50歳からの独立!失敗しないための3つのポイント。アイデアが思いつかない人が取るべき行動とは。

創業手帳

50歳からの独立は増加中!独立を考えるべきタイミングもあわせてご紹介します。


人生100年時代と言われている昨今、第2の人生として50代から独立を志す方も増えてきています。

日本政策金融公庫から出されている「2023年度新規開業実態調査」によると、1991年においては開業時に50歳代だった方が9.3%だったのが、2023年においては20.2%になり、また開業における平均年齢も毎年上がってきています。

50歳からの独立は、たくさんのメリットがある一方で、気をつけなければいけない点も多くあります。

今回創業手帳では、シニア世代の起業を支える株式会社 BEYOND AGE 代表取締役 市原さんに、50代からの独立で失敗しないためのコツを解説していただきました。

市原 大和(いちはら やまと)株式会社 BEYOND AGE 代表取締役
2006年、東京海上日動火災保険株式会社入社。
財務部門、海外部門、リスク管理部門を経験した後、2019年に社内のビジネスコンテストで優勝してシニアのセカンドキャリアの支援事業「プロドア」を立ち上げ。
2019年 国家資格キャリアコンサルタント取得。2021年に東京海上日動火災保険株式会社を退職して独立。

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50代で独立するタイミングとは?

50代で独立を検討するきっかけはいくつかありますが、主に以下の3つが挙げられるでしょう。

    役職定年前後
    定年退職前後
    再雇用の契約期間満了前後

上記のタイミングがキャリアにおけるターニングポイントとなるのですが、多くの人が、独立よりも転職をまず初めに検討する傾向があります。

しかし、50代で転職しようとしても、理想の転職先にはなかなか辿り着けないのが厳しい現実です。

一般的に、企業はシニアの正社員採用にはかなり慎重で、シニア社員よりも、若手社員に投資したいと考えているからです。

また本人が期待する給与水準と提示される給与水準とのギャップが大きいことも難易度を高くしている原因の一つと考えられます。

そのため、50、100社と応募しても、書類選考が通るのはほんの数社であり、そこから面談に進んで、内定をもらえる数はごく少数です。

大企業出身の方ほどこの傾向が強く、このような現実に直面してから「独立」を検討し始め、弊社にご相談に来られる方が多くいらっしゃいます。

50代で独立する際に失敗する可能性が高い事業アイデアとは


いざ、「独立」といっても、誰でも成功するわけではありません。

50代で独立する際に失敗する可能性が高い事業アイデアには以下のような特徴があります。

    これまで培ったスキルや経験とは関係ない分野の事業
    多額の初期投資が必要な事業
    十分に検証していない事業

それぞれについて解説します。

これまでの経験とは関係のない職種にチャレンジする

よくある失敗しがちなパターンに、これまでの経験とは関係のない職種や業界にチャレンジすることが挙げられます。

もちろん、新しい挑戦を全て否定するわけではないですが、これまでの経験や人脈活かせる事業をする方が安定的に仕事を確保できる可能性が高いです。

しかし、独立して仕事を自由に選べる状況になったとき、憧れだった職種を仕事にしようと考える方もいます。

例えば、これまで人事などの経験がない方が、いきなりキャリアコンサルタントを始めたり、金融に関する仕事の経験がない方がファイナンシャルプランナーの仕事を始めたりする方が一定数います。

もちろん、弛まぬ努力を続ければ成功することもありますが、成功させるには時間も体力も必要になります。

新しい職種や業界に挑戦する際は、これまでの経験を活かして安定した売上を作りながら、ライスワークライフワークを分けた上で挑戦するのがよいでしょう。

多額の初期投資が必要な事業

多額の初期投資が必要な事業アイデアは、失敗しやすいというより、避けるべきと言えます。

早期退職・定年退職後には多額の退職金を受け取ることが多く、それを元手に大きな挑戦を検討する方が少なからずいらっしゃいます。

例えば、飲食店を開業するなどが典型的なパターンですが、こちらも独立後の安定を考えると避けるべきといえます。

仮に退職金のほとんどを投資してうまくいかなかった場合、その後の生活が苦しくなるリスクがあるからです。

また会社員時代に会社経営や新規事業の立ち上げの経験がない方がいきなり未経験の事業に挑戦しても、うまくいかないことの方が多いでしょう。

20、30代であれば、大きな失敗をしても、立て直すことができますが、50代の年齢を考えると、なるべく大きな失敗は避けたいものです。

まずは初期投資が少なく始められる事業アイデアから検証しましょう。

十分にアイデアを検証しないまま独立する

自分の強みやスキルを活かして独立すると決めた後に、その事業アイデアを十分に検証しないまま独立することは避けてください

例えば、技術系のコンサルティングを提供するにしても、具体的な差別化ポイントや、実際にその仕事が市場から必要とされているのかを確認する必要があります。

「いいアイデアだと思っていたが、意外とニーズがなかった」ということも起こり得るので、独立前には十分にアイデアの検証を行いましょう。

ただ大前提として、新しい挑戦には失敗がつきものです。

失敗する確率が高かったり、大きな失敗が伴うアイデアは避けながらも、独立する際は「多少失敗しても問題ない」というマインドが必要です。

50代で独立後、失敗しないための3つのポイント

50代での独立で失敗しないためには事業アイデアの選定だけではなく、以下のポイントにも気を付けてください。

    差別化を意識すること
    行動量を増やすこと
    資格の勉強に時間を使いすぎないこと

それぞれについて解説します。

差別化を意識すること

独立を考えて「人事コンサルタントになりたい」「マーケティングコンサルタントになりたい」という思いが出てきた場合、重要なのは、差別化も意識しながらアイデアを検討できているかという点です。

例えばマーケティングコンサルタントの場合、どの分野に特化しているのか、自分は何が一番得意なのかをより深く分析する必要があります。

またそのアイデアを自分の中だけにとどめず、周りの人に話してみて、実際に売れそうか、確かめる必要があります。

フィードバックをもらうことで、「意外とこの分野で困っている方がいるので、〇〇に特化したコンサルティングをやろう」と市場が求めるアイデアを得られる可能性が高まります。

行動量を増やすこと

独立後の大きな成功要因の一つは行動量です。

成功している人は、常に能動的に動き、手数を多く打っています。独立後に求められる行動量とは、具体的には「顧客と接触する量」であり、積極的に連絡を取って人と会うことで、仕事を獲得できる確率が高まります。

会社員の頃は会社のネームバリューやこれまでの功績により仕事が継続的に入っていたケースがありましたが、独立すると、仕事が自動的に入ってくることはないので、積極的に行動することが求められます。

また、悩んでいることについて「考えています」「検討しています」という方がいらっしゃいますが、考えるよりもまずはたくさんの人に会って話して、そこから色々なビジネスが生まれる感覚を掴んでもらいたいと思います。多くの上手くいっていない方は「考えているだけの人」です。考える時間があったらまずは行動してみることをお勧めします。

資格の勉強ばかりに時間を使いすぎないこと

資格を取得することが仕事に繋がると考える方もいらっしゃいます。前提として、資格の取得を否定するわけではありませんが、1日の大半を資格の勉強に費やしても、仕事が入ってくるわけではありません。

もちろん資格を取得することで、一定の信用を得られる可能性はありますが、上記で解説した通り、独立後の大きな成功要因は「行動量」です。

それを考えると、限られた時間の大半を資格に費やすことは避けるべきでしょう。

独立後のアイデアが思い浮かばない人は何をするべきか?

「独立したいけどアイデアが思い浮かばない」という方は、まずは以下の方法を実践してみましょう。

    これまでのスキルの棚卸しをする
    副業・複業サイト、エージェントに登録してみる
    知り合いの経営者に悩みがないかなどをヒアリングする

それぞれの項目について以下で詳しく解説します。

これまでのスキルの棚卸をする

先ほど、「これまでの経験とは関係のない分野にチャレンジすること」が失敗につながりやすいと説明しましたが、逆にいうと、これまでの経験や自分の強み自体が独立後の事業内容につながるケースが多くあります。

トレンドに惑わされずに、「自分は何ができるのか」を独立前にしっかりと分析しておきましょう。

副業・複業サイト、エージェントに登録してみる

副業・複業サイトやエージェントに登録する際に、多くの場合は職務経歴書の作成が求められます。この作成作業を通じてスキル・経験の棚卸しをおこなうことができます。

また職務経歴書を登録するということは、自分のスキルなどを市場に公開するということでもあります。

登録後にどれくらいオファーが来るか、企業はどのスキルに対して魅力を感じているかなどを知ることができ、アイデアを考える際にも役立ちます。

知り合いの経営者に悩みがないかなどをヒアリングする

経営者が知り合いにいるのであれば、定期的に現在の困りごとについてヒアリングしてみましょう。

経営者から課題を聞いているうちに「自分だったらこの業務を手伝えそうだ」というものが出てくると思います。

最初はほとんどボランティアのような形でもよいかと思います。「〇〇の業務であれば手伝えますと」と業務を引き受け、そこから独立後の案件につなげていきましょう。

弊社が過去に取材した杉浦さんという方は、会社員時代に交流会などで多くの経営者と会われたそうですが、その際に「この方に価値貢献できることは何か?」を考え、ボランティアとして多くの経営者の課題解決に貢献していたそうです。

その結果、独立した今では30社を超える企業の顧問業をされています。

このようにただ「仕事をください」というのではなく、「どの部分で貢献できるか?」ということを常に意識しながら行動してみることで、独立後の結果も変わってくるでしょう。

アイデアを思いついた後にとるべき行動とは?


「この事業で独立する」と決めた後はとにかく行動量を増やすことが重要ですが、独立時に取るべき行動には以下が挙げられます。

    「弱いつながり」を広げる
    情報発信を行う
    先に独立している経験者から学ぶ

それぞれについて詳しく解説します。

「弱いつながり」を広げる

良いアイデアを思いついたとしても、それだけで安定的に仕事が入ってくるわけではありません。
「弱いつながり」とは、家族や友人のような密接な関係を持つ人以外の、定期的に顔を合わせる程度の人間関係のことをさしており、そのような「弱いつながり」から仕事に関する有益な情報が入ってきやすいとアメリカの論文でも発表されています。

まだ独立されていない会社員の方は社内ではなく、「弱いつながり」になりうる社外に目を向けて活動するべきといえます。

具体的には交流会に参加したり知り合いの経営者にアポをとって会ったりなど、人と会う行動を積極的にとっていきましょう。

情報発信をおこなう

これまで面談や取材をしてきた中で、顧客獲得が順調に進んでいる方は基本的に情報発信を行なっています。

もちろんSNSやnoteで不特定多数に対して情報発信を行うことも有効な手段ですが、これまで名刺交換をした方に対して挨拶のメールを送ることが、実は非常に効果的な情報発信です。

「それだけで仕事が見つかるの?」と思うかもしれませんが、弊社が取材した軽部さんは、独立する時に、30年以上のサラリーマン生活で培った人脈の中の1000人程の方にに退職のご挨拶をしたところ、多くの方から「この仕事、頼めないかな?」とたくさんお話が来たそうです。

このように積極的に社外へ自分の情報を発信することは、独立後の成功においてもかなり重要です。

先に独立している経験者から学ぶ

独立して成功するための近道は、すでに独立して成功している人から学ぶことです。会食のアポをとって、「どうやって独立したのか」、「独立後はどうやって顧客を見つけたのか?」をヒアリングしてみてください。

成功している事例を模倣することは、事業で成功する上で最も近道な方法であり、ビジネスの基本です。
既に独立している方の取材記事を読んで成功事例を参考にし、彼らの戦略を自分のものにしていきましょう。

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創業カレンダー

(執筆: 株式会社 BEYOND AGE 代表取締役 市原 大和
(編集: 創業手帳編集部)

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