起業や開業におすすめの地方都市について解説!それぞれのメリット・サポート体制を紹介

創業手帳

起業や開業におすすめの地方都市の魅力を知ろう


起業・開業するにあたって、事業の活動拠点となるエリアを選ぶ必要があります。どの地域で事業をはじめるかという点もビジネスの成功に欠かせない要素です。
拠点となる場所を選ぶ時は、起業・開業のサポートが充実しているエリアがおすすめです。

そこで今回は、起業・開業におすすめの地方都市を5つご紹介します。
その土地でビジネスをはじめるメリットやサポート体制についても紹介しているので、拠点選びの参考にしてください。

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この記事の目次

【起業・開業におすすめの地方都市】福岡市


福岡県の南部に位置する福岡市は、九州地方の政治・経済・文化・ファッションの中心となるエネルギーに満ち溢れた街です。
そのような福岡市で起業・開業するメリットや利用できるサポートをご紹介します。

福岡市で起業・開業するメリット

福岡市で起業・開業するメリットは以下のとおりです。

5年連続開業率日本一を獲得している

2022年度の福岡市での開業率は5.3%であり、21大都市の中で1位を記録しています。
2017年から5年連続で日本一を獲得していることから、開業しやすい都市として注目を浴びています。

福岡市はグローバル創業・雇用創出特区に指定されており、いち早く起業支援に注力していました。
そのため、支援制度や施設が充実しており、起業・開業しやすい環境が整っている地域になります。

人口増加率も高い

福岡市は人口増加数・率が高いことも特徴で、政令指定都市ではトップを記録しています。また、10~20代の若者の流入も多い傾向です。
人が多く集まり、活気に溢れた都市であるため、起業・開業すればビジネスチャンスを掴める可能性が高いです。また、優秀な若手を確保できる可能性もあります。

ビジネスに適した環境がある

福岡市の賃料は東京や大阪などの大都市と比べて安いとされているため、安い賃料でオフィスを構えることが可能です。
また、市内には国内線と国際線が運行する福岡空港もあります。
中心街である博多駅や天神駅から地下鉄で数分~数十分でアクセスでき、国内の都市やアジア各国まで移動できます。
福岡に限定することなく、ビジネスを日本全国やアジアに広げることも可能です。

福岡市で起業・開業時に使えるサポート

福岡市での起業・開業で利用できるサポートには、以下のものがあります。

スタートアップカフェ

スタートアップカフェは、2014年にオープンした支援施設です。コンシェルジュが常駐しており、資金調達や事業計画書の作成など起業・開業に関する相談が可能です。
また、行政書士や弁護士といった専門家との個別相談も可能なほか、人材マッチングセンターや雇用労働相談センターなど幅広いサポートを提供しています。

起業セミナーや無料で参加できるイベントも充実しています。中にはオンラインからも参加できるので、自宅から気軽に参加して起業に役立つ情報を得ることが可能です。

スタートアップビザ

福岡市では、国内では初めてとなるスタートアップビザを発給しています。
本来、外国人は「事務所の開設」「常勤2名以上の雇用」または「資本金か出資の総額が500万円以上」など、厳しい条件を満たさないと日本で起業・開業することができません。

スタートアップビザでは、外国人起業家に対する厳しい起業の条件が緩和されています。
具体的には本来の要件を満たしていなくても、創業活動計画書などを市に提出して確認をとり、入国管理局が審査して承諾すれば6カ月の経営・管理ビザを取得することが可能です。

Fukuoka Growth Next

Fukuoka Growth Nextは、市や民間企業が連携し、創業からその後のスタートアップまで集中的に支援を行っている施設です。
本社として活用できるスタートアップ向けの個室オフィス(チームルーム)やシェアオフィス、コワーキングスペースなどを設けており、自分に合ったオフィスを選んで業務に集中することができます。

ほかにも上記で紹介したスタートアップカフェや様々な業界人と出会えるスタンディングバー、イベントスペースなども併設されています。

【起業・開業におすすめの地方都市】札幌市


北海道札幌市は、古くから道内における政治・経済・文化の中心地として栄えてきました。
そのような札幌市で起業・開業するメリットや利用できるサポートをご紹介します。

札幌市で起業・開業するメリット

札幌市で起業・開業するメリットは以下のとおりです。

自然や観光を活かした事業を展開できる

札幌市は雄大な自然に恵まれており、都市と自然が調和する街です。そのため、自然を活かした事業に向いています。
海に囲まれ、農地を多く有する北海道は日本国内でも農業や漁業の重要な供給地域です。
札幌市には農産物や海産物を用いた食品製造業が多く、事業所数や出荷額は国内トップを誇ります。

ほかにも歴史残る建物が豊富で、観光地としても親しまれていることから観光産業も展開しやすいです。
また、札幌市は飲食店とも親和性が高いです。北海道の食材を用いた飲食店は、地元の人から観光客まで幅広くターゲットにできるでしょう。

自然災害のリスクが低い

札幌市は冬を迎えると雪が降り、気温は氷点下となります。しかし、夏は梅雨がなく、台風の影響をほとんど受けません。
そのため、梅雨の豪雨や台風による自然災害のリスクを抑えて事業を展開していくことができます。
自然災害の規模によっては、事業を再開するまで時間がかかったり、最悪存続できなかったりする可能性も高いです。
少しでも自然災害のリスクを抑えられるので、事業を維持しやすい地方都市といえます。

札幌市で起業・開業時に使えるサポート

札幌市で起業・開業で利用できるサポートは以下のとおりです。

女性起業家のための相談窓口

札幌市では、女性の社会での活躍を推進するために女性起業家のための相談窓口を設けています。
札幌中小企業支援センターに女性の中小企業診断士を配置しており、起業や経営課題に関する相談が可能です。
家庭と仕事の両立といった女性起業家ならではの悩みも気軽に相談できます。相談窓口を利用できるのは原則毎週火曜日と金曜日で、事前に予約が必要です。

さっぽろ新規創業促進補助金

さっぽろ新規創業促進補助金は、株式会社や合同会社といった法人設立にかかる登録免許税が半額になる制度です。
補助される金額は以下のとおりとなります。

株式会社の設立 登録免許税の半額相当分:7万5,000円
定款認証手数料相当分:10万円
合計:一律17万5,000円
合同会社・合資会社・合名会社の設立 登録免許税の半額相当分:3万円
定款認証手数料相当分:5万円
合計:一律8万円

この補助金は、市内での創業促進を目的にした札幌市創業支援等事業の修了証明を受けてから法人登記を行った人が対象です。
さらに、今まで事業を営んでいない個人などの要件も満たす必要があります。

スタートアップ立地促進補助金

スタートアップ立地促進補助金は、札幌市内での起業や市外からの移転、または拠点を設置するための準備資金を補助する制度です。
札幌市内で法人本店登記を行う、個人(区分A)・設立7年以内の法人(区分B)・設立7年以内で1年以上の操業実績がある法人(区分C)が支給対象です。
支給額は以下のとおりとなります。

起業・立地準備費 上限150万円
指定施設開設費
(指定施設に事務所を設けた場合)
工事費や事務機器購入費、採用費の1/2(上限100万円)

【起業・開業におすすめの地方都市】京都市


京都府京都市はかつての首都であり、古い歴史を今でも感じられる地方都市です。日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」の決勝の地にも選ばれています。
そのような京都市で起業・開業するメリットや使えるサポートをご紹介します。

京都市で起業・開業するメリット

京都市で起業・開業するメリットは以下のとおりです。

世界的に知名度が高い

京都市は世界での知名度が高く、様々な分野において世界トップクラスの人気を集める地方都市です。
例えば、世界で最も魅力的な都市2021では、世界第3位に選ばれています。日本の都市特性評価2022では、全国第2位となりました。
国内外で評価され、知名度が高い京都で起業することは、ビジネス拡大の後押しになると考えられます。

ものづくり産業やコンテンツ産業に向いている

京都市には多彩な伝統産業があり、ものづくり産業やクリエイティブなコンテンツ産業との親和性が高いです。
伝統的な技術・技能・感性を活かしながら、付加価値の高く革新的なものづくりを実現できます。
世界で活躍する起業家・経営者の中には、京都の伝統や文化、体験からインスピレーションを受けたという人も少なくありません。

また、時代劇をはじめとした映像業界やゲーム産業などコンテンツ産業も盛んな地域です。
ゲームや漫画家やアニメーターなどのクリエイターの育成・マッチング支援なども積極的に取り組んでいます。

観光や食に関する事業とも相性が良い

日本を代表する観光地であることから、観光産業にも向いています。国内外問わず観光客をターゲットに事業を展開することが可能です。
また、観光客と親和性が高い食に関する事業も向いています。
京都の特産品や季節の食材を使った地域密着型のメニューを提供できれば、地元や観光客に愛される飲食店を展開できます。

京都市で起業・開業時に使えるサポート

京都市で起業・開業で利用できるサポートは以下のとおりです。

オープン・イノベーション・カフェ「KOIN」

KOINは、一般社団法人 京都知恵産業創造の森が運営する支援施設です。
常駐するスタッフに起業や経営課題に関する相談ができ、アドバイスや最適な支援機関・事業者を紹介してもらえます。
悩みに合わせて個別の相談窓口があり、各分野の専門家に相談することができます。
相談以外にもカフェ内ではミーティングができるほか、イベントやセミナーの開催も可能です。

京都スタサポ

京都スタサポは、京都商工会議所が運営する情報サイトです。創業に関する基本的な知識やセミナー・イベント情報、公募情報などをチェックできます。
また、京都商工会議所の各ビジネスサポートデスクでは、創業の相談を受け付けています。
京都市内には4つのビジネスサポートデスクがあるので、管轄の地区にある拠点に相談してみてください。

【起業・開業におすすめの地方都市】名古屋市


愛知県の西部に位置する名古屋市は、安定した経済力を保ち付けている地方都市です。
そのような名古屋市で起業・開業するメリットや利用できるサポートについてご紹介します。

名古屋市で起業・開業するメリット

名古屋市で起業・開業するメリットは以下のとおりです。

ものづくりの街として知名度が高い

名古屋市には製造業が集積しており、ものづくりの街として知名度が高いです。
自動車製造をはじめ、航空宇宙産業やロボット技術など、高度な技術が求められる多様な産業が集まっています。
有松絞りや瀬戸焼などの伝統工芸も豊富です。そのため、伝統技術・技能を活かした事業も展開できます。

交通アクセスが良い

鉄道・幹線道路・空港があり、幅広い交通網を利用できることもビジネスの拠点に選ばれる要素です。
交通網が充実しているので出勤に手間がかからない、効率良く営業活動ができる、他県や海外と取引きができるといったメリットがあります。

人口が多く人材を確保しやすい

名古屋市は日本で3番目に人口が多い都市です。人口が多い分、優秀な人材を確保しやすいという点に魅力を感じる起業家・経営者は多くみられます。
人材が確保しやすいだけではなく、顧客になってくれる人も多いと考えられます。
名古屋市には企業や個人事業主も多いので、顧客・取引先・仕入先とつながりやすく、大きなビジネスチャンスを掴める可能性が高いです。

名古屋市で起業・開業時に使えるサポート

名古屋市で起業・開業に利用できるサポートは以下のとおりです。

特定創業支援等事業

特定創業支援等事業は、名古屋市で創業したい人や創業5年未満の人が利用できる支援制度となります。
1カ月以上かつ4回以上の継続的な支援を通じて、財務や人材育成など経営に関するノウハウを学ぶことが可能です。
受講を修了すると証明書が交付され、一定条件を満たせば法人設立の登録免許税の軽減や日本政策金融公庫の融資制度で優遇されるなど、国の支援施策を受けられます。
専門家に無料で創業に関する相談ができます。専門家への相談には回数制限はないので、何度でも利用可能です。

スタートアップ企業支援補助金

スタートアップ企業支援補助金は、成長が期待される企業の創業促進を目的に創業時にかかる経費の一部を補助する制度です。
名古屋市内で新規創業する人、市内に本社を有する創業5年以内の中小企業者で新しい取組みに挑戦する人が支給対象になります。

補助率は対象経費の1/3で、上限は100万円です。補助対象となる経費は、人件費や店舗等借入費、設備費など多岐にわたります。
ただし、対象の経費は細かく限定されているので、公式サイトで要件を確認してください。

名古屋市新事業支援センター

名古屋市新事業支援センターは、名古屋市で創業したい人や経営課題を抱えている人などを対象に支援を行っている施設です。
事前予約制の窓口相談や小規模企業経営アドバイザーによる訪問相談、年4回まで利用できる専門家派遣を提供しています。
そのほかに各種補助金や製造業向けのマッチング支援など様々な支援を提供しています。

【起業・開業におすすめの地方都市】広島市


広島県広島市は、中国地方では最大の面積と人口を誇り、豊かな自然や歴史・文化を有する地方都市です。
そのような広島市で起業・開業するメリットや利用できるサポートをご紹介します。

広島市で起業・開業するメリット

広島市で起業・創業するメリットは以下のとおりです。

先端産業や様々な工業が発展している

広島市は、針産業やゴム産業、造船・自動車・鉄鋼といった重工業、電気・電子機器など様々な産業・工業で発展してきました。
ものづくりに特化した企業は300社あり、中国・四国・九州地方の付加価値額は10年連続で1位を記録する実績があります。
ものづくりが盛んな地域なので、地元の企業と連携しながら画期的な製品を生み出せる可能性があります。

交通の利便性が高い

広島市には山陽新感性や山陽本線があり、国内では珍しい路面電車も利用できます。
交通の利便性が高いので、通勤や集客のしやすさや効率良く営業ができることが魅力です。
県外への移動もしやすいので、商談のチャンスを広げられるメリットもあります。

広島市で起業・開業時に使えるサポート

広島市で起業・開業に利用できるサポートは以下のとおりです。

ひろしまスターターズ

ひろしまスターターズは、広島市内で創業したい人に情報を届けているサイトです。
先輩起業家のインタビューやセミナー情報、相談機関など様々な情報をチェックすることができます。
先輩の成功談や創業に役立つセミナー・イベント情報を知りたい方は、こまめにチェックすることをおすすめします。

広島市中小企業支援センター

広島市中小企業支援センターは、公益財団法人 広島市産業振興センターが運営する中小企業向けの支援施設です。
経営・創業に関する窓口相談やセミナー研修会の開催、アドバイザーの派遣などを行っています。
ほかにも女性のための創業相談や資金管理の相談、助成金・融資の案内など幅広いサポートを利用することが可能です。

地方都市で起業・開業するメリット


地方都市で起業・開業することには、以下のメリットが挙げられます。

  • コストを削減して起業できる
  • 都市部よりも競合他社が少ない
  • 地方の特色を用いた事業を展開できる

地方都市は首都圏と比べて、家賃や人件費などが安い傾向にあり、コストを抑えた起業・経営を実現できます。
また、各地自体がビジネスや雇用の創出のために優遇措置を用意しているので、その点もコストを抑えやすい理由のひとつです。

ほかにも都市部と比べて競合他社が少なく、顧客を奪い合いが起こりにくいので地道に売上を伸ばしていけます。
既存企業が参入していない地域や分野、地域の特色を活かしたビジネスなどで差別化を図り、成功につなげることも可能です。

地方都市で起業・開業するデメリット


地方都市で起業・開業するデメリットは以下のとおりです。

  • 通信環境や交通環境が悪い場所もある
  • 業種によっては参入が難しい
  • 人材の確保や新規顧客の開拓が難しい時もある

地方都市によっては通信環境と交通環境が悪く、通勤や出張、通常業務に支障が出る可能性があります。
また、特定の市場を独占している既存企業がいる都市もあります。地域住民の間で馴染みのある企業が存在する場合、参入してもなかなか受け入れてもらえないことがあります。

地方都市ごとに人口に格差があることもデメリットです。特に若手は首都圏に流出する傾向があり、若い優秀な人材を雇えないケースもあります。
人口母数が少ないことで、新規顧客の開拓や販路拡大のチャンスも少なくなる可能性があります。
このようなデメリットがあることから、地域の特色や業界の動向、競合他社を徹底して調査することが大切です。

まとめ・地方での起業・開業はサポート体制が整ったエリアで考えよう

各地方都市では、起業家や経営者を誘致するために様々な支援施設・制度を用意しており、創業しやすくなっています。
今回ご紹介した地方都市は、特にサポート体制が充実しており、起業・開業のメリットも大きな都市です。
地方で事業をはじめたい方は、サポート体制を確認して、参入を検討してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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