【熊本地震】国税庁・経済産業省等による、被災中小企業支援策まとめ

創業手帳

国税庁、経済産業省等による中小企業者向け支援策などの情報をまとめました

(2016/05/20更新)

この度の平成28年熊本地震により、被害を受けられました皆様方に、心からお見舞い申し上げます。
国税庁、経済産業省等による中小企業者向け支援策などの情報をまとめました。お役だていただければ幸いです。

国税庁からのお知らせ

熊本県に納税地を有する納税者の方

全ての国税について平成28年4月14日以降に到来する申告・納付等の期限を延長しました。

熊本県以外の地域に納税地を有する納税者につきましても、災害により被害を受けた場合には、所轄税務署長から承認を受けることにより、申告・納付等の期限を延長することができます。

申告・納付等の期限を延長する期日については、現時点では定められていません。
 
また、
①熊本県以外の地域に納税地を有する方の平成27年消費税の確定申告分
②平成27年所得税の確定申告分の振替納税
については、口座振替が行われた後であっても、一定の要件を満たせば、納税の猶予として、一旦その納税額を還付できる場合があります。

確定申告を行う方へ

災害により住宅や家財などに損害を受けた場合は、確定申告を行うことで所得税法の雑損控除又は災害減免法の適用を受けることができます。

地震、火災、風水害などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で

「所得税法」に定める雑損控除の方法
「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法

のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。

これら2つの方法には、次のような違いがあります。

所得税法(雑損控除)

【損失の発生原因】災害、盗難、横領による損失が対象となります。
【対象となる資産の範囲等】住宅及び家財を含む生活に通常必要な資産が対象となります。

【控除額の計算又は所得税の軽減額】控除額は次の〈イ〉と〈ロ〉のうちいずれか多い方の金額となります。
〈イ〉損害金額-所得金額の10分の1〈ロ〉損害金額のうちの災害関連支出の金額-5万円

災害減免法

【損失の発生原因】災害による損失が対象となります。
【対象となる資産の範囲等】住宅及び家財が対象となります。
(損害金額が住宅又は家財の価額の2分の1以上であることが必要です。)

【注意】原則として損害を受けた年分の所得金額が1,000万円以下の人に限ります。この措置の適用を受けるためには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載する必要があります。

【控除額の計算又は所得税の軽減額】

その年分の所得金額

所得税の軽減額

500万円以下

全額免除

500万円超750万円以下

2分の1の軽減

750万円超1,000万円以下

4分の1の軽減

経済産業省からのお知らせ

 
小規模企業共済契約者に対する貸付制度について、一段の金利引き下げ等の措置を講じ、危急の事業資金の確保のための支援を拡充しています。(対象者は、災害により被害を被った中小企業者”熊本県に事業所を有する者”となります。)

【1】特例災害時貸付の創設

災害により被害を受けた小規模企業共済契約者に対し、(独)中小企業基盤整備機構において、原則として即日に低利で融資を行う「災害時貸付」を既に実施しています。

この貸付金利を無利子にするなど特段の配慮を講じ、貸付条件の更なる条件緩和を実施しています。(平成28年4月14日以降、貸付けを受けられた共済契約者についても、遡って当該措置を適用します。)

1 貸付金利の無利子化
当該地震の直接罹災共済契約者については、貸付金利を無利子とする特段の配慮を講じてます。

2 貸付限度額の引き上げ
貸付限度額を1,000万円から2,000万円に引き上げます。
(ただし、共済契約者が解約された場合に支払われる解約手当金の範囲内となります。なお、貸付限度額は、他の貸付制度によるものと併せて3,000万円までとなります。)

3 償還期間の延長及び据置期間の設定
(1)償還期間を1年間延長することにより、資金繰りを支援します。
Ⅰ.貸付金額が500万円以下の場合、3年を4年に延長します。
Ⅱ.貸付金額が505万円以上の場合、5年を6年に延長します。

(2)(2)据置期間を設定し、罹災当初の資金繰りを支援します。
設定なし → 据置期間12ヶ月

「緊急経営安定貸付」及び「傷病災害時貸付」の適用要件の緩和

平成28年熊本地震により、事業活動に支障をきたしている小規模企業共済契約者に対し、貸付金利を1.5%から0.9%に引き下げる措置(「緊急経営安定貸付」及び「傷病災害時貸付」)が実施されてます。道路の途絶、資材等の流通難、経営者等の負傷等、多様な弊害があることを踏まえ、要件としている前年同月からの売上高減少見込みを比する期間を3ヵ月間から1ヵ月間へと短縮いたします。

掛金の納付期限の延長

災害救助法適用地域の共済契約者には、(1)掛金の納付期限の延長、(2)掛金の掛止め、(3)掛金月額の減額のいずれかを選択できます。
(1)掛金の納付期限の延長:掛金の納付期限を6ヵ月延長し、この期間の掛金の納付(掛金請求)を停止。
(2)掛金の掛止め:掛金の納付を一定期間(6ヵ月または12ヵ月)停止。
(3)掛金月額の減額:掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択可能。

共済契約者貸付利用者の延滞利子の免除

平成28年4月14日時点で契約者貸付を受けている方は、延滞利子を約定償還期日から1年間免除されます。

なお、償還期日後1年以内に返済または借換えの手続きをする必要があります。

中小企業倒産防止共済制度の特例措置等 共済金の貸付(災害による不渡り)

平成28年熊本地震を原因として、不渡りとなった手形・小切手については、「災害による不渡り」として取り扱われ、不渡り処分(不渡り報告への掲載・取引停止処分)が猶予される措置が実施されています。

中小企業倒産防止共済制度に加入の契約者で「災害による不渡り」となった手形・小切手等を所持する場合、共済金の貸付を受ける事ができます。

※回収が困難となった売掛金債権等の額と、積み立てた掛金総額の10倍に相当する額とのいずれか少ない額を限度として、無担保・無保証人で貸付。

掛金、共済貸付金、一時貸付金等に係る特例措置(災害救助法適用地域の契約者)
① 掛金の納付期限の延長 掛金の納付期限を最大6ヶ月延長し、掛金の納付を停止することができます。
② 共済金の償還期日の繰下げ 償還期日を6ヶ月間繰下げることができます。
③ 一時貸付金の返済の猶予 償還期日から6ヶ月間、返済を猶予します。
④ その他 一時貸付金貸付及び解約手当金の請求について、印鑑登録証明書等の提出ができない場合は、運転免許証、健康保険証等で本人確認を行います。ちゅうしょ企

【2】災害復旧貸付公庫、商工中金

金利 (いずれも平成28年4月15日現在、貸付期間5年の場合)
日本政策金融公庫
中小企業事業 → 基準利率 1.30%
国民生活事業 → 基準金利(災害貸付) 1.40%
商工組合中央金庫 → 所定の利率(相談の上決定)
また熊本県全域が激甚災害指定されたことを受け、直接被害を受けた中小企業者に対して貸付額のうち1千万円を上限として、貸付金利から0.9%を引下げます(貸付後3年間)。0.9%の利率引下げには市町村等が発行する罹災証明書が必要となります。

貸付限度額
○日本政策金融公庫
中小企業事業 → 別枠で1億5,000万円(代理貸付:7,500万円)
国民生活事業 → 各貸付制度の限度枠に上乗せ3,000万円(代理貸付:1,500万円)
○商工組合中央金庫 → 別枠で1億5,000万円

貸付期間
設備資金・運転資金とも10年以内(据置期間2年以内)

担保特例
日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)→ 直接貸付・代理貸付とも、弾力的に取り扱います。

申込先
日本政策金融公庫、商工組合中央金庫日本公庫)

【3】セーフティネット貸付

金利
中小企業事業 → 基準金利 1.30%
国民生活事業 → 基準金利 1.85%
(上記はいずれも平成28年4 月15 日現在、貸付期間5年の場合の基準金利です。貸付期間、担保の有無等により、事業者によって実際の貸付金利は異なります。)運転資金のうち、以下の条件に該当する場合、貸付金利から0.2%の引下げを行います。債務負担が重く経営改善に迫られている中、認定経営革新等支援機関または日本公庫の経営指導を受けて事業計画書を作成する場合

貸付限度額
中小企業事業 → 7億2,000万円
国民生活事業 → 4,800万円

貸付期間
設備資金 15年以内 運転資金 8年以内 据置期間 3年以内(設備資金、運転資金ともに)

申込先 
日本政策金融公庫

下記は、対象者が異なる支援の一例を紹介します。

日本財団からのお知らせ

地震災害における様々支援活動を行う団体を対象として、資金活動の助成を行っている団体です。他にもあるかと思いますが、ここでは一例として挙げさせていただきます。

「平成28年熊本地震災害に関わる支援活動助成」の案内

■対象団体
特定非営利活動法人やボランティア団体等

■対象事業
「平成28年熊本地震」による熊本県および大分県内の被災者・被災地支援に関わる活動

◇被災者・被災地のニーズに基づき、緊急性を有するもの
◇被災地の復興に資するもの
◇活動状況を広く社会に公開できるもの

■助成金の上限金額
原則として1事業あたり100万円 補助率100%

■対象経費
事業の実施に直接必要な経費

■事業の実施期間
助成契約締結日から2017年3月31日まで

■申請方法
日本財団HP「助成申請」

■受付期間
2016年4月26日(火)~2016年6月30日(木)

■留意事項
審査の結果、助成が決定した場合は、ご申請から助成金の支払いまで最短で2週間程度。

まとめ

中小企業庁など関係機関では、被災された中小企業者の皆様への支援策や相談窓口などを掲載した特設サイトを開設しています。こちらのサイトから最新情報を入手できます。是非、ご利用下さい。

◇中小企業庁ホームページ 【特設サイト】
◇ミラサポ(中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイト) 【特設サイト】
中小企業庁や厚生労働省、金融庁、国税庁など政府が実施している支援策をまとめて分かりやすく掲載しています。
◇首相官邸ホームページ熊本地震被災者の皆さまへ政府応援情報

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(監修:眞喜屋朱里税理士事務所 代表 眞喜屋 朱里(まきや あかり)
(編集:創業手帳編集部)

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