Threads(スレッズ)1億人突破の意味とは?ビジネスモデル戦略を解説

創業手帳

Threads登録者数が1億人を突破した要因やビジネスモデルに迫る


Threadsがユーザー1億人を突破しました。
母体であるinstagramや競合のtwitterより早いスピードです。これはなぜなのか、考察したいと思います。
筆者の創業手帳の創業者・大久保幸世は、創業者に無料配布される創業手帳を発行しており創業手帳ウェブ機能の会員はThreadsには全く比較にならないですが、毎月新たに6,000人の起業家が会員登録する人気サービスです。支援先の起業家の多くのWEBサービスの開発、普及に関わった知見からThreads拡散の意味について解説いたします。

Threads(スレッズ)の使い方について、詳しくはこちらの記事を>>
Threadsとは?スレッズの使い方や特徴を解説
Threadsの削除について、詳しくはこちらの記事を>>
Threads(スレッズ)を削除するにはinstagramも削除しなくてはならないのか?
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ザッカーバーグ氏Threadsとtwitterで語る


Threadsの利用者が5日間で1億人を突破しました。1週間で日本の全人口に匹敵するユーザー数を獲得したことになり、驚異的なスピードです。
twitterやinstagramと比べても、ユーザー数獲得までが非常に早く、驚異と言えるでしょう。

Threadsを展開し、そしてinstagram、facebookも運営しているメタのCEOマーク・ザッカーバーグ氏はどう考えているのでしょうか?

マーク・ザッカーバーグ氏は、Threads内の公式アカウントでの投稿で「5日で1億任突破は信じられない!」と投稿しています。
そこはtwitterでツイートではなくThreadsで自社サービスで発信というところがミソ。

では、マーク・ザッカーバーグ氏のtwitterはどうなんでしょうか?
実は、マーク・ザッカーバーグ氏のtwitterアカウントはあるものの、なんと11年間投稿無し。11年ぶりの投稿は「スパイダーマン」の画像。
スパイダーマンと偽物のスパイダーマンが互いに「あっちは偽物だ!」と言い合っています。
もちろんtwitterとThreadsにかけたジョークですが、先発のtwitterに後発のThreads(メタ)が上手く皮肉っており、話題になっています。
一時話題はイーロン・マスク氏の独壇場でしたが、さすが商売上手のマーク・ザッカーバーグ氏ですね。

Threadsのユーザー増加は異常に早い。だが多少割り引いて考える必要がある

さて、マーク・ザッカーバーグ氏いわく「信じられない」スピードの史上最速の1億ユーザー達成はどう考えるべきなのでしょうか。
1億ユーザー達成はたしかに早いです。異常なスピードと言えるでしょう。大成功と言えます。

しかし、instagramやtwitter、ChatGPTの成長と比べたときに、基本的にinstagramベースのサービスと考えると一段意義としては落ちます。
こうしたSNSビジネスはユーザー登録がネックになります。

ユーザー登録は、面倒だったり、信用の部分で登録時に離脱しやすいです。
そのため、信用力のあるIDをそのまま使えるソーシャルログインのような機能を使うと、ログインのハードルを下げることができます。
今回のThreadsの初期の拡散は、「instagramIDを使う」というところが成功要因です。
instagramベースの別アプリで同じIDだが、違うテイストの機能が使えるというところがポイントでしょう。
Instagramの追加オプション機能という見方もできなくはありません。
そのため、独自にIDとブランドと世界観をユーザーとともにじっくり育ててきたtwitterやinstagramの初期のユーザー1億人とは少し様相が異なります。
ただし、すでにユーザーを持っているメタが、ゼロからアカウントを取得させる意味は無いので、ユーザーにとってもメタにとっても賢明な選択だったと言えるでしょう

Threadsの戦略としては大成功・SNSはデータビジネス・メタは次の世代の取り込み狙う

戦略としては大成功だと言えます。
twitterの牙城を切り崩し、メタのサービスのユーザー層を広げることができました。

facebook:やや年代高め・男性多め
instagram:若者・女性多い・画像中心
Threads:instagramと似たユーザー層でライトに発信したいtwitterの短文ユーザー層

というSNSのメタ世界圏を作り上げています。
メタが鳴り物入りで始めたメタバースは成功しているとは言い難く、facebook自体もやや年代層が高いので陰りが見えています。
そんな中で、久々のヒットがThreads。twitterの改革とゴタゴタに乗じて一気に仕掛けた形です。

SNSビジネスに収益源・実は手堅いThreadsのビジネスモデル

SNSのビジネスは良いか悪いかは別として、AIで最適化された広告が収益源のメインを占めます。
ユーザーのデータ取得量が多いほど、投稿が活発であるほど、ユーザーの接触面と広告を配信する精度が上がり、利益が上がる仕組みです。

Threadsはinstagramと同様に、facebookと連動した広告配信を展開するはずなので、マネタイズも容易でしょう。
通常こうしたSNSビジネスは、黒字化するまで容易ではありません。
しかし、Threadsの場合は肝心のユーザーを確保し、更に通常は困難を極める広告主をすでに確保しているところが強いです。

SNS・WEB広告を運用したことがあればすぐ分かりますが、instagramはfacebookの広告プラットフォームの中から出稿する仕組みになっています。
広告主からすると、instagramでもfacebookでもクリック課金でほしい属性に広告を出せます。
従ってThreadsも自動的にfacebookの広告配信先に組み込まれるはずなので、あっという間に広告主を確保してマネタイズできるのです。
外部からのアドを貼るのと違い、自社で全てデータを制御して広告配信しているので、精度においても利益率においても圧倒的に強い構造になっています。

これがゼロベースからビジネスを立ち上げているわけではないメタとThreadsの強さです。

そのため、Threads単体で今後伸び悩んでも、広告プラットフォーム全体で収益を上げることができるという点と、次世代投資という点で多少困難でもメタのマーク・ザッカーバーグ氏は諦めずに投資を続けるのではないかと思われます。

SNSビジネスの宿命・Threadsの戦略とは?


そんなSNSビジネスで、致命傷になるのが、ユーザーの年代が上がっていき「過疎って」しまうことです。

SNSは世代層に合わせて新しくテイストを変える必要がありますが、至難の業です。
一方で新しいSNSを出すと、食い合ってしまい、分散して弱くなってしまうジレンマがあります。
なぜ世代間でSNSの主力が変わってしまうかというと、要は誰も自分の個人的な投稿を「親や会社の上司に見られたくない」からです。
自分の自由な心理的安全性の高い空間の確保(クローズドなSNS)と同時に、多くの人に知ってもらいビジネス的には認知、あるいは個人的には承認欲求も満たしたい、そんな絶妙なバランスの中で存在しているのがSNSなのです。

SNSとして日本で一時代を築いた、mixi(ミクシィ)を知っている世代もいるでしょう。
mixiは世代交代と、致命的だったのが当時のテクノロジーの波であるモバイル対応が遅れ、いつの間にかfacebookに圧倒されてしまいました。
そのfacebookも陰りが出てきており、会社としてのメタとしての次の世代の布石として買収し取り込んだinstagramであり、新たに開発したのがThreadsです。

今後、課題になるのがユーザーの獲得からアクティブな投稿の蓄積になります。
twitterのように人の生活習慣に入り込んでいるような状況にするにはもう一段時間が掛かるはずです。
しかし、前述したようにメタにとっては、すでにThreadsでも儲けるビジネスモデルの基盤があり「メタがThreadsを辞める必要が特にない」ため、粘り強くtwitterに対抗してサービスを続けていくと予想できます。

Threadsはinstagramから派生しているので、幅が広いテキスト中心のtwitterに対して、instagramが強い女性・若者・画像が強いので、その層を集中的に切り崩せる可能性もあります。
twitterの世代のうちinsta世代を切り崩せればtwitterはユーザーの年代が上がるので戦略的にはSNSは年代が高いほうが時間の経過とともに過疎りやすく、不利な立場に追い込まれるでしょう。
一方、twitter・イーロンマスク氏もそうはさせじと次の策を繰り出してくるでしょうから、次の展開が楽しみです。

両者が競ってサービスの特徴を強化していくとユーザーはおそらく恩恵を受けると思われます。
イーロン・マスク氏のユーザーに指示されない一連の「改革」も、よりユーザーの指示を受けるものにせざる得なくなるなど独占的なプラットフォームを正す効果もありそうです。

マーク・ザッカーバーグ氏がツイートした、お互いに偽物と言い合っているスパイダーマンの画像のように、今はThreadsは「メタが出したtwitter」という捉えられ方ですが、今後、本当の意味でThreadsがtwitterのように根付いていくには、twitterに近いながらも若者・女性・ビジュアル中心という新しい世界観を構築できたときでしょう。
まだその世界の醸成には時間がかかると思われますが、不可能ではないので今後の動向をウォッチしていきたいです。

大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら



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