補助金の申請代行は誰に相談すべき?選び方や依頼するメリット、費用相場など解説
補助金の申請代行を活用して採択率を高めよう
事業のための資金調達方法として、国や地方公共団体の補助金を活用する手段があります。
ただし、申請したすべての人に補助金が支給されるわけではなく、採択されなければなりません。
事業計画が甘かったり書類に不備があったりなどすると、不採択となる可能性があります。
採択率を高めたいのであれば、補助金の申請代行を活用するのがおすすめです。
今回は、補助金の申請代行の相談先から活用するメリット、費用相場までご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
補助金の申請代行とは?
補助金の申請代行は、専門家が申請手続きを代行してくれるサービスです。単純に揃えた申請資料を申請先に送るといった手続きを代行するだけではありません。
事業者にヒアリングを行った上で、合理的で採算性のある事業計画書にするためのコンサルティング、申請書類の作成などもサービスに含まれます。
ただし、事業計画は事業者が立案しなければならず、申請代行の専門家に丸投げすることはできません。
どのような事業に取り組むのかをしっかり伝えて、採択率の高い事業計画書を作成してもらう必要があります。
補助金の申請代行を活用するメリット
補助金の申請代行を利用するのには、様々なメリットがあります。そのメリットは以下のとおりです。
1.申請書を作成する手間が省ける
申請代行では申請書の作成も代行してくれるので、自分で作成する手間を省けることは大きなメリットです。
まず、申請書を作成するために公募要領を見て、補助金の目的や申請要項を満たしているか、必要な書類・申請様式などを確認しなければなりません。
補助金によっては公募要領が長く、読んで理解するまで時間がかかることもあります。
また、補助金の申請書類は記入枚数が多く、添付書類も用意しなければなりません。
さらに、審査担当者にうまく説明できるようビジネスプランもわかりやすい表現で所定の様式に落とし込む必要もあります。
申請書の作成にはなにかと時間と手間がかかるので、起業・開業の準備や事業で忙しい方にとっては大きな負担になりやすいでしょう。
しかし、申請代行を活用すれば書類作成の手間が省け、事業に注力できます。
2.採択につながりやすい
専門家が申請を代行してくれるので、補助金の採択につながる可能性が高いです。
申請代行の実績が多い専門家は、申請のコツや事業計画書で押さえるべきポイントを理解しています。
さらに、情報収集もしっかり行っているので、最新情報を入手しています。
審査員が注目するポイントや重要なポイントを押さえた申請書を作成してもらえるので、個人で申請する場合よりも採択率を高めることが可能です。
3.ほかの補助金や最新情報なども教えてもらえる
申請代行を通じて、ほかの補助金や最新情報などを入手できることもあります。
補助金は数が多いため、そのなかには自分が知らない最新の補助金やもっと自社にマッチする補助金も存在する可能性があります。
しかし、個人ですべての補助金を調べ、把握するのは難しいものです。
申請代行を依頼する専門家によって、提案できる補助金が異なる場合があります。
専門家ひとりひとりの対応範囲が異なるため、自分の知らなかった補助金を紹介してもらえることもあります。
4.事業計画や経営に関するアドバイスもまとめて受けられる
専門家から事業計画や経営に関する助言を受けられることも、申請代行を活用するメリットです。
事業計画は補助金の申請に必要になるだけではなく、しっかり作り込むことで今後の経営における羅針盤の役目を果たしてくれます。
事業計画は、専門家と一緒に練り上げていきます。その際に、事業計画書を磨き上げたり、事業の強みや経営の課題を見つけたりすることが可能です。
そして、磨き上げられた事業計画書は、企業経営における大きな財産となるでしょう。
5.つなぎの融資先を教えてもらえる場合もある
補助金が支給されるまでのつなぎの融資先を教えてもらえることも多いです。
補助金は原則、事業を実施した後に後払いされるため、事業を実施する一時資金を別の手段で手配しなければなりません。
少額であれば自己資金で賄えるとしても、数百万円以上の資金が必要となると自己資金では厳しいといえます。その場合、金融機関のつなぎ融資を活用することが一般的です。
しかし、借入れなどを利用したことがない経営者の場合、つなぎ融資を申請する金融機関を選ぶのに迷うことも少なくありません。
申請代行を手掛ける専門家は資金繰りに関する知識も豊富であることが多いため、自社に合った金融機関を紹介してくれる可能性があります。
補助金の申請代行を手掛ける専門家
補助金の申請代行を利用したいと思った時は、依頼を引き受けてくれる専門家を探す必要があります。申請代行を依頼できる専門家をご紹介します。
税理士
経理や経営の助言を行っている税理士は、事業者にとっても身近な存在です。
税務の専門家である税理士は、補助金や融資などお金に関する知識もあり、補助金を受給した後の会計管理も任せられます。
補助金の申請代行を相談する際は、認定経営革新等支援機関に認定されている税理士がおすすめです。
認定経営革新等支援機関に認定されているということは、税務や金融、企業財務に関する専門知識や中小企業に向けて支援経験が豊富である証拠になります。
そのような税理士であれば、事業計画書の策定時点から相談することが可能です。
行政書士
行政書士とは、公的機関に提出する書類の作成代行を専門とする国家資格を持つ専門家です。
補助金申請に必要な書類作成も司法書士の得意分野なので、代行の依頼先に最適です。
補助金の申請で大きな壁となるのは、事業計画の作成と申請書類の作成になります。
申請代行を行う業者によっては、コンサルティングのみで書類作成は個人で行わなければならないケースも少なくありません。
しかし、行政書士であれば、相談から申請書の作成まで依頼できる可能性が高いです。
社労士
社労士とは、国家資格の社会保険労務士のことです。
労働・社会保険問題の専門家であり、厚生労働省管轄の助成金に対し、申請代行できるのは労務士のみとなります。
助成金のほとんどは厚生労働省管轄のため、助成金の申請を代行してもらいたいときは、労務士に相談しましょう。
補助金の場合は、申請後採用されなければなりません。一方で、助成金は要件を満たしていれば誰でも受給可能です。
助成金の制度は毎年改正されるため、申請には専門知識が必要です。
社労士に助成金の申請代行をすると、必要書類の再提出が少なくなり、受給までのコスト削減に役立つでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業に向けて経営コンサルタントを行う専門家です。税理士と並んで、経営のサポートを受ける中小企業は多く見られます。
経営コンサルタントを専門としているので、事業計画の策定は得意分野です。そのため、補助金の採択率を高められる事業計画書の作成を相談できます。
中小企業診断士の多くは補助金代行を専門としているので、依頼しやすいといえます。
金融機関
資金繰りの相談と同時に補助金の申請代行も依頼したいときは、金融機関への依頼が便利です。
金融機関では、地方銀行や信用金庫などで申請代行に対応するところがあります。対応してくれるのは、行内担当者や提携コンサルタントなどです。
補助金によっては、認定支援機関申請サポートとして金融機関が該当する場合があります。
金融機関の多くは手数料がかかりませんが、申請代行を依頼する際には、融資の申し込みが前提となっていることがほとんどです。
そのため、融資が必要ないときは、別の専門家に依頼したほうが良いでしょう。
民間コンサルタント
補助金申請を専門とした、民間のコンサルタント業者を利用する方法があります。
幅広い補助金の情報を理解しており、適切な補助金の提案から、申請代行まで依頼が可能です。
採用につながりやすい事業計画のサポートが得られる場合もあります。
民間のコンサルタントは、ホームページでサービス内容や料金が明記されていることが多いため、納得してから依頼しやすいでしょう。
【番外編】商工会※相談のみ
商工会とは、法律により設置されている中小企業・小規模事業者の支援団体のことです。
加入には年会費がかかりますが、非会員でも税務・会計・労務などの相談が無料でできるメリットがあります。
商工会によっては、補助金専門の相談員を配置しているところもあります。
ただし、商工会はあくまでも相談を受け付ける機関であり、補助金の申請代行はしていません。
自分で補助金の申請をしなければなりませんが、専門家からアドバイスがもらえ、どの専門家に申請代行すれば良いかの情報も得られるメリットがあります。
申請代行サービスの相場はいくら?
補助金の申請代行サービスの料金には規定がなく、各専門家が独自に設定しています。
実際にどのくらいの料金がかかるのか、相談してみないとわかりません。しかし、おおよその相場は存在します。
申請代行サービスの料金内訳は、着手金と成功報酬の2つの大きくわけられます。
別々に支払う場合の平均相場は、着手金が5~20万円、成功報酬は受領額の10~20%が目安です。
依頼先によっては、着手金と成功報酬を合わせて支払うことがあります。その場合の平均相場は、着手金が10~15万円、成功報酬は受領額の10%前後が目安です。
ここで、申請代行サービスの料金内訳の詳細を解説します。
内訳①:着手金
着手金は、申請代行の依頼に着手する際に発生する料金です。補助金の申請では事業計画の策定から各種書類の準備、申請書の作成まで必要となります。
これらの事務手続きを行うための経費として、着手金が請求されます。
内訳②:成功報酬
成功報酬は、補助金が採択されて受給に至った時に支払う費用です。
補助金の受給金額は変動するため、支払う費用は固定ではなく、実際に受給した金額から一定の割合で請求されます。
申請代行を行う業者によっては、成功報酬のみとしている場合もあります。
採択された場合に支払うため、事業者側のリスクを減らせることがメリットですが、成功報酬の割合が高くなるので注意してください。
補助金の申請代行業者を選ぶ際のポイント
補助金の申請代行業者を利用する際は、信頼できる業者に依頼することが大切です。ここで、申請代行業者を選ぶポイントをご紹介します。
1.資格で選ぶ
補助金の申請代行を依頼できる業者は、国家資格を持つ士業から民間コンサルタントまで存在します。
民間コンサルタントは資格がなくてもサービスの提供は可能であり、得意分野や事業内容もコンサルタントによるので、必ずしも補助金の申請に詳しいとは限りません。
一方、税理士や行政書士、中小企業診断士といった、国家資格を持つ業者は経営や補助金に関する知識が豊富です。
一定の能力や信頼性が担保されているので、資格の有無や資格の特性から申請代行業者を選ぶと安心です。
2.申請代行の実績・専門性で選ぶ
候補となる業者の申請代行の実績や、専門性の高さに注目してください。
実績が多い業者ほど補助金の申請の重要点を押さえているので、採択率が高まる可能性が高いです。そして、複雑な申請にもスムーズに対応してくれるでしょう。
また、補助金業務に対してどれだけ注力しているかは、業者ごとに異なります。
例えば、税理士であれば補助金業務は顧問契約のみで対応していたり、補助金申請が得意とは限らなかったりします。
経営コンサルタントを得意とする中小企業診断士でも、補助金業務を受けていないこともあります。
補助金業務に対応している、得意としているかどうか確認して依頼することも大切です。ホームページを見ても実績や専門性がわからない時は、直接問い合わせてみてください。
3.料金で選ぶ
申請代行業者を選ぶ時は、料金の確認と比較も大切です。相場よりも料金が高い時は、その理由を聞き、提示された金額なる理由に納得できたら依頼してください。
また、極端に料金が安い業者は要注意です。補助金申請では様々な事務手続きが発生するので、それなりのコストがかかるのは仕方ありません。
しかし、低価格でサービスを提供できる業者は、書類作成に労力をあまりかけておらず、結果的に精度の悪い申請書ができあがってしまう恐れがあります。
また、補助金業務の経験が少なく、経験を積むために人を集める目的で価格を下げている場合もあります。
料金が安いのは、事業者にとっては大きなメリットです。しかし、料金の安さだけで判断せず、安い理由やこれまでの実績をしっかり確認することが大切です。
4.柔軟な対応力で選ぶ
業者ごとの対応力も確認してください。例えば、依頼したい業者が遠方であったりこちらから出向かないと相談ができなかったりすると、不便です。
しかし、オンラインツールを活用し、場所に関係なく相談・依頼に対応してくれる事業者も増えています。また、遠方でも業者側から出向いてくれることもあります。
柔軟な対応力を持つ業者であれば、相談しやすいのでおすすめです。
5.コンサルティング能力で選ぶ
コンサルティング能力から依頼先を決断する方法もあります。
コンサルティング能力の高い業者であれば、補助金の申請代行を通じて経営に関するいろいろなアドバイスを受けられるので、今後の経営に活かすことが可能です。
また、補助金の採択率を高めるためには、精度の高い事業計画が求められます。コンサルティングを受けて事業計画を磨き上げることで、採択される確率も上がります。
補助金の申請代行を依頼する前に知っておきたい注意点
補助金の申請代行を利用するにあたり、注意点があるのでご紹介します。
1.悪質な代行業者に相談しない
申請代行業者のなかには、悪質な業者が存在します。特に無資格のコンサルタントに多い傾向があるので、注意してください。
悪質な代行業者に依頼すると、粗悪な書類を作られてしまい、不採択となってしまうリスクがあります。また、不当な金額で報酬を請求される可能性も高いです。
もっと悪質なケースだと、申請要件を満たしていないのに書類の偽造などを提案して不正受給をそそのかすこともあります。
安易に依頼すれば、犯罪に加担したとされた逮捕される危険性もあります。補助金の申請代行は、実績が豊富な信頼できる業者に依頼してください。
2.すべて丸投げすることはできない
補助金の申請手続きを代行してくれるとはいえ、すべて丸投げにすることはできません。
どんなに素晴らしい事業計画書を作ったとしても、実際に実施するのは事業者自身です。
補助金は後払いが原則なので、事業者が実現できない、実現する気がない事業計画であれば、採択されても補助金は交付されません。
申請代行業者は、事業者にヒアリングした上で、採択率を高められる事業計画書を作成します。
どのような事業をするのか、実現できるものであるかなど、事業計画の立案は事業者自らが行う必要があります。
3.サポートの範囲を確認しておく
補助金申請のどこまで対応してくれるかは、代行業者ごとに異なります。
事業計画の策定はサポートしてもらえるものの、申請書の作成自体は任せられない、または別途料金がかかるという可能性もあります。
ほかにも、採択後の実施報告まで依頼できるのか、申請代行のサポート範囲を確認した上で依頼してください。
まとめ・補助金申請代行を活用してみよう
補助金は返済が不要なので、資金に余裕がない創業期にはありがたい資金調達方法です。しかし、申請が複雑ゆえに、断念してしまう事業者も少なくありません。
そこで、申請代行業者を活用すれば申請の手間を軽減でき、さらに採択率を高められるメリットがあります。信頼できる業者を探し、ぜひ活用してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)
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