ゆる起業が拡大中!シニア世代に広まっている理由や始め方などをご紹介

創業手帳

定年後にゆる起業でビジネスを始めるコツを解説。支援なども紹介


起業は大がかりなものというイメージがありますが、最近は無理なく起業ができる「ゆる起業」というスタイルが注目されています。
ゆる企業はシニアを中心に広まっているようです。

ゆる起業とは何か、どうやって始めればいいのか、詳しく知りたい方も多いかもしれません。
そこで今回は、ゆる起業の概要や広まっている理由、始め方、注意点などについて詳しく解説します。

創業手帳では、起業したいけど何をいつまでに準備したらよいのかわからないという方向けに「創業カレンダー」をご用意。起業予定日の前後1年間において、準備する必要があることををカレンダー形式で確認することができるアイテムです。ぜひこちらもあわせてご活用ください。

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ゆる起業とは?概要を解説


まずはゆる起業はどのような起業スタイルなのか、概要や鉄則についてご紹介します。

無理せず好きなことで起業する方法

ゆる起業は、無理せずに自分の好きな仕事で起業する方法です。
一般的に、起業では稼ぎや事業拡大にフォーカスが当たりますが、「自身の幸せや充実感などを得る目的として、好きなことで適度な収入を得るための起業」という考え方が強くあります。

自分がやりたいことをビジネスにするため、特に業界や業種に縛りはありません。
一般的な起業と比べて、事業規模が小さく、開業や運転に必要な資金が少ない事業で起業することが特徴です。
気軽に始められるため、若者やシニア層も起業に向けた準備がしやすくなっています。また、セカンドライフを充実させつつ、生計の一部を支えられるビジネスモデルを実現できることから、シニア世代から注目を集めています。

ゆる起業するための鉄則

ゆる起業には、以下5つの鉄則があります。

1.本当にやりたい、楽しいと思えること
2.やりがいや生きがいを感じること
3.自分の得意なこと
4.投資は極力抑えて、利益を追求しすぎないこと
5.健康を第一に考えること

この5つの考えをもとに、「好きなことややりたいこと」「得意なことやできること」「お金になること」の3つの要素から該当するビジネスを絞込み、具体的に事業内容を決めていくことになります。
やりがいがあり、ローリスクかつ長続きしやすい仕事を選べるので、成功しやすいといえます。

ゆる起業がシニア中高年を中心に広まっている背景


ゆる起業は、50代のシニアを中心に人気が高まっています。その背景をご紹介します。

セカンドキャリアを考える人が増えている

寿命が延びたことで第2の人生も長くなり、セカンドキャリアについて考えるシニアが増えました。
定年後も生計や生きがいのために働く、という考え方が当たり前になりつつあります。

50代の場合、再就職の厳しさや老後の生活資産の確保などを目的に、起業して稼ぎたいという気持ちが強い傾向にあります。
一方、60代は定年後も社会とのつながりが欲しい、長年温存していたアイデアを実現したいなどの考えで起業を考える人が多いようです。
同じシニアでも50代と60代では、起業のきっかけや考え方が違います。しかし、どちらもやりがいを重視し、自分の身の丈に合った起業を目指す傾向にあります。
自分の知識や経験を活かせるゆる起業は、セカンドキャリアを考えるシニアにマッチしたビジネスモデルです。

起業のハードルが下がっている

昔と比べて起業のハードルが下がっていることも、ゆる起業が浸透している理由のひとつです。
終身雇用が前提ではなくなった現代では、働き方が多様化しています。企業で副業の解禁が広まり、誰でも自分でビジネスを起こすチャンスを得られやすくなりました。
インターネットの普及によって、情報収集やサービスの提供、仕事の受注が容易になりました。
インターネットをビジネスの拠点にすることで、起業に必要な資金も抑えられます。

また、株式会社の設立には最低1,000万円の資本金が必要でしたが、2006年5月に改正された会社法によって、実質資本金が1円でも会社設立できるようになりました。
同時に払込金保管証明制度の一部廃止など、会社設立の事務手続きも簡略化されています。

ほかにも、国や自治体の補助金、助成金も充実しています。
このように起業そのもののハードルが下がっていることから、「ゆる起業でチャレンジしてみたい」という考え方が生まれつつあるのです。

ゆる起業を始める3つの方法


ゆる起業を始める手段としては、「副業から始める」「週末起業で始める」「独立サイトやECで始める」という3つの方法があります。
それぞれの特徴を把握し、自分に合った起業方法を選択してください。

副業から始める

副業は、本業以外の仕事で収入を獲得する方法です。法的な定義はなく、本業の前後や休日など労働時間外において、他の会社などの業務に従事できます。
他の会社や店でアルバイトとして働くだけではなく、個人事業主や法人で起業して副業を行うことも可能です。

副業からビジネスを始めようと考える人は少なくありません。本業を辞めることなく起業できるため、金銭的なリスクを抑えながら経営感覚を身に付けることが可能です。

週末起業で始める

週末起業は、休日を利用して事業を行うことを意味します。一般的に土曜と日曜が休みになる会社員が多いことから、「週末起業」と呼ばれています。
副業は本業の勤務時間外である空いた時間にコツコツとビジネスを行っていくのに対して、週末起業は休日に時間を取って事業を進めるという点が主な違いです。

また、副業はアルバイトやパートなど、他の人に雇用される働き方も含まれますが、週末起業は自身で起こした事業のみが対象となります。

独立サイトやECで始める

物販もゆる起業にオススメのビジネスです。実店舗でなくても、独立サイトや大手ECモールでWebショップを持つことによって、気軽に物販ビジネスを始められます。
インターネットで物販を始めるためには、特別な資格やスキルは必要なく、初期費用も少ないため起業しやすい点がメリットです。
テンプレートの使用や簡単な操作でカスタマイズができるプラットフォームが多く、Webに関する高度な知識がなくても自分のショップを持てるようになってきています。

また、スキマ時間に注文の確認や梱包、発送作業を行えるので、プライベートの時間を大切にしながら働けます。
受注生産や注文が入ったらメーカーや卸売業者に発注して、注文先に届けたり在庫の保管や発送を代行してくれたりするサービスを利用するなど、工夫次第では無在庫で経営することも可能です。

ゆる起業を成功させるためのポイント


ゆる起業は成功しやすい要素が多数ありますが、成功する保証はありません。ゆる起業にも失敗のリスクがあることを理解し、以下のポイントを意識して起業してください。

ゆる起業するための自己資金を確保しておく

ゆる起業では少ない資金で起業できますが、自己資金をしっかり確保しておくことをおすすめします。
起業に関する失敗事例として、生活資金を事業資金として使ってしまうことが挙げられます。
自己資金を十分に確保して、生活資金を使わざるを得ない状況を避けなければなりません。

ゆる起業の場合、スモールビジネスでの起業となるので、「開業資金+しばらくの運転資金+生活資金」が最低限必要となる自己資金です。
運転資金と生活資金は、少なくても3~6カ月程確保しておくことをおすすめします。
必要な開業資金や運転費用、自分の生活費がどのくらいかかるのか試算し、必要な資金を確保しておいてください。

知識や経験のある分野でゆる起業をする

起業の際には、今までと違う分野の仕事をしてみたいと考える人もいるかもしれませんが、知識や経験のある分野での起業がマストです。
ゆる起業の鉄則に、「自分が得意とすること」という内容があります。

未経験の分野の場合、自分の知識や経験を活かせる部分が少なく、事業展開に悪戦苦闘する恐れがあります。
「儲かりそうだから」「流行りそうだから」という視点だけで事業内容を決めるのは避けてください。
ゆる起業で成功するためにも、自分の得意分野でやりたい事業を創出してください。

利益とやりがいのバランスを考える

ゆる起業では、利益とやりがいのバランスを考えて起業することも大切です。一般的な起業の考え方とは異なり、利益追求よりもやりがいのほうが重視されます。
しかし、ビジネスとしてある程度の利益が出ないと、ゆる起業でも事業の継続は厳しくなってしまいます。

好きなことを追求できる点はゆる起業の利点ですが、自分の好みにこだわりすぎて商品が売れなかったり、客がつかなかったりすれば本末転倒です。
楽しさややりがいを重視しつつ、利益率の高さと初期投資の少なさにも考慮して起業する事業を選択してください。

ゆる起業を行うメリット


ゆる起業は好きなことで無理なく起業できることが大きなメリットですが、ほかにも嬉しいメリットがあります。そのメリットは以下のとおりです。

収入を増やせる

ゆる起業は無理をしないことが前提ですが、自分の努力やアイデア次第で収入を増やせます。
副業や週末起業でゆる起業をスタートすれば、本業の給与に加えて自身の事業の収益も得られるので、経済的なゆとりを持てます。
定年前からゆる起業して収入を増やせば、現在の生活がより安定するだけではなく、定年後のセカンドライフを充実させることが可能です。

独立開業よりもリスクが低い

上記で述べたとおり、副業や週末起業で始めるケースが多く、独立開業よりもリスクが低いのも魅力です。
自主退職や定年退職後の起業となると、自身の事業で得られる収益のみが収入源となります。
事業がすぐにうまくいけば問題ありませんが、軌道に乗るまで十分な収益を得られない可能性があります。
また、事業内容や戦略によっては事業経営自体がうまくいかず、予想外の損失外が出てしまうケースも少なくありません。

本業の収入があるため、起業直後の業績が悪かったり、予想外の損失が出たりした時もダメージは少ないといえます。

本格的な起業に向けた準備ができる

ゆる起業でビジネスを展開していく中で、「もっと自分の事業を大きくしたい」という願望や野心が生まれることがあります。
将来、本格的に事業を展開していきたいという人にも、ゆる起業はメリットのある起業スタイルです。

本格的な起業に対してリスクを感じることがあるかもしれません。
しかし、気軽さが魅力のゆる起業なら経営に慣れ、本格的な事業展開や拡大に向けた資金の準備もしやすいといえます。
また、十分な売上が見込める状態であれば、リスクを抑えて独立することが可能です。

ゆる起業を行うデメリットや注意点


ゆる起業を成功させるためにも、知っておきたいデメリットと注意点をご紹介します。

副業・週末起業を会社が認めていない可能性がある

副業や週末起業でゆる起業を行う場合、勤務先の就業規則を確認してください。副業や週末起業を解禁する会社が増えていますが、禁止する会社も多くあります。
勤務先で禁止されている場合、発覚すれば処罰の対象となってしまう可能性があるため、副業や週末起業を認めているか確認しましょう。
また、会社が認めている場合でも、就業規則に則ってゆる起業するようにしてください。

年間20万円以上の収入で確定申告が必要になる

副業や週末起業でゆる起業を行う場合、事業で年間20万円以上の収入があれば確定申告をしてください。
注意点としては、確定申告の対象は事業の経費が差し引かれた年間所得です。事業で獲得した年間所得が20万円以下であれば、基本的に確定申告は不要です。

ビジネスによっては、日用品や飲食費などを経費にできるケースがあります。
所得が少なくなれば節税効果も高くなるので、事業に関する支出をしっかり記録して経費計上してください。
なお、独立してゆる起業を行う場合、年間所得が基礎控除額の48万円以上であれば確定申告が必要です。

長時間労働による健康への影響に注意する

ゆる起業で注意したい点は、長時間労働による健康への影響です。個人事業主や法人の経営者には労働時間や休日に決まりがないので、好きな時に好きなだけ働けます。
いくら楽しいからといっても、長時間働きっぱなしや休日なしで働いたことで体調を崩せば、「健康を第一にすること」というゆる起業の鉄則から外れてしまいます。

特に副業や週末起業でスタートする人は、本業も含めると仕事をしている時間のほうが多くなってしまいがちです。
健康に影響が出ないように、労働時間や体調の自己管理をしっかり行うようにしてください。

過去の成功体験・ツテをあてにしすぎないようにする

ゆる起業では、自分の経験や知識を活かしてビジネスにチャレンジすることになります。しかし、過去の成功体験やツテはあてにしすぎないように心掛けてください。
以前勤めていた会社やその取引先に営業をかけても、取引きしてもらえるとは限りません。
前職に築いた人脈が活かされるケースもありますが、ゆる起業後では自ら開拓していく力も求められます。

前職の社名・役職は名刺に書かないようにする

ゆる起業後につくる名刺には、前職の社名や役職は記入しないでください。営業トークで前職の社名を出して経験をアピールすることは問題ありません。
しかし、名刺に前職の社名や役職が記載されていると、相手は混乱し、悪い印象を与える可能性があります。
起業後は自分自身で信頼を築いていかなければなりません。そのためにも、ゆる起業後では名刺を一新してください。

まとめ・ゆる起業はシニアのセカンドキャリアとしてもオススメ!

ゆる起業は、自分がやりたいことでゆるりと起業するスタイルであり、やりがいを持ってビジネスにチャレンジできることが魅力です。
そのため、単なるお金稼ぎではなく、充実した生活を送りたいと考えるシニアのセカンドキャリアに適しています。
老後も生きがいを感じられる充実した生活を目指したい方は、今からゆる起業を考えてみてはいかがでしょうか。

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また創業カレンダー税金カレンダーも一緒にご利用いただくことで、会社経営に必要な準備や対応がより明確になりますのでご活用ください。
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(編集:創業手帳編集部)

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