額としての目安となる約1000万円が必要となります。これを目安に、資金を貯めるように心がけてください。

少額の自己資金で、開業後に苦しむ訳

それでは、なぜ少額の自己資金では、飲食店開業が難しくなるのかを説明します。

少額の自己資金では、初期の投資で融資と自己資金をほとんど使い切ってしまいます。開業後の客足は不安定のため、収入は不安定になります。

一方で支払いは、食材や飲料、家賃、融資の返済と利子は容赦なく襲いかかってきます。そのため、キャッシュフローが厳しいと、客が定着し軌道に乗る前にキャッシュが足りなくなり、廃業に追い込まれてしまう可能性が高くなってしまうのです。

また、今まで相談を受けてきて強く感じるのが、「自己資金」=「飲食店開業資金」と考えている方が多いことです。正確には、「自己資金-家事資金(※)」=飲食店開業資金 と言うのが正しい認識です。

※家事資金:飲食店を開業してから軌道に乗るまでの間の生活費(生活費は日本政策金融公庫の融資対象外)及び引越費用(開業場所付近に引越す可能性がある方)のこと。経営者の生活費=給料を忘れている方が多いので、飲食店開業資金とは別途に計算をしておいてください。

初期投資に必要な金額とは

それでは、自己資金で安全と言われる初期投資額=1000万円とはどのようなものかを見ていきましょう。もちろん、この金額はお店の立地や広さ、コンセプト(内装費に直結)によって変わってきます。ここで重要なのは1000万円という金額もですが、これから開業しようと考えている皆さんが、これから列記する項目を考えて、経営計画を立てているかということです。

全ての項目を考えて、500万円で大丈夫という場合もあるはずです。それならば、それで計画を立てれば良いのです。一方で、漏れがある場合は、開業してから破綻する可能性が高くなるので、いち早く計画を見直しましょう。

それでは、初期投資の内訳です。

大別すると設備資金と不動産取得費、運転資金です。それぞれ下記のような項目となります。

設備資金:内装及び厨房機器(居抜き取得費含む)+食器類のその他消耗品
不動産取得費:前家賃+保証金+礼金+仲介手数料
運転資金:最低2ヶ月から3ヶ月分

飲食店開業融資額は、600万円から900万円(融資額は専門家の支援の有無、本人の飲食店の勤務経験や実績、事業計画書の精度、立地によって変動しますので画一的な回答はできません)くらいですので、残りは自己資金で賄う必要があります。
上記に挙げた総投資額1000万円というのは、私が思う都内で飲食店を開業するなら最低限必要という金額ですので、その差額の100万円〜400万円は自己資金が必要になります。

また、初期投資のなかで、不動産取得費は大きな割合をしめます。自己資金で不動産取得費(前家賃 保証金 礼金 仲介手数料)が賄えるようにしておくために、事前に開業したい場所の不動産相場を確認しておきましょう。

注意が必要なのは、融資実行には原則的には不動産の契約書が必要だということです。つまり不動産取得費は、融資実行前に発生するため、自己資金で賄わないといけないのです。この時点で、「自己資金0円で開業」というのが、きわめて特殊なケースということがお分かりいただけると思います。

そのような理由から、不動産取得費くらいは自己資金でカバーできる状態にしておくのが良いです。例外的な事例として、都心などの高額不動産取得費の場合には自己資金で賄えなくても大丈夫なケースがありましたが、特殊な事例と考えてください。

さらに気をつけてもらいたいのが、都心部や駅前などの人気の物件の特殊事例ですが、すぐに本契約を求められることがあるということです。本契約をするということは、解約までに数ヶ月間の家賃が発生するということです。なんらかの事情で開業前に契約した不動産を解約しようとしても、数ヶ月分の家賃を払わなければなりません。

今回説明したのは、一般的なケースです。地域やお店のコンセプトによって、設備資金、不動産取得費、運転資金は変わっていきます。重要なのは、この3つの項目を立地などの諸条件を考慮して、自己資金を貯めるようにすることです。

それでも不安に感じる方は、それぞれの金額を紙に書き出してみましょう。その際に、利子返済などの金額も入れられれば、より正確な情報となるでしょう。

また、次回は、融資の審査を少しでも有利に運ぶコツをご紹介します。

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これを知らずに飲食店を開業してはダメ!お金に関するオモテには絶対出てこない真実(後編)

(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士
(編集:創業手帳編集部)

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