フリーランスが抱える3大リスクとは?事前に知っておきたいリスクの回避方法などを解説
フリーランスは仕事・生活面で様々なリスクが起こり得る
フリーランスは、自分次第で好きな働き方を選ぶことができます。
その一方で、リスクの管理も自分次第です。収入が安定しにくく、仕事がなくなれば収入もゼロになってしまいます。
リスクはただ恐れるよりも、 把握して対策を講じるようにしてください。
ここでは、フリーランスが抱える3大リスクとその対策についてまとめています。
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この記事の目次
フリーランスが抱える3大リスクとその内容
フリーランスは、スキルがあれば時間や場所を選ばずに働けます。しかし、フリーランス特有のリスクがあることも理解しておいてください。
ここからは、フリーランスが抱えるリスクを3つに分けて紹介します。
リスクの種類 | リスクの内容 | 具体例 |
事業継続リスク | 事業を安定して続けられなくなるリスク | 契約が解除されてしまう 案件が獲得できなくなる 長時間、低単価での稼働を要求される |
業務管理上のリスク | 業務を自分で管理するために法的な問題も自分で対応しなければならないリスク | 賃金未払い、ハラスメントにも自分で対応しなければいけない |
生活のリスク | 有給休暇や手当といった福利厚生がないため、万が一の時に困窮するリスク スケジュールや生活の管理が難しい |
病気やケガで働けなくなる 社会的信用が低い |
事業継続に関するリスク
フリーランスのリスクの中でも、事業をいつまで続けていけるのかを不安に感じる人は多いかもしれません。
一般的にフリーランスは、クライアントや顧客から仕事を受注して、納品後に案件の報酬を受け取ります。
そもそも案件を獲得できない、契約を打ち切られたといった理由で事業を継続できない可能性があります。
事業を続ける目途がつかないと途方に暮れてしまうケースも多いです。
収入が不安定になりやすい
フリーランスは、業界の景気が良ければ案件を獲得しやすく、収入も期待できます。
しかし、取引先や業界が不景気になれば収入が下がったり、契約更新ができなくなったりするかもしれません。
フリーランスは案件を獲得できなければ収入がゼロになってしまいます。
特にスキルや経験が少ないフリーランスは獲得しにくく、会社員からフリーランスになってから収入が下がるケースもあります。
自己管理が難しい
フリーランスが安定して仕事を受けるには、自己管理も重要です。自己管理できずに不規則な生活を送れば、健康を害して仕事にも影響します。
フリーランスは、会社員のように定められている出社時間や退社時間がないので、遅くまで働いたり、長期労働したりしがちです。
しかし、福利厚生がないフリーランスこそ、健康には配慮しなければいけません。
仕事の進め方や時間の管理は、自分に合った仕事のペースや方法を見つけるようにしてください。
営業活動をしなくてはならない
フリーランスになれば、会社員ではほかの部署や担当者がしていたような仕事も自分でこなさなければいけません。特に営業活動はしたことがなくて苦労する人も多い仕事です。
高いスキルや経験を持つ人でも、それをアピールして案件を獲得できなければ、報酬は得られません。
安定した収入を得るためにも、ひとつの案件だけでなく複数の案件を持てるように積極的に営業する必要があります。
業務上起こり得るリスク
業務を遂行する上でもフリーランスは多くのリスクがあります。
会社員であれば専門部署や顧問弁護士が対応してくれていたようなことも、フリーランスになれば自分で対応を考えなければいけません。
業務上起こり得るリスクについてまとめました。
雑務が多く本業にかける時間が減ってしまう
フリーランスは、本業ではない事務作業や雑務もすべて自分でおこないます。
問い合わせに対する対応や請求書や領収書の発行、スケジュール調整や確定申告といった仕事を対応するのは簡単ではありません。
会社では部署ごとに分かれていた仕事を自分ですべて担当するため、仕事の効率も高まりにくいでしょう。
今まで対応したことがない仕事がある場合には、事前にどのようにすれば効率が良いか、どういったツールが使えるか調べておくようにおすすめします。
支払い・ハラスメントの問題が起きる可能性がある
フリーランスとして働いていると、クライアントとのトラブルも発生します。具体的には報酬が支払われないケースや契約以外の仕事を求められるケースです。
フリーランスは契約相手が個人ではなく法人となるケースもあり、法律の知識がなければ相手の都合に振り回される可能性があります。
報酬の未払いや一方的な減額といったトラブルはよく聞かれるトラブルです。発生した時には早めに弁護士や専門家に相談するようにしてください。
契約違反による損害賠償を求められるケースがある
フリーランスとして受注した仕事で損害賠償を求められるようなケースもあります。例えば、情報セキュリティに問題があって個人情報や機密が漏洩した場合が挙げられます。
また、案件に関わる情報を外部に漏らすことで責任問題に発展するようなケースもあるため注意が必要です。
取引先と契約を結ぶ時には、内容をよく確認して禁止されている事項や損害賠償の可能性について確認してください。
生活面におけるリスク
フリーランスの立場になると、生活やライフプランでもリスクが発生します。フリーランスになってから初めて生活面でのリスクに気が付くケースもあるでしょう。
生活面におけるリスクを紹介します。
社会的信用が低い
フリーランスは会社員と比較して社会的信用が低くなりがちです。
社会的信用が低い、収入が不安定なことを理由として、ローンや賃貸、クレジットカードの審査は通りづらいともいわれています。
会社員の時には、会社に属していることで得られる信用を意識してこなかったかもしれません。
しかし、フリーランスになって賃貸やローンの申し込みで社会的信用の低さに気が付くケースもあります。
ワークライフバランスを取りづらい
フリーランスは、体調を崩した時や妊娠、出産といった場合に有給休暇や出産手当といった福利厚生はありません。
そのため、ライフイベントやトラブルがあった時にも自分の力で対処することになります。
フリーランスが働けなくなるとすぐに収入は途絶えてしまうため、自分で保険に加入したり、貯金を蓄えたり対策が必要です。
フリーランスを志す段階で、ライフプランについても考えておくようにしてください。
保険・保障で制限がある
会社員が仕事中にケガをした時には労災が適用されます。また、それが原因で働けなくなれば休業補償金が出るケースもあります。
しかし、フリーランスは労災の対象ではありません。
フリーランスは、一般的には国民健康保険に加入することになり、会社員の健康保険と比較して保障の面で制限があります。
自分で労災の特別加入や保険を利用するといった方法で補うようにしてください。
孤独を感じやすい
フリーランスは基本的に、ひとりでの作業が中心です。仕事以外の雑務もひとりですることが多く、孤独に感じてしまうケースがあります。
コワーキングスペースやカフェといったスペースで働けば、一時的に寂しさを紛らわせられるかもしれません。
しかし、同じ会社に所属した人と仕事での感情を分かち合う時間はありません。フリーランスは孤独な上に責任も重いため、精神的に追い詰められるリスクがあります。
フリーランスのリスクを回避する方法
フリーランスとして働くリスクは多くあるものの、事前に準備すれば回避も可能です。ここからは、フリーランスのリスクを回避する代表的な方法を紹介します。
収入の柱を増やす
収入が不安定であることは多くのフリーランスの悩みです。収入を安定させるためには、複数案件を持って収入の柱を増やすようにしてください。
収入の柱が増えれば、急に仕事が打ち切られてもほかの仕事でカバーできます。
複数案件を持つためには、スキルアップしたり、フリーランスエージェントに登録したりするといった方法も検討してみてください。
入念に契約内容を確認する
基本的ではありますが、契約を結ぶ時には入念に内容を確認してください。契約書には、報酬や仕事内容が明文化されています。
発注者から契約書を提示された時には、不利な内容がないかどうかを確認してから承認します。
不明点がある時には、専門家の力を借りてでも契約前に確認してください。
アプリ・ツールを活用してタスク管理をする
フリーランスは、自己管理して本業と付随業務をこなさなければいけません。そのためには便利なアプリやツールを積極的に導入してください。
例えば、スケジュール管理やタスク管理のツールはたくさんあります。税務や会計も専用のアプリやツールで効率化可能です。
ツールで効率化できる部分はどんどん利用して本業に集中できる環境を構築してください。
コワーキングスペースを利用する
ひとりで働いていて生活リズムが崩れてきた時には、コワーキングスペースで働いてみてください。
コワーキングスペースへの出勤は、適度な運動となり規則的な生活に整える効果があります。
コワーキングスペースではほかの人も働いているため、自宅より集中しやすいと感じる人も多いかもしれません。新しくオフィスを借りるよりも安価に就労環境を整えられます。
就業不能保険などへの保険加入を検討する
フリーランスは、会社員のように疾病手当金がありません。働けない時のリスクに備えるには就業不能保険などの保険加入を検討してください。
将来的なライフプランを考えてから、それに合った保険商品を探します。
また、会社員は厚生年金や退職金といった老後に備える仕組みがありますが、フリーランスはありません。
保険とともに小規模企業共済やiDeCoといった資産形成も検討しましょう。
フリーランスのコミュニティに参加する
フリーランスは、組織に属していないため保護されないことがあります。フリーランスの業界団体に加入することもリスクへの対策です。
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会はフリーランスが加入できるネットワークです。
年会費1万円をを支払えば、福利厚生サービスや賠償責任保険の付帯などが受けられます。
キャリア支援やオンラインコミュニティを運営しているので、ほかのフリーランスとつながりたい人にも適しています。
フリーランス新法で不安やリスクは解消された?
フリーランス新法は、2024年11月1日に施行された法律です。フリーランス新法の正式名称は、「特定受託事業者に係る取引きの適正化等に関する法律」です。
フリーランス新法には、取引条件の明示や報酬支払期間に関わる義務が定められました。
フリーランスと事業者の間の取引きが適正化して、公正かつ安全な契約を実現に貢献すると期待されている法律です。
フリーランス新法で何が変わったのか以下で確認できます。フリーランス新法について詳しく知りたい方はこちらを参照してください。
突然取引きが打ち切りになるリスクが減った
フリーランス新法の施行によりフリーランスの就業環境が整って働きやすくなると期待が集まっています。
フリーランスは会社に雇用されていないため、労働基準法で保護されません。
フリーランス新法では、契約条件を書面等に明記することの義務化、報酬の減額や不当なやり直しの禁止を定めています。
さらに、契約解除の時も労働契約における解雇予告に準じた定めがあります。
6カ月以上の継続的な業務を委託しているフリーランスに、発注者の一方的な都合で中途解約する場合や契約不更新とする場合には、原則解除日または契約満了日の30日前までに事前予告が必要です。
契約解除の理由を開示する義務も定められ、フリーランスがいきなり仕事を打ち切られるリスクが少なくなりました。
トラブルが起きても泣き寝入りせずに済む場合もある
フリーランス新法に反する行為があったとフリーランスが申し出た場合には、公正取引委員会等の関係当局は、調査を行い、適切な措置を講じます。
発注会社への指導や勧告、命令が認められています。
これらの措置に従わない場合には罰金の支払いも命じられるため、今まではフリーランスが泣き寝入りしていたような事例でも行政に介入してしてもらえるようになりました。
絶対に保護されるわけではない
フリーランス新法は、フリーランスの保護を要旨としています。しかし、フリーランスが絶対に保護されるわけではない点には注意してください。
フリーランス新法では、フリーランスと取引きする発注者に対して義務を課しています。
フリーランス側はその規制の内容を把握しておかなければ、発注者が法令違反であると判断できません。
フリーランス新法があるから保護されると考えるのではなく、フリーランス新法に照らし合わせて契約や報酬金額が不当でないかを自分で考える必要があります。
まとめ・フリーランスになる前にリスクを把握して準備を進めよう
フリーランスは、保険制度や労働基準法に保護されません。また、収入が変動することもあるので、貯蓄や保険でリスクに備える必要があります。
しかし、フリーランスのリスクは事前に把握しておけば準備できるものもたくさんあります。
フリーランス新法が施行されたことで、フリーランスのリスクであったハラスメントや支払い遅延といったトラブルにも対応しやすくなりました。
フリーランスとして働き続けるためにも、法律や利用できる制度を知っておいてください。
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(編集:創業手帳編集部)