商標権の活用方法を教えます

創業手帳

起業家のための商標権入門(3)

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これまで、商標権とは何かについて述べ、商標権を取得するための簡単な流れを説明してきた。

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最終回の今回は、取得した商標権の活用方法を説明していく。

商標権は有名ブランドの保護が中心

商標権は、基本的には、ブランド名を他社に使用されない権利だ。自分の商品が市場で有名になったら、商標(名前やロゴ)を独占することで他社商品と差別化することができる。購入者は、商標を見ただけで「この商品だ」とわかり、安心して購入する。

有名な商品(例えばおいしい食品)ならば、この効果がビジネス的に絶大だ。自動車、洋服など、商品によっては「その商品を使っている」ことが使用者のプレステージとなる場合もある。こういう場合には、効果がさらに大きくなる。この活用が、商標権の中心的部分である。

有名になる前でも商品差別化に商標権を活用

「自社商品が有名にならないと商標権は活用できないのか」という疑問が出てくるが、そんなことはない。有名になる前でも商標権を活用して独自のブランド名にできる。商標によって他社商品との区別ができるので、商品が優秀なものであれば消費者に認知されて有名になる可能性が高くなる。

起業後間もないベンチャー企業であっても、将来を見据えて、販売初期から商標権を活用したほうがよい。

有名にするつもりがなくても防衛的に商標権を活用

小規模のビジネスで商品を有名にする考えがあまりない場合でも商標権を有効に活用することができる。具体的には、「商標権を持っていれば、他社から商品名を変更させられない」というリスク回避ができる防衛的な活用である。

少しわかりにくいので説明する。前回に商標権を取るところで述べた「他人の登録商標と類似ならば商標権が取れない」ということが関係している。自分が商標権を取れたとすると、その時点では「他人の登録商標で類似のものはなかった」ということになる。

では、商標権を取った後で他人が類似の商標権を取ってしまうことはないのだろうか?今度は、自分と他人が逆の立場になって、自分の登録商標が「類似だから他人が商標権を取れない」という働きをしてくれる。自分よりも前にも後にも、他人が類似の商標権を取れないことになる。

商標権の活用と費用のバランス

これまで述べてきたように、商標権はいろいろな活用ができる。自分のブランドが有名になる前から役立つ。

気になるのはコストだが、1つだけの商品に絞れば、10年分の権利料金と弁理士報酬を足しても10万円以下となる特許事務所が多い。「1年につき1万円」と概算して、その費用に見合うかを考えるとよい。この相場感であれば、起業から間もないベンチャー企業であっても「費用に見合うから権利を取ろう」と前向きに検討することができるだろう。

(監修:東京金子特許事務所 所長 金子 宏 弁理士
(創業手帳編集部)

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