仕事を先延ばしせず、最短で終わらせる!今すぐ実践できる「30分仕事術」とは
時短コンサルタント滝川徹さんが考案した時間管理・仕事術を解説
ひとりでいろいろな仕事をこなす必要のある起業家にとって、重要なのが時間管理。しかし実際には、「やるべき仕事があっても、なかなか着手できず先延ばしにしてしまった」という経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
こうした課題の解決策として話題となっているのが「30分仕事術」。これは仕事を30分単位で区切り、毎日少しずついろいろな仕事を並行して行う手法です。
この「30分仕事術」の提唱者であり、書籍「細分化して片付ける30分仕事術」の著者としても知られるのが、時短コンサルタントの滝川徹さん。滝川さんは「時間をかけて1つの仕事をする方が効率良く見えます。でも実は、複数の仕事を少しずつ進める方が早く仕事は終わります」と語ります。
先日、社内研修にて滝川さんをお招きし、「30分仕事術」の基本やコツを解説していただきましたので、内容の一部をお届けします。
時短コンサルタント
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。「残業ゼロ」を達成した体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2023年12月に最新刊『細分化して片付ける30分仕事術 ──あえての時間しばりが最高の結果をもたらす』を発売。現在は会社員でありながら、講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動。
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この記事の目次
まず仕事に着手し、30分という短時間で仕事に取り組むのがポイント
アメリカの著名な作家であるマーク・トゥエイン氏は、「成功する秘訣は着手すること。着手することは複雑な仕事を分解して、初めの一歩を踏み出すことである」と語っています。
私も同じく、仕事というものは着手すれば進むものと考えています。そこで私が提唱しているのが「30分仕事術」です。簡単に言うと「ただ30分かけるだけでいいので、まず着手しよう」という考えです。
例えば報告書を作る仕事があるが、気が重いとします。仮に3時間かかる仕事だとしたら、一気に3時間で終わらせようとする方が多いのではないでしょうか。ところがいざやろうと思っても「まずメールチェックしてからにしよう」となり、先延ばしにしてしまいやすいものです。これを私は心理的ハードルと呼んでいます。
この心理的ハードルを下げるため、30分という短い時間にするのが30分仕事術の基本的な考え方です。まずは着手することが目的なので、できそうな短い時間に調整するわけです。30分が正解というわけではありませんが、30分なら取り組みやすく、かつ、ある程度の成果が出そうと感じられます。
また「30分でここまで終わらせよう」と思うとプレッシャーですが、「30分間をこの仕事にあてよう」と思うだけなら、心理的ハードルはかなり下がります。
極端に言えば、書類を机に並べてぼんやりしているだけでもいいのです。ただし30分間は決めた仕事以外のことはしないのがルールです。スマホでメールやSNSをチェックするなど、他のことをするのはNGです。決めた仕事に関することなら何をしてもいいし、逆に何もしなくてもいい。でも決めた仕事以外のことはしてはいけません。
そうすると最初はぼーっとしていても、すぐ飽きて、結局決めた仕事に着手して仕事が進みます。人は何もしないことに耐えられないものなのです。ここは「30分仕事術」において、すごく重要なポイントです。
「30分仕事術」には仕事が早く終わるなど多くのメリットがある
30分仕事術には、心理的ハードルを下げる以外にも、ビジネスパーソンが仕事をする上でいろいろなメリットがあります。
1回あたりの作業時間が短い方が、実は仕事が早く終わる
あるアメリカのベストセラー作家は原稿を書く時、2時間なら2ページ書けるけれど、4時間なら3ページしか書けないそうです。
2時間で2ページ書けても、4時間で4ページとはいきません。人の集中力は限られていますし、疲れて生産性が落ちるからです。1回あたりの作業時間が長ければ、できる量は減っていきます。
人はまとまった時間で一気にやる方が、早く終わると思いがちです。しかし実際は作業を細切れに続ける方が、まとめて作業するより総作業時間は短くなります。
もちろんかかる日数は長くなりますが、作業時間としては毎日少しずつやったほうが短くなり、早く終わるわけです。つまり他の仕事も全て少しずつやっていけば、全ての仕事にかかる作業時間が短くなる。総労働時間が減るというのが「30分仕事術」のメリットです。
突発的な仕事が入ったときのリスク回避になる
「3時間かけて企画書を作る」というように、ある程度まとまった時間で仕事をする方が多いと思います。
ただしトラブル対応など突発的な仕事が入り、しかも「翌日までに」と言われることもよくあります。3時間でやろうとしていた仕事の締め切りも翌日だとすると、その日は予定外の残業をせざるを得なくなります。
つまり数時間かけて仕事をしようと計画すると、突発的な仕事が入った際にダメージが大きくなってしまいます。
「30分仕事術」では、同じ3時間でも、30分単位で6つの仕事を入れていきます。そうなると突発的な仕事が来ても、6つの仕事の全が部翌日締め切りということはまずないので、今日やるべき仕事だけやって、あとは別の日にずらすことができます。6つの仕事の中で翌日締め切りが1つくらいあるかもしれませんが、それでも30分の残業で済みます。
仕事の見通しが立つので、安心感がある
仕事というものは、着手してみないと見通しが立たないものです。ですから1つの仕事をまず終わらせてから次の仕事、というやり方では、着手していない仕事が見えず不安になってしまいます。
一方で「30分仕事術」ではいろいろな仕事を30分ずつ取り組みます。30分だけでも着手すれば、仕事の内容や難易度、かかりそうな時間が見えてくるでしょう。こうした安心感を得られる点もメリットです。
30分仕事術でうまくいくコツは「割り込みタスク」を意識すること
30分仕事術を実践する上で意識したいのが、「割り込みタスク」です。割り込みタスクとは、例えば上司から「ちょっといい?」と声をかけられたり、クライアントから「相談なんですが」と電話が入ったりするような、仕事を中断するタスクのことです。
30分集中して仕事をするには、割り込みタスクにうまく対応する必要があります。ここでは割り込みタスクへの対応策を3つ紹介します。
割り込みタスクにかかる時間を測定する
1日あたりご自身が割り込みタスクにどれぐらい時間を費やしているか、計測してみてください。2週間分測定できたらベストですが、1週間分でも構いません。タイマーでも何でもいいので、上司や同僚から声をかけられたり、クライアントから電話かかってきたりした時間を毎日計測してみましょう。1日あたり2時間とか、それなりの時間が割り込みタスクにかかっていると思います。
割り込みタスクにかかる時間を把握しておかないと、予定通りに仕事を終わらせることができません。例えば9時から5時まで働く場合、労働時間を1日あたり7時間として仕事の計画を立てます。ところが毎日割り込みタスクに平均2時間かかるとすると、実際の労働時間は5時間しかありません。つまり7時間想定で計画を立ててしまうと、予定通りに仕事が終わらないということになってしまいます。
ですから、割り込みタスクにかかる時間を測定して、1日あたりの平均を出していただき、これを考慮した上で仕事の計画を立ててみてください。
メール・チャットの確認頻度を減らす
メールやチャットをチェックする頻度を、減らしてみることもポイントです。メールやチャットは無限に入ってきますから、対応しているとどんどん時間がかかってしまいます。つまり本来の仕事が全然できなくなってしまうわけです。
一般的には、メールやチャットでの連絡は緊急ではないことがほとんどです。ですから、メールやチャットをチェックする頻度を減らしていくと、本来の仕事に着手しやすくなると思います。
すぐやらずタスクの優先順位を意識・確認する
上司から指示が来たり、クライアントから依頼が来たりすると、どうしても反射的に「すぐやらなければ」と思いがちです。意外かもしれませんが、ここですぐやらずに一旦冷静になることがポイントです。
当然ながら言われたことを30分やれば、本来計画していた30分の仕事ができなくなります。突発的な仕事を受けることは、予定していた30分の仕事をずらす、もしくは残業するというように、何かを諦めることになるわけですから慎重になるべきです。本当に今すぐやる必要があるのか、もしくは明日以降でもいいのか、ぜひ考えてみてください。
書籍紹介:「細分化して片付ける30分仕事術」滝川徹 著
大手企業に勤める著者が、長時間労働から抜け出すために生み出した「30分仕事術」。
書籍では常識にとらわれない仕事への向き合い方について解説しています。あわせて30分仕事術を実践するために、アナログな方法からスマホやパソコンを活用した方法まで、幅広く紹介。
劇的に成果を上げる大胆な方法からちょっとしたコツまで、仕事で結果を出すためのヒントが満載です。
(取材協力:
時短コンサルタント 滝川徹)
(編集: 創業手帳編集部)