「経営者保証改革プログラム」が策定 起業時の経営者保証が不要に

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2022年12月23日、経済産業省は「経営者保証改革プログラム」を策定したことを発表しました。

「経営者保証改革プログラム」は、経営者保証に依存しない融資慣行の確立をさらに加速させることを目的としています。

以下の4分野に重点的に取り組みます。

スタートアップ・創業

起業家が経営者保証を提供せず資金調達が可能となるように、経営者保証を必要としないスタートアップ・創業融資を促進します。

経営者保証を必要としない新たな信用保証制度は、保証割合:100%、保証上限額:3500万円、無担保となります。制度開始は2023年3月を予定しています。

民間金融機関による融資

保証を求める際の手続きを厳格化することで、安易な個人保証に依存した融資を抑制し、さらに事業者・保証人の納得感を向上させるため、監督指針を改正します。

信用保証付融資

信用保証制度において、経営者の取り組み次第で達成可能な要件を満たすことで、保証料の上乗せ負担などにより経営者保証の解除を選択できる制度を創設します。

中小企業のガバナンス

経営者保証解除の前提となるガバナンスに関する中小企業経営者と支援機関の目線合わせを図り、さらに支援機関向けの実務指針の策定や、中小企業活性化協議会の機能強化を行い、官民による支援体制を構築します。

さらに、民間ゼロゼロ融資からの借換えに加え、前向き投資に必要な新たな資金需要にも対応するコロナ借換保証を創設し、2023年1月10日から運用を開始します。

株式会社や合同会社は有限責任であるため、会社が倒産してしまった場合でも、返済の責任は出資した範囲内が限度となります。

しかし、中小企業のオーナー(社長兼株主)などの場合は、金融機関などからの融資などにおいて、会社の保証人や連帯保証人となっている場合が多く、実質的に債務を無制限に返済する義務を負う無限責任となっています。

この企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となる制度を「経営者保証」といいます。

経営者保証は、金融機関にとって安心して融資ができる、中小企業の経営者・企業には弱い信用を補完できるというメリットがあります。

一方で、起業、中小企業の思い切った事業展開、円滑な事業承継を妨げる要因となっていることから、経営者保証を必要としない融資制度などが求められていました。

政府は、この経営者保証が後継者候補確保の障害となっていることを踏まえ、「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」として、2020年1月から「経営者保証ガイドライン」の徹底により、一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」とする対策を実施するなどしています。

今回の「経営者保証改革プログラム」は、こうした経営者保証の問題により踏み込んだ対策です。とくに経営者保証を必要としない新たな信用保証制度の創設が注目されています。

起業においては日本政策金融公庫などの創業融資制度を活用することが重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、起業時の融資の注意点や、融資を受ける際のノウハウについて詳しく解説しています。

カテゴリ 制度改正
関連タグ 保証 創業 経営者保証 経営者保証改革プログラム 融資 起業 連帯保証人
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経営者保証改革プログラムを策定しました

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