株主総会も遠隔でWEB会議!ハイブリッド型バーチャル株主総会の方法まとめ

創業手帳

株主総会を遠隔で行う方法とは?今注目のハイブリッド型バーチャル株主総会を解説

株主総会

(2020/04/08更新)

現在、新型コロナウイルスの影響で、インターネットを活用したWEB会議の必要性が高まっています。

年に一回開催する株主総会は、遠隔で開催することができるのでしょうか。これまで、株主総会の遠隔開催については、会社法の解釈が明確になっておらず、意見が分かれていました。

しかし、法務省や経済産業省が正式に声明を出したことから、株主総会の遠隔開催やハイブリッド開催への道が開かれ始めています。

今回は、起業家や経営者から多数の問い合わせがあった、遠隔による株主総会の開催についてまとめました。ベンチャーでは、書面開催する方法もありますが、この記事ではバーチャルで開催する方法について解説します。

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株主総会とは?

ディスカッション

すべての株式会社は、株主総会を開催する義務があります。株主総会は、会社の株式(会社の所有権の一部ということ)を保有する株主によって、株式会社の意思を決定する最高機関のことです。

株主は原則として、持株数に応じた議決権を有し、会社の重要な方針の決議をします。
株主総会では、ゼロから議論し、決定するわけではありません。議事が円滑に進むよう、取締役会で、あらかじめ株主総会上程事項が定められ、運営されています。

すべての会社は、一年に一回、決算日から3ケ月以内に、株主総会を開催する必要があります。これを定時株主総会といいます。

日本の上場企業の多くは、3月末を決算期とする会社が多いため、6月に定時株主総会が集中する傾向があります。
なお、株主総会は会社の定款の定めに従い、取締役(取締役会、社長など)が招集して開催します。

決議事項は、定款変更・合併・営業譲渡などの重要事項や、株式配当・株式譲渡制限など、株主にとって重要な事項、取締役・監査役などの選任があります。
通常、決議は出席株主の過半数の賛成重要事項については出席株主の3分の2以上の賛同で採決します。

会社にとって、最も重要な意思決定機関が、株主総会です

遠隔による株主総会の開催が議論されているのはなぜ?

一方で、株主総会については、多くの人が集まると、新型コロナウイルスなどの感染症を広げかねないという側面があります。特に、資産を持っている高齢者の株主などは、非常に危険です。

ZOOMなどの遠隔会議ツールを使って遠隔でやれば良い!と思いがちですが、会社法の規定では、実開催を前提とした記載がされています。
そのため、株主総会が無効となるリスクを恐れ、多くの会社が実開催としています。

遠隔による株主総会開催に対する法務省の見解を解説

法務省

ここで、日本の法律を司る法務省の株主総会に対する見解が重要となります。法務省が、新型コロナウイルスに関して出した、「定時株主総会の開催について」のお知らせが参考になると思います。

定時株主総会の開催について
令和2年4月2日更新
令和2年2月28日

今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合における定時株主総会の開催について,以下のとおりお知らせします。

1 定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて
 定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも、通常、天災その他の事由によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じたときまで、その時期に定時株主総会を開催することを要求する趣旨ではないと考えられます。
 したがって、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます。なお、会社法は、株式会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項)、事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません。

2 定時株主総会の議決権行使のための基準日に関する定款の定めについて
 会社法上、基準日株主が行使することができる権利は、当該基準日から3か月以内に行使するものに限られます(会社法第124条第2項)。
 したがって、定款で定時株主総会の議決権行使のための基準日が定められている場合において、新型コロナウイルス感染症に関連し、当該基準日から3か月以内に定時株主総会を開催できない状況が生じたときは、会社は、新たに議決権行使のための基準日を定め、当該基準日の2週間前までに当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。

3 剰余金の配当の基準日に関する定款の定めについて
 特定の日を剰余金の配当の基準日とする定款の定めがある場合でも、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、その特定の日を基準日として剰余金の配当をすることができない状況が生じたときは、定款で定めた剰余金の配当の基準日株主に対する配当はせず、その特定の日と異なる日を剰余金の配当の基準日と定め、当該基準日株主に剰余金の配当をすることもできます。なお、このように、剰余金の配当の基準日を改めて定める場合には、2の場合と同様に、当該基準日の2週間前までに公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。

○参考情報

1 議決権の行使方法について
 株主は、株主総会に出席しないで、書面又は電磁的方法により議決権を行使することも、会社法上、認められています(会社法第298条第1項第3号、第4号)。

2 ハイブリッド型の株主総会について
 株主に株主総会の開催場所での参加を認めるとともに、株主がオンラインで参加することも許容するいわゆるハイブリッド型の株主総会を開催する場合の法的・実務的論点や具体的な実施方法等については、経済産業省のホームページ を御覧ください。

3 「株主総会運営に係るQ&A」の策定について
 経済産業省及び法務省は、令和2年4月2日、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、「株主総会運営に係るQ&A」を策定しました(経済産業省のホームページを御覧ください。)。
同Q&Aは、現時点の状況を踏まえ、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、株主総会の運営上想定される事項についての考え方を示したものです。

法務省令和2年2月28日付「定時株主総会の開催について」より引用

株主総会は、事前に公示することで、事業年度が終わってから3ヶ月以内(3月末決算だと6月末まで)の開催を必ずしも行わなくても良いということが記述されています。

これまで、事業年度が終わってから3ヶ月以内に株主総会を開催することは、「会社運営の常識」でした。法務省がこのような見解を出したことは、とても大きな変化だといえます。

また、書面開催やWEB開催についても言及されており、テレビ会議については下記のような見解があります。

取締役間の協議と意見の交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組みになっていれば、テレビを利用して取締役会議を開くことも可能である。

法務省平成8年4月19日付「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」(旬刊商事法務1426号32号・36頁)より引用

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは?

会議室

株主総会を物理的に開催することで、ウイルスを媒介してしまう可能性があります。そのため、株主総会への正式な出席にはなりませんが、ZOOMなどのWEB会議システムを利用して、株主総会を確認・傍聴することは、現在の法律でも実施可能です。

これを「ハイブリッド参加型バーチャル株主総会」といいます。

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会を行う場合には、総会での議決権の行使や質問・動議の提出などを行うことができないという点に、注意が必要です。事前の議決権行使は、書面で促す必要があります。

WEB会議システムで、株主として株主総会へ正式に「出席」する方法であれば、その場で議決権の行使や質問・動議の提出などが可能になります。これを「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」といいます。

ハイブリッド型バーチャル株主総会に必要な環境やポイント

経済産業省が、ハイブリッド型バーチャル株主総会について、実施ガイドを策定しているので参考にしましょう。

ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド

上記の実施ガイドを創業手帳で分かりやすく要約しました。

バーチャル出席の場合に必要な環境

  • 会社が経済合理的な範囲において導入可能なサイバーセキュリティ対策
  • 招集通知やログイン画面における、バーチャル出席を選択した場合に通信障害が起こりうる ことの告知
  • 株主が株主総会にアクセスするために必要となる環境(通信速度、OS やアプリケーション 等)や、アクセスするための手順についての通知

バーチャル出席株主の本人確認にあたっては、事前に株主に送付する議決権行使書面等に、株主毎に固有のIDとパスワード等13を記載して送付し、株主がインターネット等の手段でログインする際に、当該IDとパスワード等を用いたログインを求める方法を採用するのが妥当と考えられる。

参考:経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」

ハッキングされるなど、第三者に株主の議決権が行使されてしまわないように、セキュリティ対策を行いましょうということです。

また、通信環境などによっては、通信速度が重くなってしまう可能性があるということを事前に伝えておく必要があります。

1対1のWEBミーティングは快適に行うことができても、多人数になると動作が重くなってしまう可能性や、運営側も慣れていないので、もたついてしまう可能性があります。

事前にリハーサルなどを実施し、スムーズに進められるようにしましょう。

質問や動議を取り上げるための準備に必要な体制や時間を考慮し、リアル出席株主とバーチャル出席株主の出席する株主総会を一つの会議体として運営するために、以下のような取扱いが考えられる。

【質問】
○ 1人が提出できる質問回数や文字数、送信期限(リアル株主総会の会場の質疑終了予定 の時刻より一定程度早く設定)などの事務処理上の制約や、質問を取り上げる際の考え方、個人情報が含まれる場合や個人的な攻撃等につながる不適切な内容は取り上げないといった考え方について、あらかじめ運営ルールとして定め、招集通知やweb上で通知する。

○ バーチャル出席株主は、あらかじめ用意されたフォームに質問内容を書き込んだ上で会社に送信する。受け取った会社側は運営ルールに従い確認し、議長の議事運営においてそれを取り上げる。また、会社のおかれている状況によっては、適正性・透明性を担保するための措置として、後日、受け取ったものの回答できなかった質問の概要を公開するなどの工夫を行うなどが考えられる。

経済産業省令和2年2月26日策定「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」より引用

WEBでは、通常の開催に比べてスムーズにいかない可能性があるので、事前にルールを取り決めて通知しましょうといったことも記載されています。

また、WEB会議で一斉に質問すると、通信が混雑してしまうことも考えられるため、質問は用意しておいたフォームで受け付けるなどの工夫が必要です。

【動議】
<動議の提出> 株主の動議の提出にあたっては、提案株主に対し提案内容についての趣旨確認が必要になる 場合や提案理由の説明を求めることが必要になる場合等が想定される。

しかし、議事進行中に、バーチャル出席者に対してそれを実施することや、そのためのシステム的な体制を整えることは、会社の合理的な努力で対応可能な範囲を越えた困難が生じることが想定される。したがって、以下のような取扱いが考えられる。

○ 株主に対し、事前に招集通知等において、「バーチャル出席者の動議については、取り上げることが困難な場合があるため、動議を提出する可能性がある方は、リアル株主総会へご出席ください。」といった案内を記載したうえで、原則として動議についてはリアル出席株主からのものを受け付ける。

<動議の採決> 株主総会当日に、株主から動議が提出された場合には、その都度個別に議場の株主の採決をとる必要が生じる可能性がある(ただし、休憩や質疑打ち切りの動議など、一部の手続き的動議は議長の裁量の範囲内で処理される場合があるほか、会社提案への修正動議などの実質的動議については、原案との一括採決が可能な場合もある)。しかし、招集通知に記載のない案件について、バーチャル出席者を含めた採決を可能とするシステムを整えることについては、会社の合理的な努力で対応可能な範囲を越えた困難が生じることが想定される 。

したがって、事前に書面 または電磁的方法により議決権を行使して当日は出席しない株主の取扱い27も踏まえ、以下のような取扱いが考えられる。

○ 株主に対し、事前に招集通知等において、「当日、会場の出席者から動議提案がなされた場 合など、招集通知に記載のない件について採決が必要になった場合には、バーチャル出席者は賛否の表明ができない場合があります。その場合、バーチャル出席者は、事前に書面または電磁的方法により議決権を行使して当日出席しない株主の取扱いも踏まえ、棄権又は欠席として取扱うことになりますのであらかじめご了承ください」といった旨の案内を記載する。そのうえで、個別の処理が必要となる動議等の採決にあたっては、バーチャル出席者は、実質的動議 については棄権、手続的動議については欠席として取扱う。なお、システム的に対応が可能な場合であっても、バーチャル出席株主による質問や動議の提出 について、濫用的であると認められる場合に取り上げないことが許容されるのはいうまでもないし、その濫用の程度によって、株主総会の秩序を乱すと判断される場合には、バーチャル出席者の通信を強制的に途絶する(リアル株主総会での退場と同等)ことも、議長の権限によって行うことが可能である。(なお、これらの措置については、あらかじめ議長から、判断の具体的要件とともに権限を受任することで、議事の最中にスタッフが実施することも可能と考えられるが、その場合は、その具体的要件について、あらかじめ招集通知等で通知することが必要である。)

■具体的取扱い

インターネット等の手段でバーチャル出席した株主が、株主総会当日に議決権を行使できるよう、 会社はそのシステムを整える必要がある。

なお、バーチャル出席株主の議決権行使システムの検討にあたっては、書面や電磁的方法によっ て事前に議決権行使を行った株主が当日バーチャル出席した場合における、事前の議決権行使 の効力の取扱いについて、②の整理を踏まえ留意が必要である。

<議決権行使結果に係る臨時報告書の記載について>
株主総会終了後、会社は、金融商品取引法 29及び企業内容等の開示に関する内閣府令 30 の規定に基づき、臨時報告書の提出が求められている。

当該臨時報告書に記載すべき議決権の数については、前日までの事前行使分や当日出席の大株主分の集計により可決要件を満たし、会社法に則って決議が成立したことが明らかになった等の理由がある場合には、リアル出席株主の一部の議決権数を集計しない場合と同様、当日出席のバーチャル出席株主の議決権数を集計しない場合についても、その理由を開示することで足りると考えられる。

経済産業省令和2年2月26日策定「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」より引用

バーチャル株主総会の場合、動議のやり取りが困難なケースもあるため、リアルの株主総会に誘導するという手段もあります。

また、議長が議事進行を乱す発言をする場合は、通信を遮断して強制退場させることも可能です(事前に招集通知の記載が必要)。

<招集通知の記載方法>

取締役は、株主総会を招集する場合には、「株主総会の(中略)場所」を決定し(法 298 条 1 項)、これを株主に対して通知しなくてはならない(法 299 条 1 項)。

他方、株主総会の議事録の記載事項を定める法施行規則72条3項1号は、「株主総会の場所」の記載方法として、「当該場所に存しない(中略)株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。」としている。

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会の招集通知における「株主総会の(中略)場所」の記載に当たっては、以上の規定を参考にすることが考えられる。

具体的には、法施行規則72条3項1号の規定を準用し、招集通知において、リアル株主総会の開催場所と共に、株主総会の状況を動画配信するインターネットサイトのアドレスや、インターネット等の手段を用いた議決権行使の具体的方法等、株主がインターネット等の手段を用いて株主総会に出席し、審議に参加し、議決権を行使するための方法を明記すればよいものと考えられる。その他、株主総会運営における取扱いに応じて、上記①~④に記載した事項を記載する必要がある。

<お土産の取扱い>
リアル株主総会に物理的に出席する株主に配付されるお土産については、交通費をかけて会場まで足を運び来場したことへのお礼と考えられることから、会場へ足を運ぶことなくインターネット等の手段を用いて出席した株主に対してお土産を配らないとしても、不公平ではないと考えられる。

経済産業省令和2年2月26日策定「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」より引用

株主総会の招集通知では場所を記載する必要があるので、遠隔開催の場合は「遠隔で開催します」と記載する必要があります。

また、来場者だけにお土産を渡すことは不公平ではないという見解も記述されています(株主に対しては本来公平にしなければならない)。

まとめ

ここまで、株主総会のバーチャル開催についてまとめました。従来からの書面開催というのも、有効な手段の一つでしょう。

株主総会には、実開催や書面開催、バーチャル開催など、多様な方法があるので自社にあった方法を選ぶようにしましょう。

創業手帳の冊子版では、事業を進める上で必要なノウハウをまとめて解説しているので、ぜひ活用してみてください。

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(監修: 税理士法人ハガックス 所長/芳賀 保則
(編集: 創業手帳編集部)

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