タイミー 小川 嶺|2年間で30億円超えの資金調達! 独占インタビュー

創業手帳
※このインタビュー内容は2019年01月に行われた取材時点のものです。

創業手帳の代表大久保が、若き起業家の創業エピソードを聞きました

応募や面接が必要なく、すぐに働くことができるスキマバイトアプリを展開する株式会社タイミー。2019年にはタイミートラベルを始動し、地方自治体や地方創生事業者との連携にも注目が集まっている同社が、9月14日に13億4,000万円の資金調達を実施したことで、サービス開始から2年で総額30億円以上の資金調達を達成しました。

代表取締役の小川嶺氏は、現在23歳。高校時代に起業について考え始め、2018年8月のタイミーのサービス開始から2年間で総額30億円以上を調達するまで、どんなエピソードがあったのか、創業手帳代表の大久保が独占インタビューしました。

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小川嶺(おがわ りょう)
大学時代、起業家育成団体、オシャレになりたい人とアパレル店員のマッチングアプリ「FASTU」、試着をするだけで服が割引になるサービスを手がける株式会社Recolleを立ち上げ、2018年に社名を「タイミー」に変更して再スタートする。2018年8月にTimee(当初はTaimee)をリリース。現在、約1万社の企業が利用、ワーカー登録者数は150万人を突破した。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

「今じゃなくて、未来を見てほしい」
資金調達を達成した情熱の一点張り

大久保:自分もスマホに入れてみましたが、使いやすい便利なサービスですね。働く人もお店側も助かると思います。この事業を始めようと思ったきっかけを教えてください

小川:元々この事業の前にファッションのサービスを1年ほど運用していました。しかし、資金調達をゴールとしてしまったこともあり、事業に対する思い入れを持てなくなってしまい、6人いたメンバーも一度解散しました。

ピボット(事業の軌道修正)後、24時間考えていたプランやメンバーがいなくなり燃え尽き症候群のようになってしまいました。自分は起業に向いてない、才能がない、とネガティブになり、商社などに普通に就職をして、高収入で人生楽しく暮すのもいいなと思うようになりました。

動画サイトをサーフィンするなどして「なんとなく」時間を過ごす日々の中で、「今自分が過ごしている時間は豊かなのか?」と自問自答するようになりました。私にとっての豊かな時間とは、その時間にできることの選択肢が複数ある状態です。

そこで、「自分の暇な時間を入れておけば、その時間でできることを提案してくれる便利なアプリってないの?」と思い、調べ始めました。それがTimee(タイミー。当初はTaimee) の始まりです。

大久保:改めてですが、ユーザーがこのサービスを使うどんなメリットがあるのか、働く側、そして事業者側、それぞれ教えてください。

小川:タイミーはとても簡単な仕組みのアプリで、「スキマ時間のある人」と「人手に困る人」のマッチングサービスです。隙間時間のある人にとっては応募も面接もなく1時間から働くことができ、稼いだお金をその日にもらうことができます。

人手に困っている人はシフトの埋まらなかった時間やそもそも人手が足りない時間で募集をかければ求めているスキルを持った人がすぐに見つかります。これによって人手不足の悩みを軽減することができます。

大久保:このサービスが広がると、助かる人も多そうですが、最終的に、社会にどういうインパクトを与えると考えていますか?

小川:社会の大きな問題になっている「人手不足」また、トレンドにもなっている「働き方改革」の二つに大きく関わっているサービスで、学生の隙間時間やサラリーマンの、プライベートの空いている時間などをシェアリングすることで人手不足に苦しむ社会がなくなると考えています

大久保:なるほど、フルで働くのは大変だけれども、少しだけ時間を活用したい、あるいはひとり雇えないけれども、スポットで欲しいという方もいますよね。日本は人手不足なのに、そういう時間が活用されないのはもったいないですし、良い経験にもなりますよね。

ところで、本当に若いのにこれだけのチャレンジをしていて本当に凄いなと思います。
安定した大企業に行く同期の学生がほとんどだったと思いますが、起業に迷いはなかったですか?

小川:高校の時から起業を考えており、起業そのものに迷いはなく、どの事業をやろうか悩むなかでタイミーに出会えたという感じです。

大久保:社員も随分増えたそうですね。どこの会社も採用ができない、人手不足の時代に、短期間で立ち上げたばかりの会社で、集めるのは大変だったと思います。何か秘策はあるのでしょうか?御社でユニークな採用方法があれば教えてください。

小川初期の頃はほとんど採用コストをかけておらず、Twitterかリファラル(社員の推薦)で行っていました

Twitter上で、何かしたいけどそう言う環境がないエンジニアを見つけてはアプローチを繰り返していました。そうしているうちに向こうからもお声かけをいただけるようになったりと、すごい好循環が生まれていたんです。そして採用できた人が会社に馴染んで楽しくなったら知り合いを呼んでもらう、ということを繰り返して月に3~5人ほど採用していました。

大久保:サービスを作っても、なかなか広がらないこともあります。どうやって認知を広げたんでしょう?

小川そもそも自分が本当に欲しいサービスまで磨き上げたことが大きかったと思います

それに加えて、広報で使うワードも世の中の流れに沿うよう意図的に打ち出し、リリースの時に記者会見を開いて30社くらいの記者さんに来ていただきました。そこでだいぶ知名度が上がって、その後もテレビなどに取り上げてもらうことができて広がっていったという感じです。

大久保:サービスを提供していて、実際にあったユーザー、利用者の印象的なエピソードを教えてください。

小川:そうですね、たまにワーカーさんが働いているときにその飲食店に食べに行ったりするのですが、その時に声をかけたワーカーさんが大阪から旅行にきた学生で友達と遊ぶお金を稼いでるんだ、と言ってくれました。その日に2つの仕事をしてくれて1万円くらい稼いでいた気がします。

旅先でも気軽に働ける世界を作りたいと思っていたので、とても嬉しかったですね。

大久保:これだけ大きな資金調達をどうやって進めたんでしょう?苦労した点と、それをどう乗り越えたか、教えてください。

小川:初めて3億円の資金調達を実施した時は、創業直後から動き始め、3カ月間で多くの企業にプレゼンしました。「トラフィック(事業の数値的な進捗)がそんなに出てないのにその企業価値は高すぎるよ」と9割以上の方に言われましたが、「今じゃなくて未来を見てくれ。絶対にリターンを出すから」と言う一点張りでした。(笑)

そしたら少しずつ資金を出してもいいと言う企業が集まってくれて、とどめにサイバーエージェント代表取締役の藤田さんが出してくれたと言う感じです。スタートアップのシリーズA調達の場合、普通だったら最低でも6カ月先のトラフィックが必要だったと思うので、今回出資を決めてくださった方々には感謝しかありません。

大久保:起業して一番大変だったこと、一番嬉しかったことを教えてください。

小川:大変なことは、大事な仲間が離れたり辞めてもらわなくちゃいけなくなった時ですね。人柄として好きなのに会社のために、彼自身のために辞めて欲しいと言うのは本当に何回やっても辛いですね。でも、その後も交流があってタイミングがあれば是非戻って来て欲しいなと思っています。

嬉しかったことはたくさんありますが、ユーザー数が1万人を超えたときですかね。1カ月経たずにここまで多くの人に使ってもらえたのか、という感動とともに、もっといいサービスにしようと身がしまる瞬間でした。現在、ユーザーは150万人近くにまで増えていますが、増えれば増えるほどワクワクしますね!

また、おかけ様で初の資金調達から約1年後、2019年10月にもシリーズB調達で20億円の調達に成功し、2020年の9月には13.4億円を調達することができました。多くの方に応援していただいていることが、いい緊張感につながっています。

大久保:起業家に向けて一言メッセージお願いします。

小川好きなことを好きなメンバーとやれるこの職業は本当に最高だなと思ってます。事業を加速させるために、いろんな方々やお金を巻き込みまくった方が、緊張感もあって楽しく大胆な勝負ができると思います。自分もまだまだなので圧倒的なスピードで駆け抜けます!

小川代表の持つ事業への確信と圧倒的な熱量が、タイミーの船出を強力に後押ししたことがよくわかりました。冊子版の創業手帳は、小川代表のような熱意ある起業家の事業立ち上げをサポートするノウハウをまとめています。

また、資料請求時に、Web版の創業手帳の無料会員登録が行えます。会員向けに創業コンサルティングを行っています。無料で利用できるので、ぜひご活用ください。

(取材協力:株式会社タイミー 小川嶺
(編集:創業手帳編集部)

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