飲食店によるネット販売の始め方!新しいビジネスをスタートしよう!

飲食開業手帳

ネット販売から飲食店として大きな成長を目指そう


飲食店がネット販売をスタートすることによって、ビジネスの形は大きく変化します。
世界中の人に向けて、24時間365日商品を発信できるネット販売を始めることは、お店にとって大きな転換点になります。
まずは1ページ、1商品からでもネット販売の一歩目を踏み出してみましょう。

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飲食店がネット通販をスタートするメリット


私たちの生活スタイルは、この数年間で大きく変化し、飲食店もその影響を大きく受けています。
外出が難しくなる中で、多様なビジネススタイルを取り入れる飲食店が増加しています。
フードデリバリーやテイクアウトで売上げを確保する飲食店も多いなか、ネット販売を始めた飲食店も少なくありません。

ネット販売をスタートするメリットを紹介します。

実店舗だけの場合よりも売上げが安定する

実店舗の営業は、どれだけの人が外出しているかが売上げに影響しています。外出が少なくなれば来店数が減って、売上げも当然減少します。
一方で、ネット通販は外出率に関係ありません。

来店することなく、いつでもどこからでも購入できるので、環境に左右されにくい安定した売上げが期待できます。
さらに、店舗が営業時間でない時にも注文が受けられる点もメリットです。

実店舗では、店内が混雑してしまって購入しようとしたお客様が諦めてしまう場合もありますが、ネット通販であればその心配もありません。

食品ロスを減らして効率的な経営が可能になる

飲食店が安定した売上げを確保しなければいけないのには、理由があります。
実店舗を開こうとすれば、お客様の注文に対応するために食材の準備やお店の水道光熱費がかかります。また、販売スタッフの人員確保も必要です。

お店を開くだけでも一定の費用がかかる一方で、来店数が少なければ食品ロス、赤字を招くこともあります。

ネット販売の場合には、注文を受けてからそれに合わせて食材の仕入れ、調理をするため、食品ロスや無駄がありません。
食材費、人件費も節約しながら効率的に利益を上げられます

世界でファンを増やすことができる

実店舗はどうしてもターゲット層がお店の周辺や交通機関で来店できる範囲に限られます。
せっかく美味そうなお店をインターネットで見つけても、遠いから諦めたなんて経験は多くの人があるはずです。

ネット販売であれば、物理的な距離は問題になりません。配送などの条件をクリアすれば、日本だけでなく海外もターゲットにできます。

世界中をターゲットに営業すれば今までよりも幅広いお客様にアプローチが可能です。
InstagramやTwitterといったSNSを通じてプロモーションすれば、世界中に店舗や商品の魅力、サービスを拡散できるでしょう。

飲食店でネット販売を始めるための手順


今まで、実店舗でしか営業をしていなかった飲食店にとって、ネット販売をスタートするといっても、どのように進めればいいのかわからないかもしれません。
ここでは、ネット販売をスタートするために必要な手順をまとめました。

手順1 販売する商品の開発

ネット販売を始めるにあたって、まず問題になるのが販売する商品の選定です。
もともと扱っている商品によって、実店舗で販売しているものをそのままネット販売用商品にできる場合もあるかもしれません。
その場合であっても、ラッピングや梱包といったネット販売に合わせた工夫は必要です。

普段お店で出しているメニューをネット販売するには、食材をセットにする方法もあります。
パッケージや梱包込みでどの程度の価格帯で販売すれば利益が出るのかも、考えておきましょう。

ネット販売に合わせて、お店のオリジナルグッズを販売する店舗もあります。
お店の意匠をあしらったトートバッグやTシャツ、食器をお店のファンに販売する方法です。
Tシャツやスマホケースといったグッズ類はリーズナブルに作成できるので、検討してみてください。

手順2 食品の種類に応じた製造許可証の取得

食品をネット販売する場合、食品の種類に応じた営業許可が求められます。
すでに飲食店営業許可証を取得して飲食店として営業している場合でも、ネット販売をスタートする場合には追加で営業許可が必要な場合があるようです。

ネット販売は商品に応じた製造許可証が求められます。
例えば飲食店の許可を得て営業している中華料理店が、家で作れるラーメンセットを販売する場合には、販売形態に合わせた製造許可が必要です。
具体的には、生めんに対して麺類製造業、スープにはそうざい製造業、チャーシューに食肉製品製造業といった許可を取得します。

許可証を取得するには、管轄の保健所に申請を出して基準をクリアしなければいけません。
保険局によって必要な営業許可の判断が違う場合もあるので、まずは所轄の保険局に問い合わせましょう。

手順3 販売する商品につける食品表示を準備する

ネット販売する食品については、食品衛生法や景品表示法などの規制対象となり、食品表示が必要です。
食品表示には、その食品の消費期限か賞味期限、保存方法のほか、原材料名、添加物、栄養成分を記載します。
これらの情報を商品パッケージや包装容器に記載します。

さらに、平成27年4月1日に施行された食品表示基準では、原則として、すべての消費者向けの加工食品及び添加物に栄養成分表示が義務となりました。
また、健康食品などは、景品表示法上の優良誤認表⽰や健康増進法上の虚偽誇大表示に該当する宣伝文句は禁止です。

ネット販売は、お客様が実際に商品を手にして品質や表示を確認できません。
そのため、お客様が商品を選びやすいよう適切に商品の情報を伝えるように求められます。
各都道府県ごとに食品の品質表示について、表示すべき事項を定めているので、必ず確認しておきましょう。

手順4 ネット販売の形態を決める

インターネットのお取り寄せは、たくさんのショップがスタートしていますが、それらの販売形態にはいくつかの種類があります。
ネット販売にどのような形態があるのか、代表的なものを紹介します。

ECストアプラットフォームを利用する

ECストアプラットフォームとは、手軽にネットショップを立ち上げることができるサービスです。
ネットショップを立ち上げるには、どのように構築するのかシステムの知識が必要になります。

ショッピングカート機能があるサイトをクラウド上で作成できるので、自社サーバーを用意する必要はありません。
構築にかかる時間も費用も少なく済むため、できるだけ早くネットショップを立ち上げたい、資金が用意できないといった事業者にもおすすめしたい方法です。

モール型ECに出店する

楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングに代表されるモール型ECは、多くの事業者が利用しています。
モール型ECは運営ノウハウやモールの知名度を利用できる点がメリットです。他の店舗に来店したお客様の流入も期待できます。

ただし、モール型ECはストアデザインの自由度が少なく、他社と差別化が難しい点がデメリットです。
また、他店から流入することもあれば、自社のお客様が他のストアに流れてしまうこともあります。
出店するために費用もかかってしまうので、運転資金をある程度用意しておくことをおすすめします。

自社ストアを用意する

自社ストアを用意する方法は、自身でネットショップを構築する方法となります。
ショッピングカート機能や、決済機能を備えたネットショップをイメージする人も多いかもしれません。
しかし、商品の紹介ページを用意して、注文をメールまたはFAXで受けるといった方法もあります。

InstagramやTwitterといったSNSを活用したプロモーションであれば費用も少なく済みます
自社ストアは、ECストアプラットフォームのようにストアデザインや決済といった便利なサービスが受けられない代わりに、月額料金もかかりません。

近年は、SNSから口コミを検索して見つけたお店で買うお客様も多くなっています。
運用コストを下げたい、自社商品の訴求力に自信があるストアの場合におすすめです。

手順5 商品の販売や発送

ネットショップを開業すれば、注文に対応して商品を梱包、発送が必要です。商品の梱包や配送方法については事前に調べて準備しましょう。
送料は利用するサイズや配送先によって料金が違うので、どこを選べば有利なのか比較しておいてください。

梱包資材や段ボールにかかる費用も重要です。一回の配送では少ない費用の差も積み重なれば、利益に影響します。
保冷剤や緩衝材も、必要に応じて用意します。

配送が冷蔵や冷凍になるのであれば、商品の冷凍または冷蔵業の許可が必要です。提出する書類なども多いので、製造場所を管轄する保健所で相談してください。

飲食店がネット販売するときの注意点


飲食店がネット販売を始めることには様々なメリットがある一方で、注意しなければいけない点もあります。
事前に対策しておきましょう。

ネット販売のメンテナンスは必要

ネット販売は、実店舗と違って来店したお客様の対応に追われることはありません。
しかし、24時間いつでも注文や問い合わせがくる可能性があります。注文や問い合わせに対してお店が対応しなければ、お客様に不安を与えてしまいます。

ネットショップは実店舗のように、直接お客様とコミュニケーションを取れません。インターネットを介するからこそ、早期に丁寧な対応が求められます

ネットショップは開設すれば、お客様対応やストアのメンテナンスを欠かさないようにすることが必要です。
お客様にとって使いやすいストアになっているかどうか、サイトの離脱率が高くないかどうかといった点も考えながら運営するようにしてください。

実店舗と両立できるか考える

実店舗を並行してネット通販を始めるときには、実店舗とネット販売を両立できるかどうかを考えてください。
実店舗を運営するだけでも、接客や金銭管理で体力や時間を消耗します。
来店したお客様の対応や、商品の製造、金銭管理、掃除といった日々の業務と同時にネット通販を運営するのは大変です。

ネット販売を始めるときには、ネット販売分の商品準備や配送、お客様対応をする時間が捻出できるかどうか、体力的に余裕があるかどうかを考えてください。
必要に応じてアルバイトを雇ったり、人に任せたりすることも必要です。

梱包や配送費用がかかる

ネット通販の原価を実店舗と同様に計算するのは、間違いです。
ネット通販は、商品の梱包や配送にコストがかかるので、それも原価に入れなければいけません。

商品によっては梱包に注意が必要なものもあります。
また、お店によってはネット販売のお客様にはメッセージカードを封入するといった工夫をしている場合もあります。
かかる手間や時間もコストとして考えておきましょう。

特定商取引法を理解する

ネット通販を始めるのであれば、必ず特定商取引法について理解しておきましょう。ネット通販は、商品が手元に届くまで状態を確認できません。
そこで、思っていた商品と違うといったトラブルから消費者を守るために、特定商取引法が定められています。

ネット通販をスタートするときには、必ず特定商取引法に基づく表記が必要です。
具体的には事業者の名称や所在地といった情報や、送料や返品や交換、キャンセルへの対応などが必ず記載するように決まっています。

特定商取引法は、お客様が安心してネットショッピングを楽しめるために必要なことを定めた法律です。
特定商取引法と守って、お客様と良好な関係を築いてください。

知っておきたい!ネット通販で起こる失敗事例


ネット販売は多くの飲食店が参入している一方で、撤退する飲食店も少なくありません。
どのような理由で撤退しているのか、ネット通販で起こる失敗事例を紹介します。

コンセプトが伝わらない

ネット通販は、モール型ECやECストアプラットフォームを使えばすぐに始めることが可能です。
しかし、簡単にスタートできてしまうことで、お店のターゲット層やコンセプトが十分に練られていなかったり、お客様にお店の魅力を伝えられていなかったりすることがあります。

コンセプトはお店の軸になる重要なポイントです。コンセプトを考えることで、どのようなお客様に商品を届けるか考えやすくなり、伝えるメッセージにも一貫性が生まれます。

せっかくお店を用意してもコンセプトが伝わらなければ、ファンになる人を増やせません。
どのようなコンセプトなのか、どうやってコンセプトを伝えるのかを事前に考えておきましょう。

集客できていない

実店舗とネット通販の集客は、まったくの別物です。
実店舗であれば、通りかかった人がお客様になることもありますが、ネット通販だとそれもありません。

ネット通販の集客方法には、いろいろあります。SNSを使った集客やクリック型広告も有効な手段です。
客層によっても適した集客方法は違うので、自社に合った集客方法を考えておきましょう。

リピーターが増えない

ネット通販で安定した売上げを目指すのであれば、リピーターが必要です。せっかく売上げがあっても、1回だけ買う人ばかりだと売上げが安定しません。
新規顧客を獲得するために、幅広いターゲットにアプローチ継続するとコストもかかってしまいます。
また、同業他社との新規顧客の奪い合いになる可能性もあります。

リピーターを作るためには、メルマガやSNS、クーポンといったサービスが有効です。
また、ブログやSNSを定期的に更新し続けることで、情報を発信し続けることも大切です。
商品を購入する入り口となる集客と、リピーターに育てる施策の両方をおこなうようにしましょう。

まとめ

ネット販売は上手く活用すれば、ターゲットを広げて大きな利益を上げられるビジネスです。
しかし、ネット販売を成功させるためには、商品を販売できるようにすることから、集客、リピーター獲得まで多くの手順と工夫が必要になります。

ネット販売をスタートする時には、どのような工程が必要か、いつスタートするか、事前にシミュレーションしておきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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