売上げを拡大するには?売上拡大の要素と戦略を解説
売上拡大を妨げる要素について理解し、具体的な戦略・方法を検討しよう
売上拡大は企業経営において重要なポイントです。様々な施策を講じているものの、売上げが伸び悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回は、売上拡大のための要素と戦略について解説します。売上げを妨げる要素、また、売上拡大の基本原則と具体的な施策を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
売上げとは?
売上拡大について考えるにあたり、そもそも売上げとは何かを理解することが必要です。まずは、売上げの構成要素と4P・4Cについて解説します。
売上げの構成要素
売上げとは商品を販売した際に会社へ入ってくる金額のことを指し、売上げの合計を売上高といいます。
売上高から原価を引いたものが粗利益となるため、企業が利益を上げるためには、売上げの拡大が必要です。
売上げは、売上げ=集客数×客単価×購買頻度の3要素を掛け合わせることで成り立ちます。
そのため、これらの変動に比例して売上げも変化します。売上拡大に向けて取り組むためには、集客数・客単価・購買頻度の3点を確認することが大切です。
4P・4Cのバランスがポイント
売上げを拡大させていくためには、マーケティングミックスの構成要素である4Pと、それを顧客視点から見た4Cのバランスがポイントです。
4P | 4C | 概要 |
製品(product) | 顧客価値(customer value) | 製品を購入することで顧客が感じる価値 |
価格(price) | 顧客コスト(cost) | 製品やサービスを得るため顧客が支払うコスト |
流通(place) | 顧客利便性(convenience) | 製品やサービスの入手しやすさ |
販売促進(promotion) | 顧客コミュニケーション (communication) |
企業と顧客のコミュニケーションがとれているか |
4P・4Cのニーズが合致していなかったり、バランスが崩れていたりすると、売上拡大には繋がらないことを意味します。
例えば、価格(price)・顧客コスト(cost)の場合、商品価値と顧客のコストが合っていなければ購入には至りません。
売上拡大のためには、4P・4Cのバランスを意識することが重要です。
売上拡大を妨げる要素
売上げの構成要素である集客数・客単価・購買頻度は、うまく機能していない場合には反対に売上拡大を妨げる要素となってしまいます。
構成要素の3点について、詳しく見ていきます。
集客数が少ない
製品やサービスを購入してくれる顧客の絶対数が少なければ、売上げは伸びません。
まず、集客は新規顧客と見込み客に分けられます。新規顧客には、サービスを知ってもらうことが重要です。
そのため、広告への露出度が少ない、営業人員不足で商談数や顧客との接点が少ないといった問題があると、新規顧客の獲得が困難になります。
見込み客の獲得・育成不足も、集客数が伸び悩む原因です。
顧客となってもらうためには、ターゲット層に自社サービスをまず知ってもらい、購買意欲が高まるように育成する必要があります。
見込み客から顧客を作れなければ、集客数は少ないままとなります。
客単価が低い
客単価が低くては売上拡大には繋がりません。
客単価が低い理由には、顧客のニーズとサービスが合致していないことが考えられます。
例えば、顧客は高額でも良質な商品を購入することに価値を見出しているにもかかわらず、量産型の低価格商品を提供しても顧客ニーズは満たせず、売上げは伸びません。
また、軽率な価格変更も逆効果になる恐れがあります。
値下げは一時的な売上げを積むことはできますが、突飛な価格変更の場合は中長期的にマイナスとなり、結果的に客単価が低い状態になる場合があるため、要注意です。
購買頻度が低い
新規顧客だけでは、売上拡大には限界があります。リピーターに何度も購入してもらうことが売上拡大のポイントです。
リピーターを獲得するためにはターゲットを分析し、それに適したサービスを提供することが必要です。
万人に向けた商品は結局ターゲットにマッチせず、購入頻度が低くなる恐れがあります。ターゲットに合ったサービスを提供することが価値に繋がります。
また、顧客へのフォロー不足も購入頻度を下げる要因です。ダイレクトメッセージやアフターフォローなどひと手間を加えることで購入頻度に違いが出てきます。
売上拡大における5つの基本原則
売上拡大のためには、5つの基本原則があります。それぞれ詳細を解説します。
1.新規顧客の獲得
集客数は売上拡大の基本要素であり、新規顧客の獲得は欠かせないポイントです。特に、開業して間もない企業や新規事業の場合、より重要度が高くなります。
新規顧客を獲得するためには、自社のサービスを知ってもらうことが不可欠です。認知されていなければ顧客が増えることはありません。
そのため、効率的に宣伝活動をすることが求められます。SNSやWeb広告、ブログなどターゲットに適した手法で宣伝広告を打ち出すことが必要です。
また、新規顧客の獲得には商談数・受注率・営業人員数も影響します。例えば、営業人員が豊富でも受注率が低ければ新規顧客の獲得には至りません。
3点の要素を掛け合わせることによって、新規顧客の獲得に近付きます。
2.リピーターを増やす
売上拡大における集客の点で新規顧客の獲得は大切ですが、売上げの土台を作るのは、既存顧客やリピーターです。
新規顧客を多数獲得しても、既存顧客が減ってしまえば売上げは伸びていきません。
購買頻度の高いリピーターを増やすことが、売上げを伸ばしていく上で重要な役割を担います。
リピーターの増加にあたっては、改めて利用したいと思ってくれるような工夫が必要です。
ニーズに合ったサービスを提供することはもちろん、クーポンの配布やポイントの付与などでリピーターを増やすこともできます。
3.客単価を上げる
集客数や購買頻度だけでなく、客単価も売上拡大の基本要素となるポイントです。客単価が高ければ、顧客がひとり増えたことによる売上げの増加も大きく変わってきます。
通常の買い物にプラスして購入してもらう工夫や、高額な商品を購入してもらうことが必要です。
例えば、インターネットショッピングの場合、一定額以上から送料無料やノベルティグッズプレゼントといった特典があると、通常より多く購入してくれます。
各顧客の単価を上げることが、全体の売上拡大に影響します。
4.商品単価を検討する
商品やサービスの価格が顧客の求めるニーズと適していることが重要です。顧客の視点からすると、基本的に安く良い物を手にしたいと考えます。
そのため、競合他社の商品単価を確認して価格を検討することが必要です。
ただし、商品単価を安くすれば良いというわけではありません。
価格を安くすれば一時的に売れ行きは好調となっても、他社でより安い商品が出ると顧客が流出してしまう恐れがあります。
また、商品単価が低いと売上げも積みにくくなり、売上拡大の足を引っ張ることもあるため要注意です。
5.顧客の流出を防ぐ
リピーターを増やすためには、他社への顧客流出も防がなければなりません。自社のファンを多く作ることは、売上拡大の要素である購買頻度を高めることになります。
SNSなどを使って誰でもすぐに商品やサービスを見つけられるため、より顧客にマッチしているサービスがあれば乗り換えられてしまう恐れがあります。
競合他社の動向をリサーチし、分析することが必要です。
他社だけでなく、自社の課題にも目を向けなければなりません。
サービスの質が落ちていないかなどを確認し、常にブラッシュアップすることが顧客の囲い込みになり、売上拡大に影響します。
売上拡大に向けた具体的な戦略
最後に、売上拡大のために行うべき具体的な戦略を解説します。目標設定や営業ツールについてなど様々な観点から紹介するため、ぜひ参考にしてください。
明確な目標設定
ただ漠然と取り組むよりも、期間と数値といった明確な目標を定めて行動することが売上拡大に繋がります。
目標を設定するためには、「SMARTの法則」を活用すると効果的です。
「SMARTの法則」は、下記の言葉の頭文字を1文字ずつ取っています。
-
- Specific:明確性
- Measurable:計量性
- Achievable:達成可能性
- Relevant:関連性
- Time-related:期限設定
高すぎる目標では達成への意識が向上しません。達成できる範囲の目標を数値と期限を決めて取り組むことが大切です。
その目標をもとに、PDCAサイクル(Plan・Do・Check・Action)に落とし込んで活動していくことが売上拡大に貢献します。
顧客ニーズの把握
顧客が求めているものがわからなければ、適したサービスは提供できません。まずは、顧客ニーズを分析し把握することが重要です。
顧客のニーズを把握する方法としては、アンケートやSNSを利用したソーシャルリスニングが有効です。
ソーシャルリスニングとは、SNSで発信されている投稿を収集・分析する手法で、顧客の声をリアルに知ることができます。
様々な意見に触れ、多い意見に関しては改善策を講じれば、顧客ニーズとサービスをすり合わせられます。
自社の強みを把握、他社との差別化を図る
自社の強みを把握し、顧客にアピールすることが売上拡大のポイントです。
強みを知るためには、販売データや口コミなどの確認を行い、客観的な視点で内容を把握する必要があります。
また、競合他社と比較することも有効な手段です。他社と比べて自社の何が優れているかを知ることで、差別化をしたアピールができます。
ただし、強みはニーズと合ってなければ意味がありません。
顧客がメリットを感じられるものでなければ購買には至らないため、自社の長所をターゲットに響く形でどのように案内するかが大切です。
人材確保・教育
売上拡大に向けた活動をしていくにあたっては、十分な人材を確保しておく必要があります。
例えば、新規顧客獲得に向けた活動においては、人員が十分ではないと顧客との接点数を増やせません。
様々な施策を講じるためには、人材を確保することが重要です。
また、人材の教育と他社へ流出しないための動きも欠かせません。優秀な社員を育成することは、売上拡大に欠かせない要素です。
そして、優秀な人材が定着するように職場環境の改善や福利厚生の充実が企業には求められます。
付加価値を与える
買う価値があると顧客が判断しなければ、購入には至りません。
付加価値が低い商品は購入に発展しないため、企業や商品・サービスに対して高付加価値を与えることが重要です。
他社と比較して類似した商品やサービスがないよう差別化を図る、自社でしか購入できない高付加価値の物を提供するといった工夫が必要となります。
付加価値を与えられれば、市場における価格競争とは一線を画して持続的な売上拡大が可能です。
営業ツールの活用
集客数を上げるためには積極的に営業活動をすることが必要です。
しかし、営業活動は社員が個人単位で行うことが多いため、おのおのの活動を把握することは容易ではありません。
また、個人の能力に頼ってしまう面もあり、同じ社内でも活動に差が生じる場合があります。
そこで、そうした問題を解決するために営業ツールを導入することが有効です。
営業ツールにはデータを可視化してくれるものや、売上拡大を支援をするものなど様々な種類があります。
導入する目的を明確にし、現場目線で使用しやすいツールを選ぶことも失敗しないポイントです。
顧客コミュニケーションの活性化
顧客とのコミュニケーションが適切にとれていない場合、顧客の求めるニーズと提供するサービスにズレが生じやすくなります。
そのため、顧客コミュニケーションを活性化することは売上拡大に重要です。
まずは、顧客に認知してもらうことからスタートします。テレビCMやSNSなどを利用し、宣伝広告を打ち出すことで認知度を上げられます。
しかし、宣伝費用を多く割けない場合、口コミなど低コストのものを活用することも効果的です。
また、顧客の声に耳を傾けることも不可欠です。アンケートやメールでのやりとり、SNSなど様々な形でコミュニケーションをとってください。
顧客の声から得た意見や要望をサービスに取り入れることで、顧客コミュニケーションが活性化されます。
まとめ
売上拡大は企業が利益を上げるために不可欠です。
売上げには集客数・客単価・購買頻度という3つの基本要素があり、これらを妨げる行為は売上げが伸び悩む要因となります。
そして、売上拡大には新規顧客獲得やリピーターを増やす行動が必要です。目標の明確化や顧客ニーズの把握などを行うことで、売上拡大を狙えるように工夫しましょう。
(編集:創業手帳編集部)