LGBTシニア向けのサポートサービスも開始 「老後の不安をトータルでサポートする」アライアンサーズ株式会社の挑戦

創業手帳

アライアンサーズの久保わたる社長にインタビューしました

(2019/08/26更新)

2018年11月に創業したアライアンサーズ株式会社。シニア層を対象にしたライフサポート事業を展開しています。2019年3月からは、創業当時から構想していたというLGBTのシニア向けサービスも開始しました。

多くの人が老後の生活で抱える課題について、一つ一つスポットで対応するのではなく、トータルでサポートするという理念を掲げている同社。どのような意識から、今の事業の形を作り出したのでしょうか。代表取締役社長の久保わたる氏に、起業のバックグラウンドや、事業の今後のビジョンについて話を伺いました。

久保わたる(くぼ わたる)アライアンサーズ株式会社 代表取締役社長
大学卒業後、大手上場企業に入社。経営管理部門(主に人事総務畑)を渡り歩く。サラリーマン時代にアライアンスという営業手法(他社の強みを自社の企画力でwin-winにする)を知る。アライアンス手法で社会課題(特に高齢者の生活問題と高齢者施設の職務に従事する若手職員の処遇問題等)を解決する決意をし、2018年11月、アライアンサーズ株式会社を設立。現在に至る。(取材日:2019年5月9日)
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高齢者が抱える不安を払拭する民間サービスを

ー起業したきっかけを教えて下さい

久保:起業する前のサラリーマン時代は、ある会社の管理部門で仕事をしていました。会社の根幹に関わる部署で新たな知識や会社の経営の仕組みを得られる点が魅力である一方、デスクワークが中心のため、外部の方との接触や出張など見聞を広げるチャンスが少ないということもあり、「もっと外に出て仕事をしたい」と思うようになりました。同時に、漠然とですが、将来会社を作ることも考えていました。

そんな時、「ゲイの親友が自殺する」という悲劇が起きました。自分の老後を含めた将来を悲観したことが理由でした。この事件は、私自身、胸がナイフでえぐられるような辛い経験でした。

現在の日本では、シニアに限らず、多くの方が老後の生活に大きな不安を抱えています(*注1)。LGBT(*注2)当事者同士も例外ではありません。彼・彼女らが老後について触れる時、あまり明るい話にはなりません。なぜなら「老後のゲイライフのお手本となるような先輩や当事者がいない」ため、どうしたらよいかわからずに将来に対する漠然とした不安を抱えている人が多いからです。

LGBTの高齢者自身も、どう老後を過ごして良いかという問題に上手く取組むことができずに、孤独死や自殺、エイズなどの病気の発症、といった問題について相談できる人や場所がないまま、孤独な環境に陥っている方が沢山います。

もちろん法整備不備を始めとするこの国の制度の問題もありますが、私は、「そもそもサポートする民間のサービスが少ない」ことが原因ではないかと考えました。相続、医療、介護など、多くの方が老後に抱える問題や不安について、専門的に特化して個別にサポートを行うサービスはあるのですが、それらをトータル的にマネジメントする企業は多くありません。

そこで私は、「LGBT高齢者も、そうでない方も、シニアライフについて気楽に相談が出来、終活をパッケージ化することで不安に対してトータルの解決策を掲示する」コンシェルジュサービスを立ち上げることにしました。

*注1 総務省「国税調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017年4月推計)
   老年人口のピークは2042年で3,935万人と予測されている。
*注2 Lesbian(女性同性愛者)・Gay(男性同性愛者)・Bisexual(両性愛者)・Transgender(性別越境者)の略。
   電通ダイバーシティラボ2018年10月調査:日本全国の6万人に調査。LGBT該当者は8.9%だった。

実務だけでなく、精神的な不安まで幅広くサポートする

ー事業内容を教えてください

久保:シニアライフのサポートを掲げていますが、ひとえにシニアライフサポートといっても、その内容は多岐にわたります。例えば、相続手続だけでも、当事者は精神面、肉体面、経済面などさまざまな不安を抱えることになります。原因は法律などの必要な知識の不備と、「(自分は)相続金が低いから」といった思い込みによるところが大きいと言われています。そこで専門家の叡智を結集(アライアンス)できる、シニアコンシェルジュサービスの提供を主業務としました。

本サービスは、既存のサービス同士を組み合わせて、新たな価値を生み出す事業です。必要な情報やサポートを整理することで、利用者が老後をしっかりイメージ出来れば、『介護やお葬式に備える保険に入ろう』、『パートナーや配偶者のために遺言書を準備しよう』、『毎月いくら貯金が必要だから節約。貯金以外は旅費で使おう』など、具体的な行動も変わってくるはずです。

提供しているサービスは、実務面でのサポートにとどまりません。例えば「死生について考えること」といった漠然とした不安を前向きに考えられるように、終活の第一歩として、面白おかしくつくれる自分史DVDを商材にしています。こちらも不安をトータルでサポートしたいという思いから始めました。

サービスを受けることで安心なシニアライフへの備えをし、豊かな老後を送ることができる高齢者が増えていけば、どのような社会変化が起きるでしょうか?人生の先輩たちの行動や姿勢を見て、若い現役世代が「歳を取ってからでも安心だ!」という前向きな考えを持っていただけるのではないかと考えています。

失敗の数と、どれだけ立ち直れるかが企業のバロメーター

ー起業するにあたり苦労した点を教えて下さい

久保:設立前は、会社登記や銀行口座の開設も予想以上の時間を要しましたが、なんとか年内の設立に間に合わせることができました。会社設立後はアライアンス先となる提携企業との正式契約を急ピッチで進めました。どちらもかなりタイトなスケジュールでしたね。

ー起業してよかったと思うことを教えて下さい

久保:2019年1月にフジテレビの『ザ・ノンフィクション マキさんの老後』というドキュメンタリー番組で、当社を紹介して頂きました。反響が予想以上に大きく、当社のサービスを欲している方や共感してくださる方の多さを実感しました。

シニア世代の安心とそれを見た現役世代への希望をつくる」という同社の熱い理念に賛同してもらえたことで、おかげさまでシニア世代とシニア世代の親を持つ子供世代からのお問い合わせが増えてきました。

これからも着々と行動を続け、色々な方からの『共感』を増やしていきたいと思います。

ー今後の事業の展望を教えてください

久保:しっかりとユーザーに寄り添ったサービスを提供していくためには、当社の成長が欠かせません。なので、斬新な考えや独創的なアイデアを持っている方を積極的に採用していきたいと思っています。社会問題を解決する会社として資金調達を考え、将来的には株式上場も考えています。

ー最後に起業を考えている方にメッセージをお願いします

久保:起業を志すならば、まずは行動ですね。かといって、目的もなく走り、行きついた場所が想定していた未来と違っていては意味がありません。行動しながら少しずつ軌道修正をしていければいいのかなと思っています

起業での失敗は当たり前です。失敗をどれだけできるか。どれだけ失敗から立ち直れるか。それが企業存続のバロメータのような気がします。致命傷にならない失敗ならばあえて挑戦してみてもいいのではないでしょうか。

アライアンサーズ株式会社の会社はこちらから

おひとりのための「お気楽なお葬式」 https://www.home-sougi.biz/

シニア世代に有益な情報を配信中!アライアンサーズ公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC1ghnyluyZx8ZLzO-KBsO4w/featured

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(取材協力:アライアンサーズ株式会社 代表取締役 久保わたる
(取材協力:三幸エステート株式会社
(編集:創業手帳編集部)

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