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2022年2月7日立命館宇治高校 福田奈津実 田中愛乃|廃棄苗(もったい苗)を活用したハンズオン学習の事業展開で注目の若手起業家
廃棄苗を活用したハンズオン学習の事業開発で注目なのが、立命館宇治高校の福田奈津実さんと田中愛乃さんです。
現在、教育現場における「キャリア教育」や「ハンズオン学習」の大切さが見つめ直されるようになってきました。
子どもたちにとっては、少しでも早いうちから様々な人と社会に触れ、自分の頭で考えて課題解決に挑戦するという体験の機会を多く持てることによって、自分が熱中できることや関心事を見つけることに繋がり、それが将来の可能性を大きく広げることに繋がります。
また大人の側も、子どもたちとの触れ合いを通して、社会課題や自身の生き方や従事する仕事の価値等について考え直す機会を得ることが出来、新しい発見や改善のきっかけ、挑戦の機会を得ることに繋がります。
かたや現在、フードロスという大きな問題も世界的規模で叫ばれています。それは主にお店の棚に並んだ商品としてのお野菜やお肉、お魚、乳製品、各種加工品などに該当するキーワードです。
しかしそれ以前に、実は畑でも多くのロスが発生しており、それが廃棄される苗「廃棄苗(もったい苗)」です。
一定数の苗を廃棄するのは、良質な食物の生育を手助けするために必要な間引きでもあり、農家の生産物ブランドを守り、収入を安定させるためにも必要なことではあります。
とはいえ、捨てられる苗だって育てれば作物は実るし、美味しく頂ける食物になるものです。捨てる苗も農家さんが丹精込めて愛情を注いで育ててきた命の一つと思えば、ただ捨ててしまうのは忍びないですし、廃棄処分料もかかります。
そこでお二人が考えたのが、「ハンズオンプログラム」に「廃棄苗(もったい苗)」を活かすという方法です。
食べることは生きることに直結するものであり、年齢を問わず誰もが身近に体験しやすい領域、ハンズオン素材としてはピッタリです。
また、体験学習の視点から見ても、日本各地で採れる地産物を知り、地域と長く深く交流が出来るきっかけにもなります。
この挑戦がきっかけで農家さんたちの収入増加や、新しい日本ブランドの誕生、専門人財の誕生にさえ派生する日が来るかもしれないと、今大きな注目が集まっています。
まだあどけなさが残る現役の女子高生であると同時に、「チェンジメーカーU-18」という大会において、未来を変える様々な挑戦を携えて挑んだ全国299チーム中、見事優勝の栄冠に輝いた素晴らしい熱意とビジネスアイデアを持った起業家としての顔も持つ福田奈津実さんと田中愛乃さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
特徴は二つあります。
一つ目に、規格外や余剰生産から生まれる廃棄苗なので、SDGsの学びになるということです。
通常の苗を使用した食育授業は体験的な学びだけですが、廃棄苗を用いることで元々捨てられていた廃棄苗を育てるからこそ、体験的な学び+SDGsの学びにもなります。
SDGsは自分に関係がない、勉強のようで難しそうと思っている子どもたちも、廃棄苗を用いた体験型の学習をすることでSDGsを楽しく自分ごと化することができます。
二つ目に、廃棄苗を単体で販売するのではなく食育セットとして販売するため、通常の苗の流通(市場)に影響が出ないということです。
私たちは廃棄苗を無くしたい思いはありますが、廃棄苗を販売することで通常の苗の売れ行きが悪くなってしまえば本末転倒です。
規格外などの理由だけで捨てられる廃棄苗は通常の苗と同じように育つため、値段を下げて販売すると市場に影響が出てしまいます。
そこで、私たちは食育セットとして廃棄苗を販売することで、市場の流通に影響が出にくいと考えています。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
現段階で考えているのは小・中・高の教育機関の方々です。
もったい苗の特性は、教育の現場だからこそ生かすことができると私達は確信しています。
そして、将来的には教育機関だけでなく一般の方々にも、もったい苗を提供していきたいと考えています。
ご家庭でも食育キットを用いて、次世代を生きる子供たちに大切な「食」を「野菜を育てるという体験」の中から学んで欲しいです。
・このサービスの解決する社会課題はなんですか?
廃棄苗の処理にもお金がかかっています。
マイナスをプラスにするために、「苗農家」が生み出す余剰苗を園芸店や農家さんに販売するのではなく、教育機関をターゲットにすることで、捨てられている苗から価値ある苗に変化させていきます。
また、SDGs教育が推進されている今、このサービスを提供することで、通常の業務で手がいっぱいの教職員の方々がSDGsを学ぶ時間を少しでも軽減させ、pptを見ただけで理解できるようになり、生徒からすると植物を植えるという体験を通して、SDGsの取り組みにもなり、より具体的に考えることができるようになると考えています。
このような生徒と教師の双方にとってメリットのあるものを作り上げていきます。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
商品開発や、マーケティング、起業に関することなど分からないことばかりです。
検索しても分からなかった場合は、「教材・作っている会社」などと検索し、連絡をして、お話を伺いに行っています。
いつもたくさんの人にアドバイスを頂きながら、とにかく行動をして乗り越えています。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
規格外や余剰生産から生まれる廃棄苗に新たな活用場所を生み出し続け、苗農家さんと消費者の双方がwin-winな関係のブランドにしていきたいです。
また、教育機関だけでなく一般の方々にも販売していきたいと考えています。
ご家庭で幼児教育の一環として植物を植える体験を行い、それがコミュニケーションのきっかけとなったり、また、成長した野菜を用いて家族で料理を行うなど、苗を取り入れた豊かな暮らしを大人・子供問わず日常で感じられるサービスに進化していきたいと考えています。
・今の課題はなんですか?
「もったい苗」を用いた教材をどのように作成していくか、仲間を増やすため、たくさんの人々にこのプロジェクトの魅力をどう伝えていくかです。
・読者にメッセージをお願いします。
まだまだ未熟な私達ですが、次世代の教育と共に廃棄苗の活用を模索しつづけ、社会に対してサービスを提供していくため、全力でもがき進んでいこうと思っています。
ぜひ、私達の活動を知っていただきたいと思っておりますので、ツイッターやフェイスブックで「もったい苗」と検索していただけますと幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
代表者名 | 福田奈津実/田中愛乃 |
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事業内容 | 規格外や余剰生産から生まれる廃棄苗を(もったい苗)を次世代の教育のツールといて小・中・高に体験型授業として提供する。 |
サービス名 | もったい苗 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | 女性 |
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