公認会計士→NPO→起業 ”車中泊したい旅行者”と”遊休地”を繋げる「Carstay」代表インタビュー 

創業手帳

Carstay株式会社 CEO/代表取締役 宮下 晃樹インタビュー

(2019/04/16更新)

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2018年の年間訪日外国人数は3119万1900人で、統計開始以来の最高記録を更新したとのこと。年々続く訪日外国人の増加に伴って、様々なサービスが生まれてきています。
そんな中Carstay株式会社が行なっているのは、「車中泊による旅を楽しみたいユーザー」と、「駐車場や遊休地の所有者」をマッチングするというもの。旅行者は宿泊場所を確保でき、土地の所有者は遊休地を有効活用して収益を得られるというモデルで注目を集めているサービスです。

今回は、Carstay株式会社 CEO / 代表取締役の宮下 晃樹氏に、起業するまでの経緯や今後の展望について、お話を伺いました。

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宮下 晃樹(みやした こうき)Carstay株式会社 CEO/代表取締役
大学卒業後、有限責任監査法人トーマツに入社。公認会計士として、IPO支援など複数のプロジェクトを担当する。2016年に同社を退社。日本の地域文化の魅力を海外へ発信する任意団体SAMURAI MEETUPSをNPO法人化する。2018年6月、同法人の代表を続けながら、Carstay株式会社を設立。代表取締役として現在に至る。

日本と海外 両方の視点を持って感じた「2つの課題」

Carstay株式会社のホームページより引用

ー最初に、御社の事業内容について教えてください。

宮下:その地域の文化や魅力を体験しながら、車中泊による旅を楽しみたいユーザーと、空いている駐車場や空き地を有効活用して収益を得たいと考えている地域ごとのホストをつなぐシェアリングサービスを展開しています。地方自治体の協力もあり、現在全国100弱の駐車スポットを登録しています。

同時に、少しでも利用者の不安を取り除くために三井住友海上火災保険株式会社と「車中泊保険」の共同開発をしました。保険加入によって、設備の破損、地域住民とのトラブル、騒音問題などの補償を可能にします。

保険の存在は利用者に安心感を与える大きなきっかけとなりました。ちなみに、本サービスは難しい手続きなく利用規約の中で自動付帯しています。

ー起業しようと思ったきっかけは、どのようなものでしたか?

宮下:私は大学卒業後、有限責任監査法人トーマツに入社しました。公認会計士の資格を取得しており、企業経営に大きな興味があったからです。

入社後はIPO(株式公開)支援業務などを担当し、ベンチャー支援を軸に、幅広い経験を積ませていただきました。そして多くの起業家のお話をお聞きする中で、自分が本当にやりたいことについて考えるようになったのです。

公認会計士の仕事を続ける一方で、“訪日外国人に忘れられない体験をプレゼントする”をミッションに掲げた「SAMURAI MEETUPS」という任意団体(※1)を立ち上げ、仲間とともに平日夜や休日に観光ボランティアガイドを行いました。
私自身がアメリカ留学をした際に行った地域交流でとてもかけがいのない経験をさせてもらいまして、「日本を訪れた外国人の方々にも同じような経験をしてほしい」と思い、活動を始めました。

※1任意団体:法によって定められた法人格を持たない、「任意」の集まりのこと。

しかし、「このまま兼業という中途半端なスタンスでいいのか」と自問自答するようになっていました。そして、社会人3年目の春に退社を決意し、「SAMURAI MEETUPS」のNPO法人化を決断したのです。
その決断を後押ししてくれたのが、起業家である古賀洋吉さんの「人生の価値とは、その人が生まれた世界と生まれなかった世界の差だ」という言葉でした。心が揺さぶられ、これからの自分を見つめ直すことができました。
それから、訪日外国人向けに情報発信や体験コンテンツを実施。同時に、地域での観光誘致や街づくりを目的とした活動を行ってきました。

ーNPO法人としての活動からスタートしたのですね。そこから、どのように今の事業に行き着いたのでしょうか?

宮下:同法人で活動を続けていく中で、2つの課題を感じていました。

1つ目は、空港やターミナル駅から目的地に行くためのアクセス方法について。
交通の便の悪さや宿泊施設の不備によって本当に行きたい場所に行けないことが多い、ということです。「目的地に行くことさえできれば感動体験を味わうことができるのに」とやきもきしていました。

2つ目は、国内では人口減少により遊休地となってしまった土地が増えている、ということ。観光資源として輝くべき土地が静かに消えていくこともありえるのです。
そうなる前に、一人でも多くの旅行者に笑顔を提供し、同時に地域活性化のきっかけとなるようなサービスが必要だと感じていました。

この2つの課題を解決するために考え出したのが、全国各地の駐車スポットを旅行者に貸し出すシェアリングサービス事業です。2018年5月中旬から実現に向けて動き出し、急ピッチで書類を作成・提出しました。そして、6月1日に会社登記を終え、Carstay株式会社が誕生しました。

不安に感じるのは、情報が足りないから

ー起業するにあたり大変だったことはありますか?

宮下:やはりホストの方の駐車ポイントを確保することですね。誰もが、自分の所有地の中で問題を引き起こすわけにはいかないと考えますので、1件ごとに安心・安全を説明していきました。許可を得るまでにはかなりの時間を要しましたね。

ー今後の展開を教えてください。

宮下:おかげさまで当社のサービスが各メディアで取り上げられることも増えてきました。当社のサービスを使った体験記をYouTubeで発信した動画はすでに30万回も再生されています。そのおかげで着々と旅行者からの問い合わせも増えています。

とはいえ環境整備が不十分では、旅行者に満足や笑顔を与えることができません。まずは環境整備の部分をしっかりと確立していきたいですね。

将来的には、本当に必要なものだけを車に積み込んで生活する新たなライフスタイル「VAN LIFE」も広めていきたいと思っています。

ー最後に、起業を考えている方にメッセージをお願いします。

宮下:起業前は色々な書籍を読みまくっていまして、その時にお笑いタレントの西野亮廣さんがこのように話されていて、とても印象的でした。

「決められないときや迷っている時に足りないのは覚悟ではない。足りないのは情報だ」

この言葉って、起業に適している言葉だと思いませんか。
何かを始める上で、不安なことはたくさんあると思います。
そう感じた時は、まず多方面からの情報を入手すること。そのうえで判断をする必要があるのだと思います。

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(取材協力:Carstay株式会社 CEO / 代表取締役 宮下 晃樹)
(取材協力:三幸エステート株式会社
(編集:創業手帳編集部)

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