ハードな課題に挑戦するからハードテック!?日本初・ハードテックの創業支援コミュニティ”Supernova”始動!

創業手帳
※このインタビュー内容は2017年01月に行われた取材時点のものです。

2016年12月会社設立!共同創業者に創業手帳が独占取材しました

(2016/01/04更新)

最近はIT業界での起業が目立ちますが、農業やモノ、土木、宇宙、金融、医療など困難な課題に挑戦するハードテック起業が注目を集めています。そんな中で、日本初のハードテック専門の起業家支援コミュニティ「Supernova」が始動しました。代表にはスローガンの前川英麿氏、メンターには東証一部上場のSMS創業者の諸藤氏、クラウドワークス元取締役の高野氏、ガリバーの元専務の吉田氏など豪華メンバーがメンターに顔を揃え、創業手帳もコラボ予定。そんなハードな課題に挑戦するスパノバ代表の前川氏と栗島ディレクターにお話を伺った。
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ー発足おめでとうございます!スパノバとはなんでしょう?

スパノバは独自の起業家支援コミュニティの運営・エコシステムのR&Dを通じて、スタートアップ・大企業の枠を超えて新産業創出を行うイノベーションプロデュース事業を展開する会社です。

現在は事業会社やCVC向けのリサーチ業務を行うと同時に、インキュベーター/アクセラレータの運営支援、オープンイノベーション支援など様々なイノベーションコンサル事業を行っています。

また、起業家支援コミュニティSupernovaではプロジェクト段階〜シリーズAまでのハードテック(HardTech*)領域のスタートアップが35社ほど所属しており、国内有数のインキュベーション実績を誇っています。

ー発足に至った経緯を教えて下さい。

元々は現ディレクター兼コミュニティプロデューサーの栗島が2015年9月からサイドプロジェクトとして始めた試みでした。Web領域のアクセラレータや投資家は多くいる一方で、まだ変革が起きていない、大きくて古い産業に挑戦する起業家へ投資・支援する人がほとんど存在しないことに着目し、彼らを支援する環境を作ろう!と始めました。

ーハードテックとは耳慣れない言葉ですね。

皆さん、ハードテックというと、IoTの一種かと思うでしょう。笑。
違うんですよ!かぶる部分も無いとはいえないですが勘違いが多いので、いいますと、困難な課題に挑戦するからハードテックなんです。

例えば、間接材購買に関する製造業向けプラットフォームサービスを提供する”Aperza(アペルザ)”は、日本が強みを持つ「生産設備」にフォーカスし、製造業向けポータルサイト「Cluez」、FAナビやオートメ新聞などのメディア事業に加え、製造業向け製品比較選定サイト「Aperza」などのサービスを提供しており、製造業における「情報収集」「検索選定」に加え、「購買調達」という購買の3ステップの課題を解決しようとしています。

ab工業用資材の価格検索サイト Aperza(アペルザ)
ーどんなメンバーなんでしょう。

コミュニティSupernvaの運営には、IPO・M&Aを経験しているエンジェル投資家やVC、CVC、事業会社、スタートアップ向けサポーターが多数おります。特にコアメンバーとしては、日本全国のベンチャー人材ネットワークを保有するスローガンの伊藤さん・前川さん、教育領域に特化してアジア・ヨーロッパでシード投資・アクセラレータを運営している栗島さんに加えて、投資暦20年超で素晴らしい投資トラックレコードを持つDraper Nexus Venturesの中垣さん、東証一部上場企業のSMS創業者で現在シンガポール拠点で活動するReapra 諸藤さんがおります。

ーどんな起業家が集まっていますか?

Supernovaでは”大きくて古い産業にこそ、既存の技術インフラを応用することで産業創出が可能である”というスタンスに立って起業家を募集しております。

そのため先ほど挙げた間接材購買に関する製造業向けプラットフォームサービスを提供する”Aperza(アペルザ)”をはじめとして、植物工場のオペレーター事業を軸に次世代農業プラットフォームサービスを提供する”Farmship(ファームシップ)”、人工衛星の運用に利用されるアンテナのシェアリングを可能にするプラットフォームStellarStationを運営する”Infostellar(インフォステラ)”等の大きくて古い産業に対して挑戦する起業家が集まっています。

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ーどんな支援をされるのでしょう?

・Supernovaコミュニティの枠組みを超えた適切な支援者・投資家等の紹介
・0→10000のフェーズを経験したエンジェルや投資家によるメンタリング機会提供
・会社運営に必要となるITリソースや各種情報の提供

といった形で基本的には起業家が自律・自発的に成長するために必要となる要素を提供しております。

なお、Supernovaの大きな特徴となりますが、私たちは”挑戦するものには限りなく与えるが、挑戦しないものには限られたものしか与えない”というスタンスで、起業家にも投資家ともに自主性を強く求めています。

また、Supernova自体は支援インフラのような立ち位置をとっていることもあり、他のアクセラレータや支援プログラムとの併用も可能な設計になっております。

ー特に注目の起業家は?

前回のデモデイで賞をとっていた全社はぜひ注目していてください!

特に優勝しました”ロボット投信”という金融ミドルオフィス・バックオフィスシステムの自動化サービスを提供する会社は台風の目になると思います。他にも、先ほど挙げていたAperzaはもちろんのこと、風景映像コンテンツ・動画配信サービス・サイネージIoTを組み合わせて室内に限りなくリアルな『風景』を届けるサービスを提供する”LandSkip”、植物工場のオペレーター事業を軸に次世代農業プラットフォームサービスを提供する”Farmship”も今後大きな躍進していくと確信しています。

実は他にもいっぱいいるのですが、ステルスモードの会社や、あまり表に出さない方がいい会社もありそこは内緒で。

ー前川さん、栗島さんのこれまでの創業に至るご経歴を教えて下さい。

前川:簡単に経歴と言いますと、1社目がベンチャーキャピタルで、2社目が真逆のターンアラウンド業界です。そして3社目が採用ビジネスを展開するスローガンとなっています。どうしてこのような経歴になったかを説明するには大学時代まで遡る必要があります。

2004~08年の大学時代は、まさにライブドアを筆頭にヒルズ族が盛り上がっていました。(六本木ヒルズが完成したのが2003年です)当時、株式投資などもしており”投資”と”ベンチャー”というキーワードはとても身近なものでした。そのような中、06年にライブドアショックが発生し、数百万円の損をしました。この時はじめて会社の経営とは何なのか、経営者とは何なのか、などベンチャー経営について本格的に探究するようになりました。高い授業料でした。笑。

そして08年に当時はNIF(ニフ)と呼ばれていました現在の大和企業投資に入社しました。右も左もわからない中、海千山千の経営者を相手に新卒ベンチャーキャピタリストになったのです。

そこからは年間数百社というベンチャー企業に会いに行き、ベンチャー投資などをしていました。しかし、時代がまたしても大きくうねり、08年9月にリーマンショックが発生するのです。

これは辛かった。苦笑。

一気に空気が変わり、ベンチャー投資どころか金融業界そのもののビジネスが問われる状態になってしまったのです。しかし、そのような中から次の時代の萌芽が現れ、先輩の村田さんがincubatefundを設立し、後輩の木下さんがSkyland Venturesを立ち上げたりし始めました。

私はターンアラウンド業界に目を向けました。ベンチャー暗黒時代の経験から、ベンチャー経営においてもターンアラウンドの知見は必ず活きると思っていたからです。転職してからは月曜日から金曜日まで地方の会社に訪問し、どっぷりと事業再生の現場の中に入っていきました。

スーパー、結婚式場、半導体工場、製薬工場などオールドな領域ですが、この経験はまさに役に立っています。またこれらの経験は、ハードテックでの支援を行うSupernovaの考えにも繋がるところがあります。そして15年に人材支援を行うスローガンに入社をしました。スローガンではベンチャーキャピタルを中心に投資活動を行っています。

なぜ人材領域の会社でVCを行うのかと言えば、スタートアップの成長には絶対に優秀な人が必要だからです。VCで調達したお金を何に使用するかは、いろいろ考えられますが間違いなく採用は有力な資金使途のひとつです。だからこそ、人材領域で支援が可能な会社で、ベンチャー投資を行うべきだと考えたのです。

そしてスローガンでVilingの栗島さんに会い、Supernovaでの活動に深く関わるようになりました。新卒から企業の支援に携わり、成長する会社もターンアラウンドも必要な会社もいろいろ見てきました。まだまだ未熟ですがSupernovaを通じて、より価値のあることを提供していきたい。社会のインフラになるような試みをしたいと思っています。

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ー栗島さんはいかがでしょう。

栗島:前職は投資信託の運用を行う資産運用会社にて株式トレーダー・債券ファンドマネージャーをしておりました。普通、運用会社の人って安定志向でスタートアップには絶対こないのですが、私の場合、2010年からWHILLというパーソナルモビリティのスタートアップができていく過程を垣間見れたことがスタートアップ業界にのめり込んでいくきっかけになりました。

WHILLってガレージに籠って興味のあるものを開発するハードウェア集団と、世界中を旅しながらインスピレーションを受けたものを形にするデザインユニットの2つから始まっていて、どっちもすごく尖った集団だったのですが、彼らが車椅子に着目してプロジェクトベースにプロダクトを形にして東京モーターショーへでて、結果として起業して、海外アクセラレータにでて、今は大きくなって事業を展開している。

そんなプロセスを見ていく中で、どうすればこんなに尖った人たちが生まれるコミュニティができるのだろうか、どうすればWHILLが生まれたようなイノベーティブな過程を再現できるのか。そういったことばかり意識するようになった。

そのうちSXSWという海外イベントに参加して日本から海外へ挑戦する起業家たちとも交流するようになったり、自分でも起業した方がいいんじゃないかと思っているうちに、どうも熱量を持った人同士の新結合が重要ではないかと思うようになった。そこで実験的に、東大近くで新しい価値を作ろうとするクリエイター同士を繋げるHackathon House(ハッカソンハウス)というシェアハウス兼クリエイターのみに解放したオープンハウスを運営しはじめました。

そうしたらそこからオンラインプログラミング教育サービスを運営するProgate(プロゲート)をはじめとする起業家が多数生まれるようになった。その最中に前職にて債券のファンドマネージャーに配置換えが行われたこともあり、ちょうど良い転機だし、えいや!と前職を辞めてしまいました。

そして辞める宣言をして有休消化期間に入っている時に、たまたまスローガンの社名非公開の特別オファー案件がFacebookフィードに流れてきて、面白そうだったので話をしに行ったら、今一緒にSupernovaを手伝っていただいている諸藤さん傘下のViling Groupにて教育領域に特化して投資・アクセラレータを行う会社の代表を任せるという話だった。

私個人としては起業家への投資を通じて0→100を行う人と過程を明らかにし、教育領域に応用させることができれば、イノベーションサイクルの再現が可能ではないか!?と思い即座にジョインを決意し、Viling Venture Partnersの代表に就任しました。

そこから教育領域でのアクセラレータ運営を行ったり、アジア・ヨーロッパのスタートアップへ投資、SXSWeduへの進出等を行っていたのですが、そのうちに、Web領域のアクセラレータや投資家は多くいる一方で、教育をはじめとするまだ変革が起きていない、大きくて古い産業に挑戦する起業家へ投資・支援する人がほとんど存在しないこと気づき、彼ら彼女らを支援する環境を作ろう!とSupernovaを始めました。やってみたら、優れた起業家や、素晴らしいメンターの方々が集めるようになり、想定以上の成果が見えてくるようになったため、今回Supernovaを創業することになりました。

ある意味でWHILLの発生過程を自身で再現できたのではないかとも思っております。

ー将来どういう方向を思い描いていますか?

優れた起業家の支援インフラを作りたいと考えています。産業を大きくしていくには市場の透明性が重要だと考えているのですが、現在の起業環境はクローズドな村社会状態だと感じており、この環境をより透明性の高いものとし、日本の起業環境全体が底上げできればと考えています。

ー創業手帳の読者、起業家へのメッセージをお願い致します。

熱量のないところに化学反応は起きません。私たちが支援する起業家が成功していくためには莫大な熱量が必要であり、まだまだ支援者を欲しています。ぜひ共感いただいた方がおりましたら是非直接ご連絡ください!

(編集:創業手帳編集部)



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