スポンサー契約する企業のメリットは?成功するためのポイントや契約時の注意点などを解説
中小企業ほどスポンサー契約による企業側のメリットは大きい!
スポーツ団体やイベントなどとスポンサー契約を結ぶ企業は少なくありません。
しかし、どちらかというと資金が潤沢な大手企業がスポンサー契約を結んでいると思っている方もいるでしょう。
実際には、中小企業ほどスポンサー契約を結ぶことによって得られるメリットは大きいです。
契約金に不安を感じる方もいますが、中には数万円のスポンサー枠が設けられている場合もあります。
このスポンサー枠をうまく活用すれば、中小企業でもスポンサー契約を結び、その恩恵を得ることが可能です。
今回は、スポンサー契約についてご紹介しつつ、契約した場合のメリットや成功するためのポイントを解説していきます。
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この記事の目次
スポンサー契約とは?
スポンサー契約とは、企業がプロスポーツチームや選手個人、イベントなどに協賛し、資金を提供する契約です。
スポンサーが資金を提供する代わりに、広告を露出する権利が得られます。
スポンサーの概念ができたのは古代ローマ時代と非常に古く、当時貴族や政治家が興行を支援することで名声や権威を高めていたという歴史があります。
20世紀初頭になるとテレビ・ラジオが普及し、スポンサー活動も大きく発展を遂げていきました。
現在はテレビやラジオだけに留まらず、インターネットやイベント、SNSなど幅広いチャネルを通してスポンサー活動が行われています。
スポンサー契約の市場規模
The Business Research Company社の調査によると、スポーツ関連のスポンサーシップ市場規模は、2023年時点で637億4,000万米ドル、2024年には675億6,000万米ドルまで成長する見込みと予想しています。
スポンサー契約の市場規模が拡大している背景には、企業が実施する社会貢献活動(CSR)について、消費者が関心を持つ傾向が高まっていることが挙げられます。
企業側も社会貢献活動のアピールにつながることから、取り入れられるケースが増えているのです。
また、近年はテレビでの試合放送に限らず、インターネット配信や動画コンテンツ、SNSなどのマルチメディアによって時間や場所に限らずスポーツが楽しめるようになりました。
その結果、スポーツを観戦する人・観戦できる時間や試合数などが増え、企業もリターンを得やすくなったと考えられます。
さらに、eスポーツ産業の拡大もスポンサー契約の市場規模拡大に貢献しているようです。
eスポーツは、野球やサッカーなどのスポーツとは異なる観客も多く、ターゲットの違いからeスポーツの団体とスポンサー契約を結ぶ企業も増えています。
こうした様々な要因から、スポンサー契約の市場規模は拡大傾向にあるのです。
企業がスポンサー契約を結ぶメリット
企業がスポンサー契約を結ぶことによって、様々なメリットが得られます。主にどのようなメリットがあるか解説します。
あまり接点のない見込み客への企業やブランドの認知拡大・イメージアップ
企業がスポンサー契約を結ぶことで、これまではあまり接点がなかった見込み客に向けて企業やブランドの認知度を拡大させることができます。
スポンサー契約を結ぶと、契約金に応じて露出度が増やせます。
例えばユニフォームに社名ロゴを掲載できたり、1試合の協賛スポンサーになって試合会場で宣伝したりすることが可能です。
スポーツ観戦をしている人の中には、これまで自社と接点がなかった人もいるため、そういった人に向けてアピールできます。
広告でもターゲットを絞り込んで宣伝することは可能ですが、スポーツ選手なら幅広い層に対してアピールしやすいです。
小規模のチームだった場合、ユニフォームだけでなくピッチ看板やバナーといったほかの露出方法も組み合わせることで、そのチームのファンや観戦している人に宣伝できます。
宣伝色が濃くならずに宣伝できる
ユニフォームに掲載する社名ロゴは、単に観戦している人の目に入りやすくなるだけでなく、記者会見や取材などで映し出され、宣伝につながる場合もあります。
また、記者会見や取材以外だけでなく、選手のトークショーや試合の来場者に対して、スポンサーの企業がチラシや試供品といった広告物を配布するケースもあります。
企業が作り出した広告とは異なり、自然な形で社名ロゴの宣伝につながるため、あからさまな広告とは違った印象を与えることが可能です。
スポンサー企業同士で交流ができる
スポンサー企業になることで、同じくスポンサー契約を結んだ企業同士で交流につながる場合もあります。
例えばスポーツチームとスポンサー契約を結んだ場合、スポンサー企業の関係者を試合に招いたり、交流会や懇親会を開催したりすることもあります。
この時、スポンサー企業同士の交流が生まれることもあるかもしれません。
異なる業種でも同じチームを支援するスポンサー企業という共通点があることから、新たな人脈の構築やビジネスマッチングに発展する可能性も高いです。
また、スポンサー企業は競技場のVIPルームにスポーツ好きな取引先の担当者を呼ぶことで、接待として活用することも可能です。
このように、企業のつながりを増やせることもスポンサー契約のメリットといえます。
商品・サービスの売上アップ
スポンサー契約で露出できるのは社名だけでなく、商品・サービス名も含まれます。
商品・サービス名の露出が増えれば、それだけ多くの人の目に商品・サービス名が留まることになり、認知度や売上アップも狙える可能性が高いです。
例えば新商品を販売するタイミングに合わせて看板を交換したり、会場で商品のサンプルを配ったりすることで、興味を持った観客が実際に購入して使ってくれる場合もあります。
また、スポンサー契約では資金だけでなく物品も提供できるため、選手に実際に使ってもらいアピールすることも可能です。
特に新商品を開発したばかりでより多くの人にアピールしたい場合や、試供品を配布する方法に悩んでいる場合は、スポンサー契約をするのがおすすめです。
雇用の拡大
企業の知名度がアップすることで得られるメリットは、売上げに関連するものばかりではありません。
例えばスポンサー契約によって社名の露出が増えたことで、多くの人に自社を知ってもらうことができ、就職活動をする若者にも認知してもらいやすくなります。
また、スポンサー契約はCSR活動につながっていることから、企業に対するイメージアップにも影響し、新卒社員の応募を増やせる可能性もあります。
スポーツチーム以外にも、学生団体や大学のサークル、ミスコンなどに協賛することで、若年層への認知度もより拡大していくでしょう。
福利厚生の種類増加
スポンサー契約を結ぶと、協賛先からお礼として露出を増やせる権利だけでなく、例えば試合のチケットを入手しやすくなることもあります。
このチケットは従業員に対して、福利厚生として提供することも可能です。
スポーツ好きな従業員はもちろん、家族サービスとして試合に連れていきたい人にとっても嬉しい福利厚生といえます。
また、試合のチケットだけでなく子ども向けのスポーツ教室を開催したり、チームのトレーナーが自社の従業員に対して健康教室を実施したりするなどの福利厚生も挙げられます。
福利厚生の種類が増加すれば従業員の満足度も高まり、働く意欲や組織に対するエンゲージメントの向上にもつながるかもしれません。
CSR活動として地域に貢献
企業活動は、規模の大小にかかわらず環境や人の暮らしに様々な影響を与えています。
良い影響であれば問題ありませんが、中には悪い影響を与えてしまう可能性もあるかもしれません。
こうした企業活動によって与えられる悪い影響を最小限に抑えることに努めていくことが、企業が果たすべき社会的責任ともいえます。
企業が社会的責任を果たすための活動として、CSR活動が挙げられます。
CSR活動によって企業のイメージアップを図ることもでき、またステークホルダーとの関係性も強固なものにすることが可能です。
CSR活動といっても内容は様々で、例えばボランティア活動や周辺の清掃活動に取り組む企業もいますが、地元のスポーツチームとスポンサー契約を結び、協賛になることも地域の活性化につながるため、CSR活動に含まれます。
スポンサー契約を成功させるためのポイント
スポンサー契約を成功させるためには、以下のポイントを押さえることも大切です。どのようなポイントを押さえるべきか解説していきます。
スポンサー契約の意義・目的を明確にする
スポンサー契約を結ぶ際には、自社の経営課題やビジネスにどのように活用させていくのか、意義・目的を明確にすることが重要です。
例えば単に自社の認知度を高めたいのか、商品・サービスの売上貢献につなげたいのか、CSR活動の一環として地域に貢献したいのかなど、スポンサー契約には様々な目的が挙げられます。
複数の目的がある場合でも優先順位を決め、何を優先すべきか決めておくことでスポンサー契約を活用した施策の内容も決まりやすいです。
また、優先順位によっては獲得するスポンサー枠の種類やかかるコストも変化します。意義・目的は明確にすることで、無駄なコストもかからず費用対効果も良くなるでしょう。
自社とマッチするスポンサー契約先を見つける
どのチーム・団体とスポンサー契約を結ぶか検討する際に、そのチーム・団体と自社の理念や事業内容がマッチしているかもチェックする必要があります。
まったく関係のないチームや団体を応援するよりも、親和性の高いスポンサーになることでそのチームのファンや社会全体も納得できます。
例えば自社と目指すものや掲げるスローガンが同じ団体、地元が同じ団体などです。
スポンサー契約を結ぶきっかけや背景を発信する
スポンサー契約を結んだ際は、自社がなぜそのチーム・団体と契約することになったのか、そのきっかけや背景についてユーザーに発信することも大切です。
スポンサー契約を結ぶきっかけや背景などの情報を発信することで、ユーザーは企業に対して「論理性がある」「納得できる」と実感し、企業全体の信頼性につながります。
また、共感を得ることで自社をより身近に感じてもらいやすいです。
単にスポンサー契約を結んだ事実だけでなく、プレスリリースやオウンドメディア、SNSなどを通じて情報を発信していってください。
活動時には一貫性と継続を重視する
スポンサー契約を結んでいる期間には支援するチーム・団体の動向を見守りつつ、ユーザーやファンに継続して夢を与えられるような活動をする必要があります。
そのためには、活動に一貫性を持たせ、安定した取組みにすることも重要です。イベントやキャンペーン、宣伝活動なども一貫性を保ちつつ活動を続けてください。
著作権・肖像権などがどの範囲まで利用できるか明確にする
チーム・団体とスポンサー契約を結ぶ際、スポンサー枠によって支援する金額から広告が使える範囲などが違ってきます。
特にチームのロゴなどの著作権や選手の肖像権などは、どの範囲まで利用できるのかを明確にしておくことが大切です。
例えば、自社の広告に選手を起用するなら、肖像権を取得するための規定が契約事項に盛り込まれているかどうか、ユニフォームなどへの自社名やロゴを表示できる期間はいつまでになるかなどを事前に確認しておいてください。
著作権・肖像権などは、後からトラブルを招いてしまうことも少なくないので注意が必要です。
スポンサー契約と似ている契約との違い
スポーツチームや団体などとの契約形態には、スポンサー契約以外にも種類があります。ここでスポンサー契約と似ている契約との違いを紹介します。
サプライヤー契約との違い
サプライヤー契約とは、企業がスポーツチームや団体に対して商品・サービスなどを提供する契約です。
例えばトレーニングに使用する用具・機器の無償提供または割引価格での提供や、使用する用具・機器のメンテナンス、選手が着用するアパレルの提供などが挙げられます。
アンバサダー契約との違い
アンバサダー契約とは、選手がブランドや企業の広告塔として活動する際に結ぶ契約です。
有名選手とアンバサダー契約を結ぶことで、企業の認知度向上やイメージアップを図れます。
まとめ・中小企業こそスポンサー契約で新たな顧客にアピールしよう
企業がスポンサー契約を結ぶことで認知拡大やイメージアップなどの効果が期待でき、さらに地域・社会への貢献活動にもつながります。
スポンサー契約には多額の出資が必要というイメージがあるかもしれませんが、数万円規模のスポンサー枠を提供するチーム・団体もあります。
新規顧客層へのアピールにつなげるためにもスポンサー契約を活用してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)