Opt Fit 渡邉昂希|ローンチから約2年で1,000店舗以上に導入される「AIカメラ」でフィットネス業界を改革!
AI×フィットネスでジム運営の課題を解消!AI画像解析サービス「GYM DX」とは
フィットネスジムで省人化/無人化が加速しており、24時間365日リーズナブルな料金で利用できる施設が登場してきました。ジム経営の省人化/無人化をサポートするAIカメラ「GYM DX(ジムディーエックス)」は1,000店舗以上に導入されています。
AIカメラが選ばれる理由は、ジム運営の監視業務を自動化できて運営コストを削減できるためです。また、マシン利用率や混雑状況を把握しデータに基づいた経営が行えます。2023年10月には、シリーズAラウンド1stクロージングで約2億円の資金調達に成功するなど注目を浴びるベンチャー企業です。
今回は株式会社Opt Fitの代表を努める渡邉さんに、1社目を事業売却後に2度目の起業を決意された経緯やお客様に選ばれるサービスの誕生話について創業手帳代表の大久保がインタビューしました。
株式会社Opt Fit 代表取締役CEO
1994年生まれ、愛知県名古屋市出身。体育会水泳部を卒業後、都内のITベンチャー事業会社へ就職。24歳で起業をし1年で事業をスケールさせ上場企業へ事業売却。25歳で2社目の起業とともに株式会社Opt Fit代表取締役CEOに就任。日本初スポーツジム専用AIシステムを2021年5月ローンチ。早期のプロダクトマーケットフィットを目指す。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
ITサービスに感動し、起業でやりたいことが明確に
大久保:起業の経緯をお伺いできますか?
渡邉:はい。僕の父親が飲食店を経営していた関係で、幼少期から起業に憧れを抱いていました。しかし、当時は、どのようなサービスを提供したいかまで夢を描けてはいませんでしたね。
大久保:IT企業に参入を決めた理由とは?
渡邉:僕は4歳から大学生まで水泳をしていました。大学時代は水泳競技に打ち込むために寮生活をしていたので、アルバイトは禁止されていたんです。そのような大学生活でも、週1回は休みがあり「遊ぶお金が欲しいな…」と思ってメルカリを利用してみました。
着ていない洋服をメルカリに出品して商品が売れることに、とても感動したんです。そのときに「僕も人を感動させるようなITサービスを作りたい」と思って、幼少期から憧れていた起業と結びついて、やりたいことが明確になりました。
大久保:なるほど。ITサービスの開発方法は、どのように学ばれたのですか?
渡邉:水泳競技大会もあり、大学3年生は就職活動が十分に行える環境ではありませんでした。そのため、自分で積極的に行動するしかないと思ったんです。
ベストベンチャー100などのメディアを参考にしながら、ITサービスを開発しているスタートアップ企業をピックアップして100社程の企業にDMを送りました。そのなかで、10社ぐらいから返事を頂いて、最初に内定を頂いた株式会社ベーシックに入社を決めました。
株式会社ベーシックには「SaaS事業」と「メディア事業」があり、ITサービスの開発方法とユーザーの集客方法を学ぶことができたんです。新卒入社だったため、メディア運営にあたっての営業が主業務でしたが、上流工程の担当者の近くに行き「こんな風にサービスを作るのか」と学んでいきました。僕が知りたいことを質問したら、快く教えてくれる人ばかりだったのでとても感謝しています。
1回目の起業はスモールスタートで「できること」「やりたいこと」を洗い出した
大久保:渡邉さんは2回起業されていますよね。1回目の起業の話をお伺いできますか?
渡邉:僕はリスク管理を好む、慎重な性格をしているため「1回目の起業で大きなことをやるのは結構難しいのかな」と思いました。そのため「自分ができること」「自分がやりたいこと」を洗い出していきました。
その中で「水泳競技生活を楽しませてもらったので、スイミングスクールに恩返ししたい」「株式会社ベーシックで学んだメディア運用を活かしたい」という想いから、スイミングの普及を目的に「スイミング情報ネット」を作ったんです。
大久保:スイミング情報ネットは、どのようなチーム体制で運用していたんですか?
渡邉:僕はエンジニアではないため、業務委託の方にメディアを制作してもらいました。水泳の魅力などが伝わる内容にしてほしいと依頼をしましたね。僕はメディアを制作してもらった後に、フィットネスジムやスイミングプールに営業してメディアへの掲載を募っていました。
大久保:メディアを売却したのは何故ですか?
渡邉:正直、メディアの売却は考えていませんでした。
スイミング情報ネットに掲載を募るために、フィットネスジムやスイミングスクールへ営業している中で「フィットネス業界はDXが遅れていて業務改善の余地があるな」と感じることがあったんです。僕には、メルカリのような素晴らしいITサービスを開発してお客様に貢献したいという夢があったため「フィットネスジムの業務効率化を図れるDXソリューションを作りたい!」と思うようになりました。
2つの事業を営むと労力が分散されて良いパフォーマンスは発揮できないと思ったんです。そして、僕の想いに共感してくれたゲンダイエージェンシー株式会社にメディアを売却しました。現在もゲンダイエージェンシー株式会社がメディアを運営してくれています。
2回目の起業では、他社が取り組まない「AIカメラ×フィットネス」領域に挑戦
大久保:2回目の起業でAIサービスを開発しようと思った背景を聞かせてもらえますか?
渡邉:お客様からジム運営の課題をお聞きする中で、業務効率化を図るサービスを開発したいと思うようになりました。当時、多くの業務支援システムが販売されていました。例えば、ジムの入退会作業を効率化するシステムなどです。
僕は「お客様が抱えている未解決の課題を解決できたら面白そうだな」と思っていたので、競合他社と類似するサービス開発は考えませんでした。
当時、24時間運営ジムが増えてきており、省人化、無人化に必要なサービスは何だろうと調べていく中でAIカメラの存在に気づいたんです。どの会社もAIカメラを使用したサービスを提供していなかったので、非常に興味を持ちました。
大久保:ITサービスで感動を与えたいとおっしゃっていましたもんね。
渡邉:はい。フィットネスジムの経営課題を解決し貢献できていると実感できたり、業界を変えるような挑戦ができたりしているため、モチベーション高く仕事に打ち込めていると思います。
大久保:2回目の起業の運営体制をお伺いしても宜しいですか?
渡邉:はい。最初は僕の事業構想に共感してくれた2名のエンジニアと一緒に3名で起業しました。少しずつエンジニアを増やしています。資金面も大体1年半ぐらいは自己資金と借入で賄ってきたんですが、投資家の賛同を募って資金調達をしました。資金面を蓄えながら会社を成長していけるため、本当にありがたいと思っています。
今後はエンジニアの増員を含め、マーケティングなどにも注力していく予定です。1回目の起業と比較するとスケールアップしていて、本当に多くの人に助けていただいているなという実感があります。
chocoZAPにも導入されている「GYM DX」でできること
店舗の省人化/無人化
大久保:AIカメラ「GYM DX」はchocoZAP(チョコザップ)にも導入されているんですよね?
渡邉:はい。chocoZAPさんのご支援をさせて頂いています。フィットネス業界は省人化や無人化がトレンドですが「ジム運営の人件費を削減したら売上が落ちた」では本末転倒であると思うんです。そこで、サービス品質を維持、または向上できるようなプロダクト開発に注力しています。
AIカメラ「GYM DX」を設置すれば、ジム利用者の動きを監察して、転倒者など危険をキャッチすることができます。つまり、ジムの監視業務を自動化することが可能です。今後は素行が悪いジム会員を検知する機能など新機能もリリースしていく予定です。
データに基づいたジム経営
大久保:防犯カメラAI画像解析「GYM DX」でできることは他にありますか?
渡邉:GYM DXでマシンの利用状況を把握することができます。マシンの利用率は、1台1台で把握可能です。マシン利用率をデータ蓄積していけば「どのマシンを導入すれば、お客様が満足するか?」「お客様はどのようなトレーニングをしたいのか?」などデータに基づいた経営判断ができるようになります。
混雑状況情報の提供
大久保:実は、私はchocoZAPに通っているんですが、「GYM DX」が導入されていることで、会員にメリットはありますか?
渡邉:GYM DXを使用すると、リアルタイムのジムの混雑状況を毎分ごとに集計できます。混雑状況をリアルタイムで確認できるため、お客様はジムに行く前に「利用したいマシンを使えるか?」「どれぐらいの混み具合だろうか?」をチェックできるようになります。
AIカメラ「GYM DX」が選ばれる理由は顧客ニーズの把握力と情熱
大久保:ジム業界以外でAIカメラのシェアも拡大していきたいとお考えなんですか?
渡邉:僕は、水泳が大好きだったので、やっぱりフィットネス業界でシェアを拡大していきたい想いが強いです。
またフィットネスジムの方のお話をお聞きし、ジム運営の課題を深堀りしていかなければ顧客満足度の獲得やシェア拡大は難しいと思っています。そのため、フィットネスジムの運営には防犯カメラAI画像解析「GYM DX」が欠かせないと思ってもらえるようになることを第一目標に設定しています。この目標は必ず達成したいですね。
また、フィットネス業界以外にも人材不足の課題に悩んでいる業界はあるため、当社で解決できるのであれば、協力させていただきたいです。実はご縁を頂き、製造会社で実証実験を行っているんですね。僕は投資家の方のお力を借りているため、5年後の上場を叶えるために横展開も必要だとは思っています。
起業の秘訣は「自分」と「社会」の意義をマッチさせること
大久保:最後に、これから起業する方へのアドバイスをもらうことはできますか?
渡邉:僕の体験談ベースになりますが、起業に憧れる人は大きなことに挑戦したいという想いをお持ちだと思いますが「なぜ自分は起業をするのか?」を考えて、自分の存在意義と社会意義をマッチさせることが大事かなと思っています。
僕の場合は学生時代にITサービスに感動し、「自分もITサービスを開発してみたい」と勝手に体が動いて起業をしていたのですが。行動しながら「どうしたらサービスがより良くなるのか?」「お客様がより満足してくれるか?」に時間を費やすことが重要だと思います。そんなことを考えられる仕事に巡り合えたら、充実した起業生活になるのではないでしょうか。
大久保の感想
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(取材協力:
株式会社Opt Fit 代表取締役CEO 渡邉 昂希)
(編集: 創業手帳編集部)
またAI系企業は圧倒的に東京に集中しているので名古屋に拠点がある会社、というのもちょっと応援したくなりますね。次の一手に注目したい会社です。