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2022年8月3日植物工場スタートアップの「スプレッド」が40億円調達
2022年8月2日、株式会社スプレッドは、総額40億円の資金調達を実施したことを発表しました。
スプレッドは、2006年に京都で創業した植物工場スタートアップです。
2007年に京都府亀岡市で「亀岡プラント」の運営を開始し、レタスなどの葉菜類を生産しています。6年の歳月をかけ黒字化を達成しています。
また、2018年11月から京都府木津川市で「テクノファームけいはんな」の運営を開始しています。
「テクノファームけいはんな」には、自動化栽培・高度な環境制御技術・独自IoTによる栽培管理システム「テクノファームクラウド」を導入しており、2020年9月に稼働率が99%に到達しています。(稼働率とは最大生産株数に対する生産実績株数の割合のこと)。
2021年6月からは千葉県山武郡で「テクノファーム成田」を稼働し、2024年1月には静岡県袋井市で「テクノファーム袋井」を稼働させる予定です。
「テクノファーム袋井」の生産能力は日産10トンを予定しており、これは世界最大規模の生産能力となります。
また、植物工場運営の知見を活かし、農薬不使用栽培の高品質いちごの商品化や、代替肉の研究開発も展開しています。
今回の資金は、「テクノファーム袋井」に向けた新技術の開発、サステナブル野菜「ベジタス」の販路拡大、いちごや代替肉等の新規事業の研究開発、海外事業開発に充当します。
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植物工場とは、完全に管理された室内環境で、ロボットやIoTなどのテクノロジーを活用して農作物を栽培する施設のことです。
工場建設や技術開発などに高額な費用がかかるものの、自動化による省人化や安定した栽培を実現できることがメリットです。
なによりも環境に左右されずに作物を栽培できることが最大のメリットで、近年の気候変動・異常気象により農地が減少している状況において、持続可能な農業を実現する解決策として注目されています。
現在は、レタスなどのあまり背が高くならない作物がメインで栽培されています。これは葉が重なるような作物は、現在の人工光源の植物工場では十分な光をあてることが技術的・コスト的に難しいことが理由です。
一方で、ロシアのリアット社など、完全人工光型植物工場でのトマトやキュウリなどの果菜類の栽培を本格化させている例もあります。LED技術などの発展に伴い植物工場においても栽培できる作物の種類が増えていくことが予測されています。
また、近年は農作物のゲノム編集技術の研究開発も進んでおり、ゲノム編集スタートアップも多数登場しています。今後こういったスタートアップと植物工場との連携も進んでいくと考えられます。
株式会社スプレッドのコメント
このニュースを受けまして、株式会社スプレッドよりコメントが届きました。
・今回の資金調達の目的は何ですか?
世界最大規模となる自動化植物工場「テクノファーム袋井」の2024年稼働に向けたレタス関連の新規技術開発や、いちごの事業化に向けた技術開発などに使用します。
また、既存のサステナブル野菜ブランド『ベジタス』のブランディングやマーケティング施策を強化し、より多くの方に手に取っていただけるよう取り組んでいきます。
・今後の展望を教えてください。
事業拡大フェーズに突入しており、まずはテクノファーム袋井の稼働やいちご発売に向けて、準備を進めます。2030年の目標としては、国内で日産100トンの生産体制(レタス)の構築を掲げています。将来的な食料需要に応えるため、果菜類や代替肉をはじめ、幅広い食物の生産技術開発に取り組み、国内だけでなく海外事業開発も進め「グローバルフードインフラ」の構築を目指します。
・読者へのメッセージをお願いします
スプレッドはミッションとして「地球がもたらす食の恵みを、創造性をもって最大化する」を掲げております。地球が本来持つ食を生み出す力に私たち一人ひとりの創造性を加えることで、その自然な恵みをさらに増大させることを意味します。それだけ、人間の創造性というのは重要なものだと考えています。
スプレッドを設立した2006年には、大規模植物工場を本格的なビジネスとして試みる会社がほとんどなく、創業者で代表取締役社長の稲田信二は周りから反対意見の受けたことが多かったです。しかし、植物工場を将来的に必ず必要となる事業と考えていたため、「未来の子どもたちが安心して暮らせる持続可能な社会の実現」を目指し、事業を進めることにしました。最初は思い通りに行かない部分もありましたが、試行錯誤を繰り返し自らの力で事業基盤を作った上で、この度の大型資金調達に至りました。
一歩一歩、持続可能な社会の実現に近づいています。これから、創業を検討される、もしくは創業された皆様におきましても、自らの創造性を信じ、「世の中に必要な事業」を諦めずに進めていただきたいと考えています。
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